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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年8月


家族三人で暮らしたい、ただそれだけの望みを叶えるのがこんなに難しいなんてシングルマザーの保育士ミユキさんが心ひかれたのは、八歳年下の自動車整備士クマさん。娘のマヤも面倒見のいいクマさんに懐いて、すったもんだはありつつも、穏やかな日々が続くはずだったのに......。出会って、好きになって、ずっと一緒にいたいと願う。そんな小さな幸せが突然奪われたのは、クマさんがスリランカ出身の外国人だったから。〈ハラハラしてます〉〈ラストがよかった〉〈知らないって恐ろしい〉読売新聞連載中から反響続々中島京子の長編小説最新刊

                       (中央公論新社HPより)



少し前にニュースにもなった、名古屋の入管局に長期収容されていた
スリランカ人の女性が亡くなった話。
亡くなる前に日本人の知人が訪ね「具合がだいぶ悪そう」と職員に病院に
受診させてもらえないですか?いうが、健康状態はちゃんと管理しているからと
取り合ってもらえず、そうこうしている間に亡くなってしまったと。
亡くなった女性は、ちゃんとした仕事もしていたし、日本人だったら
罪の問われるような生活を何もしていなかったのに・・・。


入国した外国人に対する決まり事は、今回、この小説を読んで色々知った。

直接は自分に関係ないことだけど、こういうことは、皆が知っていた方がいい。
そしたら、知らずにいる外国人にアドバイスできるかもしれないし。


読んでいて、日本人として、なんだかショックだった。
外国人に対してあまりにも冷たい。
でも入管の職員もきまりを破った外国人相手には、そうするしかないのかな?
でもその人にとっては大事な在留資格を職員の裁量で延長できるか否かを
決めているのはちょっと疑問。

不服として、今回みたいに裁判まで持って行ける人なんて、少ないだろうし。

もう少し、法律で外国人を守ることも考えて欲しい!
クマさんみたいな人やその周りの人たちが辛い思いをすることが減るといいな。




                        ★★★★★
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発行年月:2021年3月


だいじょうぶ。何かにつまずいた時、 あなたを待っている場所がある。
職を失い、自転車旅行の最中に雨に降られた青年・栗田拓海は、年季の入った一軒の建物を訪れる。穏やかな老人がかつてペンションを営んでいた「ムーンライト・イン」には、年代がバラバラの三人の女性が、それぞれ事情を抱えて過ごしていた。拓海は頼まれた屋根の修理中に足を怪我してしまい、治るまでそこにとどまることになるが――。
人生の曲がり角、遅れてやってきた夏休みのような時間に巡り合った男女の、奇妙な共同生活が始まる。

                    (角川書店HPより)




30歳半ばの栗田拓海が一晩、泊めて貰おうと訪ねた屋敷には、

その家の持ち主・中林虹之介(70半ば)と80歳台の介護が必要な女性・新堂かおる。
50歳台の介護士の資格を持つ津田塔子。塔子の元同僚・フィリピン人のマリー・ジョイ。


拓海は一晩のつもりが、4人が住んでいる家に居候することに。


虹之介とかおるは、若い頃からの知り合いで、かおるに家庭があることから
密かに付き合っていた仲。
息子に施設入所させられそうという危機感から、逃れ・・・
塔子は、職場で関わった施設利用者の男性とのトラブルから逃げたくて。
マリー・ジョイは、塔子に誘われ、かおるの介護を一緒にすることにしたのだが
新たに住む家の近くに探している父親の家があることがわかった。


塔子の抱えていた問題が深刻そうだったけれど、本人が想像していたような
事態にはなっていなくてホッとした。
しかし、介護職員って本当に大変なんだな・・・と思った。



居候の拓海だったけれど、この家に新参者として加わったことで
いろいろな変化があったよう。
拓海自身も新たな生き方を見つけた様子で、
この物語の後の、それぞれの人生が穏やかなものであればいいなと思った。



                       ★★★


発行年月:2019年12月

すぐそこにある未来は、こんな奇妙なものかもしれない。

廃墟化した高層マンションの老人が消えるわけ。汎用型AIが人を超えた時に起こる異変。
アグリビジネスから逃れた種の行き先――。
『小さいおうち』『長いお別れ』の著者が贈る、初の近未来小説。

とつぜんあの女があらわれた日は、雷鳴が鳴り響き、雹がばらばら降った日だった。しかも、あろうことか彼女は海からやってきたのだ。ドーニを一人で操縦して――「キッドの運命」

十四歳のミラは、東洋人の祖母が暮らす田舎で夏休みを過ごす。おばあさんばかりがいるその集落には、ある秘密があって――「種の名前」

人工多能性幹細胞から作った子宮? ぼくは、寝起きの顔をぶん殴られたような衝撃を受けた――「赤ちゃん泥棒」 他、全6編。

                  (集英社HPより)



近未来の物語?
こんな未来、来たら嫌だな~という話は殆ど(^^ゞ


生殖系の研究はどんどん進んで、この短編のなかのような
ことも実際に起こり兼ねないなぁ~と思った。

<赤ちゃん泥棒>みたいに男が妊娠して出産することも
不可能じゃなくなったりして・・・

DNAとか人の手で操作されて
高い知能を持った者が生まれて来て
ふつうに生まれた人間なんて下等動物みたいな扱いにされる?
<キッドの未来>は、この短編集の中でインパクトあったな~。


