発行年月:2025年12月
病に倒れた最愛の父を支えるため、倉敷紡績で働く少女すてら。
社長の大原孫三郎の知遇を得、贈られた雑誌〈白樺〉でゴッホの絵を見て心打たれ、
「ゴッホが絵を描いたように小説を書く」と、自身の道を定める。
あることをきっかけに岡山を去ることになったすてらは、東京へと向かうが……。
著者がかつてない熱量で「小説」と「アート」への愛を込めた最新長篇!
(新潮社HPより)
主人公の山中すてら。
幼い時に母親には捨てられたけれど、血の繋がりはなくても
すてらを愛情深く育てた父・又八。
又八親子をずっと支えてくれるアメリカ人宣教師のアリス・ペティ・アダムス。
アリスの紹介で大原孫三郎が社長の倉敷紡績の女工として働くようになり
そこで、すてらは文才を開花させる。
主任の小西彌太郎がすてらが小説を書いていることを知り、孫三郎にも相談し
倉敷紡績の文化祭で、すてらの小説をお披露目できる場を設けてくれる。
それが小説家の第一歩になる。
すてらの書いた小説「回転木馬」は、哀しい結末の恋愛小説。
小西彌太郎がそれを読んで、感動して泣いたと言った後
「今度は晴れの日の回転木馬の物語を書いてください」と。
その後、倉敷紡績を辞め、実業家・高橋金之助の邸宅で女中として働く。
そこで出会った金之助の長女・多嘉子(16歳)。
すてらの4つ下。
多嘉子は、文学好きで「小説を書いている」と告白され、その小説を読んで感想を
言う時間が楽しみになるが、父の事情に出資している資産家の元へ
嫁がなければならなる。書き終えた小説を、すてらに渡した後で自死という
ショッキングな出来事。
多嘉子が小説家の常和田伊作に読んで貰うと言っていた原稿を代わりに
届けようと上京し、常和田の家に・・・。
常和田伊作は実は女性で、本名が和田イサ。
イサの書生として、常和田邸で暮らす。
すてらが、どんどん、夢に向かっていく様子が楽しかった。
西洋絵画との出会いがあって、いつか本当の絵をみて評論を書きたいという
目標を持ち、大原孫三郎の提案もありパリへと旅立つところで物語は終わる。
海外で本物の絵を見て、その後、小説に活かすというのは著者のマハさん
そのもの。
ステキな物語でした♪
大原孫三郎って、凄い人だなと改めて感動。
また大原美術館、行きたくなったな~。
★★★★★
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発行年月:2025年12月
極上のクラムチャウダーをたべるためにロードアイランド州を訪れた恵理加。
レストランですばらしい食事とワインを堪能した彼女だったが、
それ以上に興味を惹かれたのが、ルークという不思議なウェイターで……
「ブーズたち」
ある日、秋介や真昼は、スマートフォンの電源を切っているのに
着信音が聞えたり、深夜眠っている寝室で、イスラムの祈りの声が聞えてきたり――
「ここにないはずの音」が自分にだけに聞こえるようになっていた。
「鳥たち」
心療内科医のさやかは、
最近幻聴が聞こえる患者が増えていることが気になっていた。
が、それよりも彼女には、差し迫った問題があった。
そろそろ妻子持ちの恋人と別れようとしていたタイミングで妊娠が発覚したのだ……
「わたしたち」
(角川春樹事務所HPより)
3つの章にわかれているけれど、繋がっている。
最初の<ブーズたち>は、アメリカのロードアイランドまで澄んだ
クラムチャウダーを飲むために来た恵理加。
予約したレストランで接客してくれたルークは、どこか挙動不審。
途中、ほかのスタッフ・アンディからルークのことを聞く。
彼はboozeだと。
父親がその研究をしていて、ルークとは兄弟のように育ったのだと。
ルークの一族は昔、他の多くのboozeたちと日本で暮らしていたが、アメリカに
渡ってきたという。
日本ではkappaと呼ばれて・・・・
恵理加は、boozeたちを擁護するマーサにほかのboozeたちにも会わせてもらう。
ルークの一族は日本へ還ろうとも思っているという。
<鳥たち>
