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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年3月


 定年を迎え、滋賀から上京した妙子。目的は10年前に消えた亭主の行方。
<谷根千>にある近江寮で、うまいものを提供しながら、食べること、生きること、進むこと、を考える。

≪滋賀県が誇る「近江料理」あれこれ≫
熟れたうまみと匂いは高級チーズに匹敵「琵琶湖の鮒寿司」
将軍も赤穂浪士も切望した彦根藩の献上品「近江牛の味噌漬け」
嫁いだ娘の農繁期を案じた風習から生まれた「焼き鯖そうめん」
派手好みの織田信長に染められてしまった「赤こんにゃく」
うますぎて室町時代の天皇が歌にまで詠んだ「日野菜の漬物」
たんぱく質と鉄分豊富で食感はもっちり「丁子麩の酢味噌和え」
琵琶湖にしか生息しないコクのある身は幻の品「瀬田しじみ」

                  (光文社HPより)


面白かった!
以前読んだ「もじゃもじゃ」も良かったけど、この話も温かい気持ちに
させてくれる物語でした(^^)


東京に居るらしい夫を10年待って、意を決して探しに来た寺島妙子。
上京間もなく、財布を失くし途方にくれる場面は、こちらまで心細くなって
この先、どうなるの~?と思ったら・・・・

うまい具合に親切な人たちに助けられ、財布も無事に手元に。
そして、財布を拾った鈴木安江と出会ったことが、この物語のはじまり~。


タイトルを見たとき、学生さんが沢山下宿している寮の話?と思いましたが
少し違ってました。
元々は学生寮だった場所が滋賀県人公認宿泊施設として運営されているのは
東京近江寮。
安江は、そこの管理責任者。
そして、妙子は、そこで食事を作る手伝いをすることになる。

滋賀県の郷土料理がいろいろ登場。
赤こんにゃくは食べたことあるけれど、そのほかの物は未知。
ぜひ、食べてみたいなぁ~。


寮の常連さんたちとの交流話は、温かい。
食べることの大切さも改めて感じるお話でもある。


最後、妙子さんとご主人が再会するであろうところで終わっていますが
きっと二人はこの後、10年分のお互いの話をするんだろうなぁ~。
続編あるといいんだけどな。


                          ★★★★
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発行年月:2015年2月


 幸福な世界なら、神様はいらないのに――
無人島の清掃作業をする二人の青年は、人間の上陸を禁じるその島で
「猿」「山犬」と名付けられて外界を知らない生き神様の少女に出会った。

                    (中央公論社HPより)




ネットの求人情報に『無人島の清掃作業』に応募した裕一郎。

10日間で日当3万円。宿泊完備、食事つき
同じ作業を応募して来た、もう一人の青年と無人島へ。

無人島につくと、女性が近づき、あれこれ指示を出す。
無人島には人間は入れないということで、「猿か山犬」のどちかかを選べと。
女は神に仕える女で「幽鬼」と名乗る。


「猿」になった裕一郎ともう一人の青年「山犬」。
そして、島にいる生き神様の少女「夕星」。

4人の島でのやり取りが、段々と親しげのあるものになって行くのが面白い。

特にお笑い芸人だという「山犬」の存在が場を和ませている。

「幽鬼」と「夕星」の関係も・・・なるほど・・・と理解出来た。


生き神様とそれに仕える女の間柄じゃなく、二人が普通の人間の社会で
幸せに暮らすことが出来たらいいな。
「夕星」の言葉が、とても素直で賢くて可愛かった。
まだ少女なのに、裕一郎の心の闇を鋭く見抜き、優しくアドバイスする姿は
正に神でした!

不思議な話だけれど、良かったなぁ~。


                           ★★★★



発行年月:2014年1月(単行本:1995年)

母と娘、嘘と不安。繊細な心が求めるものとは--。


ひっそり暮らす不思議な女性に惹かれる大学生の鉄男。

しかし次第に、他人とうまくつきあえない不安定な彼女に、
疑問を募らせていき--。
家族、そして母娘の関係に潜む闇を描いた傑作長篇小説。


                    (角川文庫HPより)




暗くて重たい家族の話で、嫌な気分になってきました。
けれど、物語の結末が知りたくて、一気読み。

同じような状況に自分がいたら辛くて読めないかも。


主人公のさとるは24歳。
妹のみつるは天真爛漫で自分の思い通りの行動をするのに、姉のさとるは
家族のなかで絶対的、主導権を握る母親に文句も言わずに従う。

この母親は異常だ。
病んでいる。

さとるの恋人で大学生の鉄男が救世主となるのか?と期待して読んだ。

文中で登場する告白文のような語り主は誰か?ずっと気になっていたけれど
途中でわかったときには、衝撃的で、鉄男はこの家族と離れた方がいいんじゃない?
と考えが変わった。
鉄男がこの後、不幸にならないことを祈ろう。



