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読んだ本の感想あれこれ。
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75f0e193.jpg発行年月:1976年6月


元大本営参謀・壹岐正は、酷寒の極地シベリアの収容所で11年間の矯正労働に絶えぬき、昭和31年12月に帰還する。“第二の人生は誤りたくない”と願う彼は、近畿商事の社長大門の再三に渡る誘いに応じ、商社マンになることを決意する。シベリアで地獄のような抑留生活の傷も癒えないまま、彼は再び“商戦”という名の新しい戦いに身をおく。

         
                  
(新潮社HPより)


家にあった古書です。
フジテレビ開局50周年の記念ドラマとして、先日からスタ-トした放送を食い入るように見た後だったので、主演の唐沢さんの顔や、ほか出演者の方の顔が読みながら浮かびましたが、その分、わかり易かった。

初回のドラマは2時間でしたが、この第一巻には、その2時間分のことがほぼ全て収められていたかんじでした。

ドラマより更に詳しいので、あの言動の裏にはこういう事があったのか!と更なる驚きもあったりでドラマも素晴らしかったけど、やはり原作の方が凄い!

抑留生活の凄惨さは、特に・・・・。

シベリアの地でのソ連側からの辛い仕打ちに加えて、同じ日本人元将校達からも指揮していた側の壹岐には、この辛い仕打ちに追いやった責任の矛先が向けられるという二重の苦しみ。
自身もそのことには、強い責任を感じている壹岐にとっては、本当に辛い状況です。
肉体的にも精神的にも極限状態のなかでの11年間のこの生活は泣けます。

物語は、抑留時代のことと日本に帰還してからの事が織り交ぜて進みます。(ドラマも同じでした)

帰還後は、妻と二人の子どもとの生活がはじまります。
下の子(男の子)との関わりが、しっくり来ない事が、少し寂しい。

抑留時代に壊した体調もなんとか快復し、第二の人生は、どうする?という岐路に立ち、長女からの「もう戦争に関わる仕事は、やめて欲しい」の言葉もあり、商社の社長・大門の
誘いに応じ、商社マンとして第二の人生を歩もうと決めた壹岐。
何もわからない世界に進むその決心は、家族を思ってのことだったでしょう。
あまり感情豊かではない人ですが、優しい人柄も感じます。

しかし、入社の条件に自分の過去の経歴を使うようなことは断ると申し出るあたりは、壹岐らしいなぁ~。信念は曲げない。曲げたくないというかんじ。
社長は、その旨、心得たと承諾するけど、今後、どうなっていくのやら?
今から少々、不安。

長い物語ですが、面白くて、思ったより早く1冊を読み終えました。
続けて2巻を読みます!

重いので、軽い文庫本に変えようか?^^;


★★★★★
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4a1096f4.jpg発行年月:2008年2月


ファンドマネ-ジャ-、42歳。
虚栄心を満たすためのインサイダ-行為が
すべての始まりだった。
不倫、脅迫、解雇、離婚。
勝ち組から滑り落ちた男は、未公開株詐欺に手を染め、保険金目的で殺されかけた、事故で片脚を切断される。
それでも、かすかな光が残っていた。

                         
(本の帯文より)

『嫌われ松子の一生』男性版だそうです。

それを頭に置きながら、読みましたが、う~ん。
男性の転落のキッカケは、自業自得のものであり、最初は、あらあら~しょうがない男だわ!
なんて、半分面白く読んでいました^^;
「嫌われ松子・・」の松子の方は、同情したり、共感したりする部分もあったのだけど・・・・。

転落前は、外資系投資会社勤務で年収2000万ほど。
怖いものなしのような感じで、妻に高級マンションをねだられれば、一旦は躊躇しつつも承諾し・・
わたしなどの庶民感覚ではありえない日常を送っている。

けれど、転落はアッという間。
あまりにもマヌケなその様は、笑っちゃう。

考えると、そもそも、何でこんな男が年収2000万も稼げていたのかが疑問。
主人公に対して嫌悪感いっぱいなので、転落してくと残酷だけどちょっと笑えた。

でも、本当に全て失って、片脚まで失ったあたりからは少し、さすがに同情^^;

最後まで「松子」と比べちゃうけど、失うものばかりでも、主人公・貴志は生きている!
結構、逞しそうな精神力だし・・・その点は読みながら救われたかな?

