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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年7月

「夫を亡くした女だと、彼には言わないで」「私が忘れないかぎり、あなたはいるのよ」(実日子) 「私はこの男にほんの少し欲情している」「夫が死んでほしいと思っているの」(まり) 愛する夫を喪った女と、夫が大嫌いになった女。おいしい料理教室を舞台にしたふたりの“妻”の孤独と冒険の物語。

                (角川春樹事務所HPより)



ふたりの女性。
能海まり(38歳)・・・夫と二人暮らし。夫婦共に不動産鑑定士。まりは結婚後は
夫の秘書的役割。結婚してすぐのころは、幸せだったけれど、今は夫が嫌い。


園田実日子(38歳)・・・1年前に夫が病死。やっと前を向かなきゃと料理教室を
再開させる。

共通しているのは、夫がいないということ。
まりの場合は精神的な不在。

実日子の料理教室にお試しで通い始めたまり。
二人の会話のなかで、まりが「どっちが、かわいそうなのかな?」という。
こんなこと言うまりには嫌悪感。
実日子は、可愛そうな人ではないと思う。

愛する夫を亡くし、まだ完全に立ち直れてはいないけれど、それを支えてくれる
アシスタントのゆかりや、ゆかりの弟・勇介が近くにいる。
亡くなった夫の両親とも良い関係。
実日子は愛される人なんだなぁ~と思う。


反対に、まりは、夫のことが嫌いで死んでほしいと思っているなんて、口に出して
他の人に言うって、本当にかわいそうな人。
マッチングアプリで知り合った星野と良好な関係を築くのも、まあありかな?
と思っていたら、星野をも傷つける。
なんて身勝手な人なんだろう。
これじゃ、誰からも愛されないと思う。


実日子には幸せになって欲しいと強く思った!


ささ~っと読めて、面白かった。


                      ★★★
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発行年月:2019年11月

有夢と瑤子と海は幼馴染みの仲良し三人組。中学の合格祝いに買ってもらった自転車もお揃い、大好きなミュージシャンも同じリンド・リンディ。楽しいことはいつでも、三人一緒のはずだった。クラスであれが始まるまでは――。傷ついて、裏切って、追い出して、追い詰められて。少女たちの切実で繊細な魂にそっと寄り添う物語。

                   (新潮社HPより)


いじめの話。
中学生になって私立の女子中学に進学した幼馴染の3人。
ボス的存在のルエカに逆らった海はとたんにクラスから浮いた存在に。

ああ、くだらない。
でも、こういうことどこにもありそう。

虐める側の子どもって、結局、自分が満たされた環境に居ないんだなぁ~。
そう考えると、ルエカにもちょっと同情心が生まれるけど
誰かを自分のうっ憤の吐け口にするって駄目だよな~。


それより、海の母親が勤務する高齢者専用マンションでのいじめみたいな
話の方が気になった。
どこにでも何歳になっても、こんなことあるんだなと嫌になる。

でもこのおばあさん、素敵だと思う。
自立しているし前向き。


物語の終盤は、あっけなく希望を含んだものになっている。
夢が実現して皆でペルーもありなのか?

陰湿さが度を越していなかったから、まあまあ最後まで読めたけど
あまり面白くはなかったな(^^ゞ


                      ★★★




発行年月:2019年2月


 瀬戸内寂聴さん推薦
モデルに書かれた私が読み 傑作だと、感動した名作!!

作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった。五歳の娘が将来小説家になることを信じて疑わなかった亡き父の魂は、この小説の誕生を誰よりも深い喜びを持って迎えたことだろう。作者の母も父に劣らない文学的才能の持主だった。作者の未来は、いっそうの輝きにみちている。百も千もおめでとう。――瀬戸内寂聴


人気作家の長内みはるは、講演旅行をきっかけに戦後派を代表する作家・白木篤郎と男女の関係になる。
一方、白木の妻である笙子は、夫の手あたり次第とも言える女性との淫行を黙認、夫婦として平穏な生活を保っていた。
だが、みはるにとって白木は肉体の関係だけに終わらず、<書くこと>による繋がりを深めることで、かけがえのない存在となっていく。
二人のあいだを行き来する白木だが、度を越した女性との交わりは止まることがない。
白木=鬼を通じて響き合う二人は、どこにたどりつくのか――。

父・井上光晴と母、そして瀬戸内寂聴の<特別な関係>に、はじめて光をあてた正真正銘の問題作にして、満を持して放つ著者の最高傑作!

