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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年10月


小説と現実の境目が溶けはじめる、サスペンスフルな傑作
嘘だけど嘘じゃない、作家デビューの舞台裏!
「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞した高瀬隼子さんが挑む新たなテーマはなんと「作家デビュー」。
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。

                   (文藝春秋HPより)




芥川賞を受賞した高瀬さん自身の話なのかな?と思う。


バイトをしながら小説を書いている長井朝陽。
バイトは、駅そばの商業ビルの4階にあるゲームセンター(PAL)。
常に音が鳴っている職場。

今、書いている小説の主人公は、実に嫌なかんじの人。
その友達たちもなんだか最低なかんじで腹が立つ。

書いている小説と朝陽のバイト生活が交錯していて、途中
「あれ?これは小説のはなし?朝陽の現実のはなし?」と分からなく
なってくる。
まあ、これは著者が意図してやっていることみたいだけど・・・


しかし芥川賞みたいな賞を受賞すると作家さんは色々な苦労が出てくるんだなと
思った。
賞なんてとらず、誰も本人と気づかないペンネームで書いているくらいが
案外、居心地いいのかも。

誰でも知ってる賞をとれば、メディアにも取り上げられて、雑誌の
インタビューで過去のことなどを話したら
地元の人たちにも知られ、「あれは〇〇さんのことかも・・・・」なんて
妙な憶測が飛び交い、著者の思わぬところで傷つく人もいるとか。


実家の母親からもそんなことを聞かされ、恩師だと思っていた先生が訪ねてきて
苦情を言われちゃったり・・・・。


でも、そんなことを気にしているようじゃあ小説なんて書けないってことかな?


面白かったけど、ちょっと疲れた(精神的に)・・・(;^ω^)



                       ★★★★
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発行年月:2007年8月


これが日本の恋愛小説の底力。
田辺聖子「最高傑作」3部作 復刊第3弾!
人は自分が愛したもののことは忘れても、自分を愛した人のことは忘れない。
結婚生活から「出所」して、ふたたび1人に。乃里子、ピッカピカの35歳。

                 (講談社HPより)



3部作というのは知らずに読んだけれど、面白かった。
主人公の乃里子(35歳)は離婚して一人暮らしを楽しんでいる。

女友達も、男友達もいて、元夫の中谷 剛も友達としてならいいかんじ。
なんやかんや言いながらも乃里子のことを心配してくれている。

イラストレーターの仕事も順調だし、乃里子には、この生活が合っている
様子。

でも、最後、親友の交通事故死は、辛かった。
突然、親友をなくすのは、ショックだよね~(/_;)。
そんなとき、元夫の剛がそばにいてくれたのは、感謝だな。


前作2つも機会があれば読んでみようかな~?



                     ★★★



発行年月:2018年11月


大ヒットシリーズ「響け! ユーフォニアム」の著者初の青春ミステリ
誰もが"あの時“経験したはずの(そして忘れてしまった)
とても静かで生々しい青春のざらつき。
どうでもいいことが、死ぬほど大切だった–—本当に?
最後一ページ。歪められた青春の真実が明らかになるスクールミステリ。

                 (幻冬舎HPより)





大ヒットシリーズは読んでいないけれど、知っている。

これも学園もので、登場するのは高校生たち。

一人の女子生徒・川崎朱音が、校舎の屋上から校舎裏に飛んだ。
屋上でそれを目撃した親友・高野純佳、校舎北側で目撃した近藤理央と
学年1位の成績を保っている夏川莉苑。
そのほか、数人の朱音の飛んだ日以降、行われたアンケートの回答用紙を元に
朱音とのことなどをそれぞれが語る形式で物語が進む。


なぜ、自らの命を絶ったのか?
その疑問が終盤、親友だった高野純佳の話、飛んだ朱音の話から
わかってくる。

それから最後に、ぞぞっとなんとも言えない恐怖を感じる。



この頃の学校での人間関係は、毎日が楽しいか、苦痛かを決めてしまうもの
だと言ってもいいかも。
今、振り返ると、無理するくらいなら友達なんて作らなくてもいいんじゃない?
って思えるんだけど・・・。

