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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年8月


あ、また時間に捕まえられる、と思った。
捕まえられるままに、しておいた。
小説家のわたし、離婚と手術を経たアン、そして作詞家のカズ。
カリフォルニアのアパートメンツで子ども時代を過ごした友人たちは、
半世紀ほどの後、東京で再会した。
積み重なった時間、経験、恋の思い出。
それぞれの人生が、あらたに交わり、移ろっていく。
じわり、たゆたうように心に届く大人の愛の物語。


                    (講談社HPより)




主人公の八色朝見は、著者自身かなぁ~?


幼い時に父親の仕事の関係でアメリカ(カリフォルニア)に住んでいて
同じアパートに住んでいたアンやカズとは日本に帰国後も度々、交流があり
60歳半ばにしてそれが続いている。
それぞれ、結婚し、離婚し、今はパートナーが居ない状況で
連絡し合って会ったり・・・。
気兼ねが要らないこんな関係は、最高だろうな。


ちょうど、世の中にコロナが蔓延し始めたころのことは
東京でコロナに罹った朝見の弟の話で、リアルな様子がわかった。
結婚して妻子が居ると、感染させないように一人宿泊療養でホテル滞在と。
段々、呼吸が苦しくなってきて入院したとか。
心細かっただろうなぁ~。
まだ世の中がコロナってどういう病気がよくわかっていなかった頃だから・・・。


アンは恋人が出来たけれど、朝見とカズは、独身のまま。
どちらかに恋人が出来たら、この関係も薄れちゃいそうだから
このままの関係が続くのがいいかな~?

60歳過ぎると、親の介護問題、自分の老いに対する不安、色々と
考えちゃうよね~と共感しながら読了。



                     ★★★
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発行年月:2020年11月

96の季語から広がる、懐かしくて不思議で、ときに切ない俳句的日常。
俳人でもある著者による初めての「季語」にまつわるエッセー集。散歩道で出会った椿事、庭木に集う鳥や虫の生態、旬の食材でやる晩酌の楽しみ、ほろ苦い人づきあいの思い出、ちょっとホラーな幻想的体験など、色彩豊かな川上弘美ワールドを満喫しながら、季語の奥深さを体感できる96篇。名句の紹介も。
「蛙の目借時」「小鳥網」「牛祭」「木の葉髪」「東コート」。それまで見たことも聞いたこともなかった奇妙な言葉が歳時記には載っていて、まるで宝箱を掘り出したトレジャーハンターの気分になったものでした。(中略)それまで、ガラスケースの中のアンティークのように眺めてきたいくつもの季語を、自分の俳句にはじめて使ってみた時の気持ちは、今でもよく覚えています。百年も二百年も前につくられた繊細な細工の首飾りを、そっと自分の首にかけてみたような、どきどきする心地でした(本文より)。
目次
●春  日永/海苔/北窓開く/絵踏/田螺/雪間/春の風邪/ものの芽/わかめ/針供養/すかんぽ/目刺/朝寝/木蓮/飯蛸/馬刀/躑躅/落とし角/春菊/入学/花/春愁
●夏  薄暑/鯉幟/そらまめ/豆飯/競馬/アカシアの花/新茶/てんとう虫/更衣/鯖/黴/こうもり/ががんぼ/蚯蚓/業平忌/木耳/李/半夏生/団扇/雷鳥/夏館/漆掻/雷/青鬼灯 
●秋  天の川/西瓜/枝豆/水引の花/生姜/残暑/つくつくぼうし/燈籠/墓参/瓢/月/良夜/朝顔の種/新米/案山子/鈴虫/夜長妻/濁酒/柿/秋の空/蟷螂/小鳥/きのこ狩/文化の日/花野
●冬  時雨/神の留守/落葉/大根/切干/たくわん/銀杏落葉/冬鷗/河豚/枯枝/ストーブ/炬燵/冬羽織/おでん/鳰/蠟梅/つらら/探梅/春隣
●新年 飾/去年今年/歌留多/福寿草/初鴉/七草

                 (NHK出版HPより)



季節にまつわるお話を、季語を交えて語るエッセイ。
楽しく読んだ!勉強させていただきました。

枝豆の章で「朝顔」「枝豆」 「西瓜」が秋の季語と知り、びっくり!
全部、夏の季語だと思っていたので・・・(^^ゞ

川上さんも言っているように、考えたら、残暑というのは8月7日を過ぎるとだから
暦でいったら、秋なんだよね。
なるほど~と一番、思った箇所でした。



                    ★★★★★
 

発行年月:2020年9月

すべての女を虜にする魅力的な男、ナーちゃんと結婚したわたし。
女性の影が消えない夫との暮らしの一方、
わたしは夢のなかで別の女として生きることになる。
あるときは江戸吉原の遊女、さらには遙か昔、平安の代の女房として、
さまざまな愛を知り……。夢とうつつ、むかしと今のあわいをたゆたい、
恋愛の深淵をのぞく傑作長編。

                (中央公論新社HPより)


