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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年12月


現代の赤ひげ先生がメスを入れるのは、病気でこじれた人間関係!怪しげな健康情報が身の回りにあふれている現在だからこそ、彼のような医者が必要だ!
東京郊外にある古びた洋館。
そこには先端科学では治せない患者と家族の「人生」を治療する名医がいる。
凄腕、イケメンだけど、ちょっと変わり者。
怪しげなサプリにはまる母。
仕事のストレスで血圧が上がった息子。
民間治療に心酔した妻・・・・。
そんな患者を持つ家族たちはどうしたらいいのか。
マドレーヌと紅茶の香る古い洋館の診察室を訪れた患者と家族は、倫太郎と話をするうちに、隠していた心の内を打ち明けてしまう・・・。
 
«「検査をして、病名をつけ、薬を処方したり手術を勧める。それはそれで必要なことだけど、それだけは足りない」
病気ではなくて、人と向き合いたいと倫太郎は言う。
「患者さんの中には、頭が固くて困った人もいる。滑稽なほどの心配症もいる。そして家族の方も患者さんとどう接したらいいか悩みを抱えているケースも多い。でも、みんな真剣だ。そういう人たちと、正面から向き合って話しているうちに、いろんなものが見えてくる。その積み重ねが、医者としての財産になると僕は思ってる。〈略〉」»
(本文より)
 
ヒリヒリするような医療サスペンスを数多く執筆してきた仙川 環の新境地。
本作では、患者と家族の〝わだかまり〟を解きほぐす規格外の医師を主人公に据え、心あたたまる人間ドラマを描き出しました。
患者やその家族に必要な情報とはなにか。
考え方や生き方が凝り固まった人たちに、どのようなアプローチを取ったらいいのか。
あ、これ私のことかも、ちょっと〇〇さんっぽい・・・など、身近に感じるエピソード満載です。
 
「怪しげな健康法、民間療法を信じ、実践している人に、『それは似非医学だ』、『害があるかもしれない』と伝えても、納得してもらうのは難しい。険悪な雰囲気になることすらある。
そんな経験を繰り返すうちに、ようやく分かってきた。こちら側が『正しい情報を理解させよう』と力めば力むほど、相手は頑なになっていく。『北風と太陽』の寓話の通りなのだ。 『処方箋のないクリニック』の主人公である青島倫太郎医師は、そのあたりのことを誰よりよく分かっている。だから、病院嫌いだったり、おかしな情報に振り回されたりしている患者や家族に対して、決して上から目線で意見をしない。いつでもフランクで朗らかだ。だからこそ、相手は彼の話に素直に耳を傾ける気になる。
季節を問わずハーフパンツを愛用していたり、スイーツ好きだったりと、変わり者ではあるけれど、こんな医師が身近にいたら、どれほど心強いだろう。玉石混交の医療・健康情報が、身の回りにあふれている現在、彼のような医師が必要だとも思っている」
(著者)
 
書店員さん絶賛!
「こんな先生に診てもらいたい!」――コメリ書房鈴鹿店・森田洋子さん
「シリーズ化をお願いします!」――文真堂書店ビバモール本庄店・山本智子さん
 
〈目次〉
もみじドライバー
サプリ教信者
総合内科 本日開院
理想のパートナー
血圧陰謀論
奇跡のメソッド


                  (小学館HPより)



医療系の作品をいつも書いている著者だけど、いつもシリアスで
重めだったのに、これは明るい。
いい。こういうのもいい。


主人公の医師・青島倫太郎は、内科の医師だけど、かなり優秀らしい。
けれど、服装といい、雰囲気といい、そんな風には全く感じない。

弟に青島総合病院の理事長の座を譲り、自身は、その敷地内にある
廃屋同然の建物内で、総合内科の看板を掲げて診療している。
ただし、受診料は、初回は1000円でその後は、実費。
儲けるためではなく、そうしないと経営が成り立たないから。

処方箋はなし。
患者さんの問題点を見つけ、本来の健康を取り戻すように導いていく。


何らかの問題を抱えていた人たちが、倫太郎先生と関わることで
変わっていく様子が痛快。


看護師のミカとのコンビも絶妙。

青島総合病院内で、診察が出来る日が来るといいのにな~。


続編あるかな?
これ1冊だけで終わるのは惜しい。



                     ★★★★
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発行年月:2014年11月


 マラリア、狂犬病、鳥インフルエンザ――
海外から襲いくる感染症に、検疫官・西條亜矢が体を張って立ち向かう。
衝撃の医療サスペンス!

