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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年1月


 「夜明け前」――長野県御代田町の農園に嫁いだ舞桜子は、伝統の〈龍神まつり〉が近づくたび、夫と激しくもつれ合う艶夢を見る。龍伝説の裏に隠された忌まわしい秘密とは……。
「約束の神」――ピアノ教師の友晴はかつて、幼なじみの剣児を〈神〉と崇め、永遠の約束を交わした。人気歌手となった彼と故郷・岩手県黒石町の裸祭〈蘇民祭〉に参加するが……。
「分かつまで」――写真家の秋実は、ふたまわり年上のライター穂村と、福島県の〈相馬野馬追〉を撮影に訪れた。父親のような男しか愛せない彼女はやがて、穂村の秘密を知り……。

ほか三篇を収録。〈祭〉と〈日常〉、ハレとケの裂け目をめぐる、六つの禁断の物語!

                      (文藝春秋HPより)



祭りが背景にある男女の話。

6編中、3つは↑に解説あるので省く。

他、3篇について記すと・・・

<ANNIVERSARY>
祭りの舞台は、浅草のほおずき市。

35歳のサチは以前、乳癌で左乳房を摘出。
今回は右の乳房切除をした。
そんな自分を理解し、優しく接する夫のことは大事に思って居る。
が・・・ある日、突然小学2年の自分に戻ってしまう。
記憶は大人のものを持ったまま。
再び、夫と出会うように、過去と同じように生きる。
そして再び夫と巡り会い、女の子を出産。
以前の自分には息子が居たのだけど・・・


このちょっとSFっぽい話が6編のなかでは一番、好きかも。


<柔らかな迷路>
福岡県西南部の白秋祭。

テレビの制作会社勤務で海外ロケのコーディネーター兼通訳を
していて、カメラマンの夫・祐市と知り合い、結婚。
しかし、些細なことがキッカケで関係がギクシャク。2年前から別れて暮らしていた。

祭りの取材に訪れていた祐市と実家に帰省中だったとき、偶然の再会。


この先は、また二人で生きていくんだろうな。


<水底の華>
野沢温泉近くでの道祖神祭。

家族で土産物店を営む島田家に嫁いだ小夜子。
お店の隅にある水槽の金魚の世話を任されている。
夫の孝介は、出会ったときは、いかにも遊んでいそうなイケメン。
なぜ自分を選んだのかいまだにわからない小夜子。
そんな孝介が1年半まえ脳梗塞で倒れた。
今は日常生活に支障なくなるまでになったが半身が不自由。
言葉数もグッと減り以前の活発さが消えた。

祭りで孝介の弟・壮太が帰省。
孝介とは全く似ていない風貌だけど何故か気になる小夜子。

ああ、ありがちな展開・・・これは、あまり好きじゃないな^^;
でも表紙の絵は、この物語のものですね。




どの話にもなんとなく薄暗い雰囲気が漂う
祭りが背景にあると、そこになんとも怪しげなひかりが灯るようで
不思議なかんじ。

その辺の表現とか、やはり巧いなぁ~と感じる。
面白い短編集でした!


                       ★★★★
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発行年月:2018年7月


 友人のような夫と、野性的な魅力を持つ幼馴染み。
婚外恋愛がひとりの女性にもたらした激しい変化は――。
著者渾身の恋愛長篇。

                (中央公論社HPより)




主人公の三崎帆奈美(42歳)。

ライフスタイリストとして活躍。
衣・食・住の全般をコーディネート。

夫の遠藤隆一は、週刊誌の記者。

隆一との間に子どもが出来ず、猫(名前はおむすび)との2人と1匹の暮らし。
特に仲が悪いわけではないけれど、なんとなくギクシャクした感じの夫婦。


そんなとき、仕事場で偶然、再会した中学時代の同級生・澤田 炯。

気難しい女優・水原瑤子に気に入られた帆奈美は、彼女から指名されて
パリとロンドンのロケに同行することに。
カメラマンの澤田も一緒。


こんな状況で男女の関係にならない方が不自然という展開だったなぁ~。
澤田は、中学時代から帆奈美に好意を持っていたと告白するし・・・・。

悪い人じゃないとは思うけれど、具体的に何処がいいのかよくわからなかった。
ま、夫婦仲が良かったら、発展しなかった男女の仲でしょうが。

しかし、夫・隆一の終盤の行動は怖かった。
猫が無事で良かったぁ~。


まあ、こうなるよね・・・というラスト。

面白くなくはないけど、よくある話かな?


                        ★★★




発行年月:2018年5月


 柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞の三冠に輝いた衝撃作『ダブル・ファンタジー』待望の続編!
脚本家・高遠奈津。創作の鬼に導かれるように夫・省吾との穏やかな暮らしを捨て、いくつかの恋を経て、今は恋人・大林一也と暮らしている。しかし彼もまた、奈津の心と躯を寂しくさせる男でしかなかった。元恋人の志澤一狼太や岩井良介との再びの逢瀬を皮切りに、性の深淵へ次々に分け入ってゆく彼女が、自由と孤独のその果てに見いだしたものは……。
男女の愛憎を描き尽くし、やがて生と死の岸へとたどり着く、作家・村山由佳の到達点!

