発行年月:2026年3月
父と聞いて育った新(あらた)。
耳にした音楽に救われ、恋に出会って新の母となった、くすか。
親子小説であり、胸を打つ恋愛小説。
(水鈴社HPより)
豆田あらたには、産まれた時から父親がいない。
母親(くすか)からは、事故で亡くなったと聞いている。
カリスマ的なミュージシャンの写真が飾られていて、それが父親だと
思っていた。
あらたは、通っていたピアノ教室で中本匠人と
絵画教室で辻堂陽菜と出会う。
11歳の誕生日会を母が開き、そこに二人を呼んで3人は時々、会う。
3人でバンドをやろうと匠人が言い出し、練習も始める。
小学生から高校生になるまで3人の交流が音楽を通じて繋がっている様子が
いい。
そして、あらたの母親・くすかの物語もよかった。
両親が共働きで一人で夕飯を食べたり、友達を作らず、一人行動が
多かった、くすか。
ある日、偶然に出会った音楽に夢中になる。
その音楽を聴くだけでつまらなかった日常がキラキラと輝く。
そして、同じミュージシャンが好きな豆田時生と大学に進学してから
知り合う。
そのミュージシャンは、RCサクセション(かな?)
独特な世界観で、確かに歌詞を見ると共感できるような言葉もおおい。
時生がなぜ、死んだのか?
その真相もわかって、なんとも辛い。
くすかの友人・庭田さんも凄くいいひと。
庭田さんの助けも時生の無実の証明には欠かせなかった。
あらたが、真実を知ったのはよかったと思う。
時生の母・理津子もいい人。
事故後に音信が途絶えていたみたいだけれど、これからは、くすかも交えて
交流があるかな?
音楽が繋ぐ最後の場面もよかった!
★★★★
発行年月:2025年9月
夫にも誰にも内緒でひとりスリランカへ向かった私が、
善き願いも悪しき願いも叶えてくれる神さまに祈るのは、
ぜったい誰にも言えないあのこと──。
神楽坂、ミャンマー、雑司ヶ谷、レパルスベイ、ガンジス川。
どこへ行けば、願いは叶うのだろう。
誰もが何かにすがりたい今の時代に、
私のための神さまを求める8人を描く短篇集。
(新潮社HPより)
最初と最後の話は家族に関する結構、切実な願いで印象的。
<神さまに会いにいく>
偶然、本屋で見つけた「世界の神さま一覧」
そのなかにスリランカに善き願いばかりでなく悪しき願いも叶えて
くれる神さまがいることを知り、夫が2泊3日でゴルフ旅行にいくという
五月の連休に、自分はスリランカに行こうと決意する。
夫には内緒。
神さまにお願いしたいのは、父親をどうか殺してくれ
うわ~こんな父親、最低だな。
そう願いたい気持ちはわかる。
でも結局、そんな恐ろしいことを願う自分を認めたくなくて
現地にいったけれど願えなかった主人公。
そんな優しさを神さまが理解して叶えてくれるといいのにな・・・・
<絶望退治>
小学校高学年くらいから問題行動を繰り返す息子。
夫婦で息子への関わり方をあれこれ悩んできたが
息子が高校生になったころ、夫は離婚したいと。
住んでいる家、息子が成人するまでの養育費、慰謝料を貰う条件で
離婚に応じ、自身は仕事を始める。
高校は行ったり行かなかったりで何とか卒業は出来たがその後は
仕事をしてもすぐ辞め、相変わらず問題行動を繰り返す。
家のなかは滅茶苦茶。
息子が外出しているときだけホッとする。
縁切りに絶大の効果ありという京都にある縁切りの神さまの元へ。
この母親も結局、うまく願いを言えなかった。
でも、そんな気持ちを神さまなら、なんとか汲んでどうにか楽になるように
導いてほしいな。
他の話もスラスラ読めて、まあまあ楽しめた。
表題作の<神さまショッピング>の主人公が抱えていることは
ちょっとよくわからなかった。
そこまで自分を責めなくていいと思うけど・・・
でも、わざわざ、願いを叶えるために海外までいくというのは
理解出来ないなぁ~。
★★★
発行年月:2024年7月
(文藝春秋HPより)
ひとつひとつの話は短いけれど、ちゃんと物語があって、それは素敵なものばかり。
ホテルは3か所?
