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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年8月


同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている三人。4歳の娘を育てるシングルマザー――朱音。朱音と同じ保育園に娘を預ける専業主婦――莉子。マンション管理会社勤務の独身――園田。いじめ、モラハラ夫、母親の支配。心の傷は、恨みとなり、やがて……。2023年本屋大賞ノミネート、最旬の注目度No.1作家最新長篇。

                   (新潮社HPより)




中学時代、いじめを受けていた園田 律。
暴力を振るわれたとかではないけれど、中原大樹のことがずっと忘れられず
「あいつを殺してから死のう」とまで思いつめる。

園田と偶然、会った佐々木朱音。夫とは離婚前提で別居し、4歳の娘・鈴音と
暮らしている。

中原大樹の妻・莉子は、中学時代の同級生・大樹と結婚したが
いつも自分を見下しているような大樹の態度が許せなくなってきている。


園田、朱音、莉子。
同じ街に暮らし、接点も。

それぞれが接していくうちに、少しずつ、自分の気持ちが変化していく。

自分に不の感情しか与えない人とは、離れるべきだな。


最後、園田の姪・かんなと、朱音の娘・鈴音、莉子の娘・芽愛が
仲良く下校する様子が微笑ましかった。
重たい話が少し軽くなって、良いラストだった。



                     ★★★★
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発行年月:2023年2月


良い子は天国へ行く。悪い子はどこへでも行ける。
行き場のない母子を守る「のばらのいえ」は、大学のボランティア活動で知り合った志道さんと実奈子さんが、「かわいそうな子どもを救いたい」と理想を掲げ同志となって立ち上げ運営する家。そこに暮らす祐希は、束縛され未来のない現実から高校卒業と同時に逃げ出した。十年後のある日、志道さんが突然迎えに来る。しらゆきちゃん、べにばらちゃんと呼ばれ、幼少のころから一心同体だった紘果を置いてきたことをずっと後悔してきた祐希は、二度と帰らないと出てきた「のばらのいえ」に戻る決意をするが――。

                   (幻冬舎HPより)




6歳の時、両親が育児出来ない状況になり、父のいとこの娘・実奈子と

その夫・志道の元で暮らし始める祐希。
夫婦はボランティア目的で母親とその子どもの避難所的な住処を提供。
そして、ある日、祐希と同い年の紘果と11歳の保の兄妹が、子どもだけで来て
実奈子と志道は、新しい家族だと一緒に暮らし始める。


6歳では、保護者が居ないと生活できないから、幼い祐希には、実奈子と志道の
存在は生きていくためには必要だった。
でも、彼らは次第に祐希を都合よく利用していく。
保は精神が安定せず、接し方が難しいが、祐希に対しては逆らわないので
余計、祐希の負担が増えていく。
心の中にある不満もなんとか我慢して生活している祐希に、
担任になった春日先生の存在が救いになる。
祐希の内面に抱えているものを理解し、高校卒業と同時に
自由になる手助けをする。

必要最小限の手助け。
だけど、それが祐希が生きる力になる。

10年後、住んでいたアバートが火事になり、焼け出されたところに
志道が来て、また「のばらのいえ」に戻ることを勧められ、行き場もないので
それに従い、再会した紘果に接しながら、10年間に「のばらのいえ」で
起きたことを知っていくうち、紘果も連れだすことを決心。
紘果もよく頑張った!

最後まで、どうなる?と心配だったけれど
寺地さんの物語ならきっと希望で終わるはず!と信じて読んで良かった。


しかし、志道のような人は厄介だな。
一見、優しく保護してくれている様でも実は子どもたちを縛り付けていた
わけだから。。。

高校の同級生で、志道の兄の息子・英輔の存在も祐希たちにとっては
有難かった。

色々と助けてくれる人の存在があって、良かった。
こんな状況に置かれた子どもが居ることに世の中の大人たちは
気づいてあげないといけないな。



                     ★★★




発行年月:2022年10月


カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。

                 (双葉社HPより)



人の本当の姿を知るのには、時間がかかるのかもなぁ~と思った。
長く付き合っても本質を理解できない人もいるけれど・・・


原田清瀬が、恋人の松木圭太が意識不明で病院に搬送されたと聞き、動揺。
持っていた圭太の部屋の鍵で室内に入り、1冊のノートや女性宛ての
手紙を見つける。

圭太と一緒に同じような状態で病院に搬送された岩井樹は、親友で二人は
喧嘩して怪我をしたと現場を見ていたという女性・菅井天音(まお)が言う。
二人は小学校時代からの親友同士。
いったい何があったのか???


