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自分の備忘録としてのものなので 本のネタバレ的内容も多々あり。
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発行年月:2023年7月


失ったものと手に入らなかったものについて、お話しします。
クラスメイトの稚拙な行動の理由。
パリに降り立った彼女の秘めた思い。
忘れ得ぬ在りし日の祖母の姿。
他人のものばかり欲しがるあの子。
いるはずのない住人の気配。
甘やかに秘密を分かち合う二人の女。
宿命的な死に蝕まれた村。
妻と別れた男に訪れた非日常。
言い訳はいらない。もう、とりつくろえない。
隠された真実に気づかせてくれる珠玉の作品集。


                (光文社HPより)




ちょっと毒を孕んだ短編集で、後味はよくないけれど物語として楽しめた。


<降霊会>
学園祭で幼馴染が企画したペットの霊を呼び寄せるという出し物「降霊会」。
ぼくの妹が死んだのはぼくのせいだという。
自分の喘息の薬が危険なものじゃないかと両親に訴えたけれど
聞き入れて貰えず、強制的に飲ませれ続ける日々。
半分の量を妹に「足が速くなる薬」だと言って飲ませた。
妹は自死。
そのきっかけは幼馴染が本当のことを妹に告げたせい?


最初のこの話を読んで・・・ああ、こういう類の短編集?と予測。
大抵の話は後味が悪かった(^^ゞ
でも、それでも楽しめたのは、文章が上手いからかな?


表題作<ホテル・カイザリン>は、
ホテル・カイザリンに放火の罪で取り調べを受けている鶴子のはなし。
夫が出張する第二週の火曜日は、ホテル・カイザリンに一人で宿泊することが
楽しみ。
そして、知り合った愁子。
夫が亡くなり、残った遺産で悠々自適に生活している彼女と
度々、ホテルで一緒に過ごすようになる。
が・・・夫の経営するレストランでO157に感染されたハンバーグを
食べた100人以上が食中毒になりうち重症の人も。
夫は事態が落ち着くまで海外に逃げようと提案する。


ホテルに放火したのは、鶴子の身勝手。
でも、怖かったのは愁子自身も夫を殺害していたということ。


後味が悪い話のなかで唯一、よかったのは<迷宮の松露>
日本から離れた遠くに行きたいと強引に留学をきめた、わたし(27歳)。
選んだ国はモロッコ。
カフェで食べたデーツの中に何かが詰まったお菓子を食べて
祖母との思い出のお菓子「松露」を思い出す。

松露・・・頭になんとなく浮かぶ。
あまり食べたことはないけれど、スーパーでもたぶん、売っている
餡子玉みたいな周りに白い砂糖が付いている和菓子。

そんな松露の名前の由来が興味深かった。
クロマツ林に発生する松露は、マッシュルームみたいな丸い形のキノコ
らしい。
へ~キノコだったのかぁ~。
トリュフのことを西洋ショウロと呼ぶらしい。

いろいろなウンチクが面白いお話だった。



                       ★★★

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発行年月:2025年2月


「昭和100年」記念出版!
昭和の暮しの温もりを綴る
時代の変遷とともに人々の生活習慣や価値観も移り変わり、昭和の風物詩が消え去りつつある今、「昭和」といえば、戦争や不況、思想弾圧など昭和史の暗い面に焦点をあてて語られがちである。だが、そんな時代にも市井の人々の暮しには穏やかな時間が流れていた。本書では、「失われた昭和」の温もりを、映画や文学、流行歌や絵画などに「描かれた昭和」から多面的に浮かび上がらせる、著者ならではのエッセイ集。
紙芝居、熱海への新婚旅行、アルマイトの弁当箱、夕暮れ時に傘を持って駅にお迎えに集まる人々の姿など、昭和の失われた風景がある一方で、「外食」や「アルバイト」はいつから始まったのか? 「ハイボール」の起源は? 「名曲喫茶ブーム」の背景は? ラジオの普及を促したのはスポーツ中継だった……など、令和にも息づく流行や事柄も多く、意外な発見がある。また、昭和30~40年代の高度経済成長期には、女性のバス車掌が最も多く、美容師は「キャリアウーマン」の先駆けだったことなど、戦後自立して生活していく女性の姿とその背景を細やかに追う著者のまなざしもあたたかい。人々の生が輝いていた、懐かしい昭和が詰まった一冊。