                   (PHP文庫HPより)




空港内にある検疫所分室。

そこで海外から侵入しようとする感染源を食い止めるために働く検察官たちの
奮闘ぶりが描かれている。

医師の西條亜矢(37歳)が、ボス。
その部下で配属されたばかりの新人看護師の東出祐助。
医大で感染症教室助教授を務める瓦田平太郎は、亜矢の大学時代の同級生。
ほかには、新聞記者で感染症担当の下田雄史などが主な登場人物。


4つの章でそれぞれ、マラリア、炭疽菌、狂犬病、鳥インフルエンザの感染拡大を
水際で阻止する亜矢たちの様子が描かれている。

亜矢の政府の隠蔽工作を嫌い、独断で大胆な封じこめを行う様子はスカッとする。
同じ現場に居たら、やや厄介な人物だけれど、こういう方法でも
結果的に感染拡大を封じこめたという成果が得られるのなら止む終えないでしょう。


著者の作品は、社会に警告する内容が多いので、反論もあるかも?
ですが、これからもこんな作品を読ませて欲しい。

思ったより看護師の青山君の活躍が少なかったなぁ~。
続編もありそうなので、もう少し青山くんの出番があるといいと期待。


いつも思うのですが・・・仙川さんの本の表紙ちょっとリアルで怖いです^^;


                            ★★★



発行年月:2014年9月


 食品の安全神話を深くえぐる問題作登場!

天使の卵か悪魔の卵か……。
吉祥寺にある有名自然食品店で売られている卵は、極上の味、『極卵(ごくらん)』と呼ばれて大人気の商品だった。しかし、この極卵を原因とする、食中毒事件が発生。時間がたつうちに幼児の感染者が次々に死亡していく。餌、衛生管理は完璧だったはずなのになぜ汚染されたのか。
疑惑を追い始めた元新聞記者の瀬島桐子。桐子の同級生だった野々市純子の長男も中毒患者のひとりに。純子はカリスママダムといわれブログ上では著名な存在だった。被害が拡大していくなか、過激なまでに業者を糾弾していくモンスター消費者の広告塔に祭り上げられる純子。話題性抜群と、事件を煽る新聞、テレビメディア各社。そして事件の裏には遺伝子組み換え食品を手がける大企業の影が……。
偽装食品、遺伝子組み換え食品など時代を揺るがす事件が多発する現在、食品の安全とは何かを鋭くえぐる社会派ミステリーの登場。「これは、私の最高傑作」と言い切る医療ミステリーの旗手仙川環が二年に渡って執筆した傑作書き下ろし作品。

                      (小学館HPより)




食の安全について考えさせられる物語でした。

リアルで、実際に起きても不思議じゃない話。

体に良い物を子どもには食べさせたいと思う親は多いんでしょうが、
あまり神経質になるのもね・・・・。

今回の食品は「卵」。
生で卵を食べるのは日本人くらいらしいけれど、逆に言えば、それだけ徹底した衛生管理が
なされているからとも言える。
しかし、今回は、それが故意に崩された結果、起きた悲劇。

食中毒で亡くなった人も出たけれど、それ以外でも自己の責任を感じて
自ら命を絶った人も出て、なんだかすごい話だった。


仙川さんの医療ミステリーはいつも楽しく読ませて貰っていますが
今回のは少し違った角度から、わたしたちに問題提起したかんじ。

風評とかに惑わされず、自身の知識を高めて判断しないといけないな~。


スピード感ある展開で、一気読みさせてくれるのは、さすがだな。


                            ★★★★





発行年月:2014年6月

特ダネか、倫理か――再生医療の闇を暴くメディカル・サスペンス!

