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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月;2019年5月


 「図書館が主人公の小説を書いてみるっていうのはどう?」
作家の〈わたし〉は年上の友人・喜和子さんにそう提案され、帝国図書館の歴史をひもとく小説を書き始める。もし、図書館に心があったなら――資金難に悩まされながら必至に蔵書を増やし守ろうとする司書たち(のちに永井荷風の父となる久一郎もその一人)の悪戦苦闘を、読書に通ってくる樋口一葉の可憐な佇まいを、友との決別の場に図書館を選んだ宮沢賢治の哀しみを、関東大震災を、避けがたく迫ってくる戦争の気配を、どう見守ってきたのか。
日本で最初の図書館をめぐるエピソードを綴るいっぽう、わたしは、敗戦直後に上野で子供時代を過ごし「図書館に住んでるみたいなもんだったんだから」と言う喜和子さんの人生に隠された秘密をたどってゆくことになる。
喜和子さんの「元愛人」だという怒りっぽくて涙もろい大学教授や、下宿人だった元藝大生、行きつけだった古本屋などと共に思い出を語り合い、喜和子さんが少女の頃に一度だけ読んで探していたという幻の絵本「としょかんのこじ」を探すうち、帝国図書館と喜和子さんの物語はわたしの中で分かち難く結びついていく……。

知的好奇心とユーモアと、何より本への愛情にあふれる、すべての本好きに贈る物語!

                   (文藝春秋HPより)



素敵な物語だった!

まだフリーのライターだった主人公が上野公園で知り合った・喜和子さん。
当時60歳くらいで、不思議な格好をしていて、あっけらかんで無邪気。
喜和子さんと親しくなり長屋風の自宅にもお邪魔する。
すると二階に間借りしている芸大生の雄之助くんとも顔見知りに。


物語は、喜和子さんを中心にしたものと、もうひとつ、現在は国際子ども図書館と
なっている帝国図書館の歴史も並行して進む。
その物語を書いてと喜和子さんから言われた、わたしが書いている。

帝国図書館が擬人化されて、今は文学史に名を残している作家たちが
図書館に通っていた様子などを見守っている様子が楽しかった。
香田露伴と淡島寒月も図書館で親しくなったとか。
菊池寛と芥川龍之介は、仲良しで帰りに団子やに寄るとか。

若くして亡くなった樋口一葉の勤勉さも見守っていた図書館。

やがて戦争に突入したり、震災が起きたり、哀しい歴史も見て来た図書館。


喜和子さんの歴史も結構、波乱万丈で、1冊のなかに
いろいろな興味深いことが溢れてるかんじ。

でも全てがうまくまとまって繋がって、スラスラ読める。

沢山、登場する人物たちもユニーク。

喜和子さんの希望が最後は叶ってホッとした。

なんだか温かい気持ちにもなった。


中島さんてやっぱり凄いな。



                          ★★★★★

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発行年月:2018年2月


 小学校の帰りに毎日行っていた赤い樽のある喫茶店。わたしはそこでお客の老小説家から「タタン」と名付けられた。「それはほんとう? それとも嘘?」常連客の大人たちとの、おかしくてあたたかな会話によってタタンが学んだのは……。心にじんわりと染みる読み心地。甘酸っぱくほろ苦いお菓子のように幸せの詰まった物語。

                     (新潮社HPより)




喫茶店で放課後過ごす、タタンと店の常連客(老小説家、生物学者のバヤイ氏、

神主とその親友トミー)、マスターとの会話がほのぼのする。
大人たちの会話を聞きながら、あれこれ思うタタン。

短編連作でしたが、一番良かったのはタタンが祖母と暫く過ごした時間を
描いた<ぱっと消えてぴっと入る>だな。

就学前のタタンの子守り役として田舎から来た祖母。
祖母の語る言葉は胸に沁みる。
戦地から帰って来なかった息子(タタンの父の2番目の兄)の話を
タタンに聞かせているときに言った言葉。
死んだあと、一人寂しい思いをしてその地に残っているとしたら可哀想過ぎる。
というようなことを話し、

「ぱっと電気が消えるみていに死んでしまうんでなきゃ理屈に合わねえと
おれは思ってんだ」
「そのかわりによ、死んだらここんところへ ぴっと入ってくんだ」と
自分の胸を指さした。

それを見て 
死者の思い出が生者の生を豊かにすることを、わたしは祖母を亡くして
初めて知ったのだった。


ここは、もうじ~んと来た。

後は、最後の<さもなきゃ死ぬかどっちか>
タタンと仲良くなった転校生のトモコ。
同じ名前だとしりお互い驚き、タタンが放課後の喫茶店に連れていく。
2人は実は双子なんじゃないかと、店にいた常連客たちが、あれこれ
想像を膨らませて語るのが愉快だった。

仲良くなった数か月後、タタンは両親と共に引っ越して海外に行く事に
なってしまい、トモコとも喫茶店の人たちともそのまま大人になるまで
連絡せず。

大人になってその地を訪ねてみるという話。


小さい頃の思い出って永遠の宝物だよね~と共感!


