忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[4]  [5]  [6]  [7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12]  [13]  [14



発行年月:2015年6月


 ある日、高校生の僕は病院で1冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それは、クラスメイトである山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていた。こうして、偶然にも【ただのクラスメイト】から【秘密を知るクラスメイト】となった僕。まるで自分とは正反対の彼女に、僕は徐々にひかれていった。だが、世界は病を患った彼女にさえ、平等に残酷な現実をつきつける――。全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至!

                      (双葉社HPより)




ギョッとする表題でしたが、読み進めていくと、この物語にはピッタリの表題だと
感じる。

高校生の僕は、友達も持たず、休み時間には本を読むクラスでも根暗な目立たない
存在。
そんな彼が自分とは180度違う、明朗快活でクラスの人気者である山内桜良の
秘密を知るクラスメイトとして、桜良と関わって行く。

二人のテンポ良い会話が実に心地いい。
お互いがお互いを思いやりながら、言葉を交わす。
余命短い桜良にとって、彼との日々を最後に楽しむことが出来たのは
大きな喜びだったと思うし、人と関わることを全く避けてきた彼のことも
大きく変えた。

でも、彼女の最期は、衝撃的でした!!
「えぇ~!?」そういう最期!?と。

でも、これまでの話の流れからして、それもまた納得。

『共病文庫』を手にして読む僕の場面は、泣けます。
桜良の本音を知って、嬉しいような切ないような複雑な気持ちになる。


これがデビュー作ですか!?
凄いなぁ~。
次回作に期待しちゃう作家さんがまた増えて嬉しいです!!

これは、皆に薦めたくなる1冊!


                          ★★★★★
PR



発行年月:1982年12月


日露戦争のさ中、福井県から信玄袋ひとつを持って、
東京へ出てきた少年がいた。
好きで好きでたまらない料理づくりに生涯をこめて突進し、
努力と経験によって得た知識と知恵で、ついに
“天皇のコック長”として、日本料理の最高権威となった人物の
波乱万丈の一生を克明にたどる傑作長篇。

             (集英社文庫裏表紙解説文より)




ドラマを楽しく毎週見ているので、原作が気になり読んでみました。

多少、違う部分がありますが、原作も面白かったなぁ~。

ドラマでは妻の敏子ひとすじの篤蔵ですが、こちらの本では、敏子は、
パリから帰国後に知り合った女性でした。


多少の脚色はあるでしょうけれど、本当に波乱万丈の生き様で
読んでいて退屈しませんでした。


歴史的にもいろいろあった時代で、戦争、震災と続いたなかで大変な苦労も
あったんだとわかった。

興味深かったのは、晩さん会時のメニューや天皇の食事内容が記載されていたこと。

普段のお食事は、一般家庭の献立と大して変わらないというところが
何とも言えぬ感動を覚えました。


ドラマも残り少なくなってきましたが、また楽しく見たいと思います♪


                            ★★★★



発行年月:2014年6月


 ブスでも鼻つまみでも超魅力的&パワフル!
 三十二年前の七月九日に曾祖母・匹田サダは亡くなり、その翌日に私が生まれた。なんだか私は曾祖母の生まれ変わりみたいだ--。
 サダは昭和二年、大分の片田舎に嫁いできて、村初めての精米所をつくり、大きな富を得た。さらに男の子を九人も産んだ。
 家族を飢えさせることもなくよく働いたが、歯に衣着せぬ物言いのせいか、誰にも好かれなかった。息子たちにまでくそババアとののしられたが、それでも彼女は日本一の女太閤様だった。
「私にはな、金剛様がついちょるんじゃ。じゃあけん、精米所をやれば成功するし、子どもを産めば、みな男の子じゃ。金剛様にかぎらず神様も仏様も、自分の足でしっかり立っちょる者の味方じゃけんな」
 
●家族も隣人も卒倒! 歯に衣着せぬサダ語録
「そしたらお義母さん、体には気をつけんと。私は自分を悪く言う人の面倒は見られんけん、お義母さんは起きられんようになったら、それきりじゃと思ってください」
「私は二人産んでできやすくなっちょるけんな。一、二度ちゃっちゃとやりゃあ、すぐに腹が膨らむじゃろう」

                   (小学館HPより)



サダという女性の一生を描いた物語。

33回忌の法要に参加する菜穂子は、曾祖母の一生を寺の住職から数日前に
聞く。


器量が悪く、見た目は猿のよう。
実家は商家だが、田舎の農家に嫁いだサダ。
そこで9男を産み、畑仕事に精をだし、やがて精米所を作る。
なんともパワフルなサダさん。

言葉はきつく融通も利かないけれど、信念を突き通す、男気溢れる女性。
そんなサダの良き理解者は、精米所を作るとき手助けした富松。
機械の搬入などから、後の精米所の盛況ぶりを支援した男。
サダも唯一、本音で話せる相手と、富松に話している。

8人の男子を出産し、9人目の出産時、家に人が居ず、産気づき
なんとか富松が駆け付けたが、生まれたのは女の子。
「捨てて来て」と言われた富松は、赤児を抱いたまま行方知れずに・・・・。