上高地と東京はわかったのだけど・・・・(^^ゞ
ホテル利用することが滅多になくなってしまったけれど、若い頃はランチで
利用したりしたなぁ~。
あとは、結婚式を挙げたり、友達の結婚式に呼ばれたり。
もう考えたら10年以上、ホテルには足を運んでいないかも・・・。
でも、きっと利用したことのあるホテルに行けば、そこでの思い出が
この物語の主人公たちのように蘇ってくるだろう。
亡くなったひとを偲んだりする話も結構、あったな。
全体的に温かい気持ちになれる話が多く、楽しい1冊だった。
★★★
発行年月:2024年2月
口さけ女はいなかった。恐怖の大王は来なかった。噂はぜんぶデマだった。一方で大災害が町を破壊し、疫病が流行し、今も戦争が起き続けている。何でもいいから何かを信じないと、今日をやり過ごすことが出来ないよ――。飛馬と不三子、縁もゆかりもなかった二人の昭和平成コロナ禍を描き、「信じる」ことの意味を問いかける傑作長篇。
(新潮社HPより)
1967年~2022年までのことを二人の男女の日常の様子から語る。
柳原飛馬は、1967年に生まれた。
両親と兄との家族。しかし、小学6年のときに母親が亡くなる。
もう一人は、望月不三子(旧制・谷部)1967年当時は高校生。
父親が急死し、大学進学をあきらめ製菓会社に就職。
上司の勧めで見合いし結婚。
二人の生活が交互に語られるが、望月不三子の方が衝撃的。
無頓着な母親に育てられ、自分はしっかりと家事もしたいと
仕事を辞め、専業主婦になり、夫の健康も考えて玄米食や野菜中心の食事を
作るが、義母からは「白米を食べさせてあげて」と言われてしまう。
子どもが生まれると、その子の食事作りに集中し、夫の食事とは別メニューに。
子どもが小学校に上がると、食物アレルギーがあると虚偽の申告をして
給食ではなくお弁当持参に。
最初は、従っていた娘も成長するに従って反抗し、家に帰らなくなる。
一方の飛馬は、大学卒業後は、区の職員になり結婚。
が・・・3.11後に仕事で復興支援に赴き、そこで出会った以前少し興味が
あった無線が災害対策の本部で役立っていることが嬉しく、ボランティア活動に
はまり、そのことで妻と口論。
妻はツイッターでみる嘘の情報を鵜呑みして、それを指摘してまた口論。
二人の関係がぎくしゃくし、離婚。
小学生の頃の最大の噂は1999年のノストラダムスの大予言。
ここに出てくる、コックリさんや口裂け女。
自分は、全く信じてなかったし、1999年の予言も、みんなで死んじゃうなら
それも仕方ないな・・・くらいにしか考えてなかった(笑)
物語のなかで、不三子の妹。仁美だったかな?
「ノアの方舟に乗って助かってもみんなが居なくなっちゃう世界で
生きていていくほうがいやだ」みたいな発言。
そうそう!とその考え方に共感した。
何かを信じてすがっているのが方舟だとすると、それに乗り続けていくことが
果たして幸せなんだろうか?と考えてみることも大切なのかも。
2020年にはコロナが大流行して、ワクチンを接種するか否かがまた問題に。
これは、まだ正解がわからない。
何十年後に正解がわかるのかな?
不三子と飛馬が終盤、「子ども食堂」に関わるスタッフとして出会う。
二人とも人間としては、基本は優しくて良い人。
二人がそれぞれ、これから先の人生、穏やかに過ごせるといいな。
結構、読むのに時間がかかった。
二人の日常が交互に語られていくだけなので、少々退屈だったし。
それでも何となく、角田さんのメッセージは伝わってきたかな?
★★★
発行年月:2022年2月
あきらめた人生の、その先へ――片足の祖父、学校に行けなくなった甥、〝正義感〟で過ちを犯したみのり。小さな手にも使命が灯る、慟哭の長篇小説。「今、だれもがスタートを待っている」周囲の人々が〝意義ある仕事〟に邁進する中、心に深傷を負い、無気力な中年になったみのり。実家に届く不審な手紙、不登校になった甥の手で、祖父の過去が紐解かれるとき、みのりの心は、予想外の道へと走りはじめる。
(中央公論新社HPより)
時代や語り手が変わりながら進むので、少し戸惑うけれど、段々慣れて
読み応えもあり、面白かった。
主には38歳で2つ年上の夫・寿士と東京で暮らす山辺みのりと
香川県で暮らしているみのりの祖父・多田清美(90歳代)の過去と現在を
それぞれの語りで。
みのりの大学生時代の話や、清美の戦地での体験談、
段々、わかる清美のこと。
戦争がなかったら・・・
そして現代では、コロナが世界的に蔓延。
コロナさえなければ・・・ということも色々。
清美の青春時代の話がもっと深く知りたかったなぁ~。
戦地で体験したことは、惨い。
片足をなくして戦地から帰って、誰も知る人がいないところで、救いの手を
差し伸べてくれる人に出会えて本当に良かった。
その出会いがなければ、みのりも存在していないということ。
そして、ボランティアってやはり難しいものがあるな~と感じた。
何かを求めてやるものではないと頭ではわかっていても拒絶される言葉を
面と向かって言われることもあるんだと覚悟していくことも必要なんだな。
みのりと寿士の出会い方はなんだかいいなと思った。
2人の会話のかんじもいい。
角田さんの長編は久しぶりだったけど、よかった!
★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