最後の<チョイス>も、これに近い選択ができる未来が来るかも?
少しずつ健康を失っていくサプリ<チョイス>。
目指す年齢で死ぬことが出来て、痛みも感じずその時を待つというもの。
こういうの選択するのは、難しいな。
選びきれず、悶々としながら生きることになりそう(^^ゞ


SFっぽい短編は、読んでいるときは、まあ楽しめるけど
すぐ忘れちゃいそう。
中島さんには長編を読ませて欲しいなぁ~


                ★★★



発行年月;2019年5月


 「図書館が主人公の小説を書いてみるっていうのはどう?」
作家の〈わたし〉は年上の友人・喜和子さんにそう提案され、帝国図書館の歴史をひもとく小説を書き始める。もし、図書館に心があったなら――資金難に悩まされながら必至に蔵書を増やし守ろうとする司書たち(のちに永井荷風の父となる久一郎もその一人)の悪戦苦闘を、読書に通ってくる樋口一葉の可憐な佇まいを、友との決別の場に図書館を選んだ宮沢賢治の哀しみを、関東大震災を、避けがたく迫ってくる戦争の気配を、どう見守ってきたのか。
日本で最初の図書館をめぐるエピソードを綴るいっぽう、わたしは、敗戦直後に上野で子供時代を過ごし「図書館に住んでるみたいなもんだったんだから」と言う喜和子さんの人生に隠された秘密をたどってゆくことになる。
喜和子さんの「元愛人」だという怒りっぽくて涙もろい大学教授や、下宿人だった元藝大生、行きつけだった古本屋などと共に思い出を語り合い、喜和子さんが少女の頃に一度だけ読んで探していたという幻の絵本「としょかんのこじ」を探すうち、帝国図書館と喜和子さんの物語はわたしの中で分かち難く結びついていく……。

知的好奇心とユーモアと、何より本への愛情にあふれる、すべての本好きに贈る物語!

                   (文藝春秋HPより)



素敵な物語だった!

まだフリーのライターだった主人公が上野公園で知り合った・喜和子さん。
当時60歳くらいで、不思議な格好をしていて、あっけらかんで無邪気。
喜和子さんと親しくなり長屋風の自宅にもお邪魔する。
すると二階に間借りしている芸大生の雄之助くんとも顔見知りに。


物語は、喜和子さんを中心にしたものと、もうひとつ、現在は国際子ども図書館と
なっている帝国図書館の歴史も並行して進む。
その物語を書いてと喜和子さんから言われた、わたしが書いている。

帝国図書館が擬人化されて、今は文学史に名を残している作家たちが
図書館に通っていた様子などを見守っている様子が楽しかった。
香田露伴と淡島寒月も図書館で親しくなったとか。
菊池寛と芥川龍之介は、仲良しで帰りに団子やに寄るとか。

若くして亡くなった樋口一葉の勤勉さも見守っていた図書館。

やがて戦争に突入したり、震災が起きたり、哀しい歴史も見て来た図書館。


喜和子さんの歴史も結構、波乱万丈で、1冊のなかに
いろいろな興味深いことが溢れてるかんじ。

でも全てがうまくまとまって繋がって、スラスラ読める。

沢山、登場する人物たちもユニーク。

喜和子さんの希望が最後は叶ってホッとした。

なんだか温かい気持ちにもなった。


中島さんてやっぱり凄いな。



                          ★★★★★




発行年月:2018年2月


 小学校の帰りに毎日行っていた赤い樽のある喫茶店。わたしはそこでお客の老小説家から「タタン」と名付けられた。「それはほんとう? それとも嘘?」常連客の大人たちとの、おかしくてあたたかな会話によってタタンが学んだのは……。心にじんわりと染みる読み心地。甘酸っぱくほろ苦いお菓子のように幸せの詰まった物語。

                     (新潮社HPより)




喫茶店で放課後過ごす、タタンと店の常連客(老小説家、生物学者のバヤイ氏、

神主とその親友トミー)、マスターとの会話がほのぼのする。
大人たちの会話を聞きながら、あれこれ思うタタン。

短編連作でしたが、一番良かったのはタタンが祖母と暫く過ごした時間を
描いた<ぱっと消えてぴっと入る>だな。

就学前のタタンの子守り役として田舎から来た祖母。
祖母の語る言葉は胸に沁みる。
戦地から帰って来なかった息子(タタンの父の2番目の兄)の話を
タタンに聞かせているときに言った言葉。
死んだあと、一人寂しい思いをしてその地に残っているとしたら可哀想過ぎる。
というようなことを話し、

「ぱっと電気が消えるみていに死んでしまうんでなきゃ理屈に合わねえと
おれは思ってんだ」
「そのかわりによ、死んだらここんところへ ぴっと入ってくんだ」と
自分の胸を指さした。

それを見て 
死者の思い出が生者の生を豊かにすることを、わたしは祖母を亡くして
初めて知ったのだった。


ここは、もうじ~んと来た。

後は、最後の<さもなきゃ死ぬかどっちか>
タタンと仲良くなった転校生のトモコ。
同じ名前だとしりお互い驚き、タタンが放課後の喫茶店に連れていく。
2人は実は双子なんじゃないかと、店にいた常連客たちが、あれこれ
想像を膨らませて語るのが愉快だった。

仲良くなった数か月後、タタンは両親と共に引っ越して海外に行く事に
なってしまい、トモコとも喫茶店の人たちともそのまま大人になるまで
連絡せず。

大人になってその地を訪ねてみるという話。


小さい頃の思い出って永遠の宝物だよね~と共感!


楽しかった♪


                      ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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