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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年8月


つい重ねてしまった嘘の先に……
『鍵のない夢を見る』から10年、辻村深月が詐欺を描く。
幸せが欲しくて嘘にすがりついてしまう人間の哀しみが、心に迫る3篇。

                (文藝春秋HPより)


3つの詐欺話。

<2020年のロマンス詐欺>
山形から東京の大学に入学が決まり上京し一人暮らしが始まった耀太。
が・・・新型コロナウイルスの流行で緊急事態宣言。
大学の入学式もサークル活動もなく、バイトで生活費を自分で稼ぐ予定が
そのバイト先も決まらず・・・
そんなとき、幼馴染からすすめられたオンラインで出来るバイト。

一人の主婦とのメールで、なんとかお金を振り込ませなければならない
事態になるが・・・

コロナなんてなかったら、こんな詐欺に加担することもなかっただろう。
耀太は、優しくて良い子だと思う。
騙した相手だけど、窮地に居ると知って助けにいく行動力は凄い!
ラストは、ほっこり。


<五年目の受験詐欺>
これは、母親が悪い。
息子の中学受験の際に、お金(100万円)を渡して志望校に合格を橋渡し
して貰った。
が・・・五年後、それが詐欺だったと、当時同じような立場にいた
人から知らされる。
その人の息子は不合格だったのでお金は返金されたそうだけど・・・。
息子は自力で合格していたんだと喜ぶ気持ちもあったけれど
夫にも内緒でやったことを今更どうしよかと悩む母親


あ~、息子の実力を信じてあげられない母親はダメだ~。
仮にお金によって合格したって、後が大変なだけだと思うし。

でも、それを夫と息子に話し、ちゃんと理解して貰えてよかった。
良い家族だな。


<あの人のサロン詐欺>
憧れの漫画原作者・谷嵜レオになりきり、オンラインサロンのオフ会を
開く女性・紡(36歳)の話。
本物は、覆面作家として、SNSなどはしないすべてが謎の人物。

誰にもばれずに本人になりきる紡。
けれど、本人が下着の窃盗容疑で逮捕のニュース。

どうなる???と思ったら、谷嵜本人の元に会いにいく紡。

連載中止になり世間からも見放された感の谷嵜を救うことになって
本当のファンってこういう人だよねと思う。


3つの詐欺話。
それぞれの人の心理描写が巧みで面白かった。



                    ★★★★
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発行年月:2023年6月


この物語は、あなたの宝物になる。
亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。
コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。
哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。

                     (角川書店HPより)



新型コロナウイルス感染症が世界的流行で、学校のなかの生活も
大きく変わってしまった2020年度。

年に一度の部活の集大成となるコンクールや大会も中止になり学生たちは
途方にくれる。
仕方ないと思いながらも虚しさで自分の気持ちをどうしたらいいのかも
わからない焦燥感。

物語の冒頭はそんな学生たちの何とも言えない気持ちが伝わってきて
苦しくなった。


物語は、3つの場所で最初はバラバラに始まる。

・茨城県にある高校の天文学部
・東京渋谷、都会のど真ん中にある小さな中学校の理科部
・長崎県、五島列島の天文台の観測会に集う高校生


彼らが、それぞれの活動のなかで、お互いと交流する機会を得ていく様子が
ワクワクする。

それぞれの学校の顧問の先生たちと天文台の館長さんなど、大人たちの
連携もすてき。


コロナ禍でも、今はこんな風に繋がれる時代でよかった。


本当に素晴らしい青春小説だった。


望遠鏡での天体観測、してみたくなったなぁ~。




                     ★★★★★



発行年月:2021年10月


あいつらが来ると、人が死ぬ。 辻村深月、初の本格ホラーミステリ長編!
「うちのクラスの転校生は何かがおかしい――」
クラスになじめない転校生・要に、親切に接する委員長・澪。
しかし、そんな彼女に要は不審な態度で迫る。
唐突に「今日、家に行っていい?」と尋ねたり、家の周りに出没したり……。
ヤバい行動を繰り返す要に恐怖を覚えた澪は憧れの先輩・神原に助けを求めるが――。
身近にある名前を持たない悪意が増殖し、迫ってくる。一気読みエンタテインメント!
※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。
もくじ
第一章 転校生
第二章 隣人
第三章 同僚
第四章 班長
最終章 家族
エピローグ

                   (角川書店HPより)



期待して読んだけど、ちょっと理解できない部分があったなぁ~。
話は読みやすく、ひき込まれてスイスイ読めるんだけど・・・

ちょっと現実離れした話で、怖いけど、なんでこんなことする必要あるんだろ?
と。
人の闇を引き出して、その人自身を追い詰め死に追いやったり・・・
そこに何らかの意図があるのか?と思って読んだけど、わからなかった。


