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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年7月


 タリウム、サリン、そして砒素――。「毒」はなぜ、人の心を闇の世界に引きずり込むのか?

悲劇は、夏祭りから始まった――。多くの犠牲者を出した砒素中毒事件。地元の刑事の要請を受け、ひとりの医師が、九州からその地へと向かった。医師と刑事は地を這うように、真実へと近づいていくが――。「毒」とは何か、「罪」とは何か。現役医師の著者が、実在の事件を題材に描いた「怒り」と「鎮魂」の医学ミステリー。

                   (新潮社HPより)




1998年7月25日に起きた和歌山県の毒カレー事件について書かれた物語でした。

記憶にもはっきりある惨い事件でした。
町内恒例の夏祭りで、ふるまわれたカレーに砒素を混入させて
4名の死者と60名以上の被害者を出した事件。
捜査が進み、逮捕されたのは、そのカレーを当日、交代で番をした主婦。
物語では、小林真須美被告ですが、実際は林 真須美。


物語では、カレー事件の犯人は、砒素を保有していた夫婦ではないか?と
早くから容疑が固まり、その裏づけ捜査の様子が詳しく書かれていました。

そもそも、そんなに沢山の人を対象にした理由は?と疑問でした。
町内の人間関係のトラブル?
事件の真相を追ううちに明らかになってきたことに驚愕!

カレー事件の前から、砒素中毒の被害者が犯人の身近なところに居たんですね!
真須美の夫・憲二は、被疑者でありながらも被害者という矛盾が疑問でしたが
その辺のところも少しわかり、何とも普通では考えられない夫婦。
お金のためなら、ここまでやるのか?


そして、カレー事件で被害を受けた方たちは、本当に落ち度のない標的に
なってしまったということに強い怒りを感じました。

物語では、カレー事件の他に、
過去の対戦時で各国が使った科学兵器についてや、1995年の地下鉄サリン事件
などにも触れていました。

541頁の長い長い物語。
専門用語も多いので読み進むのに時間がかかりましたが、勉強になりました。

著者も多くの文献や取材を重ねての執筆だったでしょう。
医師だからこそここまでの物が描けたと思います。


事件は2009年5月に最高裁で犯人の林 真須美に死刑確定していますが
本人は未だに無実を訴えているとか。
う~ん。
二人の子どもたちももう成人しているでしょうけど、どういう心境なんだろ?

お金に取りつかれた人って恐ろしい。




                        ★★★★★
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発行年月:2014年8月

幕府に翻弄される庄屋、圧政に苦しむ百姓、身命を賭して民を守る名君。
九州・久留米藩を舞台に、大庄屋の次男・庄十郎が医師を志す成長物語。
名も無き人々への慈愛に満ちた渾身の長編小説。

                 (集英社HPより)



農村が舞台の物語で、歴史上の著名人の登場はなく、地味な物語。
最初は読み進むのに難儀しました。
が・・・・読み続けていくと次第にそこに居る人々の暮らしが
どうなっていくのか気になり読むスピードも上がりました。

主人公の高松庄十郎は、大庄屋の家の次男として生まれた。
父の孫市は、農民の気持ちを汲んで苦しい暮らしを訴える農民の要求を藩に
認めさせるため奔走した。
そして同じように働いた御家老・稲次因幡。
しかし、藩に背くものは邪魔者として稲次は処罰を受ける。

その稲次の家を父と訪ねたときに目にした掛け軸の文字
<天に星、地に花、人に慈愛>の言葉が庄十郎の心に強く残る。
そして、疱瘡に掛り命を落とす手前をは助けてくれた医師・鎮水の元で医術を学ぶため
家から離れる。
庄十郎の疱瘡は母にも移り、母は命を落とし、そのことがあってか、兄とは
わだかまりが出来たままの故郷を後にする。


時代は飢饉が起き、農民たちがそれでもなお、年貢を納めなければならないという
苦しいときが背景にあり、飢えで亡くなる人たちの様子は本当に惨くて
読むのが辛くなった。

そして、そんな農民から年貢を取り立てなければならない大庄屋の人たちの苦悩も
描かれていて、本当に辛い場面ばかり。

農民がたまらず一揆を起こすのも当然の成り行きで、その怒りの矛先を受けた
大庄屋の悲劇も何とも惨い。

一番責められるべき者はもっと上のものでしょうけれど・・・。

こんなに辛いことばかりの物語のなかでも、主人公・庄十郎が医師として
働く姿を読める場面には感動があり、それがあるから読み終えらかも。

しかし、生きるためにこんな困難を強いられた時代があったということを
学べたことも良かったかも。


                        ★★★★★



発行年月:2013年8月


 他人の顔を移植されたら、心は「自分」のままでいられるのだろうか?

