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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年4月


 ニューヨークの中心、マンハッタンに存在し、1920年代から「ザ・モダン」と呼ばれたモダンアートの殿堂。それが「MoMA」ニューヨーク近代美術館。近現代美術、工業デザインなどを収集し、20世紀以降の美術の発展と普及に多大な貢献をしてきたこの美術館を舞台に、そこにたずさわる人々に起きる5つの出来事を描いた自らの美術小説の原点にとりまくんだ美術小説短編集がついに刊行

                  (文藝春秋HPより)




マハさんしか書けない物語でしょう!

ニューヨーク近代美術館(MOMA)が舞台のお話。

<中断された展覧会の記憶>
MOMAから貸し出している「クリスティーナの世界」(アンドリュー・ワイエス作)の無事を
確認するMOMAの展覧会ディレクターの杏子。
福島の美術館で働く学芸員・伸子と連絡を取りあい、一旦「クリスティーナ」を
迎えにいくことに。


<ロックフェラーギャラリーの幽霊>
MOMAで監視員をしているスコット・スミス。
美術館内で一番価値ある作品と言われているピカソの「アヴィニヨンの娘たち」の
前に佇む青年が気になる。
別のとき、ふと気づくとあの青年が今度は同じくピカソの「鏡の前の少女」の前に
立っている。


<私の好きなマシン>
デザイナーのジュリアは、幼いとき初めて両親と訪れたMOMAでの思い出を
思い出す。
あの時、館長だったアルフレッドに声を掛けて貰ったこと。
マシンアート展のなかで「きみの好きなマシンはどれかい?」と。


<新しい出口>
3.11以来、パニック障害に陥るローラ。
あの日、親友のセシルを失った。
ローラは、ピカソを。セシルはマティスを、いつか自分の手で企画展示会することを
夢見ていた。
あれから、5年、他の人の手でピカソマティス展が開催され、もうすぐMOMAにも
その企画の順番がくる。
それを機にMOMAから去ろうと決めるローラ。


<あえてよかった>
日本の私立美術館から1年間の期限付きでMOMAに派遣された麻美。
多くのことを学び、日本に帰る日が近づく。
いつも手助けしてくれたシングルマザーでパートタイムの職員・パティとの
出会い。


どれも素敵なお話でした。
特に後ろ2つのお話がいいな。


気になった作品を後から調べたので、ここに載せておこう。


 アンリマティスの浴女と亀

パブロピカソのアヴィニヨンの娘たち

 マティスの窓辺のヴァイオリニスト

ピカソの影


美術の勉強にもなりました(^^)
ピカソマティス展観たいなぁ~♪


                         ★★★★★
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発行年月:2014年12月

咲子が訪れたのは、メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸。かつてのビジネスパートナー、青柳君が見たがっていた建物。いっしょにいるつもりになって、一人でやって来たのだ。咲子が大手都市開発企業に勤めていたころ、とあるプロジェクトで、設計士の彼と出会った。その後二人とも独立して、都市開発建築事務所を共同で立ち上げたが、5年前に彼は鹿児島へ引っ越していった。彼はそのちょっと前に目を患っていた。久しぶりに会った彼の視力は失われようとしていた。青柳君の視力があるうちに、けど彼の代わりに、咲子はバラガン邸の中に足を踏み入れた。──『皿の上の孤独』を含む、六つの小さな幸福を描いた短編集。

                      (講談社HPより)



6つの短編集。

主人公は共に女性。

<最後の伝言>
73歳の母の葬儀。
喪主の父がなかなか現れない。
色男だというほかは何もいいところがない父親。

おかあさんには、そんな父親でも最愛の人だったんだな・・。



<月夜のアボカド>
アートコーディネーターのマナミ。
仕事で知り合った69歳のアマンダの友人で79歳のエスターとも親しくなる。
エスターはメキシコ移民でロサンゼルス在住。
メキシカン料理が抜群に上手で、その料理を食べるのが楽しみ。

アボガドのデップ美味しそう~。
家の庭にアボカドの木があるなんて!
年の離れた友人というのも楽しそう♪



<無用の人>
両親は熟年離婚している。
その父親から死後1か月後に「誕生日の贈り物」と書かれた宅配便が届き
中には鍵が。
差出人住所に向かいその鍵で部屋のなかに入る。

素敵な贈り物。
生前にもっと会って語り合えたら良かったのに・・・・
ちょっとしんみり。




<緑陰のマナ>
インターネット上で知り合った在日トルコ人のエミネさんとイスタンブールを一緒に
行く。
トルコの文化をいろいろ教えて貰いながらの旅。
亡くなった母の漬けた梅干しを食べる。
「あなたを今日までずっと守ってくれたまるで神様の与えたもうた食べ物(マナ)」と。

母の漬けた梅干しかぁ~。
そういえば、家にもあるな。
そうか、食べられなくなるときがいつか来るんだと思ったらちょっとジンと来た。



<浪打ち際のふたり>
46歳で共に独身の浜口喜美(ハグ)と長良妙子(ナガラ)。
二人で波打ち際ギリギリに建っている宿に泊まる旅をする。
喜美は1人暮らしの母が認知症になったことを気に病んでいた。

