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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年4月

俳句と小説の新しい出会い。17音の奥に潜む繊細で彩り豊かな12の物語。
宮部みゆきが深い洞察力と鑑賞力で12の俳句から紡ぎだした玉手箱。社会派からホラー、SFに至るまで、あらゆるジャンルに足跡を残してきた宮部文学の新たなる挑戦!
※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。
もくじ
1. 枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる
2. 鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす
3. プレゼントコートマフラームートンブーツ
4. 散ることは実るためなり桃の花
5. 異国より訪れし婿墓洗う
6. 月隠るついさっきまで人だった
7. 窓際のゴーヤカーテン実は二つ
8. 山降りる旅駅ごとに花ひらき
9. 薄闇や苔むす墓石に蜥蜴の子
10. 薔薇落つる丑三つの刻誰ぞいぬ
11. 冬晴れの遠出の先の野辺送り
12. 同じ飯同じ菜を食ふ春日和

                (角川書店HPより)


ひとつの話が短くて読みやすく、面白かった。
内容的には、切なかったり、気持ち悪かったり、怖かったりというのが
多かったけれど・・・

印象に残ったのは、二番目の
<鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす>
この俳句を読んだだけで、なんだか恐ろしいかんじ。
内容も予想通りで、鶏頭を刎ね尽くした知美に「よくやった!!」と拍手したい。
こんな人たちと一緒に居たらダメ!絶対!!

しかし、これを読んだ 薄露さん、どういう想いでこれを詠んだんでしょう?
それがとても気になるのだけど・・・。


<薔薇落つる丑三つの刻誰ぞいぬ>
も何やら不気味な俳句。
でも、これは、幽霊に救われる話で、ちょっとファンタジーっぽくて良かった。


最後の<同じ飯同じ菜を食ふ春日和>
これは、家族が数年おきに訪れる夫婦の故郷の話。
娘さんがまだ幼児だったときから成人したころまでを描いていて
ほんわか。
これが最後なのもいい。


後ろに、この本が出来る経緯が書かれていた。
仲間とやっている俳句の会の作品を元に宮部さんが短編を書いたそう。

また新しい作品集、読めたらいいな。



                  ★★★★
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発行年月:2022年7月


生と死の狭間で語られる、一度きりの百物語 ――三島屋シリーズ第八弾
江戸は神田三島町にある袋物屋の三島屋は、風変わりな百物語をしていることで知られている。
語り手一人に聞き手も一人、話はけっして外には漏らさず、「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」これが三島屋の変わり百物語の趣向である。
従姉妹のおちかから聞き手を受け継いだ三島屋の「小旦那」こと富次郎は、おちかの出産を控える中で障りがあってはならないと、しばらく百物語をお休みすることに決める。
休止前の最後の語り手は、商人風の老人と目の見えない彼の妻だった。老人はかつて暮らした村でおきた「ひとでなし」にまつわる顛末を語りだす――。

                     (角川書店HPより)


このシリーズも8作目かぁ~。
ずっと読んでいるけど、やはり面白い。
今回は、ちょっとインパクト強めでしたが・・・。

<第一章 賽子と虻>

語り手・・・餅太郎

嫁いだ先で姉・おりんに虻がついたという。
虻がつくと、食べ物を全く受け付けなくなって体力が落ちてしまう。
餅太郎は姉の苦痛をなんとかしようと姉の代わりに湧いて来た虻を飲み込む。
神様の下僕である賽子に導かれて
神様たちが集まる賭場に連れてこられ、そこで餅太郎も働くことに。
他の下僕たちとの交流も楽しく、案外、神様って、自分勝手だなと思えたり。
そんな場所でも困った者が居ればなんとか助けようとする餅太郎はあるしあるし
優しいな。


餅太郎、この先は幸せになってくれるといいな。


<第二章 土鍋女房>

語り手・・・とび(25歳女性)