                   (白水社HPより)




エッセイというから、著者の幼いころから昭和の時代のことを書いているのかと

思ったけれど・・・ちょっと違ったなぁ~。

昭和と言っても東京オリンピックまでの頃までが主だった。
そして文学や映画のなかの話を引用しての解説が多かった。

まあ、懐かしいものも色々あったけれど・・・
例えば、バスの車掌さんやデパートの屋上の遊園地、アドバルーン、
紙芝居、小学校の各教室にあったオルガンなどなど。


小津安二郎の映画がよく出て来て、ちょっと見てみたくなった
「秋刀魚の味」は以前、NHKのBSで放送されたのを見たことがあって
面白かった。
「東京物語」の話がちょくちょく出て来たので、それを見てみようかな。




                       ★★★



発行年月:2018年11月


ブッカー賞候補作。台湾文学をリードする著者の代表作
失踪した父と同時に消えた自転車の行方を追う「ぼく」。
台湾から戦時下の東南アジアへ、時空を超えて展開する壮大なスケールの物語。


                (文藝春秋HPより)




「歩道橋の魔術師」が面白かったので、こちらも読んでみた。

こちらも主人公は子ども時代、中華商場で暮らしていた。
父親は仕立て屋。
姉が5人居て、兄がひとり。
家族の主人公が生まれる前の話が可笑しかった。

自転車を置き忘れて盗まれたかと思ったら、帰ってきたり・・・

表題は「自転車泥棒」とあるけれど、失くす側の過失だから仕方ないんじゃない?
と思うところもあったり・・・

そして、主人公は20年前に失踪した父親と父親の乗っていた自転車と同じ
車体番号の自転車を見つける。
その自転車は、色々な人の手に渡って、そこにあった。
その自転車を手にした人たちの話が長いけれど、興味深くもあり。


小説家になった主人公の元に、あるメールが届く。
メールを送った主はサビナという女性で、主人公の父親が乗っていた自転車と
たぶん、同じ自転車をある人から預かったのだという。
そのある人・ムー隊長は亡くなってしまったが、当時、ムー隊長と親しかった
静子という人と会えることになる主人公。
静子とムー隊長の思い出話もなかなか興味深いものだった。
動物園の象とムー隊長の戦争体験。

ムー隊長は、ある男と出会い、初対面だったにも関わらず、自分たちの戦争体験などを
話しながら過ごし、ムー隊長がトイレに行き、戻ったときに
自転車とメモがあり、「わたしが帰って来なかったら、この自転車を
家に返してください」とあったと。
しかし、住所は書かれてなく、戻せず、預かったままになっていたらしい。
サビナは、ムー隊長からその自転車を預かる役目を譲られたと。


結局、ムー隊長に自転車を預けたのは、主人公の父親で間違いないだろうと
自転車は戻ってきた。


でも、父親はどうしたんだろ?
自転車を託して何処にいったのか?
ムー隊長自身も自転車を託して山に行き誰にも看取られず亡くなっている。

最初に自転車を見かけ、最初に持ち主か?と思って話をした喫茶店のアッバスの
父親・バアスの戦争体験の話もなかなか興味深いものだった。
日本軍が自転車を軍事的に使っていたという話。
その父親も戦後、タクシー運転手になったが、ある日、その車のなかで自死して
いたりと何だか辛い。

戦争は、心に傷を残し、それは容易に癒えることはないんだなと。



話が広がって行って、なかなか整理できない。
何処までは本当のことなのかも分かり難い。

苦労しながら、やっと読み終えた。
でも不思議な魅力のある物語を書く作家さんだな・・・

訳も素晴らしいんだろうと思い、巻末の訳者のことばを読んで
凄い苦労して訳されたんだなと感嘆した。

でも、残念ながら、この書を訳したあとで亡くなってしまっていたと知る。
1971年生まれで著者と同じ年。
まだまだ亡くなるには若すぎるのに・・・・(/_;)