友と美味しいものを食べて綺麗な景色を見て、本音の話をする。
それが大きな今後前に進む活力になるんだな。



<皿の上の孤独>
月夜のアボカドのマナミの友人・野中咲子(48歳)が憧れの建築家・ルイス・バラガの
邸宅を見たくてメキシコシティを訪ねる。

かつてのビジネスパートナーであり友人でもある青柳透とのこと。
男女の関係とは違うお互いが大切に思うこんな関係は素敵だ。
 

この表題は素敵だと思う。
誰もが誰かの大切な人なんだと思う。



                           ★★★★



発行年月:2014年10月

盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女が青森の弘前にいるという。明治二十年、教育係として招かれた去場安は、その少女、介良れんに出会った――。大きな苦難を背負った少女と、人間の可能性を信じて彼女の教育に献身する女教師が、奇跡を起こす!

                    (双葉社HPより)




ヘレンケラー物語の日本版にリメイクした物語。

と思って読みましたが、日本が舞台になるだけで、こんなに素晴らしい物語に
変わってしまうんだ~と感動しました。

舞台は明治20年の青森県津軽群。
そこに自身も弱視でいつ視力が失われるかわからない去場安が、とある男爵家の
長女・介良れん(6歳)の教育係として東京からやってくる。
れんは1歳の時の大病により、視力と聴力を失い、言葉も喋れないという。


ヘレンケラーの物語のように、サリバン先生のように安に苦労の連続の日々が続く。


男爵家の長男・辰彦の存在が嫌でした。
自分のことしか考えていない。
れんが居なくなればいいと考えるのも腹が立ったけれど、卑怯な恐ろしい企てをした時には
怒りがこみ上げた。


この物語のなかで、れんの最初の友達・狼野キワの登場が物語を面白くする。
キワは、盲目の旅芸人で、大人の男女と一緒に家族の形態で旅をし物乞いによって
生活している。
ボサマというこの地方の呼び名があり、人々から蔑まれて生きて居る人たち。
そんなキワの三味線と歌に魅せられた安は、キワとれんを引き合わせ
二人の間に強い絆が生まれた場面は、本当に素晴らしかった。


子どもの頃、一時共に生活しただけなのに、その後ずっと離れ離れでもお互いが
心のなかにその思い出を大事にしていたんだとラストの場面で知り
感動で自然と泣けた(/_;)。


素晴らしい物語でした!


                            ★★★★★




発行年月:2014年4月



私は、出会ってしまった。
誇り高き画家たちと。
太陽の、息子たちと-----。



終戦直後の沖縄。ひとりの青年米軍軍医が迷い込んだのは、
光に満ちた若き画家たちの「美術の楽園」だった。


奇跡の邂逅がもたらす、二枚の肖像画を巡る感動の物語。
              
 

                  (本の帯文より/文藝春秋)





終戦直後の沖縄が舞台。

悲惨なことばかりの沖縄だったけれど、こんな心温まる実話があったとは!
キュレーターの仕事をしていた経歴の持ち主の著者だからこそ書けた物語ですね。
実際に話を聞いて、それを基に書かれたお話なのですが
ほぼ実話と言っていいんでしょうね。


終戦後の沖縄に造られたという「ニシムイ・ヴィレッジ」。
画家たちがそこに集まり、作品づくりをして、作品は、米軍人に売られ
そのお金を生活の糧にしていた。

そんなところに、沖縄に赴任したばかりの青年軍医が仲間と車で島を廻っていて
辿り着く。
青年軍医のエドも画家になりたいと思った時期があり、そのヴィレッジの住人
セイキチ・タイラと出会い意気投合する。

物語を読み終えると、表紙と裏表紙の2つの肖像画 が一更に素敵に見える。

ニシムイの画家たちが書いた作品、ほかにも見てみたい!


                         ★★★★★



発行年月:2014年1月


  少女の強く切なる祈りが起こした、やさしい奇跡。
『楽園のカンヴァス』の著者が長らく温めてきた、心ゆさぶる再生の物語。

                 (ポプラ社HPより)


1995年1月17日(火)午前5時46分52秒
阪神淡路大震災発生。

パン屋さんを営む阿藤家の朝は早かった。
両親はパンの仕込中。

子どもたち3人は、まだ二階の部屋。
そして、突然家が倒壊。
両親は、家の下敷きになり亡くなる。
幼い3人は、その時、足に大けがを負った丹華(にけ)を助けてくれた
お医者さんの養子として育つ。

主人公の丹華(にけ)は当時小学校3年生。
兄の逸騎は小5.妹の燦空(さんく)は保育園の年中。

そんな兄と姉妹が成長していく姿を描いた物語。

震災時の状況は、リアルで胸が痛くなりました。
それを実際に目の前でみて、自分の家族がそこに居るとわかっていながら
助け出せなかった無念な思いを抱えて今日に至る人たちがどれだけいることか?
それを想像したら堪らなくなった。

3人は、幸い、面倒をみてくれる人に巡りあえ両親は亡くしたけれど
ひとりぼっちという孤独は感じずに済んで幸運だった。

実際はもっとつらい状況を経験した人の方が多かったでしょう。


丹華たちの成長過程は微笑ましく、良い物語だとは思うけれど、
やや物足りなさを感じたのは、なぜだろう?


                          ★★★


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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