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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年10月


 人生の半ば、迷い抗う大人たちを描く、著者15年ぶりの長編小説!


故郷を飛び出し、静かに暮らす同窓生夫婦。夫は毎日妻の弁当を食べ、出社せず釣り三昧。行動を共にする後輩は、勤め先がブラック企業だと気づいていた。家事だけが取り柄の妻は、妹に誘われカフェを始めるが。

                   (角川書店HPより)



15年ぶりの長篇だったんですね~。

物語の舞台は三浦半島の端っこ、久里浜。
横浜の京浜急行の景色などが背景にあって・・・・学生時代、近くに住んでいたので
懐かしい思いも少し感じたりしながら読みました。


地元の長野県で、同じ高校の先輩・後輩の関係である佐々井夫妻。
妻の冬乃は夫のことを今でも佐々井君と呼んでいる。
地元では一番優秀な高校を卒業したけれど、家庭の事情で就職を選んだ佐々井くん。
そして、現在は久里浜で生活している。
冬乃の妹・菫も近くに住んでいたけれど・・・住んでいた家でボヤを出して住めなくなり
姉夫婦の元に居候。

仲良く暮らす夫婦とその妹という和やかな雰囲気だったけど、佐々井くんの勤務する
会社の様子がわかると、なんだか重たい雰囲気に。
会社の後輩・川崎哲生が登場して、変わった人だなと思っていたら・・・・
もっと変わったモリが登場。芸能関係のお仕事?
菫の彼?と最初は思ったら、そうじゃないらしく、単なる友だちの関係みたい。


たくさん人が出てきて、少々、混乱したけれど、公園で冬乃が会えば言葉を交わす
所さんが良かったなぁ~。
名前は韮崎和夫なんだけど、所ジョージが年を取ったような雰囲気ということから
姉妹で読んでいる呼び名が「所さん」。

会社が劣悪な状況になり、佐々井くんの後輩・川崎が辞職。

冬乃と菫が始めたカフェを手伝うことになり、モリも時々、経営などに助言して
なんとか良い感じで続くのか?と思いきや・・・・

人生いろいろですね~。

うまく行かないこともあるけれど、色々な人に支えられて人は
何とか前に進んでいけるのだなぁ~なんて感じながら読み終えました。


淡々とある夫婦を軸に描いた人間模様。
でも、いろいろな人が繋がっている雰囲気はよかったな。

佐々井夫婦の今後が明るいものでありますように・・・

               
       

                          ★★★
PR
31os4L21TEL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年4月


DVと闘う女性を描くサスペンス超大作!
夫の暴力から身一つで逃げ出した可穂子。弁護士の手を借り離婚も成立し、新しい人生を始めようと模索する。が、どこまでも追ってくる元夫・雄二の執拗な影に彼女は…! 直木賞作家が放つ衝撃作!


                        (集英社HPより)



最初から最後までハラハラドキドキ。
凄い怖かった!!

DV夫から身一つで逃げ出した可穂子。
女性弁護士・玲子の助けで、なかなか承諾しなかった夫とも離婚が成立し、
ホッとしたものの執拗に追い続けてくる。
なんていう執念深さ。
本人に接触できないとなると可穂子だけでなく、両親や親族にまで嫌がらせをして・・・
真面目な可穂子は、どんどん追い詰められてゆく。

保護施設でもある同じような境遇の女性ばかりが農園で作物を作りながら
暮らすようになり少しホッとする時間も出来、新たな出会いもあったのに、
幸せは続かず・・・。

最後は、どうする?と思っていたら・・・
まさかの対決!

こういう結末しかないのかな?
殺されるか、殺すかしか、DV男との決着はつかないのかな?