1年前に亡くなった兄の話。
家は代々、渡し船の船頭をしていて兄もその船頭で、とびも一緒に船に乗っていた。
その土地では、大切な仕事をする一家は一目置かれる存在で、真面目で優しい兄の
ところに縁談話がたくさん来た。
けれど、兄は全て拒否する。妻や子どもなどがいたら小心者の自分は命が惜しく
なり危険が伴う今の仕事が出来なくなると。
けれど、とびは、夜中、兄が女の人と話をしている?と思う場面を何度かみる。
昼間、その声の主を探すと、土鍋が、兄は自分のものだという。

土鍋の中から・・・ひぇ~!! でもお兄さんはそれで幸せだったのかな?
そう思っていた方が後に遺された者にはいいのかも。



<第三章 よって件のごとし>

語り手・・・浅川宗右衛門(真吾) 妻・花代

二つの村を束ねる当主だった真吾が関わった不思議な話。
夜見ノ池に土左衛門が浮かび、引き揚げようとしたが、それが襲ってくる。
噛まれた者は、みるみる人ではない者に変わり果て、また誰かを襲うという事態に。



これは、怖い。
別に悪いことをしたわけではない者が、こういう理不尽な目に遇って
それが連鎖していくのは、辛い話。
真吾も花代もそんな中で懸命に闘って来たのは、お疲れ様、よく頑張ったと
褒めてあげたい。



今回は、ちょっとホラー色強めだったな~(^^ゞ

最初の聞き手だった、おちかもいよいよ、お母さんになるんだな。
幸せそうでなにより。

三島屋には今の聞き手富次郎の兄が戻ってきたけど、この先の三島屋のことも
気になるところ。
変調百物語は一旦、置いといてもその辺の話だけ続けて欲しいな。




                    ★★★★




発行年月:2022年6月


江戸で噂の、「持つ者は子宝に恵まれる」という宝船の絵。しかし、赤子を失ったある家の宝船の絵から、なぜか弁財天が消えたという。
 時を置かずして、北一もよく知る弁当屋の一家三人が殺される。現場で怪しげな女を目撃した北一は、検視の与力・栗山の命を受け、事件の真相に迫っていく。
 本書は、江戸深川の富勘長屋に住み、小物を入れる文庫を売りつつ岡っ引き修業に励む北一が、風呂屋の釜焚きなのに、なぜかめっぽう強い相棒・喜多次の力を借りながら、不可解な事件を解決していく物語。
 北一の文庫づくりを手伝っているのは、欅屋敷の「若」や用人の青海新兵衛、そして末三じいさん。岡っ引き見習いとしての北一を応援しているのが、亡き千吉親分のおかみさんや大親分の政五郎、政五郎の元配下で昔の事件のことをくまなく記憶している通称「おでこ」たちだ。
 北一応援団とともに謎解き×怪異×人情が愉しめる、著者渾身の大人気シリーズ第二弾!

                  (PHP研究所HPより)



北一と喜多次コンビのきたきた捕物帖・・・第二弾。
走りまわっているのは、北一のみで、肝心のときに喜多次が助けるってかんじかな?

でも、懐かしい政五郎親分とおでこ(三太郎)が登場は嬉しかった♪
おでこが結婚していて、事件解決にも自慢の記憶力を発揮して関わってくる。

今回の事件は2つ。
最初のは、幼い子どもが突然亡くなり、悲しみにくれる2つの家族の話。
共通しているのが、酒屋の年賀として配った宝船の絵が変化したという。


これは、真相を知れば子どもが亡くなった親の気持ちになってみれば、理解できる話で
解決してホッとした。


でも2つ目の事件は、真相がわかってもなんとも言えない、やり切れなさが残る。
仲良しの幸せな家族が毒により命を奪われるという殺しの内容も酷いもの。

下手人はすぐ捕まるけれど、北一は、本当の下手人は別にいるとの考えで
色々な人の助けを借りて探し回る。
すぐに捕まえて、強引に白状させて事件解決とする役人たちのやり方はひど過ぎるし
そんな世の中、恐ろしい。
今でいう冤罪って、こんな時代ならいっぱいあったのかな?( ノД`)


北一は薄毛という話だけど、挿絵の北一は、そうでもないような・・・
可愛い挿絵に癒される。
次回も楽しみです(^^)