                  (文藝春秋HPより)



『ダブル・ファンタジー』の続編ですね。
奈津(40歳)が省吾と別れて次に一緒になったのは大林一也(33歳)。

なんか、省吾に比べたらダメダメ男。
働かないで奈津に金銭面は頼りっぱなし。
そして、奈津には触れない。
奈津から誘えば、拒絶される。

なんで一緒になったんだ~、こんな男と・・・怒

奈津がそのまま大人しくいられるわけもなく、演出家の士澤に誘われたら
ホイホイ出て行くし、岩井とも相変わらず関係を続ける。

ライターの加納という男も登場して・・・・

なんだか本当に節操がない奈津に呆れる。
そして大林に、ついに全てばれる。
まあでもそれを機に別れることになったから、良かった!

もう独身のままでいいじゃんと思ったら・・・・

そうか、そういう風に落ち着くのかぁ~唖然(笑)。


このまま落ち着けばいいな・・・と思う反面、
落ち着いたら面白くないじゃん!
続編もちょっと期待しちゃうという気持ちもある^m^


結構、楽しめた。


                    ★★★



発行年月:2018年3月


 過労自死———。決して、彼が弱かったのではない。では、なぜ、彼は死ななければならなかったのか? 答えを探して、大企業を相手にした戦いが始まる。 小さな人間が秘めている強さを描く、直木賞作家のノンストップ・エンターテインメント! 大手居酒屋チェーン「山背」に就職し、繁盛店の店長となり、張り切って働いていた健介が、突然自ら命を絶ってしまった。大手食品メーカー「銀のさじ」に務める恋人の千秋は、自分を責めた――なぜ、彼の辛さを分かってあげられなかったのか。なぜ、彼からの「最後」の電話に心ない言葉を言ってしまったのか。悲しみにくれながらも、健介の自殺は「労災」ではないのか、その真相を突き止めることが健介のために、自分ができることではないか、と千秋は気づく。そして、やはり、息子の死の真相を知りたいと願う健介の両親と共に、大企業を相手に戦うことを誓う。小さな人間が秘めている「強さ」を描く、社会派エンターテインメント。

                     (幻冬舎HPより)



過労自死・・・・重たいテーマ。

大学を卒業して就職した会社は、誰もが知っている有名企業。
しかし、働いてわかる過酷な労働体制。

自死に至った藤井健介の段々と追い詰められていく様子が辛かった。
こんな風に段々と疲れ切ってまともな判断も出来くなり、今の状況に
耐えられずに死を選んでしまった。

恋人の千秋の無念さも痛いほど伝わって来た。
最後にかけた言葉を後悔する千秋が本当に可哀想。


企業側の言い分には、本当に腹が立った。
本当にこんな人たちがトップにいる会社なんて最悪。


企業の対応に誠実さがないことに呆れ、怒り、両親と千秋は闘うことに。
すごくエネルギーのいることだけど、亡くなった健介の名誉を守るため。
責任感がつよく真面目。
自分が無理してでも他の従業員を気遣う姿が素晴らしいことだけれど
それがかえって最悪の決断をさせてしまうことに。

ああ辛いなぁ~。

こんな自死、子どもがしたら、親はたまらない。


最後は和解したけれど、健介は戻って来ない。
二度とこんな風に追い詰められる人が出ないで欲しい。


これ、ワタミのことだなと途中で気づく。
ニュースで少し知っていたけど、もう絶対、ワタミは利用したくないわ~。



                           ★★★



発行年月:2017年12月


 刀根秀俊、美月、亮介、陽菜乃は仲のいい友達グループだった。中学2年の夏にあの事件が起こるまでは――恐怖、怒り、後悔、そして絶望。生涯拭えぬ過ちとトラウマを抱えたまま、各々の人生を歩んでいた4人。求め合う体と秘めたる想いが、さらなる苦悩を呼び、暴力の行き着く果てに究極の愛が生まれる。著者渾身の長編ノワール!

                    (新潮社HPより)



男女2人ずつの物語。

刀根秀俊・・・左官職人として働いているが、幼い時より可愛がってくれている
ヤクザの九十九誠、その舎弟の近藤との縁がなかなか切れない。
母子家庭だったが、母親は出奔したまま行方知れず。

桐原美月・・・実家は神社。中学時代の4人の集まりは実月の家。
大人になって、フリーラリターとして働く。
娘の真帆(4歳)と暮らしている。

中村陽菜乃・・・過干渉な母親に悩まされた中学時代。大人になって教師として
働いているが中学2年の夏、不幸な事件の犠牲者となった事に、ずっと
苦しめられている。

正木亮介・・・中学時代は文武両道な優等生。
だけど、陽奈乃の事件を機に、変わってしまう。



あの事件さえなければ・・・・4人はどんな風に生きたんだろう?
でも、あの事件があったから4人の結束はずっと強かったんだな。

大人になった陽奈乃が亮介の妻になっていたのは、ビックリだった。
心から幸せを感じた日はなかったんじゃないかとすぐ感じたけれど
亮介のDVやアルコール依存に悩まされていたと知り、あの事件を
亮介はずっと背負い続けるストレスに苦しんで来たんだろうなと
思うと辛くなった。


美月は娘と平和な日々を過ごしていて、そこに秀俊が日常的に現れ
温かい家族みたいな過ごし方をしていて、和む雰囲気。
だけど、秀俊は、ヤクザな世界の人たちとの関係を切れずにいる。
親よりも親身に幼い時から守ってくれた人たち。



最後は、どうなる?と気になり、案外長い物語だけどスイスイ読める。
そして、ラストは、少しハラハラしたけれど、明るい未来が見えそうで
ホッとした。

可愛い真帆が「トネ~」から「パパ~」と秀俊のことを呼べる日が来たら
いいのになぁ~



読み応えあって、面白かった!


                        ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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