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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年1月

村山由佳 デビュー30年記念作品

原点回帰にして到達点。
猫、犬、馬、人形など、異質な存在との交歓によって導かれるカタルシス、
圧倒的な熱量をはらんだ作品集です。


                  (文藝春秋HPより)


<晴れた空の下>
記憶が長続きしなくなり、人の顔なども忘れてしまい初対面の人に会う感覚。

イギリスで知り合った4つ年下の美大生と結婚した。
自分の分身のように大事にしていたカエルのぬいぐるみエルと
彼も自分と同様に最初から接してくれた。


大好きだった彼の顔は忘れてもエルとの彼を含めた思い出は
鮮明に覚えている。素敵な思い出があれば幸せに生きられると思う。


<同じ夢>
ベーシストの年下の彼が音楽仲間の死後、引き取った犬・ジョン。
彼の元に週1~2回行っているが、ジョンに会うのを目的とするようになり
ジョンと過ごす時間に喜びを感じる。
心がお互いに通じあっていると実感できる存在が出来た喜び。

動物の方が素直だし、愛情表現もストレートだもんね。


<世界を取り戻す>
動物病院に置き去りにされた死期が迫っている猫を自宅に連れ帰る。
小学生の頃、飼っていた猫の最期に間に合わなかった後悔が
ずっとあって。
1週間後、猫は亡くなる。
猫は一生に一度、人間の言葉を話すと動物学者の父が言っていた。
その猫は最期の時「じゃあ、いってくらぁ」と。

なんだか、いいな。
そんな風な別れなら哀しみも半減するでしょう。


<グレイ・レディ>
アメリカの東海岸から更に南の沖合に浮かぶナンタケットは人口1万チョットの
小さな島。そこで作られるナンタケットバスケットは
かご界のエルメスと言われるほど希少。
そのかごが、盗まれ、かごの価値を知らないものが安く値を付け売っていた。
その価値を知る者が手に入れずっと大切に手元に置くはなし。

知らなかったなぁ~、ナンタケットバスケット。
覚えておこう!


<乗る女>
幼い頃、乗馬を習っていた。
北海道にある会社に就職し、先輩に連れられ行った牧場で
人を信じだれなくなっていた馬・レラに出会う。
調教師の黒澤から、もう一度人を信じることを思い出させてくれないかと
頼まれレラとの付き合いが始まり、お互いに信頼関係が芽生えた。
が、乗馬中、レラは脳溢血により亡くなり、レラの下敷きになった
自分も骨盤の骨が砕ける大怪我を追い、東京に戻る。
父は黒澤と会うことも禁じ、やがて結婚。
二十数年ぶりに再び北海道を訪ね、黒澤とも再会。

この後、どうなるのかなぁ~?


<訪れ>
自分史を作る手伝いをしている。
今回の依頼者は90代半ばの男性を父に持つ娘から父の自分史を書いてほしいと
いう依頼。
戦争が始まり、ソ連と満州の境にある地で過ごす。
ケガをして横たわり苦痛と闘う日々のなか、看護してくれたマリアのことが
印象的な思い出。

最期の時に思い出のマリアが訪ねて来てくれたのなら、よかった。
娘としても、それは嬉しいことだと思う。



色々な愛のお話、どれも素敵だったなぁ~



                    ★★★★

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発行年月:2003年2月

禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末娘、居場所を探す団塊の兄、
そして父は戦争の傷を抱いて……心震える家族の物語

                   (文藝春秋HPより)