楽しかった♪


                      ★★★★



発行年月:2017年8月

温かい気持ちになったあとに、思わず涙があふれてしまう。――風格のある原宿の洋館はGHQの接収住宅でもあった。そこに小さな女の子はなぜ出没するのか? 戦時中、「踏めよ 殖やせよ」と大活躍し焼夷弾をあびながらも生き延びたミシンの数奇な運命とは? 少しぼけた仙太郎おじいちゃんが繰り返す、「リョーユー」という言葉の真意は孫娘に届くのか? おさるのジョージの作者たちは難民キャンプで何をしていたのか? やわらかいユーモアと時代の底をよみとるセンスで、7つの幽霊を現代に蘇生させる連作集。

目次
第一話 原宿の家/第二話 ミシンの履歴/第三話 きららの紙飛行機/第四話 亡霊たち/第五話 キャンプ/第六話 廃墟/ 第七話 ゴーストライター

                       (毎日新聞出版HPより)



7つの短編集。
どの話も良かった。
少し懐かしい気持ちにもなれる。
戦争が絡んだ話が多かったかな?

少し寂しいような、それでも温かいものも感じるような話が多い。

二話目の<ミシンの履歴>は、主人公がミシン。

昔、実家にもあったシンガーの足踏みミシン。
ここにも戦争が・・・。
ミシンも焼夷弾の被害に遭うけれど、なんとかその後も活躍。

こういう話を読むと、いろいろな歴史を見て来た道具たちには、色々な人の
思いが宿っていそうだと思う。


印象深く一番好きなのが最後の<ゴーストライター>
編集者に就職した工藤てるみ。
ゴーストライターの仕事をするにあたっての心構えを日々学ぶ。

ゴーストライターって、ちょっとマイナスのイメージだったけど、
ここでのそれはちょっと違った。

言葉を持てないひとたち(ゴースト)の代弁者として、
その人が聞いて欲しいこと(伝えたいこと)を言葉にして伝える。
それがライターとして必要なこと。


中島さんが作家として書きたいこと、まだまだ沢山、あるってことですね。
やはり、素敵な作家さんだなぁ~。



                       ★★★★★
 



発行年月:2016年4月


 宇藤聖子・50歳・主婦。人生はいちいち、驚くことばっかり――
更年期世代の戸惑いと感慨、思いがけない新たな出会い。
上質のユーモアが心地よい、ミドルエイジ応援小説。



                   (中央公論新社HPより)



面白かったなぁ~。
50歳の聖子の日常・・・案外自分と当てはまる部分多くていちいち
「そうそう!」なんて心のなかで頷いちゃった^m^

1954年発行の伊藤整の随筆「女性に関する十二章」に沿って
聖子の日常をその章に当てはめてあれこれ綴ったもの。

年齢が近いこともあって、更年期の話なんて笑っちゃった!
著者の中島さんも同じ年代だからリアルな表現ですね~。


勤める税理士事務所からのお願いで、NPO法人の経理を手伝うことになり
その行った先で出会った調整ボランティアの片瀬さんがユニークで
他にも小学4年の夏、一時期一緒に暮らした中学生だった久世祐太とのこと、
聖子の息子・勉が久しぶりに帰省したかと思ったら彼女連れで・・・などなど
次々現れる人たちが皆、良いかんじ。
夫・守との会話もなんだか和みました(^^)
いい夫婦関係だな。


最後、ぜ~んぶ丸く納まっていたのも良いですね~。

これ、また暫くしたら絶対再読したいわ~。

聖子の10年後くらいの話ももう少ししたら書いて欲しいくらい。


                      ★★★★★



発行年月:2015年5月


 帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。
妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする――。

東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、十年ほど前から認知症を患っている。長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、娘が三人。孫もいる。

“少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行く”といわれる認知症。ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう、迷子になって遊園地へまよいこむ、入れ歯の頻繁な紛失と出現、記憶の混濁--日々起きる不測の事態に右往左往するひとつの家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福が描き出される。著者独特のやわらかなユーモアが光る傑作連作集。

                    (文藝春秋HPより)



年を取って、段々と記憶をなくしていく病。
東 昇平が認知症を患ってから10年の家族の様子を描いている物語。

娘たち3人は、それぞれ別の所に住んでいる。

長女の茉莉は、夫の仕事の関係でアメリカ在住。息子が2人。
次女の菜奈は、夫と息子と割と近くで暮らしている。
三女の芙美は、独身でフードコーディネーターとして多忙な日々。


曜子は、介護ヘルパーや、訪問入浴、ディサービスなどを使って何とか夫の介護を
ひとりで頑張ってきたけれど、自身も網膜剥離で手術をしなければならなくなる。

三姉妹は、それぞれの暮らしを何とか工面しながら、父親の介護に協力し合う。

娘たちが協力的でいいなぁ~。

認知症の昇平が、メリーゴーランドに子供だけでは乗れないことを困っている姉妹の
頼みを聞いて、一緒に乗ってあげる場面は、ほっこりした(^^)
子どもが困っていたら、助けてあげるのは、教師生活が長かったからか、
元々、優しい性格だからでしょうか?


介護って大変だし、辛い部分も多いけれど、この物語のなかには、昇平を大事に思う
家族の優しさが溢れていて、読んでいても悲壮感がなく良かった。

自分の親も配偶者もそして、自分自身も、この物語のような状況を
間違いなくいつか迎える。

なかなか難しいけれど、この東家の人たちのような、大らかさを持ち続けられたら
いいな。

昇平は最期まで、幸せだったでしょうね。


                          ★★★★
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