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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2017年11月


 東北各地の霊場を探訪し、日本人の死生観をさぐる。盛夏から晩秋、そして初冬へ──。作家(柳美里)と学者(佐藤弘夫)は、魂のゆくえを訪ねて、東北を歩いた。それは、大震災を経験した人々が待ち望む春を探す旅でもあった。

                (第三文明社HPより)



死者を巡る旅。
旅行記みたいに気楽に読めるけれど、そこには亡くなった人の何かを
感じる旅なので、厳粛なかんじもする。

宮城県の松島。
岩手県の遠野。

この二か所が印象的で、いつか訪れてみたい地でもある。

写真も豊富なので、パラパラと写真だけ、再度みて楽しんだ。

多くの人が亡くなった地とか、やはり行くと何かしら感じるものが
きっとあるんだろうな~。


                         ★★★
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発行年月:2014年3月


また、あの音が聴こえる――東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上京した男。
生者と死者が共存する土地・上野公園で彷徨う男の生涯を通じ、
柳美里が「日本」の現在と未来を描いた傑作!

                  (河出書房新社HPより



上野公園でホームレスとして生きる男が主人公。
名前は?出てきたかな?

男は、福島県で昭和8年生まれ。
8人の弟、妹の一番上で、貧しい一家の暮らしを支えるため懸命に働き
成人し、結婚し妻と娘・息子との生活を得たが、出稼ぎのため東京に出る。
昭和38年の12月。
東京オリンピックが開催される前の年で、インフラ整備などで働き口には困らなかった。
福島に帰るのは、盆暮れだけで、後は東京で働いた。

やがて、娘は嫁ぎ、息子は、レントゲン技師の国家資格を得たという嬉しいニュースを
聞くが、その直後、息子はアパートの部屋でひとり死んでいたという。

65歳の妻が他界してからは、一人暮らしだったが、孫が世話をしてくれることに
なった。
が・・・・孫を自分のことで縛るのは忍びないと一人東京へ出て
ホームレス生活を始める。



男の人生、なんだか空しいことだらけ。
やがて、3.11でその孫も津波にのまれる。

辛いことがこれでもかと押し寄せるが、男は淡々と生きる。
心の中のことが描かれていないので、余計空しさを感じてしまう。


柳さんのあとがきが、またいろいろと考えさせられる内容でした。

こういう真面目に生きて来たのに、理不尽な運命を生きている人たちに
福祉の力でもっと手を差し伸べられないのかな?


歯がゆさだけが残りますが、こういう事を多くの人が知るべきだと感じた。


                        ★★★★★
 
c9c530ac.jpeg   発行年月:2012年10月


   ネットの掲示板に飛び交う「自殺」「逝きたい」の文字。
   携帯電話を手にその画面を見つめる少女。
   彼女は「品川発・伊東行き」の電車に乗り
   「その場所」へ向かうが……2年半ぶりの最新小説  
  

                     (河出書房新社HPより)  



主人公は、高校生の百音。
学校では友達はいるけれど、そのグル-プのなかで浮かないようにするのに必死。
家では中学受験を控える弟に母親は必死。

友達も家族もいるけれど・・・空虚感をまとっている様子の女の子。

  
そしてネットで募った人たちと自殺を決行するために、集まる。

ネットのやりとりが不気味。
こんな風に実際、やり取りして、複数で自殺しちゃう人たちがいるんだ~。
実際のニュ-スで時々、知る事件の経過をリアルに読んでいるかんじ。

ごく普通に見える高校生が、こんな風にネットで知り合った人たちと命を絶つなんて考えたら
高校生の娘を持つ親の自分としては、恐ろしい。

なんとか、思い留まって!!と祈る気持ちで途中から読んでいた。

で、最後は・・・・その祈りが通じてホッ!

でもなんだか後味悪いな。


★★★
51vmC-CIYML__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年12月


息子とともに、幻の祖国へ
16歳年下の同居人男性と、10歳の息子。奇妙な家族で向かった先は----。ベールに包まれた「北朝鮮」を辿るノンフィクション。

わたしは、ただ見る。肯定的にも否定的にも捉えない。見ることによって現実に近づき、想像することによって現実から離れ、また見て、現実の只中に戻り、見て想像した対象を揺すり起こして文章を書く----。


                                           (講談社HPより)


この表題を見たとき、「あれ?柳さんは韓国籍なのに、北朝鮮へ行って何をしたのかな?」なんて思ってしまった。
韓国と北朝鮮は分断されお互いを敵視しているんじゃないか?と思っていたから。