主人公の梨子は、幼い頃からナーちゃん(原田生矢)のことがすきで
高校3年の時に、男女の関係になり、24歳で婚約。
ナーちゃんの妻となる。

ナーちゃんは、誰からも好かれ、また誰にでも優しく、結婚後も
梨子の元に必ず帰るけれど、常に付き合っている女性がいるという
生活。

驚いたのは、幼い頃から習っていたお琴の先生とナーちゃんが
通じていたという事実。


それでも梨子は、ナーちゃんを愛することが自分にとっての一番の幸せだと
信じているという。

ある意味、幸せな人。


そんなある日、小学校の時、親しくなった用務員の高丘と再会し、
ナーちゃんとの生活のことを話し、魔法を教えてもらう。
それは夢の中の自分を一緒に生きるというもの。

江戸時代の花魁になったり、平安時代の伊勢物語の登場人物、業平の姫さまに
使える女官になったり・・・。


それらの話が、現実の話と交錯しながら、進んでいく。

梨子の愛するのは、ナーちゃんだけど、精神的よりどころは、高丘かな?

なかなか、おもしろい話だった。



                     ★★★


発行年月:2019年9月


死ぬことは、今も怖い。
恋してからは、ますます怖くなっている。

名前も記憶もお金も持たない某(ぼう)は、
丹羽ハルカ(16歳)に擬態することに決めた。


変遷し続ける〈誰でもない者〉はついに仲間に出会う――。
愛と未来をめぐる、破格の最新長編。


ある日突然この世に現れた某(ぼう)。
人間そっくりの形をしており、男女どちらにでも擬態できる。
お金もなく身分証明もないため、生きていくすべがなく途方にくれるが、病院に入院し治療の一環として人間になりすまし生活することを決める。
絵を描くのが好きな高校一年生の女の子、性欲旺盛な男子高校生、生真面目な教職員と次々と姿を変えていき、「人間」として生きることに少し自信がついた某は、病院を脱走、自立して生きることにする。
大切な人を喪い、愛を知り、そして出会った仲間たち――。
ヘンテコな生き物「某」を通して見えてくるのは、滑稽な人間たちの哀しみと愛おしさ。
人生に幸せを運ぶ破格の長編小説。

                    (幻冬舎HPより)



不思議な話。
何者でもない者の「某」は、いろいろな人間に変化しながら生きる。

最初は、高校2年生の丹羽ハルカ。
その次は、同じ高校に転校生として通う野田春眠。

そのあとは、高校で事務員として働く中山文夫。
そしてキャバクラで働くマリ、その後は、ラモーナ、片山冬樹、ひかり、というかんじ。


それぞれの人で生きるなかで、それぞれの人間関係が生まれる。
その人でいることで、何か辛いことに出会うと、別の人になっていく「某」。


最後になった「ひかり」は同い年で一緒に赤ちゃんの時からそだった、みのりの
ために最後までひかりであり続けようとする。
今までの「某」なら、別の人に変化するところなのに・・・・
「某」にとって変化して、みのりとの関係を断ち切ることが自分がこのまま消滅して
しまうことより怖かったのかな?


変わった話だなぁ~と思いながら読んでいたけれど、最後に、なんだか感動した。



                         ★★★★



発行年月:2017年10月


 川上弘美さんの最新刊は、長らく待ち望まれていた恋愛と結婚を描いた長編小説。500ページ超えも一気読み必至の傑作です。

主人公は1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。このパラレルワールドに生きるふたりの女性は、いたかもしれないもうひとりの「自分」。それは読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれませんし、留津とルツの恋人や夫も読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれません。

主人公の2人のように「いつかは通る道」を見失った世代の女性たちのゆくてには無数の岐路があり、選択がなされます。選ぶ。判断する。突き進む。後悔する。また選ぶ。進学、就職、仕事か結婚か、子供を生むか……そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか。少女から50歳を迎えるまでの恋愛と結婚が、留津とルツの人生にもたらしたものとは、はたして――

道は何本にも分かれて、つながっていて、いつの間にか迷って、帰れなくなって……だからこそ「人生という森は深く、愉悦に満ちている」。

装画と挿画はファッションブランド「ミナ ペルホネン」の皆川明さんが手がけています。
たくらみに満ちた造本にもご注目ください。

                       (日本経済新聞出版HPより)



留津とルツ。
0歳から60歳までの出来事を綴る。

家族構成はおなじ。
両親と弟。


留津は危機的状況を経て生まれ、ルツは安産で生まれた。

その後の小学校時代、中学時代、高校時代、大学時代。
友だち、ボーイフレンド、進路など、それぞれに問題が出て
それなりに解決しての繰り返し。

どんな道を選ぼうとそこには、困難もあるし、幸せもある。

成人してからは、それぞれが出会っていた人たちが交錯する。

共通して登場したルツの中学時代のちょっと気になっていた林くんが、なんだか
良い感じだったなぁ~。
ゲイなんだけど、人間として正しいことを言っていた。

それに対して、留津の夫・神原俊郎はよくわからん人だったな~。
ずっと独身だったルツの夫としても登場するんだけど。


最後は、留津とルツ以外の流津、琉都、瑠通、るつ
と登場して、それぞれ60歳にして誰と歩んでいるのか語る。



まあ、いろいろな人生の岐路があるけど、
自分が選んできた道が一番で今ここにいる自分は幸せなんだと
思える生き方したいなと思った。

なかなか面白かった!



                         ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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