忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7



発行年月:2017年3月

連合赤軍がひき起こした「あさま山荘」事件から四十年余。
その直前、山岳地帯で行なわれた「総括」と称する内部メンバー同士での批判により、12名がリンチで死亡した。
西田啓子は「総括」から逃げ出してきた一人だった。
親戚からはつまはじきにされ、両親は早くに亡くなり、いまはスポーツジムに通いながら、一人で細々と暮している。かろうじて妹の和子と、その娘・佳絵と交流はあるが、佳絵には過去を告げていない。
そんな中、元連合赤軍のメンバー・熊谷千代治から突然連絡がくる。時を同じくして、元連合赤軍最高幹部の永田洋子死刑囚が死亡したとニュースが流れる。
過去と決別したはずだった啓子だが、佳絵の結婚を機に逮捕されたことを告げ、関係がぎくしゃくし始める。さらには、結婚式をする予定のサイパンに、過去に起こした罪で逮捕される可能性があり、行けないことが発覚する。過去の恋人・久間伸郎や、連合赤軍について調べているライター・古市洋造から連絡があり、敬子は過去と直面せずにはいられなくなる。
いま明かされる「山岳ベース」で起こった出来事。「総括」とは何だったのか。集った女たちが夢見たものとは――。啓子は何を思い、何と戦っていたのか。
桐野夏生が挑む、「連合赤軍」の真実。

                        (文藝春秋HPより)




あさま山荘事件・・・・子どもの頃、ニュースで警察が山岳ベースを破壊している

映像を見た記憶がありますが、どうして起きた事件なのか?よく分かっていなかった。


桐野さんが取材して描いた、その事件に関わった女性・西田啓子を主人公に
事件の背景、幹部で女性の永田洋子死刑囚のことなどを知った。
いやはや、この永田って恐ろしい。

元々、山岳ベースは、山で子どもを産み、自分たちの手で優秀な兵士を育てることが
目的だったとか。当時、妊娠中の女性メンバーや看護師、保育士経験者が
選ばれて山に。
しかし、当初の計画とは違う、「総括」と呼ばれる集団リンチが行われ
それが一般的に世間に知られる。

物語の主人公・西田啓子は、そんな生活に嫌気がさし、もう一人の女性と脱走を図る。
事件後の裁判で自身も5年あまりの刑期を務めたが、出所後は一人静かに暮らす。
元小学校教師だったことから塾経営などをしていた。

静かに暮らしていた啓子の元にかつての同志から連絡が来る。
ライターの古市という男の取材を受ける気はないか?と。
最初は頑なに拒否していた啓子だけど、自分が知りたい情報も教えて貰い
連絡し合うように。



西田啓子の暮らしぶりは質素で慎ましい。
スポーツジムに通い、そこで起きる少々のイザコザや日常生活で感じる理不尽にも
波風立たせないようにやり過ごす様子が、なんだか切ない。


あさま山荘事件の詳細はさほど多くなかったけれど、リンチの様子はやはり
凄惨でゾッとするもの。


読みながら気が重くなることばかりだったけれど、最後、啓子に希望の光が
射す真実がわかりよかった。

読み応えあり、さすが桐野さん!と思った。

                          ★★★★
 
PR



発行年月:2017年3月

わたしは今日も あの人を待っている。
ベルリンの通りを歩きながら

 都市は官能の遊園地、革命の練習舞台、孤独を食べるレストラン、言葉の作業場。世界中から人々が集まるベルリンの街を歩くと、経済の運河に流され、さまよい生きる人たちの物語が、かつて戦火に焼かれ国境に分断された土地の記憶が立ち上がる。「カント通り」「カール・マルクス通り」他、実在する10の通りからなる連作長編。

                   (新潮社HPより)




ベルリンにある10の通りを歩きながら、感じることをあれこれ綴っている。
これはエッセイ?
主人公は、あの人と待ち合わせの前に通りを歩くことが多いけれど、ついに
最後まで、<あの人>は登場せず。
実際に居る人なのか?妄想のなかの待ち人なのか?


ベルリンをよく知らないけれど、描写から風景がなんとなく頭の浮かんでくる。
10の通りを歩きながら、過去の冷戦時代のドイツのことを考える
場面も幾つか。
色々な歴史を思いながら、街を散策している主人公。

過去ではなく未来のことを書いた話もあって、SFっぽく少し怖かった。
そんな時代、嫌だな・・・・とも感じた。


しかし、文章が美しい。
巧く言えないけど、読んでいて心地いい文章。

もっと色々読んでみたい。


                        ★★★★★



発行年月:2017年1月


 心が動かなくても人を殺れる。それが、おぬしの正体さ。
同心 木暮信次郎
商人 遠野屋清之介
思わず息を潜めてしまう、因縁の二人
とろりと甘い匂い、口から溢れる深紅の牡丹、妾に怨み殺された男の怪異に挑む。

