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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年11月


現役女子高生作家が紡ぐ、鮮やかな人間賛歌
★遠くへ行きたい 
田中花実は、中学2年生になった。前作『太陽はひとりぼっち』からのバディ、佐知子とは相変わらず仲良し。ある日、二人は少女と出会う。よかれと思って少女のために行動した二人だが、思わぬところから、深い社会問題に踏み込んでしまう結果に。笑いあり、涙あり、生きることへの肯定感を滲ませる「るりかワールド」はより広がり、深みを増す。
★私を月に連れてって
デビュー作『さよなら、田中さん』、前作『太陽はひとりぼっち』でも、常に名脇役として登場する2階の住人・賢人が主役の物語。相変わらずむさ苦しく、世捨て人となっている賢人がある日突然恋に落ちる。そのお相手とは……?そして、その恋が、彼の生活、人格すべてを変えていく。賢人が見つけた鮮烈な「恋」の行方は……?
★夜を越えて
今作の『遠くへ行きたい』を受けて誕生した作品。授業の一環、職場体験で出会った「ぶーさん」。彼女は、花実のお母さん・真千子の昔を知る人物だった。実の娘の花実にすら一切を語らない、真千子の壮絶な過去の一端が紐解かれる。そこで描かれる真千子の少女時代。そして、その時代から続く熱い想い、絆に心が震える一編。

                 (小学館HPより)



今回も先が気になり、読み始めたら止まらず一挙に読了。

佐知子と共に、学校にも行かず、家から出ることを禁じられている少女・のんちゃん
の存在が気になり、匿名で児童相談所に連絡する。
なんとそれがニュースになり、のんちゃんは無戸籍で母親の元を離れ
施設に保護されたという。

それを知り、花実と佐知子は、のんちゃんと母親を離れ離れにしてしまった
ことを、気にする。
正しいことをしたんだろうか?と。
のんちゃんにとっては余計なお世話だったんじゃないか?と。

優しいな。
でも、正しかったんだよと言ってあげたい。
このままでは、のんちゃんは学習する場も働く場もないのだから
生きていく術がないまま大人になってしまう。


即場体験で知り合った村上さんがお母さんの親友だったという奇跡の出会いから
花実の母・真千子の過去の話に。
壮絶な過去。
気になるのは、もしかして花実は実の子ではないのか?というところ。

花実が度々、思い出す、小学校の担任・木戸先生の兄が弟を訪ねてくる話も
まだ兄弟の再会の場面はなしに終わった。

木戸先生の兄は前作で見た目は女性で今回は木之内文代と名乗って登場。
女性と思って惹かれている賢人が本当のことを知ったら・・・・
でもそのおかげで賢人は身なりを整え、バイトも始める。
無為徒食の生活から踏み出せそうでよかった。



ああ、いろいろ続きが気になるシリーズだ。



                       ★★★★★
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発行年月:2019年10月


文学界注目の高校生作家、待望の新刊!
 デビュー作として異例の10万部を超える大ヒット『さよなら、田中さん』の田中母娘が帰ってきました。単なる「続編」とはせず、ひとつの新しい文芸作品として意欲的に取り組んだ一作。前作で強い印象を残した登場人物達がさらに謎とドラマ、嵐を呼ぶ!!
 『太陽はひとりぼっち』花実は中学生となった。ある日、家の前に見知らぬビジネスマンがやって来る。彼は一体何者?さらに別の日にはやせた老婆が家の前に座り込んでいて……。次々登場する謎めいた人物が引き起こす大騒動。一つ一つの事件に込められた人々の思い、苦しみ、葛藤。生きることへの希望を説く「るりか節」が力強く心に響きます。
『神様ヘルプ』デビュー作『さよなら、田中さん』最終章で鮮烈な印象を残した三上信也。中学受験に全落ちし、毒親である母親から山梨県にある全寮制のカトリックスクールに送られた、彼の現在は?
『オー マイ ブラザー』花実に大きな影響を与え、数々の名言を誕生させた木戸先生の物語。オカルトに傾倒し、不思議な話ばかりしている木戸先生の人生における唯一の固執、謎が見事に解明されるラスト。全編を通してテーマとなっている太陽の光が物語に陰影を与える。
以上 全3編。