章ごとに違う人たちの話なんだけど、共通する「神原」という苗字の
人物がいて・・

高校生だったり、主婦だったり、男性会社員だったり、小学生だったり。


最後にそれらは家族とわかるんだけど、みんな少し不気味な行動で
その存在自体が何だか怖かった。


最初に出てきた白石要も不気味な登場の仕方だったけど、彼は、その一族の
やることを監視し、巻き込まれた人たちを救い出す人いだった。


いつもの辻村さんの作品とは違う雰囲気で、まあまあ楽しめたけど
話としては好きじゃないな。



                      ★★★



発行年月:2021年6月


大人になる途中で、私たちが取りこぼし、忘れてしまったものは、どうなるんだろう――。封じられた時間のなかに取り残されたあの子は、どこへ行ってしまったんだろう。
かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地から発見された子どもの白骨死体。弁護士の法子は、遺体が自分の知る少女のものではないかと胸騒ぎをおぼえる。小学生の頃に参加した〈ミライの学校〉の夏合宿。そこには自主性を育てるために親と離れて共同生活を送る子どもたちがいて、学校ではうまくやれない法子も、合宿では「ずっと友達」と言ってくれる少女に出会えたのだった。もし、あの子が死んでいたのだとしたら……。
30年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と罪があふれだす。
圧巻の最終章に涙が込み上げる、辻村深月の新たなる代表作。

                    (文藝春秋HPより)



ミライの学校跡地から、少女の遺体が発見という衝撃から始まり
その少女が居た時代に、少女と同じ時を同じ場所で過ごした子どもたちの
話へと移る。


ミカは、学校内で生活している。
そして、自分よりずっと年上のシゲル君のことを慕っている。

ノリコは、同級生の親子から誘われて夏の間、1週間の体験としてミライの学校に
参加。
学校では、特に親しい友達はいないので、誘ってくれた友達と仲良くなれる
チャンスになればい嬉しいなと思いながら・・・・。


ミライの学校では、大人と子どもは別々に住み、学校内で母親が教師として働いている
子どももいる。


ノリコは、突然、生理になり困っているところをミカに声かけして貰い、
巧くその場をしのぐ。
優しい言葉をかけてくれるミカのことが好きに。
ミカから友達だと言われ嬉しかったけれど、次の夏の体験では、ミカに
姿がなかったのが哀しかった。


大人になって・・・
ノリコは弁護士として働いている。
そこに未来の学校の女児遺体発見に絡んでの仕事をすることになる。


亡くなった女児は誰なのか?
ミカ?
その予想は外れてホッとする。


そして、大人になったミカとノリコは再会する。


亡くなった女児とミカとのやり取り、なぜ、女児は亡くなったのか、直接の原因は
わからないけれど、ミカは自分のせいだとずっと胸を痛めてきた。


大人が居ない場所で起きてしまった悲劇だけれど、それを隠蔽した大人たち。
自分たちの居場所を守るために。
しかし、ミカに心は置き去りにされてしまった。


大人の理想とか思惑に振り回される子どもたち。

ラストは、ミカとノリコがあの夏の思い出を大事に思いながら大人になって
いたんだと思えたこと。
2人が今後も親友として、ずっと交流を続けていけるだろうと思えたのは
救いだった。


読み応えある1冊だった!



                       ★★★★


発行年月:2019年10月


死者との再会を叶える使者「ツナグ」。長年務めを果たした最愛の祖母から歩美は使者としての役目を引き継いだ。7年経ち、社会人になった彼の元を訪れる依頼者たちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていた――。後悔を抱えて生きる人々の心を繋ぐ、使者の物語。シリーズ累計100万部の大ベストセラー、9年ぶりの待望の続刊!

              (新潮社HPより)


もう9年も経つんだぁ~。
前作も良かったけど、こちらも楽しめた。


歩美が祖母のアイ子から引き継いだツナグ。
最初の話<ポロポーズの心得>では杏奈がツナグとして活躍。
8歳とは思えない。
でも、依頼者の前と、そうでない場所でのギャップはやはり子ども
なのが可愛かった^m^

<歴史研究の心得>
元は高校の校長で今は前後区資料館勤務の鮫川。
自身がずっと尊敬し研究している地元の上川岳満に会いたいという依頼。

自身が抱えていた謎を本人に問う。
伝えられていたのとは、ちょっと違う事実は判明するが
また違った魅力も再確認したかんじかな?


<母の心得>
二人の母のそれぞれの依頼。

一人の母は、5年前、一緒にいながら娘を海で溺死させてしまったことを
ずっと悔やんでいる母。
もう一人は、20年以上前に乳がんで亡くなった娘に会いたい母。

自分より先に娘が亡くなるなんて想像しただけで泣ける。
特に水難事故で亡くなってしまった娘に再会した母親。
申し訳ない気持ちでいっぱいだと思うけれど、娘は生前と変わらない
で母親に甘えてくれた。それだけで救われたでしょうね。


<一人娘の心得>
歩美も度々仕事で訪れる鶏野工房の大将が亡くなった報せを
受け、ショックを受ける歩美。
大将と娘の奈緒をもう一度、会わせてあげられたらと思うが・・・・

8歳の杏奈の方が大人だなぁ~
「余計なお世話なんじゃないかなぁ~」の言葉。
確かに杏奈の言う通りの展開になりましたもんね。

でも奈緒は、素敵な女性だなぁ~


<想い人の心得>
依頼人は85歳の蜂谷氏。
若い頃修行していた料亭の娘・絢子に会いたいと40過ぎから
定期的にツナグに依頼し、絢子から断り続けられている。
そんな絢子が蜂谷も85歳になったと聞き、会うことを承諾。

ずっと忘れず想い続けてくれた人がいるって素晴らしい!
蜂谷の「同じ時代に生きられるということは尊いです」の
言葉が印象的。


その言葉を受けて、歩美も自身の気持ちに向き合い一歩踏み出す決心の
ところで終わってしまった。

ああ、続きは気になる!
奈緒との関係が良い方向にいきますように・・・・



                ★★★★


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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