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自分の備忘録としてのものなので 本のネタバレ的内容も多々あり。
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発行年月:2025年11月


「ただ、星を守りたかっただけ――」
現役の文部科学大臣で文壇の大御所作家でもある清水義之が
全国高校生総合文化祭の式典の最中、舞台袖から飛び出してきた男に
刺されて死亡する事件がおきた。
逮捕された男の名前は永瀬暁、37歳。
永瀬は逮捕されたのち、週刊誌に手記を発表しはじめる。
そこには、清水が深く関わっているとされる新興宗教に対する恨みが綴られていた。
また、式典に出席していた作家は、永瀬の事件を小説として描く。
ノンフィクションとフィクション、
ふたつの物語が合わさったとき見える景色とは⁉


                 (双葉社HPより)





物語は、刺殺事件を起こした永瀬 暁(37歳)の手記を元に進む「暁闇」

刺殺事件の現場に居合わせた作家の金谷灯里が書いた書説「金星」

二つの話の間にある「終章」
こちらは、金星を読んだあとで読むことをすすめると注意書きがあった。


けれど、順番に読んで、最後まで読んで「終章」を再読。


すごい小説だった。
感動するとかそういう類のものではない。
ただただ、読んだあとは暫く、あれこれ考えてしまう。
実際に起きた安部元首相の銃撃事件、犯人の山上被告のことを・・・。



「暁闇」のなかの永瀬 暁は、なぜ文部科学大臣の清水義之(68)を
刺殺したのか?
暁の母親が多額の献金をして家族の破綻を招いたのは世界博愛和光連合の
せいだと恨みを抱き、教団と深い関わりのある清水大臣を襲撃した。

そういう行動に出るまでの暁の暮らしぶりを読むと、気の毒でしかない。
それで人を殺めていいのか?と言われると勿論、ダメなんだけど
自分が、同じ立場になったとしたらと考えると暁を強く責める気持ちが
ない。

暁の父親は小説家で、何度も桜柳賞の候補になったが、受賞したのは
教団、信者であり、選評で尊厳を大きく傷つけるような酷評。
ついには自死してしまう。

幼い頃から心臓が悪く、治療を続ける弟・輝にかかりきりな母。
父の死後に得たお金も弟のために全て教団にささげ、叔父夫婦の元で
生活していた暁の元にも来て叔父の妻が事故で入院しているのを知り
お見舞いの言葉を言った後、よくなるように願うから5000万円を出せと。
叔父が怒鳴って追い出たけれど・・・
疫病神でしかないな・・・。

自分たちのことには関心が全くなかったかのような父親の本心みたいなものが
死後になって、少しわかったのは、よかったのかな?
父親の書いた小説「暁闇」の文章は、暁の心に響いたみたいだし。



もうひとつの物語「金星」は、小説家・金谷灯里が書いたフィクション。
でも内容はリアルで真実も含まれていそう。
母親が暁の母が信じた宗教を同じように崇拝している主人公の星賀。
母親のすすめで教会内にも一緒に出入りし、どんどん教会に取り込まれていく。
暁が書いた作文が「愛の集い」という全国大会で発表されることになり
会場で隣にいた自分と同じくらいの年の男の子・暁生と知り合い
その後、高校1年の夏休みに偶然、星賀がパンクした自転車に気づき
困っているところで声を掛けてきた暁生と再会し、偶然を喜ぶ。
その後会ったのは7年後。
星賀は小説家として成功していた。
暁生との会話しながら、自分は教団から完全に離れようと決意し、そうするのだけど
自分の成功の陰には教団の根回しがあったからと知る。
そして、二人で教団と関わりの深い、衆議院議員の清原隆之を亡きものに
しようと計画する。
主に実行するのは星賀のはずだったけれど、実際、清原を刺したのは暁生。
暁生はひとりで罪を被り、手記を書いた。



ふたりのそれぞれの気持ちが、通じ合った「金星」に部分がノンフィクション
だったら少しは救われるんだけど・・・・
どうなのか?

これは、何度読んでも、その都度、感想が変わるかも。
本当のことが、わからないから想像するしかない。


しかし、親が宗教にのめり込んでしまったら、子どもはどうしようもない。
大きくなれば自分の考えで行動できるけれど、幼いうちは、
親の言うこと、やることが間違いだとは思わない。
自分は「なんかいやだな」と思っても従うしかない。


この物語のように苦しんでいる人たちって、どのくらいいるんだろ?