                     ★★★★






発行年月:2025年3月


取り返しのつかないあの夜の過ちが、あったはずの平凡な人生を奪い去った。
2026年本屋大賞2位!
第20回中央公論文芸賞 受賞
本の雑誌が選ぶ2025年度上半期 ベスト10  1位
激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは
轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子・拓を出産する。
出所後息子に会いたいがあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は、
息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。
自らの罪を隠して生きる彼女にやがて、過去にまつわるある秘密が明かされる。
『鳩の撃退法』(山田風太郎賞受賞)
『月の満ち欠け』(直木賞受賞)著者による最新長編小説。


                  (角川書店HPより)



犯した罪は、その後の人生を大きく狂わせることになる。
事故のすぐあと、救急車と警察を呼んでいれば、もう少し罪は軽かったかも
しれないのに・・・

しかし、妻の親戚の葬儀で酔っ払って泥酔し、雨が激しく降る中、妊娠中の
妻に運転させる警察官の夫には腹が立った!

かおりは、獄中で出産し、出所した場で夫からは離婚を説得させられる。
自分には全く非がないという態度も赦せない!

なので、犯したことは重いけれど、かおりのことを応援しながら読んだ。
子どもに会いたい気持ちが強く、幼稚園に行ったり、小学校の入学式に
侵入したりは行き過ぎだけど、そこで会えずにいたことはかえって良かったのかも。

味方になってくれる久住呂百合と娘の咲ちゃんの存在がすごく大きかった。
お金を盗まれたり災難もあったりしたけど、
気にかけてくれる人がいたことは大きかった。


そして、最後は息子に会えてよかった。
無理やり押しかけて会うより、本人の意志で会えたことが大きい。

連絡先も交換したから、今後も会う機会はあるでしょう。

かおりに好意を抱いてくれる男性も急かさず、待ってくれる人で好感が
もてる。

「熟柿」のタイトルは、この物語にピッタリだった。

読み始めから途中までは読むのが苦しかったけれど、良い物語だった!




                     ★★★★★



発行年月:2023年12月


「夫の墓には死んでも入りたくない」義母の遺言から始まった墓問題。
それは親類や子供たちを巻き込み、墓の必要性などを考えるきっかけになっていく。
「遺骨は燃えるゴミで」と言いたくなるほど面倒な、明日は我が身の墓騒動小説。


                    (朝日新聞出版HPより)



松尾五月(61歳)・・・義母の四十九日が迫るなか、夫・慎二の姉・光代が
「おかあさんは樹木葬を望んでいた。
お父さんと同じ墓に入りたくないから・・・」
と生前に頼まれていたのだという。
松尾家には代々の墓があり慎二やその父・壱郎は、最初は反対しているのだけど・・・

意外に簡単に壱郎が妻の樹木葬に同意したのは、驚いた。
でも、残る墓はだれが守る?問題は残り・・・

慎二の兄・秋彦は、婿養子になっているし・・・
慎二の子供は娘二人だし・・・


それに加えて五月と慎二の娘たち、詩穂と牧葉の結婚後、苗字は変えたくないの
問題。
牧葉は、実の父に良い印象がなく前に付き合っていた恋人・鈴木哲夫と
結婚を考えるときに父親の苗字が鈴木だったことから、鈴木姓に変えたくないと
言ったことからうまくいかなくなり別れている。

妹の詩穂は婚約者の中林悟と、やはり苗字のことで意見が合わず、
悟の親の実家の墓問題にも直面し、全てが嫌になって悟と別れる。


ああ、こういう問題が絡むと結婚も難しいよね~。
夫婦別姓、なんでまだ法律で認められないんだろ?
別々じゃなくてもいいし別々でも選べれば、結婚を躊躇する人たちも少しは
減ると思うんだけど・・・・
少子化問題とか未婚率上昇とか言っているのなら、そこから変えてみれば?
と思っちゃう。


物語を読みながら、あれこれ考えるきっかけになる。

五月の考え方、結構、共感できることが多くて・・・

お墓に埋葬なんてしてくれなくていいし、骨なんてただのカルシウムという
発言には笑っちゃった。
うんうん、その通り。
牡蠣の殻とか卵の殻もゴミで出すんだからね・・・^m^


垣谷さんの物語は、やはり面白い。




                     ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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