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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2005年11月


第72回小説現代新人賞受賞作
31歳になった。遠距離恋愛中の彼は何も言ってくれない。
30代独身女性の「じれったい気持ち」を軽妙に、鮮烈に描く受賞作を含む短編5作を収録

                 (講談社HPより)




朝倉さんのデビュー作を含む5作品。

新人賞受賞の<肝、焼ける>はやはり一番、面白かったぁ~。

31歳の真穂子が年下の御堂くんに会うため、彼が転勤した北海道へ行く話。
北海道に着いても、すぐに彼の元に行かず、途中、銭湯に寄ったりして
御堂くんの住んでいるマンションに行っても、部屋には行かず、集合ポストの
中に伝言メモを入れるのみ。

何やってるんだ???と突っ込み入れながら読んだけど、真穂子の気持ちも
なんとなく理解できて、その行動も、うん、こういう風にしちゃうこと
わかるわかると思いながら。

最後のオチがまたいい。


<一番下の妹>
は職場の他二人は40台半ばの女性で、自分だけ20歳以上年下という
環境のなか、自分を一番したの妹的立ち位置でとらえて
2人の姉のそれぞれの思惑に絶妙な意見を述べる姿が可笑しい。


<春季カタル>
恋人と別れ徒歩で家に帰る途中、見知らぬ男と目が合っただけで
その人の車に乗るって、ちょっと危ない女性だな・・・
ちょっと理解しにくい話だったけど、雰囲気はすき。


<コマドリさんのこと>
40歳の駒鳥紀美子が思い返す過去のこと。
コマドリさんの職場の後輩・シゲコちゃんとか、
高校生のとき、好きなホンダくんに告白して振られたときの介添え人とか
コマドリさんの妹の話とか
なかなかユニーク。
コマドリさんには、この先、幸せになってほしい。


<一入>
33歳の沙都子は、13年付き合った恋人に結婚の話を切り出したが、自分と考えが
違うことに絶望。
そんなとき、北海道に住む大学時代の友人・から誘われて北海道へ。
老舗の温泉旅館に二人にいく。

この後、恋人とはどうなったのかなぁ~。

一入って、言葉では知っていても、こんな字を書くんだ~。
勉強になったなぁ~(^^ゞ


朝倉さんは好きな作家さんの一人だけど、新人の時から面白い物語を
書いていたんだな。
表現力はさすが!


                  ★★★★★
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発行年月:2021年4月


誰もがいつかこんなふうに感じる。
北海道で独り暮らしをするおもちさん、83歳。夫は施設に入り、娘は東京から日に二度電話をくれる。実は持病が悪化して、家族がおもちさんの生活のすべてを決めていくことに。
不安と苛立ちと寂しさと、懐かしさと後悔とほんのちょっとの幸せと、揺れては消える老境の心情が、静かに切々と迫ってくる。
ベストセラー『平場の月』の著者が、ひとりの老女の内面に寄り添う、新たな代表作。

                    (光文社HPより)


83歳の島谷もち子さん。通称・おもちさんが主人公。
本人は明るく社交的。
北海道に夫と暮らしていたけれど1年ほど前、夫は特別養護施設に入所して
おもちさんは一人暮らしに。
息子のお嫁さん・トモちゃんがよく面倒をみてくれる。東京の娘も毎日
2回電話で様子伺いしてくれる。


でも、おもちさんの持病(糖尿病)の数値が悪化し、入院、その後も
食事管理が大事と介護付きマンションで暮らすことに。


糖尿病って辛い病気だな。
年を取ると食べることが結構な楽しみなのに、そこに制限がかかるって。
それをしないとたちまち命にかかわる事態になってしまう。

身の回りのことが自分で出来なくなったら、施設に入るしかないよなぁ~。
子どもたちに面倒かけたくないし。

おもちさんは我慢できずに甘いもの食べちゃう、それは仕方ないことだけど
せめて食べちゃったと正直に言わないとね。
食べていない逆切れするって子どもみたいで笑ってしまった^m^
夫の元に面会に行き、プリン食べさせちゃうのもダメなことだけど
なんだか切ない場面だな・・・。

こんな風に自分もなるのかな?とか考えちゃうと重たい気分になるけれど
読んでよかった。




                         ★★★




発行年月:2018年12月

「おまえ、あのとき、なに考えていたの?」
「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね。ちょっと」
朝霞、新座、志木――。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。
50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる――。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。

                     (光文社HPより)




50歳の男女の話。

青砥健将と須藤。

2人の関係が、理想的なかんじ。
共に今は独りの身。
青砥は離婚歴あり、須藤の夫は病死している。
子ども達はそれぞれが独立。

2人が恋愛関係に進んでも何ら支障はないのだけど・・・
須藤は青砥と次第に距離を置く。


青砥はずっと後悔するだろうなぁ~。
結婚の言葉を言わなかったら、もしかしたらずっとそばに居られたのか?と。

でも須藤は結婚を青砥が考えてくれたことがわかって嬉しかったと思うな~。
「それ言っちゃああかんやつ」とか言いながら・・・
本当は嬉しかったんじゃないかな?


