発行年月:2014年8月
江戸時代、“女性”という立場で、清心尼はいかにして有象無象の敵を前に生き抜いたのか。「
武器を持たない戦い」を信条とした、世にも珍しい女大名の一代記。
著者初の歴史小説にして新たな代表作
(集英社HPより)
歴史小説だけれど、ファンタジーも交えたお話で読みやすかった。
物語は、後に女領主となる袮々が一本しか角を持たない羚羊に出会う場面。
お互いに見つめ合い何か惹かれるものを感じる。
そして、やがて、袮々に起きる一大事の度に知恵を授け助ける存在となる。
羚羊(ニホンカモシカ?)のほかにも動物がいろいろ登場。
中でも河童が愉快。
袮々とあるとき遭遇した河童が苦しむ袮々に薬を与え助け、親しくなり「嫁に来ぬか?」と
求婚されるが、断る。
河童はその後も袮々のことを想い、妻に迎えた河童は袮々に似た河童で
名前を袮々子として夫婦仲良く暮らしたとか。
袮々の周りでは哀しい出来事が起き、親しい者を次々、世を去っていくが
周りの者に助けられながら、困難に立ち向かい、知恵で家臣や領民を守り抜く。
剃髪し、清心尼として晩年は静かに暮らした様子。
大河ドラマの題材にもなりそうな人物だなぁ~。
無知ゆえ、この物語で初めて存在を知りましたが・・・^^;
八戸から遠野に移り住むことになった袮々たちと共に河童たちも移動。
遠野が河童伝説で有名になっている所以も絡んでいるのが楽しい。
中島さん、初の歴史小説でしたが、他の歴史上の人物でも、また
何か書いて欲しいなぁ~。
★★★★★
発行年月:2013年11月
オレゴンの片田舎で出会った老婦人が、禁断の愛を語る「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」。
暮らしている部屋まで知っている彼に、恋人が出来た。ほろ苦い思いを描いた「ラフレシアナ」。
先に逝った妻がレシピ帳に残した言葉が、夫婦の記憶の扉を開く「妻が椎茸だったころ」。
卒業旅行で訪れた温泉宿で出会った奇妙な男「蔵篠猿宿パラサイト」。
一人暮らしで亡くなった叔母の家を訪ねてきた、甥みたいなものだという男が語る意外な話「ハクビシンを飼う」。
「人」への執着、「花」への妄想、「石」への煩悩……
ちょっと怖くて愛おしい五つの『偏愛』短篇集。
(講談社HPより)
5つの短篇。
どれも良かったぁ~。
特に面白く思ったのは
<ラフレシアナ>と表題作の<妻が椎茸だったころ>
<ラフレシアナ>
友人に紹介された立原一郎は、変人。
その立原に恋人が出来たと聞き、驚く主人公。
大して親しくもないのに、家が近所だからか、知り合いがほかに居ないからか
2週間留守にする間、部屋のなかの植物「ラフレシアナ」の水遣りを毎日お願いしたいと言われ
世話をしたことがある。
食虫植物で、なんとも奇妙な容姿のその植物。
主人公の女性、優しいな。断りきれずに、大した手間でもないと頼みを引き受けてあげて・・・。
でも同じような状況なら、興味本位で留守中なら水遣りくらいならやってもいいかな。
立原の恋人・・・え?なんだか怖い。
<妻が椎茸だったころ>
55歳で突然、亡くなった妻。
退職後2日のことだった。
妻が予約していたなかなか予約が取れない料理教室に代わりに行ってと
娘に言われ、仕方なく行くことにするが・・・
持ち物は、甘辛く煮た椎茸。困惑し、妻のレシピ集を探す夫。
そして見つけた「椎茸」の文字。
なるほどね・・・。
代わった表題だと思ったら、こういうことでしたかぁ~。
食材のルーツを頭に浮かべながら調理をしたことはなかったなぁ~。
この奥さん、凄くお料理作るの楽しんでいたんでしょうね~。
そして、そんな奥さんの気持ちを理解できる、ご主人も良いな~。
なんだか温かい気持ちになれました。
ほかの3編も変わった話で、SFぽかったり、ミステリーぽかったり
どれも面白い物語でした!!
★★★★★
近くて遠い異国で、彼女たちは何を見る?