なんとも複雑な心境になってしまう。


でも、読んでよかった。
これは、凄い本。
今までの著者の作品とはちょっと違うけれど、さすが!としか言えない。





                    ★★★★★
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発行年月:2025年11月


*第174回直木三十五賞受賞作
東京・上野の片隅にある、あまり流行(はや)っていない「カフェー西行」。
食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。
竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、
小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、
大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。
彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが……。
大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”。


                 (東京創元社HPより)




読んでいて楽しかった。

時代は日本が戦争に突き進んでいく時代~戦後。

繁華街を過ぎたところにある「カフェー西行」。
店主兼調理人の菊田と3人の女給が働いている話から始まる。

少しずつ女給が入れ替わり時代も変わっていくけれど
カフェは戦後まで残り、そこに集う人たちも、それぞれに辛い思いも
しながらも店では明るく語り合う。


店をやめた女給も西行に立ち寄り、店の人たちを気にかけたり
繋がりがあるのもいい。

最後の話<幾子のお土産>で幾子が西行の仕事を終えて帰る自宅までの様子は
この辺りのことを知っている人が読んだらもっと楽しいんだろうな~と。
それでも頭のなかで想像しながら楽しく読んだ。

最初の話<稲子のカフェー>で出てきた、俣野夫妻が老いても仲睦まじく
暮らす様子が幾子の目線で登場したのも嬉しかった。


戦争で辛い思いはそれぞれ、あっただろうけれど、人との温かいやり取りが
あって、どうにか前を向いていく。

嶋津さんのお話は、どれも(まだ数冊しか読んでいないけど)、
しみじみ、いいなぁ~と思わせてくれる。



これからの作品も楽しみな作家さん。




                   ★★★★★



発行年月:2023年7月


 受難(パシヨン)を越えて、求めよ、自由を――。
 『熱源』で直木賞を受賞した著者による、新たな到達点! 禁教下における“最後の日本人司祭”となった小西マンショの人生を軸に、異文化同士の出会いと摩擦、争いの中での“希望”を描いた圧巻の歴史小説。
 キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。 “受難の時代”を生きる者たちの魂の叫びが刻まれた、著者渾身の長編小説。
 
                    (PHP研究所HPより)



物語は、小西行正長の孫・彦七と
旗本から偶然が味方して徳川家世子・家光の近侍を務め、その後
目付け役として長崎のキリシタン弾圧の指揮を執る役目を担うことになる
井上政重の物語が交錯しながら進む。


キリシタン弾圧に長崎の民たちが慄きながら生活している様子をみて
彦七はローマで司祭になって、再び戻って来ようと決心し
それを実行。
その行動力が凄い。
世話になっていた家臣の益田源介の妻・絹、娘の末に別れを告げ出立し
再び司祭になって日本に戻るまで30年。
その間もずっとキリシタンたちは信仰を捨てず、密かに暮らす日々。

益田源介の従弟・甚兵衛の息子・四郎がキリシタンたちを纏め、幕府の圧力に
対抗しようと決起、天草で一揆をおこし、島原の城も攻め入る。


そんな島原城に井上政重がキリシタンたちを排除するため向う。
政重自身はキリシタンに個人的には恨みはなく、立場上、離縁した妻も
キリシタンだったことから、キリシタンだからという理由だけで命まで
取ることは本心ではしたくない考え。
同じ立場の細川忠利(母は細川ガラシャ)も同様の考え。
城から自ら逃げて出て行く者たちは逃がそうと決める。


そして、政重は、捕らえられた彦七と対峙する。
この場面が凄かった!

信仰を捨てれば命は助けるという政重に対して、それは出来ないと。
仕方なく拷問し、その都度、「転べ」というが答えは変わらず
命がもう尽きるというときに政重にたいして
「赦す、だからもう殺すな」と言葉をかける。
結局、彦七は、そこで絶命するのだけど、政重の心は複雑。


彦七に再会し「逃げろ、踏み絵を踏みながらでも、生きてくれ
そしていつかまた会おう」と言われ
キリシタンということを隠しながら生きることに決めた源介と娘・末が
このまま生き延びれますように・・・・



知っている武将なども色々、出て来るので時代背景的なものは
なんとなくわかった。
しかし、キリシタンたちへの執拗な取り締まりは読んでいてつらかった。

天草四郎って、有名だけど
この物語だとそんなに大したことしてないような・・・
彦七の方が凄い!
ま、物語なので、フィクションの部分も多いんだろうけれど。


読み応えありの作品だった!




                    ★★★★★




発行年月:2024年3月


正彦さんが定年を迎え、さてこれからは、一緒に旅行を……と期待していた二人。
しかし、折しも世の中はコロナで自粛中。
そんな中で、新たなフェーズに入った二人の生活は? 
俳句、骨董と、趣味の道をきわめる正彦さんと、
二次元コードに苦しめられたり、日々のちょっとした生活の変化を
楽しんだりする陽子さんの日常を綴る、シリーズ最新作。


                 (中央公論新社HPより)


これシリーズ化されているんだぁ~
結婚物語~銀婚式物語と・・・ほかにも。

還暦過ぎの夫婦の日常。
同年代なので、ここに書かれた夫婦の生活が凄くよくわかる。

夫の正彦は61歳で退職。
コロナ禍で感染も怖いしというところで。
妻の陽子は、小説家。自宅で仕事をしているので夫が勤務していた
頃は、ほぼ全ての家事を担ってきた。
家に居るとはいえ、仕事しているのに、やはり家事は陽子がやらないと
家のなかが回らないので仕方なく・・・

正彦に掃除、洗濯を任せるようになる。
最初は、そのやり方に文句を言いたくなっていたけれど、正彦はどんどん
上達していく。
凝り性なのかな?