                      ★★★★


発行年月:2021年3月


嘘も真実も善きも悪しきも、すべてが詰まった江戸怪談の新骨頂!
江戸は神田の三島屋で行われている変わり百物語。美丈夫の勤番武士は国元の不思議な〈火消し〉の話を、団子屋の屋台を営む娘は母親の念を、そして鯔背な老人は木賃宿に泊まったお化けについて、富次郎に語り捨てる。

                 (角川書店HPより)



今回の語り手は3人。
聞き手は、三島屋の次男・富次郎(22歳)。
従姉のおちかから引き継いでの役目。


<第一話 火焔太鼓>
語り手は、武士の中村新之助(仮)。
10歳のときの体験を語る。
国元の伝わる火消の役目をする太鼓の話。


<第二話 一途の念>
語り手は屋台のだんごやのおみよ(16歳)、
おみよの両親の話。父親は料理やの息子。肺病を患い、店から離れて
一家は暮らすことに。母親の夏栄は、元は店の仲居だった。
病気は快方に向かうと再び料理やに戻るが、後妻をもらうことになり・・・


<魂手形>
語り手は粋な浴衣姿の富吉(70歳)。
15歳のときの不思議な体験話。
あの世にいけない水面をあの世に連れて行く手助けをする七之助との
出会い。



最後の話が、やはり表題作っぽく一番、百物語らしかったかな?
話は、怖いのに、挿絵が可愛らしいから夜寝る前に読んでも平気で
助かった(^^ゞ


おちかのお産が近いというおめでたい報せがあり、嬉しくなったけれど
最後に何やら不穏な空気。
無事にお産が済みますように・・・。


今回も楽しませてもらいました。



                      ★★★★


発行年月:2019年12月

大人気<三島屋変調百物語>シリーズ最新刊
江戸は神田の袋物屋・三島屋で続く、一風変わった百物語。
これまで聞き手を務めてきた三島屋主人・伊兵衛の姪のおちかが、めでたく嫁にいき、次なる聞き手は伊兵衛の次男・富次郎に。
気さくで気がよく旨いもの好き、跡取りではないから「小旦那」と自称する富次郎。
おちかが聞き手だったころ、ふとした縁の導きがあって三島屋に入り、百物語の守り役となったお勝。富次郎が幼いころから三島屋に奉公してきた古参の女中、おしま。
この三人で語り手を迎え、新たな変わり百物語の幕が開く。
再会した友が語り始める一家離散の恐ろしい運命(第一話「泣きぼくろ」)
村の女たちが<絶景の丘>に登ってはならぬ理由(第二話「姑の墓」)
妻子を失った走り飛脚が道中めぐりあう怪異(第三話「同行二人」)
異形の屋敷に迷い込んだ者たちを待つ運命(第四話「黒武御神火御殿」)
「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」
怖ろしさに凍りつく。愛おしさに心ふるえる。極めつきの怪異と不思議ーー
宮部みゆきのライフワーク、新章突入!

                     (毎日新聞出版HPより)




三島屋の百物語聞きの役目をしていた、おちかが嫁に行き、

生家に戻った次男坊の富次郎がその役目を引き継いでのお話。

おちかから、変わってどうなる?と思ったけれど、いいかんじで良かった。
語り手の気を楽にするような雰囲気があるようなかんじ。
自身は話を聞くことに専念し、変に深入りせず淡々と話が進んでいく様子も
好き。

お話は4つ。

表題の<黒部御神火御殿>がやはり一番、印象的かな?
話は長いけれど、ドラマになったときも面白そうだなと思いながら読んだ。


面白いけど、ちょっと怖い。
異形の屋敷に迷い込んだ6人が屋敷のなかにあった6枚の印半天を見つける。
そして6人は巨大な迷路のような屋敷を捜索し、みつけた大広間の火山の絵。
それは最初、絵と思ったら、今にも噴火しそうにグツグツと溶岩を煮えたぎ
らせる音が聞こえ、以前にもここで人が焼かれたのか?と思わせる形跡。

結局、屋敷をなんとか抜け出せたのは、最初に語りに来た甚三郎と
その後日、三島屋を訪れたお秋の二人。




途中、おちかも登場し、幸せな結婚生活を送っている様子にホッとした。

まだまだ続いて欲しいシリーズ。


                    ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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