忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6



発行年月:2024年2月


「ホットプレートほしい人いませんか?」――或る日、或る食卓、9つの物語。
女も男も、子どもも大人も。誰にでも、感情を呼び起こす“食と道具”がある。
数々の「おいしい小説」を手掛けてきた著者が贈る――“食にまつわる道具”を通して揺れ動く老若男女を描いた短編集。「今年のゼリーモールド」「ピザカッターは笑う」「コーヒーサーバーの冒険」「あのときの鉄鍋」「水餃子の机」「錆び釘探し」「ホットプレートと震度四」「さよなら、アクリルたわし」「焚いてるんだよ、薪ストーブ」の9篇を収録。

                   (淡交社HPより)


ほんわかした短編集。

<今年のゼリーモールド>
庭にあるプラムの実をバケツで収穫し、半分はそのまま。
残りは煮て・・・ゼリーも作ろう!東京の大学に春から行った娘も
帰省してくるだろうし・・・・けれど型がみつからない。
そして娘からは帰省しないと連絡あり、がっくり。
そして、再び娘から本を送ってほしいと。
娘の部屋に入り、本はすぐ見つかるが、ゼリー型も見つかる。
小物いれとして娘が使っていたのだ。


ああ、こういう母の気持ち、わかるぅ~!!


次の話<ピザカッターは笑う>は、父親の心境。
洋食屋を営む夫婦の息子が高校生6人でクリスマスパーティを
貸し切りですることに。
みな、顔なじみの子達。
息子は、そのなかの一人と最近、付き合い始めたらしい。

父親目線で、息子たちの様子を観察する姿が微笑ましいけれど・・・

来週は、自分たち大人のパーティの予定。
プレゼント交換のときに、もし、そのなかの一人の彼女の手に渡ったら
いいな。それを見た彼女の反応も期待しつつ・・・・と思って
買った、ピザカッター(猿が一輪車に乗っている、その車輪がカッターに
なっている)
けれど、それは、息子たちに出すピザに添えてだす。

うんうん、それは、大人のパーティで出さない方がいいに決まっている!

他も全部、いい話。
ちょっと切ない部分もあったけれど、前を向いて進む話になっているし
読んでいて、すっきり。


                    ★★★★


PR


発行年月:2023年2月


大丈夫、会いたいと強く願えば、きっと会える――。黒いコートを着た背の高い彼は、大事な人を探しにここへ来ていた。海辺で、ピアノのそばで、病院で、列車の中で、湖のほとりで、彼は私たちをそっと守り、救ってくれた。大ヒットドラマ「愛の不時着」に心奪われた著者による熱いオマージュの込められたラブストーリー9篇。

                    (新潮社HPより)


愛の不時着は見ていないけれど、読み終えて検索したら
その主人公の男性俳優の名前がこの本で出てくるリ・ジョンヒョンだった。

なるほど・・・清潔感があって、なかなか格好いい。

この本は短編だけど、どの話にもリ・ジョンヒョンと名乗る男性が出て来て
話のなかでちょっとした危機に直面している人たちを助け癒し、気持ちを前向きに
していく。
スーパーマンみたいな人。

そして彼は、ある女性を探しているという。

最後は、その女性に会えたということかな~?
こんな素敵な人に愛される女性は幸せだなぁ~。


最初、この本の表紙を見たとき、ちょっと不気味だった(^^ゞ

でも読み終えた後は、この男性が恰好よく見えた・・・不思議だ(笑)


井上さんの作風とはちょっと違うけれど、こういうハーピーな
結末ばかりのもいいな。
読んでいて楽しかった。

愛の不時着・・・いつか見てみようかな?^m^



                   ★★★



発行年月:2021年4月


二十五年前に家族を捨てて出ていった父親が突然戻ってきた。妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ。
二十歳下のイタリア人女性と恋仲になり一緒に暮らしていたが、彼女が一人で帰国してしまったというのだ。
しかし娘たちはとっくに大人になり、妻にはすでに恋人がいた。
次女の遥は叫ぶ。「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」
長女の真希は苛立つ。「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」
妻の恋人・蓬田は夜ごと彼女からの電話を待つ。「俺はまるで女子高生みたいだな」
そして妻の歌子は思い出す。夫との出会いの場所に咲き乱れていた花のことを。
家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作

                       (集英社HPより)




表題がインパクトあるけれど、話としては、ある園芸店を営む家族の物語で
あれやこれや問題はあるけれど、そんなに深刻ぶった風もなく
悲劇のような喜劇のようなお話だった。


ちょっと気の毒なのは、夫がイタリア女の元に行ってしまった後も
公私ともに、妻・歌子に寄り添ってきた園芸店従業員の蓬田。
恋人関係にあったのに、25年ぶりに飄々と戻ってきた夫の存在を一番
邪魔に感じていたのは彼でしょう。