そして多趣味。
俳句を始めて、それも最初は季語が3つ入っていると後で知って
大喜びしている感じだったのに、数年後には凄い句を詠むようになっていて
尊敬する。
字も汚かったのにペン字を習ったり、常に向上心をもっているのも凄い。
こういう人なら退職しても生き甲斐をすぐ見つけて楽しいだろうな~。

陽子との関係もほのぼの。
会話がすごくいいかんじ。
お互い言いたいことを言いながらも険悪な雰囲気にならず。


この先の暮らしはどうなっていくのか?
興味あるので、またこの10年後くらいの話が出たら読みたい。



                    ★★★



発行年月
:2019年9月


ゆるい日常を、鮮やかに描く女性作家の超新星
単行本刊行前から注目の「オール讀物」新人賞作家が、2人同時デビュー!
〝どっかりしていて、愛嬌がある小説〟
森絵都(第96回 オール讀物新人賞選考委員「姉といもうと」選評)
〈生きる姿勢が美しい人〉は、ときに可笑しくて、でもじんわりと沁みる。
つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場で同窓会、職人気質のクリーニング店主と下着を持ち込んできた若い女性客、幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが、活動的なラブホテルの受付の妹……。
乾いていて衒いがないのに、そこはかとなく〈艶〉のある、クセになる文章のリズム。読んでいて、おもわずほほえんでしまう巧まざる〈ユーモア〉、人間観察からあふれでる、生きることへの〈姿勢の良さ〉。身近にありそうな、でもちょっとだけいつもと違う世界を、〈女性たちの持つ違和感〉を織り交ぜつつ、町の商店街の生活、女性同士の友情と葛藤、男性への鋭い視線などを通して描く実力派新人が登場。
ささやかだけど美しくて、すこしおかしな日常、全7篇の短篇集。


                       (文藝春秋HPより)



7つの短編集。
どれもユーモアありで読んでいて楽しい。


<ラインのふたり>
倉庫内の軽作業従事者の亜耶と霧子。
同じライン上で作業していて、親しくなる。
正社員しか車の通勤が許されていないけれど亜耶は車で通っていて
同じ方向に家のある霧子も一緒に乗せてくれる。
ラインを監視している正社員の通称・ジャミラの陰口をたたく二人だったが
案外、良い人だったことを知る。


<カシさん>
夫婦で営むクリーニング店によく通ってくれるカシさん。
家で洗うような下着やタオルも持ってくるので下着は家で洗うように
その方法を妻が教えたりする。
カシさんの苗字は漢字ではどう書くの?と暫く通ったあとで
聞くと「おかしの菓子」と。


<姉といもうと>
高級マンション302号の通いの家政婦をしている姉。
妹が今度、恋人を紹介したい・・・
恋人の上司は姉の通い先のご主人だったという偶然。
生まれつき、指が欠損している妹だけど、こういう子は
幸せになってほしい。


<駐車場の猫>
商店街で布団やを営む夫婦。
すぐそばの1台しか停められないコインパーキングにいる猫たちの
エサを妻があげている。
妻が腰痛のため手術することになり入院。
その間のえさやりは向かいのふぐ屋の女将さんがやっていてくれると聞き
妻は安心。
退院し、お礼をしようと思ったら店は閉まり出て行ったとか。


<米屋の母娘>
脚を捻って治りが悪く日常生活が不自由という母の様子見で実家へいく息子。
母には宅配のお弁当が届くので自分用の弁当を買おうと、近くの米屋で
売っている380円の弁当を購入。
中身がスカスカだけど仕方ない。
米屋は母と娘どちらかが店先にいるが息子が行くと娘が対応。
かわいい顔をしていてぽっちゃり。でも接客態度は愛想ない。
でも、そういう女性の態度がすきな息子。


<一等賞>
母におつかいを頼まれてよく行く商店街。
そこにはアラオという酒の飲み過ぎが元で少しおかしな言動をする男が
ふらふらしている。
家の隣のアパートに姉と暮らしている男。
子どものアラオを必死に探し回ったり、自分の目玉を探していたり・・・
商店街の皆は、そんなアラオが、ちゃんと再びアパートに戻れるように
順番にアラオを導いていく



<スナック墓場>
スナック波止場は、近所の常連さんが集う店。
美薗ママと克子とハラちゃん。
美人は一人もいないスナック。
競馬の場外発売所が近いので克子はたまに馬券を購入。
スナックはオーナーが亡くなり閉めることになったけれど年に一度は
同窓会しようと3人で決めて、大井競馬場へ。
ハラちゃんの第六感を信じて買った馬券は大当たり。
克子は亡くなった夫との思い出を回想する。




読みやすいし、どれもいい。
ちょっと哀愁感じつつ笑いもあって、ほかの話も読みたくなる。
直木賞受賞作「カフェーの帰り道」早く図書館の順番来ないかな~
待ち遠しい。




                   ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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