                    (光文社HPより)



弥勒シリーズ7作目ですね。

同心・小暮信次郎と訳あり商人・遠野屋清之介。
二人のやりとりには、緊迫感ありますが、そこをうまく取り持つ伊佐治おやぶんが
いい。

今回の事件は老舗の油問屋、五平の不可解な死。
亡骸の近くには紅色の花弁が四方に散り、五平の口からも花が溢れている。
そして周辺に漂う甘い香り。

事件の真相を追う、小暮信次郎、その手伝いをする伊佐治おやぶん。

今回は事件の真相のほか、伊佐治の息子の嫁・おけいの話も気にしつつ
楽しんだ。
子どもを二度も授かりながら無事に産むことが出来なかった、おけい。
そのことを温かい目で見守る、伊佐治とおふじだけど、お互いの気持ちを
思うあまりに出来た気持ちの溝。


そして、またまた謎が深まった遠野屋の過去のこと。

前に読んだ話が再び出て来た?この情報は初めて知ったことだっけ?
シリーズが長いので、その辺が、やや曖昧になってしまう^^;


総集編的話をどこかでまとめて解説してくれないかなぁ~?(笑)。

しかし、木暮信次郎の見事な事件解決ぶりは気持ちいい。

まだまだ続きますね。このシリーズ。


                      ★★★★



発行年月:2017年3月


 夫を亡くした夏葉子は、次第に義両親との関係に息苦しさを感じ始める。
やがて彼女が下した決断は――? 
「嫁」の立場に悩む女性たちに贈る、人生大逆転ストーリー。

               (中央公論新社HPより)




44歳で未亡人になった高瀬夏葉子。

夫は46歳でシティホテルで脳溢血で急死。

夫の死後、現れる人たちに戸惑う夏葉子。
一番、不可解なのは、サオリという女性の存在。
夫とどんな関係だったのか?


高瀬家の両親、引きこもりの義姉・弓子。

自分は、嫁と言う立場にがんじ絡めにされてこの後の人生過ごすのか?
自分に大した愛情も感じてくれていなかったんじゃないかという夫の生前の
ふるまいを考えると、高瀬家から逃げ出したくなる。

そんな気持ちを理解し、一番、力になったのが夏葉子の父親。
気持ちをよく理解して、義父母との縁を切る姻族関係終了届なるものの提出を
行うよう知恵をだし、高瀬家に一緒に行って、その辺りのこともキチンと
義父母に説明してくれた。

そして友達の千亜希の存在もありがたい。


また、最後、夏葉子が姑に対して、本心から優しく接している姿も良かった。
義姉の弓子による夫とサオリとの関係説明も夏葉子にとって気持ちを
軽くする要因になった。


法律上は高瀬家の嫁をやめても縁あって一度は親族になった者たちを
夏葉子は、今後、優しい気持ちで接していくんだろうな~と思えた
ラストも良かった。


                          ★★★★



発行年月:2016年6月


大切な人を殺された者は言う。「犯罪者に復讐してやりたい」と。凶悪な事件が起きると人々は言う。「被害者と同じ目に遭わせてやりたい」と。20××年、凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。それが「復讐法」だ。目には目を歯には歯を。この法律は果たして被害者たちを救えるのだろうか?

                     (双葉社HPより)



いや~凄い内容でした!
これがデビュー作ということにも驚いた!


5つの章からなる。
5つの犯罪による犯罪者と法のもと復讐する関係者たち。
それぞれの被害者の遺族が法のもと復讐する権利を得たことで
悩み考える。

それぞれの事件と復讐する側の人物。
<第一章 サイレン>
16歳の息子を拉致、監禁の末、暴行を受けて4日目に殺害された父親。

<第二章 ボーダー>
14歳の娘に自分の母を殺害された女性。

<第三章 アンカー>
無差別に人々を刺した男は3人を殺し5人に重軽傷を負わせた
・専業主婦の母親を殺された娘
・医大生の弟を殺された弟
・教師だった婚約者の女性を殺された男性

<第四章 フェイク>
屋上から10歳の息子を突き落された母親

<第五章 ジャッジメント>
ネグレクトの母親とその内縁の夫に可愛い5歳の妹を餓死させられた兄



復讐法に則り、犯罪者に罰を与える被害者の関係者たちの葛藤。
実際に被害者と同じ苦しみを与えるために自ら法の元とはいえ殺人を行うことへの
躊躇い。
自分ならどうするだろう?
自ら手を下すのは、やはり悩む。
そうかといって単に長期間収監されてよしとなるのは許せない。

読みながら、色々と考えさせられた。


次の作品が今から楽しみだ。
本当に凄い新人作家が登場したものだ!



                       ★★★★★

 
カレンダー
05 2017/06 07
S M T W T F S
1 2 3
4 5 8 10
12 13 15 16 17
19 21 23
26 28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★なんとか最後まで読み終えた
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]