ニュ-スでも度々、報道されるけれど、怖いな。
もう少し、こういうDV男(スト-カ-男)から女性を守る法的手段が
厳しく定められるといいんだけど・・・
長い期間、恐怖にさらされる生活を続けなきゃならない。
こんな理不尽はないよ。





★★★★
 





 
5153bweb0zL__SX230_.jpg     発行年月:2012年7月


     百年の不老とひきかえに、百年目には強制的に
     死ななければならない法律・百年法。
     その初めての百年を今、日本は迎えようとしていた……
     国難と対峙する政治家、国民、そして人間の姿を問う、
     衝撃の問題作下巻!


                               (角川書店HPより)



上下巻合わせて800頁を越す話でしたが、一気に読みました。
読ませるだけの面白さがあって、凄い構想力だなぁ~と思った。

上巻では、この先この話はどう進んでいくのやら?
話の結末はそうするのか?と気になりましたが、下巻に入ったらそんなことは考えずただ
話に引き込まれて行ったかんじ。

人類にとって不老不死は夢。
しかしそれが現実になったとしたら・・・・?
今まであまり考えてもみなかったことをこの物語を読みながら考えさせられた。

物語のなかでも百年たったら死を宣告される百年法が国民投票で一時凍結される場面で
人々はその状態が長く続くことによって引き起こされる弊害の大きさに気づく。
不老不死社会では、皆が年を取らないために退場者がいない状態。
子孫を残すこともせず、家族制度は成立せず、次世代にバトンを渡す必要を感じなくなり人々は成長しようとしない。社会は進化していかない。
そんな社会に生き続けることは幸せか?


物語最後は、HAVI(不老化処置)を受けた者は、かならずSMOCという病気を発症し亡くなるのだと発表される。
この辺は「え?」と思ったけれど、こういう設定を設けないと収拾がつかなかったのかな?


物語のなかには魅力的な人物たちが多かった。
HAVIを受けずに自然に老化していくことを選び百円年法拒否者村で生きた仁科ケン、
首相と大統領代理を兼務し初代独裁者となった遊佐、
テロリスト・阿那谷童仁(戸毛幾太郎)

それぞれの立場で、自分なりに社会のことを考えて行動していた彼らは格好よかった。
欲を言えば彼らの心理をもう少し深く知りたかった。

巻末の参考資料の多さにもビックリ。
さすが構想10年を要した大作。

楽しませていただきました。

しかし、こんな大作を書いちゃうと暫くは何を書こうか困るんじゃないか?
大きなお世話だけれど・・・・^^;



★★★★
 
414pWdfKNNL__SX230_.jpg    発行年月:2012年7月


国難を迎えた現代日本に投げかける衝撃の問題作!



6発の原爆が投下され終戦を迎えた日本で、ある法律が制定された。
通称「百年法」。
新技術で不老を与えるかわりに、
100年後に死ななければならないというが!?


                                       (角川書店HPより)


凄い設定を考えたな・・・。
2048年から始まる物語。
1945年6発の原子爆弾により壊滅的な状況に陥った日本。
国土はアメリカの占領下におかれ、アメリカは日本に共和国となることを決め、日本共和国となった。

今の日本とは別の架空の話ではあるものの、ちょっと先の未来を描いているので
もしかしたら、こんな世界にこの国は変わってしまう可能性もあるのかも??
なんていうリアルな怖さも感じた。

アメリカに倣って生存制限法(通称:百年法)という法律ができる。
不老不死処置を受けた国民は 処置後百年を以って生存権をはじめとする
基本的人権はこれを全て放棄しなければならない



百年目になるとIDカ-ドにそれを知らせるメッセ-ジが届き、1年間の猶予期間が来るとIDカ-ドは無効になり社会生活が不能となる。そして安楽処置を受けることが求められる。


不老不死の処置を受けるかは自己判断による。
自身の考え方で受けずに老いることを受け入れ自然な死を迎える人もいる。

自分ならどうするだろうか?
いろいろ考えながら読み進めて、気づけば最後の頁だった!

さて、急いで下巻を読み始めよう!