月日が流れ子どもたちが成長。
戦争で周りの男たちがどんどん戦地に行ってしまう時代、サダは国に子どもは渡さないと
あれこれ知恵をだし、抵抗するが、村人たちからは忌み嫌われ、子どもたちも
肩身が狭い思いをする。

今の時代で考えたら、サダの考え方の方が、絶対正しいのに、この時代では
そうはいかなかったのだと思うと、戦争とは、恐ろしいものだと改めて思う。


そして、長男の取った行動は、哀しいけれど、心優しく賢い長男らしい決断。

戦後、富松がサダを訪ねて来て話した9番目の子どものこと。
やはり、富松らしい対処の仕方だったと感動した。
サダのそばに良き理解者となる女の子が1人居たらサダの人生も
もう少し明るいものだったのかも。。。

親戚一同から嫌われ者扱いのサダさんが、菜穂子が住職から聞いた話を聞き、
少し考えを変えてくれたらいいのになぁ~。


読み応え十分の物語でした!
作者は大分出身。
もしかして、ご自身の曾祖母さんの話だったりするのかな?
と考えるのはちょっと行きすぎか?^^;
著者の年齢と合わないしね^m^

 
他の書も是非、読んでみたいと思える作家さんです!


                      ★★★★★



発行年月:2015年1月


 二八歳の田中真紀子は、友人のイチローから誘われ、彼の家に間借りすることになった。その家は建て増しに建て増しをを重ねた奇妙な家で、真紀子はガレージの上にある赤い小屋に住むことに。イチロー父は全裸で現れるし、女優の母、無職の姉、モテ系女子の妹も一癖ある人ばかり。そんなある日、イチローは、自分はおなじ一日が二回繰り返されることがあると真紀子に打ち明けるのだった。

                     (講談社HPより)




飲み会で知り合って数回会っただけのイチローの家に間借りさせて貰うことに

なった田中真紀子(28歳)。
イチローの家族(木村家)は、変わったひとばかり。
でも、皆憎めない良い人たち。

父・将春(58歳)・・・全裸でいることが多い。彼が家を増築し続けている。
母・みすず(本名・正子)・・・女優。撮影のロケで長期間留守にすることも多い。
姉・文(ふみ30歳)・・・イラストレーターとして仕事をしている。家族の料理を作る。
妹・絵波・・・イギリスに短期留学していたが帰国。




最初は、風変わりな一家との関わりが楽しく、それが続く物語なのか?と
思ったら・・・・真紀子の両親との関わり(特に母親)に異常なものを感じて
嫌な気持ちになりました。
こんな母親の娘だったら、毎日が憂鬱だろうな~。逃げ出して正解!と思った。

そして木村家の複雑な関係も。
将晴とみすずは再婚同士?
二人が結婚したときには、既にみすずのお腹には文が居て・・・
二人の本当の子どもはイチロー(壱千郎)のみ。
イチローが生まれて暫く、みすずは行方知れずになり、戻って来た時には
絵波を抱いていたという。


文が現在の暮らしになるまでの経過もちょっと悲惨で同情。
そんな大変な思いをしてきたんだ~と思ったら、一番幸せになって欲しい人だと
思った!
だから、最後、家を出て一人で暮らす決心をしたのは、嬉しかった!

この物語の人たちが、これから先、どんな風に生きて行くのか?
ちょっと続きを読みたくなる。


長いけれど、退屈せず読めて、もっと読んでいたいと思わせるのはさすがだ。


                             ★★★★




発行年月:2014年7月


 第151回芥川賞受賞作。
行定勲監督によって映画化された『きょうのできごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分をあざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を深化させた最新作。
離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる……
「街、路地、そして人々の暮らしが匂いをもって立体的に浮かび上がってくる」(宮本輝氏)など、選考委員の絶賛を浴びたみずみずしい感覚をお楽しみください。

                 (文藝春秋HPより)




芥川賞受賞作品って、よくわからないものが多いけれど、
これは意外とすんなりこの世界観に入りこめて、なかなか面白かった。
表題の「春の庭」ってなんだろ?と途中まで思いながら読んでいたら、
なるほど主人公の太郎が暮らすアパートの隣に建つ家のことだったんですね。

同じアパートの住人・西さんが最初、その家に興味があるといい
その理由を聞く。
その家が載っている写真集の名前が「春の庭」。
その家は水色の洋館で、20年ほどまえに住んでいた夫婦が日々の暮らしを
撮って写真集にしたもの。
夫はCMディデクター。妻は劇団女優。


離婚歴ありの太郎が、段々とアパートのほかの住人と顔見知りになり交流を持ち
やがて、空き家だった洋館に越してきた森尾ファミリーとも親しくなる様子が
楽しかった。

でもラストはちょっと「え?」という事件めいたものが出てきて驚いたけれど
事実じゃなかったのね?
でもそういう事があっても不思議じゃない前振りがあったので
ちょっと真相は・・・・・。


ササッと読み終えたけれど、なかなか面白かった。
こういう雰囲気好きだな。


                            ★★★★
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
7 8 10 12 13
14 19 20
24 26 27
28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]