しかし、冒頭に書かれているが、祖父が日本に渡ったときには朝鮮半島は南北に分断されていなかったし、もしかしたら北に居た可能性もあると。
だから朝鮮民主主義人民共和国は幻の祖国なのだと。

柳さんの祖父が長距離ランナ-としてオリンピックを目指していたという話は、以前、著者の「8月の果て」で読み、祖父が祖国を離れることになった経緯も読んだ。
なので、柳さんが北朝鮮に対して抱く感情は理解出来る。

そして、本書では2008年、2009年、2010年と北朝鮮を訪れたときのことが記録されている。
そこに描かれる北朝鮮の人々は、日本人と何ら変わらないかんじ。
笑顔で話し、冗談も言うし・・・考えてみれば当たり前なのかもしれないけれど、テレビで報道される北朝鮮に対しては暗く陰湿なイメ-ジばかりを植えつけられていたので、ちょっとした違和感さえ感じてしまった。
まあ、作家として広く知られている柳さんだから特別な扱いがあったのかもしれないけど。
しかし、柳さんが目で見て感じたここに描かれた北朝鮮も真実なんだろうな・・・・。

朝鮮半島の暗い過去の歴史を振り返ったり、いろいろと興味深いことも書かれていた。
あまり知らなかったポプラ戦争のリ・オッチさんの体験談には、ビックリ!
この方の半生だけでも物語が出来そう(実際あるのかも?)。

最後の章では、息子さんの丈陽(たけはる)君(10歳)と同居人の村上さん(26歳)が一緒。
柳さんの息子さん、こんなに大きくなったんだぁ~。
丈陽くんのお父さんにあたる方は病気で2000年に亡くなっていて、まだ生まれたばかりの息子さんを苦労して育てたのは別の書で読んでいたので、ここで母子が楽しそうに過ごす場面を見れたのは嬉しかった!
母親としての愛情も感じられるエピソ-ドも楽しい。

柳さんに言わせると、「日本こそ、霧の国」なのだそうです。
その言葉について、日本人として考えさせられることが多い書でもありました。


                                                                 ★★★★


 
8e825ded.jpg発行年月:2010年4月

「子どもなんて、いなければよかった」
g2連載「私の児童虐待」
作家・柳美里が、小説に閉じ込めてきた「過去」と初めて向き合った、家族「再生」への感動ノンフィクション。

「カウンセリングをはじめる前に、2つの約束をしていただきたい。1つは、自分の命は消さないということ。もう1つは、ほかのひとの命を消さないということ。約束できますか?」----<本文より>


                                           (講談社HPより)


柳美里さんの衝撃的な実生活の話。
両親は朝鮮戦争の最中に密航で日本に来た。
学歴コンプレックスのあった両親のすすめもありお嬢様学校に入学するが、中2の頃から家出と自殺未遂を繰り返し、万引きなどもしたり非行行為の数々を理由に15歳で退学処分となる。

最初の方にある、この告白だけでもかなり衝撃的ですが、その後は、10歳になった息子との関わり方にもビックリ。
児童虐待だと周囲からみられ児童相談所からも様子を見に来ることがあったり・・・・。


途中途中で登場する心理カウンセラ-・長谷川博一さんとの会話が実に興味深かった。
長谷川さんの言葉で美里さんが救われていくといいなと思いながら読みました。

長谷川さんは文中にもありましたが、臨床心理士で、大阪で起きた池田小事件の犯人・宅間守に面会したり、秋田の連続児童殺害事件で畠山鈴香被告の心理鑑定を行い、拘置所内でのカウンセリング、文通を重ねた人として知られている。

それらの事件の犯人となった人たちに共通するのは、真の感情を表に出すことが出来ない状況に子ども時代おかれていたということらしい。
そして、美里さん自身も同様だと。

そして、親になったとき、母性(父性)が育たないで大人になってしまったことで、子どもに対してどう接したら良いのかわからず、時には激しく叱ったり、子どもを居ないに等しい行為をしたりするのだとか。

読みながら、心が重くなんとも辛くなりました。
でも、読み進めずにはいられない、不思議な書でした。

6回のカウンセリングを受けて、美里さんはその後、少し楽に生きられるようになったんでしょうか?
すごく気になります。
息子さんとの関係もその後、どうなったのか?

今後の美里さんが書く物語で、それを探ってしまいそう。

この書は、良いとか良くないとか、面白いとか面白くないとか
評価することは出来ないけれど、わたしにとって、読みながらいろんな事を気づかせて貰えた書ということで、★をつけます。


★★★★★

 
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