ラストも運よく、最低限の暮らしは出来そうだったし


まあまあ楽しめたけど、「嫌われ松子・・・」に比べたら・・・・・
(どこまでも比べてしまう・・・・・笑)
男性が読めば、もう少し、違う感想かもしれませんけどね。

★★★
c17fcdca.jpg    発行年月:2005年8月


    増加する若年齢層の自殺を防ぐため、
    政府は青少年自殺抑制プロジェクト(YSC)を
    立ち上げた。

    しかし、そのYSCの実態は、実に恐ろしいもの。




小学生~中学生の子ども達には、人気の作家さんみたいですね。
我が家の娘たちもよく読んでいます。

何がいいのか?探りたくもあり、「お薦めがあったら教えて」と、この書を薦められ読みました。

が・・・・わたしには、正直、この作品は、得るものが無かった・・・苦笑。

子ども達が、面白いという意味は、なんとなくわかりましたが・・・。

話の題材は、なるほど、なかなか面白いと思います。
若年齢層の自殺を防止するための、プロジェクトYSC.
その実態は、実に残酷なものなのですが、まあ、そういうのも物語としては良しとしましょう。
しかし、なんとなく矛盾だらけなのです。

冒頭で、そのプロジェクトにより、自殺者減少の確かな効果が表れているとありますが、
この残酷なプロジェクトによって得られたものは、どう使われているのか?
そして、効果があると思われるのに、更にこのプロジェクトを続け、それにより新たな犠牲者を出すのは何のため?

どうも、その辺が、わたしには引っかかり、なんとか最後まで読み終えましたが、正直
「おもしろかった」とは思えませんでした。

しかし、この本の主人公たちと同年齢の子ども達が「おもしろかった」というには、やはり大人には解らない何か魅力があるのでしょうね~。

以前、読んだ「その時までサヨナラ」は、まあまあ楽しめるものだったので、あのような酷な部分もあるけど、何処かで救いのある物語なら、また読んでみたいな。

これは、あまりにも酷な部分ばかりで・・・・^^;

★★
f015d4ca.jpg発行年月:2009年2月(初版)
       2009年3月(第4刷)


父は虎になった---------。
そんなこと、簡単にしんじられるものではない。
ぼくだってそうだった。
しかし、父に会った、という人物からもらった手紙には、
父がその場で詠ったという一篇の漢詩が書かれていた。
父の血をひくぼくも、いつかそうなってしまうのだろうか。
父がどうして虎になったのかを知りたい。

言葉の魔術師・柳広司が放つ
中島敦「山月記」に想を得た、奇想天外な変身譜。   
 
                                    (本表紙裏の解説分より)

中島敦の「山月記」・・・・はて?無知ゆえ知らず・・・・^^;
主人に聞いたら「名作だよ。高校の授業で習ったでしょ?・・・・・・・・」とあれこれ説明ありましたが。
殆ど、覚えていません。

簡単に言うと・・・中国の話で、詩人になりたかったが、夢なかばで挫折した男が虎に変身してしまうお話だそう。

で、この「虎と月」は、その話の後日談。

「ぼく」がまだ4歳の頃、突然、姿を消した父。
父は超難関の試験に受かり、そうとうな身分の職に就き、前から好意を寄せていた美人な母と結婚し「ぼく」が生まれた。
しかし、父はあるひ、突然、苦労して手に入れた職を捨て、「ぼく」たちの前からも姿を消してしまった。
しかし、父の友達が手紙を送ってきた。
父に会ったという手紙だったが、なんと虎になった父と再会したという。
そして、そのときある漢詩を詠んだと、その文字が一緒に送られて来た。