真澄は結婚8年目で自分の恋愛対象は女性だと気づき、夫に離婚を切り出すが
夫は、離婚に応じない。
恋人の弥生と二人で暮らすために家を出るしかないと決断。
秋介は去年会社を辞めて、主夫になり家事や息子・誠也(もうすぐ小学4年)の
育児をやっている。
けれど、実家のある富山に帰り、そこで暮らしたいと思う。
姉の冬子は鳥になぜか好かれ、いつも周りに鳥がたくさん。
冬子がいうには、鳥たちはからだを持たない天狗が自分の代わりに操られていると。
そして皆、突然、そこにないはずの音が聴こえる
<わたしたち>
時坂さやかは心療内科医。
この1年、幻聴が聴こえると訴える患者が増えてきていることが気になる。
しかし、自身の問題も抱えていて悩む。
妻子持ちの恋人との間の子を妊娠した。
別れようと思っていたところだったのに・・・
そして彼とは円満に別れ一人で育てると決める。
母親と義父はさやかの気持ちを尊重してくれ、従姉のあずさ(独身)も
生まれる子の親権者になってくれる。
第二の母だと思って頼ってと。
色々なことが良い方に向かう。
秋介の息子・誠也は父親と離れ暮らすようになってから自分の頭の上に
よくトンビが飛んでいると気づく。
しかし半年ほどで姿が見えなくなる。
長期休みで父親のいる富山に遊びに行き、そこで再びトンビに出会う。
同じトンビかわからないけれどたぶん、同じ。
真昼と弥生は二人で暮らす。
そして、二人同時に妊娠していることがわかる。
浮気はしていない。
間違いなく、二人のこどもたち。
世の中のあちらこちらでちょっと不思議な現象。
キツネのような生き物を目撃するひとたちも。
全身が枯れ葉色のどうみてもカッパのような生き物が日陰でたたずんでいるのを
見た女の子は、キュウリを持っていて
「誰にもいわないから」と渡し、「ありがとう」と答えてくれる相手に
しゃべれるんだと驚く。
最初に登場した恵理加も旅の報告をしていた広瀬と結婚したみたい。
日本に無事、たどり着いたと聞いたルークとの再会も
あるといいな。
カッパや天狗やお稲荷さん(キツネ)が、日常のなかに自然といて
楽しい物語だった。
★★★★★
発行年月:2025年11月
読んでしまったらもう傍観者ではいられない。
衝撃と共感の事件小説
「検索すればすぐに出てくるよ。赤ん坊を抱いたまま旦那の上司を刺しに行った女。
なんか怪獣みたいな名前でさ」
なんか怪獣みたいな名前でさ」
ワンオペ育児で追い詰められた母親が夫の上司を刺傷した。
彼女は赤ん坊を抱っこ紐で帯同したまま犯行に及んだという。
事件を取り上げたWEB記事をきっかけに、
イオラという犯人の特徴的な名前や事件の異常さが注目を集め、
SNS上ではイオラ擁護派と否定派の論争が過熱。
記事の担当者・岩永清志郎は、大きな反響に満足しながら、
盛り上がりが続くよう新たなネタを探して奔走するが……
彼女は赤ん坊を抱っこ紐で帯同したまま犯行に及んだという。
事件を取り上げたWEB記事をきっかけに、
イオラという犯人の特徴的な名前や事件の異常さが注目を集め、
SNS上ではイオラ擁護派と否定派の論争が過熱。
記事の担当者・岩永清志郎は、大きな反響に満足しながら、
盛り上がりが続くよう新たなネタを探して奔走するが……
(角川書店HPより)
「ラブカは静かに弓を持つ」は、感動作だった。
こちらは、感動とは違う。
でも惹き込まれるように読んだ。
色々と考えさせられる内容。
主人公は新聞社からWEB上で情報発信する「リスキー編集部」に
所属の岩永清志郎(30代半ば)。
旦那の上司を赤ん坊を抱っこ紐で帯同した状態で刺した女・萩尾威愛羅(イオラ)
の事件を取り上げ
その後、ワンオペ育児女性による衝撃的な刺傷事件が
SNS上で同情が広がったワケとは?という記事をあげる。
しかし、その後、模倣犯が出て
イオラと中学時代の同級生だったという女性から岩永は
「イオラ事件の炎上を煽ったのでは?あの炎上が別の事件の引き金を
引いてしまったことを後悔する気持ちはないのですか?」と責められる。