交通事故によって脳死となった親友の顔が、大火傷を負った私の顔に移された。彼女の家族は、恋人は、私の親は、そして私は、これまでと同じように、暮らしていけるだろうか? 「顔移植」の可能性と抱える問題点について、医師であり作家である著者が、短編、戯曲、詳細な解説、と縦横無尽に語り尽くした類書なき作品集。

                    (新潮社HPより)


顔の移植手術を受けることになった2人の女性の話を別々に。

<顔のない顔>
アルコール中毒の夫から猟銃で撃たれ顔が粉砕した主婦。
夫は、裁判で殺人未遂の罪で8年の禁固刑が確定する。
離婚も成立し、事件後1年半で職場復帰する。手術の跡も生々しいが
恥じることはないと生活していた。
そして、7年半後、医師の勧めで顔の移植手術を受ける。


<移された顔>
看護師のユミは、職場の医師・リョウを友人のリナに紹介し、二人は恋人同士になる。
そしてユミの2人と共に出かけることが多かった。
ある日、3人で車に乗っているとき、事故を起こし
リナは脳死状態。ユミは顔面を広範囲に重度の火傷で覆われる。
リナの両親の希望と、医師の説得もあり、悩んだ末、リナの顔を移植する手術を受ける
ことに決めたユミ。


2人とも壮絶な人生を歩むことになったわけですが、
二番目のユミの方が、抱えるものがより多かった気がする。
親友の顔を持つことになった気持ち。
想像しようと思っても、なかなか想像し得ない。

しかし、医療の発展はすごいな。
あとがきで、医師である著者が、実際の顔面移植手術の歴史を語りながら
今後の課題(医療現場、法律など)について語っていました。

いろいろと考えさせられる書でした。


                        ★★★★
61pswr4prmL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年6月


はるか昔、倭国の平和のために海を越え大陸をめざした人々がいた。それは、失われた歴史をつむぐ朝貢の旅。
いまにつながる、この国のはじまり。
日本人のルーツを壮大なスケールで描く、書き下ろし歴史ロマン小説

使譯(しえき/通訳)一族に伝わる四つの教えが、国を和の心へと導く――。
●人を裏切らない。 約束は守り、恩や親切を受けたならば、返さなければならない。
●人を恨まず、戦いを挑まない。 恨んで戦うと、天の恵みが受けられなくなる。
●良い習慣は才能を超える。 絶え間ない良い習慣があれば、才能など何の重みもない。
●骨休めは仕事と仕事の転換にある。 仕事の中味を変えるのが、骨休めなのだ。


                                         (講談社HPより)


舞台は邪馬台国でしょうが・・・微妙に設定を変えて帚木さん独自の邪馬台国の話として成り立っていたかんじでした。
主人公は、日御子(卑弥呼)ではなく、代々、他国(漢)のことばを学び子から孫へと教えを受け継いでいく一族たち。
灰、圧、針、江女、朱、炎女、在、銘、治。
言葉の勉強とと共に大事な掟も守り抜き、それが国の和平にも繋がっていく。

一族は、遠い昔は漢の国から辿り着いたという。
そして弥魔大国(邪馬台国)を北九州北部に設定している。
実際の邪馬台国はどこにあったのか?歴史家たちの間でも諸説あるそうですが、この物語を読んでいると
この物語の通りでも違和感はないな・・・と思えた。


邪馬台国、卑弥呼・・・は学校の歴史で習ってはいるけれど、こうして物語で読むと、まだ日本の国内のなかに幾つも国があり、それぞれ王がいて、争いを繰り返していた時代に、平和な国づくりをするために努力した卑弥呼の偉大さを知ることが出来た。

読み応え十分の歴史ロマンでした!!


                                      ★★★★★

 
517ouxWnVRL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年11月


もう二度と、祖国の地を踏むことはできないのだろうか――。

将官の精神鑑定を行った「私」も、密林を彷徨い逃げる「私」も、抑留され疑心に囚われた「私」も、元はただの医学生だった。マニラ、ラバウル、ビルマ、ニューギニア、そしてシベリア――。故郷から遠く離れた戦地で、若き十五人の軍医たちが見た「あの戦争」の深遠なる真実。現役医師の著者、入魂の「戦争黙示録」ここに堂堂完結!

                                           (新潮社HPより)


前作「蠅の帝国 軍医たちの黙示録」と同じように、戦地で軍医として働いた人たちの物語。

著者のあとがきにもあるように・・
北は満州・樺太・アリュ-シャン列島、南はインドネシア、東はマレ-シャル諸島・ギルバ-ト諸島・ソロモン諸島、西は中国・ビルマとあちらこちらの場所で、壮絶な戦闘が繰り広げられ、どこの場所でも死力を尽くして戦う兵士の傍らで、おなじように命の危険にさらされながら、傷ついた兵士の救護、治療に奔走する軍医たちの姿には感動した。
こんな過酷な目に遭うために医師になったのではないだろうに・・・こういう時代においてはそれも自らに課せられた勤めと思うしかなかったのだろう。

戦争は、やはり無意味なものだと、つくづく思う。

巻末の参考資料の莫大な数に驚いた!

今回も読み応え十分でした!



★★★★★


 
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