北京、台湾、上海。
刻々と変化する隣国を訪れた3人の女達が未知の風景の中で出会う、
未知の自分。飄々とした異国情緒溢れる中篇集
(文藝春秋HPより)
北京、上海、台湾・・・・行ったことないけれど、読みながらなんだか旅をしているような気分になれた。
<北京の春の白い服>
中国服飾美容出版社に唯一の日本人スタッフとして招聘された夏美。
この国で初めてのファッションマガジンを現地スタッフと作り上げるべく働く。
日本式のやり方をバンバン要求し、スタッフたちを圧倒させる夏美。
ふと、自分のやり方は現地スタッフには不快かも?と思ったりする。
休日、偶然知り合った北京で留学しているというコ-ジと共に出かけ、露天のおじさんに言われる
言葉が「マンマン・ゾウ」=慢慢走=のろのろ歩け=のんびり行け
この言葉、なんかいいな。
<時間の向こうの一週間>
夫の赴任先の上海に一緒に住むための家探しに日本から来た亜矢子。
一緒に家探しをする予定だったのに、夫は武漢に1週間の出張になってしまったと言う。
一人で過ごす上海での1週間。
夫が案内人の女性を頼んであるからと言ったが現われたのは男性。
親切にあちらこちらの物件を案内してくれるけど、本当は彼の元恋人が頼まれたことだったらしい。
夫が居なくても結構、面白い一週間だったんじゃないのかな?
お見合い広場が興味深かったなぁ~。
<天鐙幸福>
亡き母親の思い出の地・台湾。
生前、母親が言っていた「美雨には台湾に3人のおじさんがいるのよ」。
そしてそのうちの一人らしいおじさんから台湾に誘われ会いに行く。
電車のなかで、通訳をしてもらったことから現地の青年・トニ-仲良くなり一緒におじさんを訪ねる旅をする。
最後にやっと連絡をくれたおじさん宅へ。
そこで知る母親の台湾でのこと。
みんなが温かく主人公の美雨を受け入れてくれる様子が微笑ましい。
辛い時代もあったというおじさんたちがトニ-と美雨が仲良くしてくれると嬉しいという言葉が
印象的だった。
どの話もよかったなぁ~。
中国とは政治的にいろいろあるけれど、仲良く歩み寄っていけたら最強になれそうなんだけど・・・。
なんてふと思った。
★★★★
発行年月:2012年1月
世界はもう、かつてと同じ場所ではない。
2011年の静謐と小さな奇跡を切りとった、「東京」短編集。
もの悲しくも優雅な、東京タワ-とスカイツリ-の往復書簡
(本の帯文より)
最初の 眺望よし【往診】は、スカイツリ-が語り・・・・
最後の 眺望よし【復診】では、東京タワ-が語る。
それを挟んで、二つの塔が見下ろす世界での人々の暮らしがあれこれ8つの話で描かれている。
面白い手法だな・・・(^^)
東京に住んでいる人には、より楽しめるのかも。
新しい時代をこれから見つめていくスカイツリ-。
過去の東京を見つめ続けてきた東京タワ-。
こんな風に人々の暮らしを見守ってきたのか~と思ったら最後の東京タワ-の語りは、なんだかジ-ンとしたなぁ~。
新しいスカイツリ-にもエールの気持ちをこめていう言葉がまた良かった!
立っていれさえすれば人々は、わたしたちを見上げて安心し、明日を生きる活力を身に
蘇れらせることができるのです。
なかに挟まれた人々の暮らしの物語は、切ないものだったり、ちょっと変だったりで
ひとつひとつの話がいろんな雰囲気で、これまた面白かった。
スカイツリ-からの眺望、いつか見に行こう!
恋情、妄想、孤独、諧謔…中島京子ワールドへようこそ
女の部屋の水漏れが、下に住む男の部屋の天井を濡らした。女が詫びに訪れたのをきっかけに二人は付き合い出し、やがて男は不思議な提案をするが…。(「天井の刺青」)。直木賞作家が紡ぐ珠玉の7篇。
(集英社HPより)
7つの短編集。
植物園の鰐
シンガポ-ルでタクシ-を拾うのは難しい
ゴセイト
天井の刺青
ポジョとユウちゃんとなぎさドライブウエィ
コワリョ-フの鼻
東京観光
過去5~6年の間にいろいろな媒体に発表済みの作品を集めたものだそう。
わたしにはコワリョ-フの鼻以外は初めての作品でした。
ちょっと不思議なかんじで始まった「植物園の鰐」。
次の「シンガポ-ルで・・・」は結婚5周年の記念旅行にシンガポ-ルを訪れた夫婦の可笑しなお話。
「ゴセイト」は、放課後にだけ現れる男子生徒との思い出を語る話。
とSFチックだったり青春小説風だったりといろいろ。
いろいろなテイストだけど、どれにもクスッと笑えるユ-モアがあり読んでいると楽しい♪
既読だけど、「コワリョ-フの鼻」は、やはり面白い!
夫婦の会話が、漫才みたい。
表題作の「東京観光」もよかったなぁ~。
会社の研修で東京に3日間滞在した主人公が、滞在先に選んだ格安ホテルで知り合った外人のマリアナとのこと。
ちょっと変わった東京観光だけど、気持ちが通じ合う人と出会えたのが最高の思い出でしょう。
表紙の絵(挿絵)も素敵。
これがデビュ-作の木版画作家の千原博美さんだと、あとがきに紹介ありました。
次は長編がまた読みたいな。
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