切ない男女の話だけど、なんだかしみじみ、いいなぁ~と思った。



                      ★★★★
 



発行年月:2016年5月


 このことは、あたしたちだけの秘密よ 朝倉かすみが挑む少女×ふしぎの物語
このことは、あたしたちだけの秘密よ朝倉かすみが挑む少女×ふしぎの物語小学校の帰り道、きらきら光る乳 このことは、あたしたちだけの秘密よ
朝倉かすみが挑む 少女×ふしぎの物語

 小学校の帰り道、きらきら光る乳歯のようなものを拾った東城リリア。同級生の清香と沙羅も、似たような欠片を拾ったという。ふしぎな光を放つこれはきっと、あたしたちに特殊な能力を授けてくれるものなのだ。敵と闘って世界を救うヒロイン。あたしたちは、選ばれた――。でも、魔法少女だって、死ぬのはいやだ。(「あたしたちは無敵」)
 少女たちの日常にふと覘く「ふしぎ」な落とし穴。表題作のほか、雑誌『Mei(冥)』、WEBダ・ヴィンチに掲載されたものに書き下ろしを加えた全5編を収録。

◆収録作品「留守番」「カワラケ」「あたしたちは無敵」「おもいで」「へっちゃらイーナちゃん」

                   (角川書店HPより)



表題通り、少女たちの奇妙な物語。


<留守番>
本当の父親は亡くなり、新しい父親と妹と4人で暮らしている卯月(ウーチカ)。
本当の父親はウーチカと呼んでくれたけど新しい父親はウーチャンとしか
呼んでくれない。
妹と留守番しているとき、テレビの裏の三角形の隙間でそいつを見つけた。


<カラワケ>
藍玉(らんぎょく)はアクアマリンの意味。
10日前から顔の皮膚がカラワケになり「おほーばの家」で暮らす。
独りきり、そこで過ごす決まり。
一族の女性は皆、それを体験する。


<あたしたちは無敵>
リリアはある日、建て替え中の家の工事場所で土のなかでつやつや輝くものを
拾う。
偶然、同じものを同じ場所で拾った朝比奈さんと関口さん。
3人は定期的に集まり会議を開く。
その輝くものを飲み込む3人にそれぞれ能力が備わる。


<おもいで>
いとこの結婚披露宴に両親と出席する日の花梨。
ボンボン時計の音を聞き、気づくと17歳の高校生、その次は22歳、28歳。
そして再び小学5年生の自分に戻ったはずだけど・・・・


<へっちゃらイーナちゃん>
わたしは7歳、姉は11歳のとき、家族で摩周湖見物。
晴れて青い摩周湖が綺麗に見えた。
お父さんは突然、機嫌が悪くなるので、言動に気をつけないと。
その翌年、母が病死。
姉が母親の代わりに。
自分だけ何も知らない次女の役目のまま。


最後の話だけ、なんだかムカムカ。
この姉妹の父親に嫌悪感を抱いて・・・。
ほかの話は、それぞれ面白かった。

表題の<あたしたちは無敵>。
こういう友達とのやり取り誰でもしたことあるんじゃないかなぁ~?

少女たちの気持ちを上手く物語のなかで表している話ばかり。

表紙の絵も雰囲気合っていていいです!


                         ★★★★



発行年月:2015年12月

<この植物、あの子に似てる>
他の木にくっついて生きているコウモリラン、ぽっこりしたお腹の見た目はかわいらしいけれど、大繁殖するホテイアオイ、暗くじめじめしたところにいるほど生き生きするコケ…。
植物のそんな生態は、あの人やこの人の生き方にそっくり。
人間の不可思議な行動を植物の生態に仮託して描く、アサクラ版・植物誌! 

                 (徳間書店HPより)



植物から連想される女性たちの物語?
最初にタイトルと植物の名前と解説がある。

インパクトあったのは、<どうしたの?>とそれに続く<どうもしない>。
<どうしたの?>では盛り場の一画に二階建て住居を買った69歳の男性。
朝の散歩で公園に行き、家出少女のたまり的な場所として、早朝そこで
寝ている少女たちの<どうしたの?>と声をかける。
一人の少女が家に住むことに。

<どうもしない>では、その少女側からの話。
家出して行くあてのない少女たちが次々とそこに住む。
そして子どもを産み・・・・


このタイトルの植物は、<どうしたの?>がホテイアオイ
生育状況に恵まれると子株をつくり大繁殖することがあるそう。


朝倉さんらしいと言えば、らしい話たちだったかな?


                         ★★★
 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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