最初こそ、今更戻ってきて!と怒っていた娘たち2人だったけど、
母親と一緒にいるところを見ても黙認。

次女の遥は、家を出ているけれど、不倫中。
でも相手の男の方から別れ話が出たり・・・。
父親のことを非難しながらも自身も似たようなことしてるわけで。。。



誰にも共感できないけれど、案外、同じ状況になったら、同じようなこと
しちゃうのが人間かもしれないなぁ~などと思ったりする。



表題の「百合中毒」は、園芸店に猫が百合の葉を齧って大変なことになったと
クレームを突きつけにきた夫婦に、夫婦の前で
その注意喚起をするポスターを皆で作成し店内何か所かに貼る。
夫婦が帰った後、ポスターは剥がすが、歌子の描いた百合中毒と書かれた
ドクロの絵のあるポスターのみレジそばに貼ったままにする。

家族の皆が、このポスターを日々眺めることに。。。


お客の子、ゆりちゃんがこのポスターの存在でちょっと気の毒だったな。



最後は、苦笑だったけどまあまあ面白かった。



                     ★★★


発行年月:2020年10月


この世に生を享け、大人になり、やがて老いるまでーー
ままならぬ心と体を描いた美しくも不穏な、極上の10の物語。
鏡に映る、顔のシミとポツポツ。
おそろいいのは、これは結果ではなく過程であるとしか思えないことだった。
「ママナラナイわね。お互いに」
斉藤尚弥は不動産会社に勤務する三十六歳。近頃、何もかもうまくいかない。
男性器も心も折れてしまい、おまけに仕事も絶不調ーー通称“川の家”と呼ばれる高台に
ある家に住む、夫婦への立ち退き交渉が難航していたのだ。
夫人によれば、立ち退きを強く拒否しているのは夫の方らしいのだが……。
夫人の協力を得て交渉を続けるうちに、やがて思いもよらない事実が判明しーー(表題作)。

                  (祥伝社HPより)



色々な年代の主人公たちが、ままならない状況に右往左往する様子が
面白かった。


表題作は最後まで読んで、この奥さん変な人~!!と思った。
振り回された感じの主人公だけど、まあ結果的には良かったじゃない?^m^



良かったのは、中2の男子が主人公の<約束>。
クラス対抗リレーのアンカーを渋々、引き受けて全くやる気なしだったのに
いざ本番になったら負けたくなくてがむしゃらに走り、3人抜いて1位でゴール。
一躍ヒーローに。
しかし、この人気を利用して生徒会長に立候補したらどうか?と好意を寄せる
女子を中心にした生徒たちに言われ、やる気はなかったのに、教師から
「おまえには生徒会長は無理。今の人気でなれるかもしれないが・・・
この際、副生徒会長に立候補するのはどうか?」と言われ腹が立ち、
そのことを選挙演説で暴露し、断固、教師のいうことは拒否すると。
盛り上がる生徒たち。


この後のことをあれこれ想像してしまう。


期待されると頑張っちゃう男の子が、かわいい!



表紙が、なんだか淫靡な雰囲気だったけど、内容的には、意外とあっさりで
面白かった。
この表紙の意図は何なんだ???



                      ★★★


発行年月:2020年3月


日常がサスペンスに変わる――「殺人者」の存在を知ったから。
秘密を抱え離島に移住した夫婦とその友人。やがて謎が解けたとき、
景色はがらりと反転する。極上の長編小説。

               (中央公論新社HPより)



東京のマンションから離島の家に引っ越す一組の夫婦と独身男性。

碇谷芳朗(76歳)・・・元骨董屋。テレビのお宝鑑定などで有名になった。
  蕗子(70歳)・・・芳朗の妻。浮気相手を殺害したと夫に思われている。
野呂晴夫(70歳)・・・元小説家。島ではエッセイ教室を開き、受講生の諸田小夜と
           親しい関係に。

仙崎みゆか・・・住み込みの家政婦として3人の食事などを中心に家事をする。
  宙太・・・小学1年生



島に移住したのは、第二の人生を離島で過ごすのもいいかもと野呂が言い出し
夫妻もその話に乗ったもの。
しかし、芳朗は、自分の愛人を殺した蕗子を守るためにもそれに賛同。
蕗子もその点の話には合わせて会話している。


実際、殺人はあったのか?よくわからないが、最初は、殺人を犯したものと
読み進めていくので、夫婦が、みゆかの旧姓(浅江)を知り、愛人の娘だと勘違い
して話が進みときは、どうなるんだ???とちょっとドキドキ。

愛人の名前は石川アサエだと蕗子の語りで知り、ホッとした。

ゆみかは、野呂が若い時に離婚してわかれた息子の妻だと知る。
宙太は野呂にとっては孫。
ゆみかの夫であり野呂の息子は、自死していて、野呂は自分に何かしてあげられる
ことはなかったのか?と悔やんでいる。


それぞれ、心に影を持っているけれど、芳朗は認知症で蕗子のことも妻だと
わからなくなっていく。
夫と愛人の子が役者になって、島に来た時も胸中は複雑だと思うけど
芳朗を責めるでもなく。
でも妻であるとわからなくなっている蕗子の妻を愛していたか?の問いに
答えた言葉で少し救われたのかもね。



70も過ぎれば、もう色々なことがどうでもよくなるのかな?
この島で、みなで平穏に暮らせたらそれはそれで幸せなのかも。

まあまあ面白かった。


                       ★★★
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
7 8 10 12 13
14 19 20
24 26 27
28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]