                     (朝日新聞出版HPより)




読む前から結構、話題にはなっていました!
父親の不倫相手が瀬戸内寂聴さんで、そのことを書いた物語というんだから・・・

でも、全然、ドロドロしていない。
なんだか清々しい気持ちで読み終えた。


作家・白木篤郎とその妻・笙子。
篤郎の愛人・長内みはる。

それぞれの語りで物語は進む。

白木篤郎の妻・笙子に一番、共感するものがあった。
夫の女性関係に気づいても慌てず騒がず、平常のまま日々をやりくりする。
実際の心の中はどうだったのか?
文章を読む限りは、そんなにいらだったり不安がったりもしていない様子だけど。


一度だけ、篤郎のガンがわかる前に感情をむき出しにした時があったけど
夫が病気で弱ってからは、再び寄り添い支えた。
ガンにならなかったら、なにか変ったかもしれない。


寂聴さんが出家した原因は、著者の父親とのことを終わりにする目的も
あったんだと知って、ビックリ!

でも寂聴さんと著者との関係は、なんだか温かいものを感じるし
亡くなったご両親も、この小説を読んだら喜んでくれそう。


荒野さん、やはり素敵な作家さんだなぁ~。
益々、好きになりました!!


                        ★★★★★



発行年月:2018年5月


定年後の誤算。

一人の青年の出現で揺らぎはじめる夫婦の日常――。
「老いゆく者」の心境に迫る、著者の新境地!

趣味のクロスバイクを楽しみながら、 定年後の穏やかな日々を過ごす昌平とゆり子。ある日、昌平が交通事故で骨折し、 「家事手伝い」の青年・一樹が通うようになる。 息子のように頼もしく思っていたが、ゆり子は、家の中の異変に気づく......

                 (毎日新聞出版HPより)


表題から想像して、嫌な話かなぁ~?と予測。
まあ、ちょっと嫌な話だった。

ふとしたきっかけで知り合った青年・石川一樹(26歳)。
怪我で入院した昌平(72歳)のリハビリ通い&家事手伝いにと
一樹をアルバイトとして雇う。
そんなある日、ゆり子は、ふとした疑問を抱く。

大切にしていたブレスレットが無くなる。
置いたはずのところになく、何処を探しても見つからず、そのうち指輪も
紛失する。
そして昌平の時計も・・・・。


一樹は、真面目で良い青年という風ではない。
でも優しいところはあり、夫婦のことを嫌いなわけではない。
青年と老夫婦の関係も良い感じにみえる。

ただ悪い友達がいて、その言葉に一樹も従ってしまうのが、いかん!


でも、老夫婦は、正しい人たちだった。

結果、夫婦の絆は深まったみたいだし、この先の生活も二人で
それなりに楽しく送っていけそうで良かった。


もっと悪い展開になるかと、ドキドキしながら読んだけど
ホッとした気持ちで読み終えられて良かった。


                    ★★★




発行年月:2017年6月


 歌謡曲の世界が、いま小説として甦る

昭和を彩る歌謡曲を題材に生れた小説たち。「時の過ぎゆくままに」「小指の想い出」など名曲が鮮やかに甦る珠玉の短編集。

                    (文藝春秋HPより)



・人妻ブルース
・時の過ぎゆくままに
・小指の思い出
・東京砂漠
・ジュニィへの伝言
・あなたならどうする
・古い日記
・歌いたいの
・うそ
・サルビアの花


昭和の歌謡曲の哀愁漂うかんじが、どの物語にもあって良かった。

人妻ブルースは、詩のように、毒を含む言い回しが面白い。

その後は短編。

時のすぎゆくままにが最初だからか、印象に残った。
それぞれの妻と夫が重篤な病気で、その見舞いに来た者同士がお互い何となく
男女の関係に。
この後、二人はどうなるんだろ?
本当に好きでというわけではなく、誰か居ないと自分が壊れてしまいそうという
同じような状況から求め合った二人の、なんとも哀しく切ない感じが読んでいて
苦しかったけど、全部読んだら、一番物語といては好きかも。

表題の<あなたならどうする>は
夫と9歳の息子の元から飛び出した女性の話。
トラックで野菜やらを売りに来ていた男の助手席に乗って
ベニバナ栽培をして、その集めた花で染めた布を加工して商品にして
利益を得ている集団のなかで生活することになる。

なんだか、こんな話、どこかでも読んだなぁ~


それぞれの男女は、なんだか幸薄そう。

そんななか最後の<サルビアの花>は、なんだか明るい主人公男性に救われる
感じだったな。


なかなか面白いな、こういうの。


                          ★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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