複雑な事情を抱えた家族の物語。


工務店経営の水島重之は、妻が病死し、家事手伝いをしていた女性・志津子と
再婚した。

重之と先妻との子ども・・・貢(当時大学生)と暁(当時2歳)
志津子の連れ子・・・沙恵(暁と同年くらい?)
重之と志津子の子・・・美希


5人家族はふつうの家族として暮らしていたけれど、暁と沙恵は互いに好意を持ち
男女の関係になってから、沙恵は重之と志津子の子どもだとわかり
家族がバラバラに。

暁は家を出て、実家には15年間帰らず、志津子が亡くなり、葬儀に出席するため
に実家へ。
結婚し、子どもも生まれているが、なんとなく家庭は破綻しているかんじ。


沙恵も家を出たが、こちらはずっと独身で、幼馴染が好意を寄せてくれて
プロポーズもされるが断る。

長男の貢は市役所勤務で平凡なりに幸せかと思いきや同じ職場の若い女性と
浮気していて、他人からは十分、幸せじゃない?と思えるのに心が満たされて
いないかんじ。

末っ子の美希も妻子ある男性と不倫していて、その関係も終わりにしようと
思案中。

そしてもっと重たいのが、貢の娘・聡美(高校3年生)が受けている虐め。
こんな執着されたら、どうしたらいいんだろ?
ただただ辛い。

それからこの家族の発端、重之自身の過去が壮絶。
戦争体験の話は、本当に胸が痛む。
こんな体験したら人格も壊されそうで同情する気持ちもある。
けれど、志津子を妻にする前に、何かしていたら、この家族のこの不の連鎖
みたいなものは起こらなかったかもしれないのに・・・・


辛く重たい物語だったけれど、惹き込まれて読んだ。



                   ★★★★



発行年月:2020年12月


つらいことから
どうして逃げちゃいけないの?
【著者からのコメント】
「自分探し」の記憶はあまりありませんが、
「居場所探し」はつい最近まで
くり返してきた気がします。
 心安らげる居場所がないのは不安なことです。
つい、間違ったものに
しがみつきたくなってしまう。
 ここにいていいのだと信じられる場所、
ほんとうの自分を受け容れてもらえる場所さえ
見つかったなら、誰もがもっと生きやすくなるし、
自信を持てるし、
ひとに優しくなれるんじゃないか。
そうした場所を見つけようとして
今までいた場所に別れを告げるのは、
決して〈逃げ〉ではないんじゃないか──。
 今作『雪のなまえ』は、
そんな思いをこめてつづりました。
 時にすれ違っても、みんながお互いのことを
思い合う物語です。
 若い人にも、かつて若かった人にも、ぜひ。
「夢の田舎暮らし」を求めて父が突然会社を辞めた。
いじめにあい登校できなくなった
小学五年生の雪乃は、
父とともに曾祖父母が住む長野で暮らしを始める。
仕事を諦めたくない母は東京に残ることになった。
胸いっぱいに苦しさを抱えていても、
雪乃は思いを吐き出すことができない。
そんな雪乃の凍った心を溶かしてくれたのは、
長野の大自然、地元の人々、
同級生大輝との出会いだった――。
ほんとうの自分を受け容れてくれる場所。
そこを見つけるため、
今いる場所に別れを告げるのは、
決して逃げではない。

                  (徳間書店HPより)



雪乃は、いじめによって不登校に。
胸が痛む。何ら落ち度のない子どもがいじめの標的にされてしまうなんて。


でも、両親、田舎の父親の祖父母や村の人たちが皆、優しい人たちで
雪乃は救われる。
学校に行きたくても行けない子を無理に行かせず、勉強は家で。
そして段々と村の同年の子どもたちと関わり、自然と学校に行けるまでを
描いている。


ああ、よかったと思った。


でも、実際、こういうふうにうまく逃げられない子もいるんだろうなと
ふと考えてしまった。
子どもは親に心配をかけたくなくて、最初は、虐められていることを
話さない。
子どものSOSを見逃さないようにしていないとね。



                      ★★★


発行年月:2020年9月


明治・大正を駆け抜けた、アナキストで婦人解放運動家の伊藤野枝。生涯で三人の男と〈結婚〉、七人の子を産み、関東大震災後に憲兵隊の甘粕正彦らの手により虐殺される――。その短くも熱情にあふれた人生が、野枝自身、そして二番目の夫でダダイストの辻潤、三番目の夫でかけがえのない同志・大杉栄、野枝を『青鞜』に招き入れた平塚らいてう、四角関係の果てに大杉を刺した神近市子らの眼差しを通して、鮮やかによみがえる。著者渾身の大作。
[主な登場人物]
伊藤野枝…婦人解放運動家。二十八年の生涯で三度〈結婚〉、七人の子を産む。
辻 潤…翻訳家。教師として野枝と出会い、恋愛関係に。
大杉 栄…アナキスト。妻と恋人がいながら野枝に強く惹かれていく。
平塚らいてう…野枝の手紙に心を動かされ『青鞜』に引き入れる。
神近市子…新聞記者。四角関係の果てに日蔭茶屋で大杉を刺す。
後藤新平…政治家。内務大臣、東京市長などを歴任。
甘粕正彦…憲兵大尉。関東大震災後、大杉・野枝らを捕縛。