                            ★★★



発行年月:2014年11月

女の答えはすべて、ホトにございます。美しく艶めかしく、そして怖ろしい奇譚集。

成仏などするものか。ああ、口惜しい、恨めしい――妹のようにかわいがっていた娘の命令で、毒をもられた女の怨み。死してなお、毎夜毎夜、愛しい男の元を訪れる女の情念……。恋愛小説の名手が、四谷怪談、番町皿屋敷、牡丹燈籠、源氏物語などの古典に挑戦。溢れんばかりのエロスを注ぎ込み、ついに誕生した究極の官能小説!

                     (新潮社HPより)




・朱夏は濡れ行ゆく   牡丹燈籠

・蟲惑する指   番町皿屋敷
・陶酔の舌   蛇性の淫
・漆黒の闇は報いる   怪猫伝
・夢魔の甘き唇   ろくろ首
・無垢なる陰獣   四谷怪談
・真白き乳房   山姥
・白鷺は夜に狂う   六条御息所



怪猫伝以外は知っている怪談話でした。
唯川さんの独特なアレンジでどれも面白く読ませて貰いました。
映像になったら、凄く怖いんでしょうけれど、古典的な表現の為か
怖いけれど、それも含めて楽しめました。

恋に狂う女の念って、怖いな~。

飼い猫が飼い主の未練を感じて敵を討つ漆黒の闇は報いるが個人的には好き。
知らなかった話なので余計に面白かったのかも。

唯川さんのつけたそれぞれの話の表題も何だかいい!
怪しいかんじが漂ってるかんじです。


こういうアレンジ本も楽しくていいな。


                        ★★★

 



発行年月:2014年11月

話したかったことと、話せなかったこと──。心の底の思いを物語にした珠玉の作品集。

ことばは、こばとになって飛んでゆき、またことばになる──。少年のはじめての秘密。自分の行く末が不安でたまらなかった頃の夢。少女のゆれ惑う性の兆し。つないだ手の先の安堵と信頼。限りなく近くまで来て、再び遠ざかってゆく死。記憶の底にしまってあった繊細な情感を丁寧に掬って描く『夏の庭』の著者による胸に沁み入る小説集。

                    (新潮社HPより)




6つの短編、どれも良かった。
少し暗く重たい話が多いのですが、文章が綺麗で惹きこまれるかんじ。
いろいろな記憶の物語。

<緑の洞窟>
生まれつき病弱だった双子の弟・ヒロオとの思い出

<焼却炉>
ミッション系の女子高時代、掃除のあと、使用済み生理用品を焼却炉に運ぶ

役目を自分から仕方なく買って出た。
手伝ってくれたカナちゃんとの会話の思い出。

<私のサドル>
母が使っていた自転車を使っていた高校時代の思い出。
好意を持っていた男子が女性教師との噂で退学騒ぎ。
自転車のサドルが慰めてくれた。

<リターン・マッチ>
虐められっこのあいつは虐めている全員にケットウ状を送り一人ずつ
校舎の屋上に呼び出す。
俺は、あいつを巴投げで投げつけ失神させてしまう。
が、それが機になりあいつと親しくなる。

<マジック・フルート>
小学6年から2年ほど、母方の祖父の元で暮らしていた。
祖父のピアノを弾き、ピアノの先生の元にも通わせて貰ったが、先生の姉の
ちょっと変わった網枝さんとの関わりの方が深かった。

<夜の木の下で>
両親が早くになくなり、弟の面倒を見ながら二人で生きてきた。
その弟が今28歳。今は自転車に乗って居たときタクシーと接触し頭を強く打ち
人工呼吸器で静かに眠っている。



どれも主人公にしかわからない心の深いところの記憶を語ったもの。
切なく少し重い話もあったのですが、<焼却炉>は、女性ならではの
体験が綴られていて、なんだか似たようなシチュエーションを体験しているので
懐かしくその時の情景が浮かんで来ました。

表題作は、一番最後。
哀しい結末は嫌だな・・・とドキドキしながら読んでいたけれど
希望が見えるラストでホッとしました!!

文章がとても繊細で美しいと思う作家さん。
ほかの作品も読みたいなと思いました。


                          ★★★★★

 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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