                 (小学館HPより)




前作から続けて読み、この作家さん、やっぱり凄いなぁ~と感じる。


中学生になった花実に新しく出来た友達・小原佐知子。
家は裕福なんだけど、母親が再婚した相手が裕福で、その実家も結構な資産家
なんだと。
新しい父と母の間に生まれた妹のことを父方の祖父母は溺愛し、佐知子は
カヤの外。
だから早く一人で稼いで、あの家から出たいと。
なかなか、思い詰めているなぁ~。
佐知子の思い込みが過ぎているのかもだけど、こんな風に感じての毎日は
辛いだろうな。
花実は、そんな佐知子のよき理解者として存在していると思う。


そして、花実のおばあちゃん登場!

強力なキャラクター。
今でいう毒親そのもの。
花実の母に対する態度が横柄で、いつも元気な花実の母がおとなしい。
子どもの頃は母親が怖くてしかななかったという。
でも、別れ際、花実にかけた言葉から、少し変わったのかな?
とも感じた。

二つ目の話は、前作で登場の三上くんのこと。
相変わらず、いい子。
カトリックの全寮制の私立中学に進み、卒業後は神職に就くと決めた様子。
三上くんなら良い神父さんになれそうだけど、本当になるのかな?
帰省したときに花実と再会し、一緒に寄席を観にいく様子が微笑ましい。
今後の三上くんも気になるところ。

3つめの話は、中学で担任だった木戸先生の話。
オカルト好きの理由がわかった。
尊敬していた兄がある日突然、居なくなってしまう。
兄は国立大の4年生だったとき。
けれど、ある日、偶然、兄を見かける。背の高い女の人だなと思ったら・・・
すれ違ったあとで呼びかけると二人でしかわからない指のサイン。

この話、凄いすき。
先生の名前は、光雄で兄は文雄。
なるほど・・・指で表せる!!

三上先生が、花実のことを印象強く覚えているのもいい。

続きの3冊目も手元にあるのが嬉しい♪
続けてよもう。
もう、好きな作家さんの一人になりつつある。



                      ★★★★★



発行年月:2017年10月


14歳スーパー中学生作家、待望のデビュー
 田中花実は小学6年生。ビンボーな母子家庭だけれど、底抜けに明るいお母さんと、毎日大笑い、大食らいで過ごしている。そんな花実とお母さんを中心とした日常の大事件やささいな出来事を、時に可笑しく、時にはホロッと泣かせる筆致で描ききる。今までにないみずみずしい目線と鮮やかな感性で綴られた文章には、新鮮な驚きが。
 友人とお父さんのほろ苦い交流を描く「いつかどこかで」、
お母さんの再婚劇に奔走する花実の姿が切ない「花も実もある」、
小学4年生時の初受賞作を大幅改稿した「Dランドは遠い」、
田中母娘らしい七五三の思い出を綴った「銀杏拾い」、
中学受験と、そこにまつわる現代の毒親を子供の目線でみずみずしく描ききった「さよなら、田中さん」。
全5編収録

                   (小学館HPより)



いや~面白かった!
ただ面白いだけじゃなくて、考えさせられることもいっぱいで
笑えるところ、切なくなるところが混じっていて、素晴らしい。

主人公は小学6年生の田中花実(はなみ)。
母親・真千子と二人暮らし。
裕福じゃなくても、生活を楽しんでいる真千子が素晴らしい。

建設現場で男性と一緒に働いている逞しさもあるけれど、すごく優しいし
全てに大らか。
こんな母親が居たら心強いだろうな。

花実もすごくいい子。
人の心の痛みがよくわかる子。


アパートの大家のおばちゃんの一人息子・賢人も、変わり者だというけれど
名前の通り、賢いし、優しい。
何が原因で学校に行けなくなってしまったんだろう。
真奈には、適格なアドバイスをするし、誰とも関わりを持たずに
じっとしているのは勿体ないな。

母親の縁談話の相手だったスーパーの社長・風間も気になる。
自分から断ってその後、スーパーは閉店したけれど、もうこれっきり?