その場を穏便になんとか納める岩永だが、内心は怒りに震える。
自分は何ら間違っていないという奢りが、なんとも醜い。
岩永の家庭では妻の涼子が7か月の子どもの育児に追われ
疲れ切っている様子。
自分の家のことには、全く関心を示さず、自分の記事が広く読まれる
ことだけが大事な様子。
こういう社会、本当にうんざりする。
情報を鵜呑みにして、ああだこうだと自分の何ら根拠のない意見を皆が
公の場で言い、それによって傷つく誰かがいたり感化されて
ばかな行動に出る者がいたり・・・・
読んで決していい気分にはなれない小説。
でも色々な物語が書ける作家さんなんだなと感心。
ほかの物語も読んでみたい。
★★★
発行年月:2025年11月
遠い地で、見知らぬ男と海に消えた恋人――
●一穂ミチ3年ぶりとなる待望の長編
『光のとこにいてね』(島清恋愛文学賞受賞)、
『ツミデミック』(直木賞受賞)、
『恋とか愛とかやさしさなら』(本屋大賞ノミネート)と、
次々と話題作を発表する一穂ミチさん。
3年ぶりの長編となる今作は、
一穂さんが「いつか書きたかった」という、
「不在」と「喪失」の物語となりました。
互いに秘密を抱えながら暮らす
男女に訪れた突然の別れ――。
喪失を通して愛を問う、大人の恋愛小説です。
〔あらすじ〕
タクシー運転手の青吾が仕事を終えて家に帰ると、帰宅しているはずの恋人・多実がいない。
翌日以降も戻る気配がなく焦りを募らせる青吾のもとに、
<多実が見知らぬ男性と五島列島の遠鹿島で海難事故に遭い、
行方不明になった>というしらせが届く。
謎の多い事故の真実を求めて、
男の妻だという沙都子と遠鹿島へ向かう青吾。
多実の人生のかけらを拾い集める旅は、
青吾自身の過去をも照らしながら、
思いも寄らぬ場所へとふたりを導く――。
(文藝春秋HPより)
ミステリーとファンタジーの融合した物語。
最初から最後まで一気読み。
東京でタクシー運転手をしている川西青吾の
同棲中の恋人が1泊の予定で出かけたのに帰らない。
不安で警察に相談に行ったりする。
その後、警察からの電話で長崎県の五島列島で転覆した小型船に乗っていた
男女2人が行方不明になっていて、女性の方が中園多実。男性は出口波留彦
だという。
男性の名前に心当たりがなく困惑していると
出口の妻という沙都子がやってくる。
遭難した付近の遠鹿町(おじか)は夫の出身地だという。
青吾と沙都子は、ふたりが行方不明になった地である遠鹿(おじか)に向かう。
NPO法人おじかアイランドツーリズム代表の浦 耀司は
出口の知り合いであり沙都子も面識があるということで、泊まる宿なども
紹介して貰い、二人の関係なども聞く。
他にも小学校校長や出口波留彦の同級生などからも
二人のことを色々聞く。
二人は小学生の頃、多美が一時、家庭の事情で遠鹿町に暮らしていて
その時に、出口波留彦とも親しくしていたらしい。
そして、夜、町の公衆電話で多実の遺したテレフォンカード(なぜか青吾の
母親の名前が入ったもの)を使うと
多実と通じることを発見する青吾。
過去のことを話す多実。
毎晩、電話で少しずつ、多美の話を聞く。
波留彦の妻・沙都子は機転が利いて人とうまく関わり、情報を収集していく。
青吾はそのあとをついていくという感じだったけれど
段々と二人は互いを信頼し理解し合い、二人が得た情報を合わせて
真実がわかってくる。
多実は小学生のとき、青吾の母親とも接点があり、テレフォンカードは
貰ったもの。
青吾は母親とずっと音信が途絶えたままで、自分を置いて出て行った
薄情な母親で、人を殺めたらしいということも聞いていたが
そのことについても真実らしきものがわかる。
母親は罪を犯したわけではなく、罪を被っただけ。
事実がわかっていくると、多美や波留彦は、大人たちによって
結構、人生を翻弄されている。
浦耀司もその仲間。
多実と波留彦が小舟で向かった先を青吾と沙都子が訪ね、更にわかったことは
なんだか切ない。
多実と波留彦は不倫とかじゃない。
二人で抱えていたものを明らかにしようとして向かったのかな?
