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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年10月


ついに封印を解かれたのは、著者初の「ノワール小説集」。嗜虐と背徳によって黒く塗りこめられた、全6作品を収録する衝撃作!
深海魚 Secret Sanctuary
高校生の真央は友だちも彼氏もいないうえ、クラスメイトからいじめられていた。そんな真央が安息を得られるのは押入れの中だけだった。真っ暗にすると「海の底」のようで……。
楽園の破片 A Piece of Paradise
ニューヨーク発の急行列車は遅れていた。ボストン美術館での講演会でスピーチをする予定の響子は焦る。もうひとりの話者のレイとは7年間の不倫関係を清算したばかりだった。
指 Touch
私は私大の日本美術史博士課程の2年生。家庭を持つ彼の研究室で助手をしている。ある週末に奈良の室生寺を訪れ、ずっと手をつないでいる私たちは、どう見ても不倫カップルだ。
キアーラ Chiara
アッシジには10年ぶりの再訪だった。亜季は文化財の修復科のある芸術大学を休学して20歳で渡伊し、長年フレスコ画修復の修業をしていたところ、中部の大地震に見舞われ……。
オフィーリア Ophelia
わたくしは絵の中の囚われ人。水に浸ってあとひと息で命が絶えるその瞬間を、生き続けています。ロンドンから日本へ連れて来られたわたくしが目撃した、残虐な復讐とは…。
向日葵(ひまわり)奇譚 Strange Sunflower
超売れっ子の役者・山埜祥哉の舞台の脚本を書きたくて、脚本家の私は、ゴッホが主人公の脚本を完成させる。が、脚本が仕上がった直後に、ゴッホらしき人物の奇妙な写真を入手して……。


                     (講談社HPより)




初ノワール小説集・・・ちょっと期待し過ぎたかも・・・(^^ゞ


でも、まあまあ楽しめた。

最初の<深海魚>からビックリ( ゚Д゚)。
内容はいいんだけれど、虐める側のやり方が、気持ち悪くて・・・・


結構、性愛の話を絡めてあったけれど、まあ特に読んだからと言って
どうということなかったかな?

<指>で仏像の指をそんな話に持って行って罰が当たらないか?
凄い話、書いたな~とここでまた驚いた!


後ろ2つは、美術の話がちゃんと絡んで良かったけれど・・・




                       ★★★


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発行年月:2021年5月


ゴッホの胸を撃ち抜いたのは誰だ?
オークション会社に持ち込まれた一丁の錆びたリボルバー。
「ゴッホの自殺」。アート史上最大のミステリーに迫る傑作長編誕生。
あらすじ
パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。
高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。
それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだというーー。
「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか?」
「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」

                    (幻冬舎HPより)




ゴッホの死の真相をマハさんなりの解釈で物語にしたもの。

拳銃自殺されたと伝わるゴッホ。
その拳銃だというものがパリ8区の小さなオークション会社に持ち込まれる。
持ち込んだのは画家・サラ・ジラール。
彼女は、その銃を母から遺されたと。
その母親も画家で自身も母親から遺されたという。


サラの母親・エレナの話では、驚くべき事実。
エレナの祖母は、ゴーギャンの愛人だったのだと。


ゴーギャンが元々は持ち主だったという銃。

最終章のゴーギャンの独白。


ゴッホとの関係性がよくわかる。
お互いの才能を認めながら、お互いがお互いの才能に複雑な想いを抱いていた。

なるほど・・・そういう解釈も成り立つのかぁ~。
凄いな、マハさん。


ゴッホの死は、こういう風に起きてしまったことだったと考える方が
なんとなく救われる気持ちになれる。



読み始めたら一気読み間違いなしの物語です!



                       ★★★★★


発行年月:2020年10月


どこでもいい。いつでもいい。
一緒に行こう。旅に出よう。
人生を、もっと足掻こうーー。
恋も仕事も失い、絶望していたハグ。突然「一緒に旅に出よう」と大学時代の親友ナガラからメールが届いた。以来、ふたりは季節ごとに旅に出ることに。
ともに秘湯に入り、名物を堪能し、
花や月を愛でに日本全国駆け巡る、
女ふたりの気ままな旅。
気がつけば、四十路になり、五十代も始まり……。
人生の成功者になれなくても、自分らしく人生の寄り道を楽しむのもいい。心に灯がともる六つの旅物語。
文庫オリジナル短編集です!