若手新聞記者の長谷部友美は、地方支局に飛ばされて腐っていた。本社異動のためのネタを掴もうと、市内の病院の赤ちゃんポストを張り込み続け、とうとう赤ん坊連れの女を発見する。しかしそれは、子どもなどいないはずの知人の姿だった――超先端医療と母親の切なる願い、そして記者のプライドが火花を散らす医療ミステリ。

                     (新潮社HPより)





新聞記者の長谷部友美が赤ちゃんポストの記事を書こうと市内にある全国2例目の

赤ちゃんポスト開設の病院に張り込みをする。
そこで見た赤ちゃんを連れた女性・石葉宏子は、時々、飲みに行くバーで働いていた
女性だった。
そして、バーナカジマを訪れマスターの中島から石葉宏子を探して欲しいと頼まれる。

記者として、知人として宏子を探す友美。
探すうちにわかってくる真実。

彼女は以前、結婚していて、息子を残し家を出ている。
彼女の使っていた携帯の履歴から複数の男性と出会い系サイトで知り合い、
それぞれと関係を持っていた。

宏子の自堕落的な行動には、意味があった!
残してきた一人息子のため。


医療は日々進歩していて、今回は、胎児細胞移植に絡んだ話。
中絶により命を絶たれた胎児の細胞を病気で苦しむ子供の治療に利用するという話。

中絶された児の命もひとつの大切な命だと考えると、この治療は倫理的には
どうだろう?

宏子のとった行動は、狂気にも思えるけれど、母親の立場で考えると批判する
気持ちにもなれない。
う~ん、難しい問題だ。


仙川さんの小説は、いつも考えさせられる。

医療従事者だった経験も記者だった経験も両方活かされた作品だったと思う。


                            ★★★★
 
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発行年月:2012年10月


関西の山奥の集落で、新型と思われる強毒性の鳥インフルエンザが発生した。一人、また一人と犠牲者が出る。医療チームが派遣されるが、感染経路をつかめないどころか、都市への感染拡大を恐れ、集落から出る唯一の道が警察の手で封鎖された。このまま自分たちは見殺しにされるのか……。
「明日現実に起こるかもしれない恐怖」を医療サスペンスの第一人者が渾身の力で描く衝撃のヒューマン・ドラマ!


                                            (徳間書店HPより)


表題どおりの封鎖された、とある集落。
強い毒性を持つ病原菌により、次々と悲惨な死を迎える人たち。
住民たちのなかには、パニックを起こす者も。
いつ自分も犠牲になるかわかならい状況のなかで、右往左往。
一家揃って、車で強行突破を図ろうとする者がいる反面、亡くなった人はキチンと葬ってあげなければ・・・と自分が犠牲になるのを覚悟で、遺体の焼却を任せてほしいと申し出る高齢者もあり。

そんななか、集落の医師・新島は、看護師・静香とともにほかの地にいる知り合いの医師に真相究明を依頼する。
国立研究機関室長の女医・紺野がその助けをする。
集落に足を運び、現状を視察。

そして、国際的にも新型インフルエンザ対策で有名な医師・松下が率いる医療チ-ムも派遣されてくる。

封鎖され見捨てられた感じだった集落の住民は、少し安心するが・・・・

松下医師の下した対策は、究極の策だった!
紺野医師の起こした行動も凄い。


それぞれの医師の立場で、行う行動は、どれもその立場に自分がなったら?と考えたら
真っ当なものなのかも。
医師たちの心の葛藤を想像すると辛い。

生き延びた看護師・静香が今後、この経験を活かし、辛いけれど意義ある仕事に進んでいこうと
する姿にはエ-ルを送りたい!
 

似たような話は過去にも読んだけれど、最初から最後まで引き込まれるように読んだ。


★★★★
                                  

 
 
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