そうしようと思ったのは、たぶん、二人にとって今、大切な人(青吾や沙都子)に
帰って真実を伝えようと思っていたんだと思う。
それが叶わず、船が転覆してしまって行方不明なのは、哀しい。
青吾は、このあと、母親を探すという。
そして、波留彦の子を妊娠している沙都子のことも見守るという。
青吾と沙都子に幸せな未来があるといいな。
読み始めでは、こんな凄いストーリーが待っているとは想像できなかった。
暫くしたら、再読したい。
★★★★★
(文藝春秋HPより)
ミステリーとファンタジーの融合した物語。
最初から最後まで一気読み。
東京でタクシー運転手をしている川西青吾の
同棲中の恋人が1泊の予定で出かけたのに帰らない。
不安で警察に相談に行ったりする。
その後、警察からの電話で長崎県の五島列島で転覆した小型船に乗っていた
男女2人が行方不明になっていて、女性の方が中園多実。男性は出口波留彦
だという。
男性の名前に心当たりがなく困惑していると
出口の妻という沙都子がやってくる。
遭難した付近の遠鹿町(おじか)は夫の出身地だという。
青吾と沙都子は、ふたりが行方不明になった地である遠鹿(おじか)に向かう。
NPO法人おじかアイランドツーリズム代表の浦 耀司は
出口の知り合いであり沙都子も面識があるということで、泊まる宿なども
紹介して貰い、二人の関係なども聞く。
他にも小学校校長や出口波留彦の同級生などからも
二人のことを色々聞く。
二人は小学生の頃、多美が一時、家庭の事情で遠鹿町に暮らしていて
その時に、出口波留彦とも親しくしていたらしい。
そして、夜、町の公衆電話で多実の遺したテレフォンカード(なぜか青吾の
母親の名前が入ったもの)を使うと
多実と通じることを発見する青吾。
過去のことを話す多実。
毎晩、電話で少しずつ、多美の話を聞く。
波留彦の妻・沙都子は機転が利いて人とうまく関わり、情報を収集していく。
青吾はそのあとをついていくという感じだったけれど
段々と二人は互いを信頼し理解し合い、二人が得た情報を合わせて
真実がわかってくる。
多実は小学生のとき、青吾の母親とも接点があり、テレフォンカードは
貰ったもの。
青吾は母親とずっと音信が途絶えたままで、自分を置いて出て行った
薄情な母親で、人を殺めたらしいということも聞いていたが
そのことについても真実らしきものがわかる。
母親は罪を犯したわけではなく、罪を被っただけ。
事実がわかっていくると、多美や波留彦は、大人たちによって
結構、人生を翻弄されている。
浦耀司もその仲間。
多実と波留彦が小舟で向かった先を青吾と沙都子が訪ね、更にわかったことは
なんだか切ない。
多実と波留彦は不倫とかじゃない。
二人で抱えていたものを明らかにしようとして向かったのかな?
そうしようと思ったのは、たぶん、二人にとって今、大切な人(青吾や沙都子)に
帰って真実を伝えようと思っていたんだと思う。
それが叶わず、船が転覆してしまって行方不明なのは、哀しい。
青吾は、このあと、母親を探すという。
そして、波留彦の子を妊娠している沙都子のことも見守るという。
青吾と沙都子に幸せな未来があるといいな。
読み始めでは、こんな凄いストーリーが待っているとは想像できなかった。
暫くしたら、再読したい。
★★★★★
発行年月:2024年8月
おひとりさま専用カフェ喫茶ドードーでは、店主のそろりが美味しい
「あなたをいたわるメニュー」をご用意してお待ちしております。
大好評シリーズ第3弾!
(双葉文庫HPより)
シリーズ3弾。
これでおしまいかな?
喫茶ドードーの常連客・磯貝睦子さん(70過ぎのテキスタイルデザイナー)
と新規のお客さん4人の物語。
みんなそれぞれの職場で頑張っている。
うまくいかないこと、モヤモヤすることを抱えながら
そして、喫茶ドードーで一人時間を堪能して、再び自分の場所へ帰っていく。
なんだか少し、気持ちが前向きになって・・・
時任翠(32歳)
1年前、コロナ禍の影響もあり勤めていた飲食店が閉店。
同じころ、同い年の夫とも離婚して、新しい職場探しの最中。
十和田美玲
アパレル企業に勤めている。
催事担当者として奮闘。
バイトで来てくれる咲恵は大きな戦力なのに、嫉妬する自分
笹尾美耶子
社会人になって25年。
保険会社勤務で管理職の立場
加瀬三晴(52歳)
母が経営していたベーカリーを12年前から手伝い、5年前、母から受け継ぎ
ひとりでやってきた。
近く、借りている店舗の契約期間が迫り、店を一旦閉じることを決める。
色々な思いを抱えて奮闘している彼女たちを応援しながら読んだ。
店主のそろりも何か新しい気持ちで踏み出すかんじ。
一旦、このシリーズはおしまいかな?
今回の料理名は、ちょっと長かった。
・霧の中にあるアップルパイ
・やりきれない気持ちに蓋をするカスタードプリン
・白黒つけないケークサレ
・下がった気持ちが浮上するのを待つお茶漬け
・ひとやすみのミートドリア
★★★
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自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
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