                 (文藝春秋HPより)



大学時代からの親友同士。
波口と長良。
共に独身のキャリアウーマン。


30代から予定の合う時期を見つけて二人であちらこちら、旅をする。
二人とも独身である程度、自由にできる時間があるうちはよかったけれど
40代、50代となり、親が老いてくると、どうしても介護問題が出てくる。


ハグは、一人っ子で母親を一人郷里の姫路に置いている。
ナガラの母は小豆島でやはり一人暮らし。


ハグの母親は認知症。
ナガラの母親は、転倒による骨折により、入院、歩行困難になり退院後は
ケアホームに入所。


ハグは、母親と暮らすことを決意し、東京から姫路へ。
フリーランスの広告ディレクターの仕事は自宅で母親の介護をしながら。
それもやがて困難になり施設に。


自由に出来る時間がなくなると旅行はやはり難しい。

それでも二人は連絡を取り合い、また一緒に旅に出ようと言い合う。

こんな親友の存在は心強いな。

彼女たちが旅したところ、全部、素敵なところだった。
わたしも親友と旅行がしたくなった。



                      ★★★


発行年月:2020年3月


詩帆17歳の誕生日デートは岡山の「大原美術館」、ピカソ〈鳥籠〉のまえ。
それからふたりはいつも一緒だった。けれど、彼は今日旅立つ。

(「窓辺の小鳥たち」)

ある少女に導かれるように会社と逆方向の電車に飛び乗った私。
箱根「ポーラ美術館」のセザンヌ〈砂糖壺、梨とテーブルクロス〉のまえで
夢を諦めた記憶が蘇りーー。(「檸檬」)



日常の中の小さな幸せに寄り添う、珠玉の6篇。

                      (幻冬舎HPより)


6篇それぞれ良かった!
それぞれの主人公たちには、思い入れのある絵、美術館があって
そんな人々の物語。


<ハッピー・バースディ>
ひろしま美術館・・・・ドボーニの庭/ゴッホ

<窓辺の小鳥たち>
大原美術館・・・・・鳥籠/ピカソ

<檸檬>
ポーラ美術館・・・・・砂糖壺、梨とテーブルクロス/セザンヌ

<豊饒>
豐田市美術館・・・・・オイゲニア・プリマフェージの肖像/クルムト

<聖夜>
長野県美術館・・・・・白馬の森/東山魁夷

<さざなみ>
地中美術館・・・・・睡蓮/モネ



お話として好きなのは<豊饒>と<さざなみ>。

豊饒は、作家志望の女性だが、仕事としては、見たことも聞いたことも試したこともないものを
高評価のレビューをつけるというもの。
そんな彼女の隣に引っ越してきたスガワラさん(70歳)と親しくなる、
彼女は美術館で働いているという、いつでも待っているからと言ったスガワラさんが
息子家族の元に引っ越すという最後の勤務日に彼女に会うため美術館へ行く。


このお話の豊田市美術館は、好きな美術館のひとつで家族とちょくちょく訪れる。
クルムト展も見たので、なんだか嬉しかった(^^)


<さざなみ>は子宮筋腫の術後、入院している病院のテレビで見た
地中美術館。モネの絵が展示されていると知り、退院したら即、行こうと決める主人公。
そして、睡蓮の絵のまえで吸い込まれるように見入る。
絵から風が吹いてくる。さざなみが立っている。


風景が浮かんできそうな描写。
ああ、わたしもそこに立ってみたいなぁ~。
出来たらこの主人公のように、あまり人が居ないときがいいな。



こういう短編もいい。
絵は物語のわき役というかんじだけれど、存在感大のわき役。



                          ★★★★★


発行年月:2019年11月

「謎多き琳派の祖、俵屋宗達×バロックの巨匠、カラバッジョ」――雷神(ユピテル)と風神(アイオロス)が結んだ縁が、ここに完結!!

 織田信長の命を受け、狩野永徳による傑作『洛中洛外図屏風』をローマ法王に届けるため、天正遣欧少年使節ともにヴァチカンへの旅に出た俵屋宗達。嵐や日照りなど、幾たびも降りかかる試練をかいくぐりながら、一行はついにヨーロッパの地にたどり着く。そこで、宗達を待ち受けていたものは、輝かしい西洋美術の数々、スペイン国王をはじめとする高貴なる人々、そしてもう一人の天才絵師との出会いだった――。

 その絆が、その想いが、傑作を生み出す! アート小説の旗手・原田マハが描く、一気読み必至の感動巨編。

                  (PHP研究所HPより)



上巻に続き、下巻も面白かったぁ~!

いよいよ、ローマの教皇に謁見する場面。
ドキドキワクワク。

遣欧少年使節に同行した宗達という立ち位置が無理なく、礼拝堂の堂内の側壁に
描かれている素晴らしい絵画を見たときの一行が感動する様子は
その様子がこちらにも伝わってきて、一緒にジ~ンとしました。

教皇が持参した『洛中洛外図屏風』を見たときの様子も同じく感動。


そして旅の終わり、ミラノで出会ったダヴィンチの『最後の晩餐』
そこで出会った少年。
宗達と少年のやり取りがまたいい!
この少年が、後に世界的に有名な画家となるカラバッジョ!

ああ、こんな偶然、あったら凄いな。


史実に基づきながらのフィクションだけど、もしかしたら、こんな物語も
実際あったかも。
誰も実際のことはわからないのだから。


マハさんの想像力によって、素晴らしい物語を読める喜びに感謝!!

あ~楽しかった。

物語の最後の方に、その後の少年使節のことが少し書かれていました。
彼らのその後のことは、苦難に見舞われると歴史からわかっていること。
それを思うと、ちょっと複雑な心境になるけど・・・。


                     ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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