表題の、さよなら、田中さんの意味は同級生の三上くんの話から。
小学校受験に引き続き、中学受験も失敗し、花実と同じ公立の中学に進学かと
思ったら、親が他県の全寮制の私立中学の進学を勧め、それに従うことに。

また再会してほしいな。
三上くん、いい子だし。


色々、今後の展開が気になることが多く、続編を読むのがすごく楽しみ。

14歳で、凄い!
今後が楽しみな作家さんだ!


表紙の絵は西原さんだけど、ちょっとお母さんのイメージ違う。
がりがりに痩せているって言うから・・・

                   ★★★★★



発行年月:2023年11月

自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。
地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、元夫の恋人の葬儀を手伝うことになった花屋、世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦……。
死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤と決意を力強く描き出す、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこ、新たな代表作!

                    (ポプラ社HPより)


家族葬専門の葬儀会社「「芥子実庵」を舞台に、そこでの人間模様を
連作短編で。


「死」が絡むから結構、重たい話が多かったけれど、そんななかでも考えさせられたり
心に留めておきたくなるような言葉が幾つかあった。

最初の話は、葬儀会社に勤めている佐久間真奈の話。
31歳、独身で付き合っている彼・純也(すみなり)との結婚話のことで
悩んでいる。
純也に結婚を機に仕事を辞めるか、別の仕事に変えてほしいと。

そんななか、親友が、自死して遺体で運ばれてくる。
真奈に最期を託したいとの本人の希望で。

なんか、最初からショッキングでビックリ!
でも、真奈はしっかりしている。
動揺しながらも自分が出来る精一杯をしたと思う。
こんな風に自分の仕事に真摯に向き合っている姿を知ると、結婚を機に
辞めなければいけないなんて間違っていると感じた。

後からの話で、純也の本心も知れて、どちらの気持ちも理解できるだけに
この二人は、恋人として出会うべきじゃなかったのかもしれない・・・
と感じた。

真奈が下した決断は、正しいと思う。


純也の姉が、幼馴染の男友達の通夜に「芥子実庵」に来る話もあった。
純也の姉・良子は、結婚して幼い娘もいる。学生時代の仲良しグループ5人の一人が
事故死し通夜の席で真奈とあう。
良子自身もちょっと辛い状況。
夫とギクシャクした関係は、精神的にしんどい。
それでも、この日を境にちょっと気持ちが変わった様子。
なんとか、夫婦関係がよくなるといいな。


ほかには、芥子実庵の新人・須田の話もなかなか読んでいて辛かった。
中高と同級生だった伊藤の父親の葬儀で再会。
須田は、中学では伊藤に虐められ、高校では見下され続けていた。
須田の家庭環境も悲惨で父親がどうしようもない。
大学に入学するためのお金まで奪うなんて・・・・