朱音は、純佳と幼稚園時代からずっと一緒だった。
親が知り合い同志で、最初は本当に一緒にいるのが楽しいからという
理由だけで付き合っていたが、どちらかが、そのことにしんどさを感じて
しまう。
この場合は、朱音が純佳に依存し過ぎている。
純佳の立場になれば、他の友達とも遊びたいと思うのは、仕方ないし
悪くない。
それで、こんな行動に出た朱音は、ひどいとも思う。

けれど朱音の立場になれば、ずっと親友だと思って来た純佳が自分から
離れていく寂しさ、不安を考えると気の毒とも思う。

う~ん。難しい。



でも、優等生の夏川莉苑の周りを冷静にみて、行動している様子は最初から
ちょっと不気味だった。
朱音が飛ぶことも何となくわかって、それを見届けようと校舎裏に行き
死の直前の朱音を傷つけたのには、恐怖。
恐ろしい子。
将来、どんな大人になるのやら・・・・(ノД`)・゜・。


良い話じゃないし、読後感も最悪だけれど、物語としてはおもしろかった。



                       ★★★



発行年月:2021年7月


第165回芥川賞候補作
ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。

                     (集英社HPより)




描写がリアルで、風呂に入らないと言って、段々と臭くなっていく夫の描写で
本当に異臭がしてきそうだった(^^ゞ


衣津実は、夫の研志に対して、深く、気持ちを聞こうとしないけれど
なんでかな?
何があったのか、聞けばいいのに。
妻には、言えないと言うのなら、メンタルクリニックに連れていくことを考えて
みたらよかったのに・・・・

義母が会社から「様子がおかしい」と連絡を貰ったと心配で衣津実に電話して
きたのは、当然で「病院に連れていく」と言いながら、母親もそれは実行せず。


物語の終わり方は、なんとも・・・。

夫の生死はわからないけれど、衣津実がなんだか淡々としているようで
ちょっと妻も病んでいるのか??


ざわざわした気持ちが残る話だった。




                       ★★★



発行年月:2022年3月


第167回芥川賞受賞!
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描く傑作。


                    (講談社HPより)



想像していた物語と全く違ったけれど、面白かった!!

芥川賞って、わかりにくのが多いけれど、これはわかりやすい。

職場の人間関係がリアル。
食べものがたくさん出てくるけれど、それを食べている人たちが
心から「美味しい」と思っていないような場面が多くて
表題の意味は深いなと感じる。


二谷は、疲れて帰ってストックしてあるカップ麺を食べる。
昼もカップ麺で済ますことが多く、食べることに関して無頓着なかんじ。

そんな二谷は芦川さんと付き合うようになる。
芦川さんは、料理がすきで付き合い始めてからは、二谷の家で夕食を作り
二人で食べる。
職場では、皆に手作りスィーツを持ってきて、配る。

そんな芦川を嫌いだと思っている押尾さん。
体が弱く、仕事量も少なく、でも皆がそんな芦川を庇っていることにも
なんとなく不公平さを感じている。
頭痛が酷く早退する芦川をみて
自分も頭痛持ちなのに・・・薬を飲んでなんとかやり過ごしているのに・・と。



押尾さんとも食事をする二谷。
押尾さんとは、外食。焼き鳥だったりお好み焼きだったりおでんだったり・・・。
黙々と食べて会話。
案外この方が幸せなんじゃないの?とも思うけど・・・。


最後は、押尾さんが少し気の毒だったな。

そして二谷は、全く理解できない男だな。


押尾さんは、違う場所で幸せになって欲しい!
こういう人、嫌いじゃないし。

でも二谷はダメだな。
芦川さんと本当に結婚するのかな?
どんな生活が待っているか、ちょっと気にはなるけど・・・。


この著者の作品、ほかのもちょっと読んでみたくなった。



                      ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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