その漢詩

偶因狂疾成殊類   
災患相扔不可逃
今日爪牙誰敢敵
当時声跡共相高
我為異物蓬茅下
君巳乗輙気勢豪
此夕渓山対名月
不成長嘯但成嘷

これだけ打つのに時間かかりました・・・・笑

でも、これだけ見たらわかるようなわからないような・・・^^;
本には、その解説が丁寧に書かれていますのでご安心を。
これが、父が虎になったことを知る真相になっているのですが、最後の最後にその種明かしがあります。
そして、その真相をこの漢詩から、知ったときには、なんとも言えない感動がありました!
いや~漢字って楽しい!!

これは、一応ミステリ-YAなので、小学校高学年の本好きな子なら楽しめるかも。
父親探しの冒険物として読んでも、なかなか面白い内容でした。

柳さんの著書、初めて読みましたが、他の作品も読んでみよう!と思いました。


★★★
 
5822edd8.jpg  発行年月:2009年1月


   中国の東南部、とあるレストランに勤める林玉玲(リンユイリン)は、店長から金魚の世話を頼まれる。
   あるとき、日本に嫁いだ娘の出産のため来日した玉玲は、日本人との再婚を勧められて・・・・・・・。

  衝撃の芥川賞受賞から半年、日本と中国をめぐる
                         新たなる感動の恋愛スト-リ-
                                     (本の帯文より)



若い頃からレストランに勤めている玉玲は、51歳。
夫は、娘が大学を卒業し、日本に留学する半年前に交通事故により他界している。

レストランでは、金魚を沢山飼っていて、その世話係をあるとき、突然、命ぜられる玉玲。

金魚(ジンユ)は金余(ジンユ):お金が余ることと発音が同じであることから、縁起のよい生き物と大切に育てられて、中国の人々に親しまれているもの。

が、一方、お世話係としては、気を遣い、水槽に浮いている金魚が連日発見されると、店の運気にも影響すると店長からキツイ言葉を受けたりで結構、荷の重い仕事。

玉玲は、美しい人のようで、年より若く見える人。
なので、ずっと想っていたと近づく男性もいて、そんな一人の周彬とは、いつの間にか同棲している。
周彬の片思い的雰囲気なのですが・・・。


そして、金魚係を他の者に頼み、留学先の日本で結婚し、出産が近い娘・珊々(シャンシャン)の手伝いをしに日本に旅立つ、玉玲。
その飛行機の中で知り合った、北京出身で今は、日本で暮らす女性・森田さん。
後で、二人は連絡し合い、何度か会うようになるのですが、森田さんがなかなか面白かった。
この森田さん、留学生だったご主人と知り合い日本に付いてきて20年。
ご主人はエリ-ト会社員で、現在は上海在中、でもあちらに不倫相手が居る様子とか。
そんな事を、ざっくばらんに話し今はセレブな一人暮らしを気ままに楽しんでいるのよ~と。
でも、そんな見栄っ張りな発言のなかにちょっと寂しさみたいなものも感じちゃいました。

娘に勧められて、日本人とのお見合いを幾つかする玉玲なのですが、一度は森田さんが同行したりして・・・・。

娘は、中国で母親に同棲相手がいる事を知らないし、玉玲も自分のことを大事に想ってくれる周彬に対して、結婚相手というほどの強い愛情は感じていないので、見合いの席が設定されるわけなのです。

この日本人とのお見合いの場面が可笑しかった。

日本人、ちょっと変なの。でもお人よしで憎めない良い人というかんじかな?
この辺は日本人に対する著者の気遣いかしら?


日本に来て、文化の違いに驚く、玉玲の様子から、逆に日本での常識は中国では違うんだぁ~なんて知る場面も幾つかあり、その点も楽しかった。

気になるお見合いの行方は・・・・・・。

玉玲の出した結論は・・・・。 これらは、読んでからのお楽しみということで・・・^^;

良い、ラストでした!

最初から最後まで、金魚がゆらゆら泳ぐ様子が目に浮かぶような話で、癒されました。


★★★★



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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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