                 (集英社HPより)


まさにタイトル通り、壮絶過ぎる生き様。
そんな生活のなかでも子どもを次々、産んで育てたというから凄い。

最初の夫は、実家の話で、縁談話が進み、末松福太郎と結婚。
しかし10日後に出奔。


二番目の結婚は女学校時代に教師として巡り合った辻。
実家での縁談話により結婚することになったということもノエから聞いていた。
末松家を飛び出した後、暫くは辻の母親・妹との同居生活。その後、入籍。
男の子2人を生んで、執筆活動にも力を注ぐ。

辻の元を訪れていた親友が連れてきた大杉と三番目の結婚。
自由結婚を唱える大杉には、入籍はしていないが妻・保子がいた。
愛人の一人としてノエは大杉と付き合う。
ほかの愛人の一人に神近市子がいて、お互いの存在も承知のうえ
なんだか複雑な男女関係。

結局、大杉は市子に刺されることになるのだけど、まあ仕方ないよねと言う感じ。
世間も市子の方に同情し、大杉とノエには逆風がふくことに。
でも、この事件のあと、二人は余計、絆を強めたかんじ。

大杉との間に4人の女の子と1人の男の子をもつ。
長女の名前が「魔子」というのは驚く。
世間から悪魔扱いされた自分たちを面白がっている風でなんだか大杉という
人間は好きじゃない。

どんな考えを持とうと自由だと思うけれど、敵を沢山、作ってしまう人。
最後まで味方でいてくれた村木源次郎は、大杉のそばにいなけれな
違う生き方があったと思うのだけど、なんだか不憫。
本人はそんな風に思っていないだろうから余計なお世話かもだけど。


冒頭のノエたちが捕まるシーンがラストに続く。
こうなることはわかっていたけど、酷い最期。

遺された子どもたちは、その後、どんな風に成長して、大きくなって両親のことを
知ったとき、どんな風に感じたんだろう。



長い話だったけれど、一気読みでした。
あ~疲れた(ノД`)・゜・。

でも面白かった。

日本も少し前は凄い時代だったんだな。
今はほかの国が似たような感じだけど



                     ★★★★





発行年月:2018年11月

海の近くの日本家屋に愛猫と暮らす、小説家のハナ。
二度の離婚を経て、人生の後半をひとりで生きようとしていた。
喪失も、手放すことも知ったから辿り着いた、古くて新しい恋人――。


人生における実りの秋、”最後の恋”を描く恋愛文学の至芸。
作家デビュー25周年記念作品。

                 (ポプラ社HPより)




これは著者の実生活に近いのかなぁ~?

主人公のハナは、作家だし、猫のユズって確か村山さんの愛猫の名前だった気が・・・

かつて、隣同士だった結構年下の男の子が
ずっと自分に憧れていてくれて、今はお互い離婚歴ありだけれど
恋人の関係。


女性にとって、年下の男性から憧れられて今も尚、変わらず自分を大事に
想ってくれているなんて、最高に幸せな状況じゃないのぉ~!?

彼は大阪。
ハナは、南房総の一軒家で猫と暮らしている。

そこにたまに泊まりに来てくれる彼。


離れていると会いたいときにすぐ会えないけれど、この感じだから
長く同じ気持ちを保てるのかもしれない。
ハナが作家という仕事なら、一緒に暮らしたら、なかなか執筆に向かう
集中力を維持するのは難しいでしょうし。。。


これを、初恋と呼ぶ意味、なんとなくわかった。



                        ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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