真相は段々、わかる。
圭太も樹も優しい人。

圭太が両親から大事にされていないというのは何で?と疑問。
清瀬が連絡しても母親は「あのことはもう関係ない」と冷たく突き放すのは
理解できなかった。
そういう人もいるのかな?
自分の思い通りに育たない子は排除?
圭太の本当の姿を親が全く理解していないのは、ショック。

樹もただ「頭のわるいこ」と親に思われているし・・・

でも、圭太と樹は、お互いの本質をよく理解している。
こういう理解者がそばにいてくれるのは心強いだろうな。

二人は、何があっても変わらず良き理解者であり続けるだろう。
二人が意識を取り戻し、日常生活に戻れて本当に良かった!!

物語のなかに出てくる物語の一文
『川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。』
は心に残る言葉だな。


ADHDとか識字障害とかも出て来て、色々考えさせられることもあった。
良い物語を読んだ。


                    ★★★★★



発行年月:2022年6月


僕の祖父には、秘密があった。
終戦後と現在、ふたつの時代を「カレー」がつなぐ
絶品“からうま”長編小説
ゴミ屋敷のような家で祖父・義景と暮らすことになった孫息子・桐矢。
カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは――
ラスト、心の底から感動が広がる傑作の誕生です。

                   (実業之日本社HPより)


25歳の桐矢は、渋々、おじいちゃんと同居を始めることに。
おじいちゃんの名前は、小山田義景83歳。
声が大きく、がさつで桐矢の母親・俊子の妹たち(誠子、美海子)や孫(七海、ミクル)
皆から少し疎まれる存在。
俊子が9歳のとき、母親が出て行き、姉妹は協力して家事をこなしながら

生活。誰も以後の母親とは会っていない。


一人暮らしが心配だという娘たちの意見にも耳を貸さない義景が

桐矢となら一緒に暮らしてもいいと言ったことから同居に・・・。

桐矢も祖父のことが好きではなかったけれど、同居をするなかで
少しずつ祖父の不器用だけどちゃんと、優しい心も持っていると感じる。


カレーは、義景が18歳で村を出て勤めたピース食品で作っていたレトルトカレーを
こよなく愛しているため、沢山買いだめされているもの。
2人で少しアレンジしながら作るカレーを食べる場面が微笑ましい。

義景の生い立ちもなかなかハード。
親に捨てられ、親戚の元をたらいまわしにされて毎日、それぞれの家では
全く可愛がられず、日々空腹だった。
ある日、食べるものを盗もうと入った掘っ立て小屋で、その住人に見つかるが
男は怒らず、食べ物を与えてくれて、いつか今度は誰かお腹を空かせている者に
与えてあげてと言われたことを、ずっと忘れず生きてきた。



最後の場面は、皆がそろって義景の話をあれこれしている。
自分のことを覚えていてくれる家族がいるって幸せなこと。

義景は、十分、懸命に生き抜いたんだな。
おつかれさまでしたと言ってあげたい。



                       ★★★★



発行年月:2022年2月


人知れず抱えている居心地の悪さや寂しさ。
そんな感情に寄り添い、ふと心が軽くなる瞬間を鮮やかに掬い取る。
注目の著者が放つ七篇。
「コードネームは保留」
楽器店で働く優香は、人知れず“殺し屋”の設定を生きることで、
味気ない日々をこなしていた。
「タイムマシンに乗れないぼくたち」
新しい街に馴染めない「ぼく」は、太古の生物が好きで、博物館が唯一落ち着く場所だった。
ある日、博物館で“現実逃避”をしているスーツ姿の男性と出会い――
「深く息を吸って、」
息をひそめるように日々を過ごすかつての「きみ」に、私は語りかける。
「対岸の叔父」
町いちばんの変わり者、それがぼくの叔父さんだった。
孤独と「戦う」わけではなく、また「乗り越える」でもなく、
仲良く手を繋いでとまではいかないけれども、
孤独とちょうどよい距離を保ちながらともに生きていこうとするような、
そういう人びとの物語を書きました。
――寺地はるな

                    (文藝春秋HPより)


7つの短編集。
それぞれの主人公たちに共通しているのは、今いる環境にちょっとうまく
馴染めていないということ。

こういう人たち、結構、いると思う。
他人からは、そう見えなくても、自分のなかでそう感じている人は多いと思う。

誰も少なからず、彼らのような気持ちを抱えながら、生きている。
そんななかでも、ちょっとしたことで、少しだけ前を向けたり、気持ちが
明るくなったりする話。


寺地さんの物語は、いつも優しい。



                        ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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