イケメン社員の井原の抱えているものも、凄い(ノД`)・゜・。
妻が産後、鬱になり、産まれた子と共に心中。


最終章は、楓子が夫との離婚を。
真奈が彼との別れを選ぶ。
でも、それは、自分らしく生きるため。

結婚しても幸せになれるとは限らないし、一人で自分らしく生きる方が
幸せという場合もあると思う。


結構、重たい内容だったけれど、良い物語だった。



                       ★★★★★



発行年月:2018年2月


現代を生きる若者の不安と憂鬱と活路を見事に描きだした青春放浪記!
モモコ、22歳。就活に失敗して、バイトもクビになって、そのまま大学卒業。もしかして私、誰からも必要とされてない――!?
そんなやり場のなさから、ひたすら、ちくちくと縫い物に没頭する日々。ここに籠もって、暗い現実を、なんとかやり過ごせたら。でもそうは問屋が卸さない。家を出る羽目になったモモコは知り合いの下宿を転々とし、3Kの肉体労働にも黙々と従事し、明日をも知れぬその日暮らしを続けるうちに、肌身離さず持ち歩いていたぬいぐるみのうさぎに導かれるように、いつしか自分のルーツともいうべき場所に漂着していて――。
外国人労働者、格差社会、限界集落、地方の共同体、超長寿社会……
のっぴきならない現実をつぶさに目の当たりにし、いかに自分が非力かを痛感するたび、自分が傷だらけになって崩壊していきそうで、とにかく怖くて。それでもその場その場で、野草のように地面に根を張ろうとするかそけき女子の意外にタフな生命力。
就職とはなんぞや。働くとは、生きるとは――。
寄るべない気持ちで、たゆたうように現代を生きるすべての若者の、云うに云われぬ不安と憂鬱と活路を余すところなく描き出した人生応援歌!

                  (角川書店HPより)





家出したモモコの行く末を心配しながら読んだ。

住むところもなく、仕事もない状態だけれど、悲壮感はないのがいい。

家庭環境がやや複雑で、本当の父親は病死。
その後、母親は二回結婚している。
二度目のお父さんはお金持ちでモモコの7つ上のハルミが何処かの研究所で
作ったのうさぎをモモコもひとつ貰って、ずっと持っている。
家出のときも・・・・
そのうさぎはうさぎ同士で会話するらしい。
実際、家出まえのモモコの様子を観察しうさぎたちが会話している場面がある。

モモコは最初は、一人暮らしの同級生・西尾のところに暫く居候させてもらう。
でも何もしないで家にいるモモコに保険会社に就職し、慣れない環境で
疲れているのに・・・とモモコを見るたび不機嫌になる西尾に
「いつまでいるの?」と言われてしまう。
そりゃそうだよね・・・・笑

そしてリュックに私物を詰めて家を出てそのまま大学の卒業式に出席し
見かねた同級生・唄ちゃんが居候させてくれるという。
けれど、唄ちゃんの付き合っている彼に言い寄られ、それを唄ちゃんに
目撃されて、家を出る。

次は兄を頼る。
兄の住む会社(警備会社)の独身寮内のゲストルームに入らせて貰うが
外を、あちらこちら散策していたら、不審な行動と思われ兄が注意を受け
自分の評価が下がるから出て行けと言われ・・・・

しかし、その間、兄から、自分たちは父親が違う兄妹なのだと聞かされ
母親と兄の父のことを聞かされる。
そして、自分の亡くなった父親の故郷を訪ねてみようと向い、そこで
みね婆という父親とその父親(モモコの祖父)の話などを詳しく聞く。
暫くその村に留まり、仕事として、地元の無人になったお寺を掃除
したり修繕したりする。得意の裁縫で座布団を作ったりと村の人たちには
感謝される。
が・・・いつまでもここにいても未来がないと
村に必要なものを運んで来てくれたメリーの車で村を出る。

ウサギを見たメリーが同じものを持っている知り合いがいると連れて行ってくれて
そこがゲストハウスになっていたので、暫く滞在することに。
ゲストハウスの管理人・莉瑠は、うさぎは母親の再婚相手の連れ子・ハルミ
から貰ったという。

次々に住む場所は変わり、それでも、そこで新しい人間関係が生まれていく

最後は、得意の裁縫を活かした仕事を始めるのかな?という終わり。


うさぎの正体がイマイチ、よく分からなかったけれど、静かに今も見守って
いるんだろう。

まあまあ面白かった。



                      ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★★★すごく良かった!
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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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