                                          ★★★


  f6b77db9.jpeg発行年月:2012年7月

   学校崩壊! 取り残された生徒たちの運命は!?-----
学校が突然崩壊し、多くの生徒や教師が瓦礫の下に閉じ込められた。救助の手はなかなかやってこない。男子生徒、女子生徒、教師、それぞれが生と死のはざまに立たされるが、同時に友情、恋愛、いじめ、家族など、これまで目を逸らしてきた問題と直面し、瓦礫と同等かそれ以上に大きな困難に立ち向かうことに……大森望さん(書評家)も「心にまっすぐ突き刺さる、極限状況の青春小説。ほんとうのヒーローがここにいる!」と絶賛の、心ふるわせる傑作サバイバル小説です。


                                       (実業之日本社HPより)


感動した~!!
突然の学校崩落。
その瓦礫の下に埋もれた人たちの、人間関係が救出を待つ緊迫した状況のなかで少しずつ変化していく。
最悪の状況なのに、そこには温かい人間同士のやり取りがあった。

<新田隆志の場合 2合館亨車1階階段下>
双子の弟とわけあって離れ離れで暮らしていた隆志。
ガレキノシタになる前、1年ぶりに会話を交わしていた。
2人の母親が交通事故で亡くなったことで2人の心には大きなお互いに対する壁が出来ていた。


<坂本若菜の場合 2合館校舎2階 廊下>
家が隣同士で仲良しだった出水加奈と、小学校3年生のとき、あるお互いの親が原因の諍いで離れ離れになっていた。
そして、偶然、高校で再会。
そしてガレキノシタで会話のつづき。


<福原守の場合 1号館校舎1階 男子トイレ>
いじめっこの藤本とトイレで遭遇してしまう。
いつものように罵声を浴びせられお金を取られる。
藤本がトイレから出て行き、ホッとしたと同時にガレキノシタ。
少し離れた場所で藤本のか細い声。最初は悪態をついていたが、状況からして福原の方が生存の可能性が高い。
いつものお返しにイジワルをして「喉がからからだ」という彼に
「こっちには水があるから大丈夫」と言う。


<倉科則子の場合 地下第二体育館 体育用具室>
サッカ-部マネ-ジャ-の則子。
同じサッカ-部の部員・吉川と付き合い始めた。
その友達・北野とも仲良くなり3人で放課後行動していた。
2人の安否が気になる。


<中川洋治の場合 三号館校舎1階 保健室>
受け持ちクラスの生徒・木場を保健室に訪ねる教師の洋治。
教師をやめようかと内心思っていた。
ガレキノシタで木場と会話しながら、自身のこれからを考え直す。


<穴井英介の場合 一号館校舎1階 図書室>
入院している父親は末期がんだと母親から知らされた。
妹の美保は図書館でいろいろ調べ、脳は見てるものに同調する、笑顔は凄いんだと言う。
図書室には日本史の調べ物のために入った。
そしてガレキノシタ。
本棚の棚に落書き?「その日がくるまで、とりあえず笑ってろ」
その言葉に勇気をもらう。


<小野寺文也の場合 三号館校舎 地下防災倉庫>
小学6年の文也。
友達とのゲ-ムで、高校の防災倉庫内にある青いガラス玉を見つけ、ここにある赤いものと交換して来なくて絵はならず、地下の防災倉庫に侵入。
そしてガラス玉を探している最中にガレキノシタ。
上から落ちてきた高校生・北野直人と励ましあって救助を待つ。


<エピロ-グ 北野直人の場合>
連作のかたちで、ずっとガレキノシタで窮屈な時間を過ごした者達の物語が綴られていたけれど、前の人たちと少しずつ関わりがあった北野君。
ガレキノシタでは小学生の文也と一緒に救助を待っていた。
けれど、かなり命の危険が迫っていた状況だった。
その彼が助け出され、ガレキノシタのことを振り返り、そのとき安否が分からなかった友達も救出されたことがここで分かりホッとした。

最悪の状況で、辛い経験をした彼らたちですが、温かい人間関係もそこで生まれて、読んでいてジ~ンとする話ばかりでした。
ウマい状況設定を考えたものだな・・・・。


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