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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2001年4月


 まもなく渋谷の街が抜ける、
精神病院への移送途中、逃亡した14歳の少年は、
霧雨に濡れるすり鉢の底の街に何を感じたのか?
知覚と妄想の狭間に潜む鮮烈な世界を描く傑作書き下ろし!

                (幻冬舎HPより)




三部作だそうですが・・・

前の「コンセント」と「アンテナ」は未読です。
でもこれだけで十分面白かった!


主人公の佐藤ミミにとても好感が持てました。
両親を幼くして亡くし、父方の祖父母の元で幸せに成長し・・・
武道家でもあった祖父から、武道を学び、自衛官~看護師と職業を変える。
でもそこで得た技術はその後のミミの大きな力になっていくのが凄い。

文章に無駄がない。
一つ一つの出来事が全て後に繋がって行く。

そして、ミミは移送屋に。
精神的に異常だと周囲が認めた者から依頼を受けて、本人に接触し納得したうえで
病院や施設まで移送する仕事。
ある日、14歳の正也を移送中に脱走され、正也を探す。

正也とミミとの関係がいい。
正也のような人は、実際居るでしょう。
周囲からは異常者のような目で見られ、本人は、今いる世界から安心できる
居場所を求め苦しむ。時には暴力で抵抗したり・・・

ミミはそんな正也の存在から真正面から向き合い、会話を長く続けることが出来る。

精神科の患者さんとの向き合い方のような物も書かれている。

世間から偏見の目で見られる精神科疾患の人のことがこういう物語から
少し救われるといいな。


時間があれば三部作の前二作も読んでみよう。


                        ★★★★★
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発行年月:2014年10月


 大災厄に見舞われた後、外来語も自動車もインターネットも無くなった鎖国状態の日本で、死を奪われた世代の老人義郎には、体が弱く美しい曾孫、無名をめぐる心配事が尽きない。やがて少年となった無名は「献灯使」として海外へ旅立つ運命に……。 原発事故後のいつかの「日本」を描いたデストピア文学の傑作!未曾有の“超現実”近未来小説集

                     (講談社HPより)




表題作が一番長い話ですが、5つの話が収録。
違う話ですが、全部、同じ世界観を色々な主人公たちで書いたかんじ。

恐ろしかったです。

原発事故後の日本がこんな風になったら・・・・と思うと。

表題作の<献灯使>は、100歳を優に超えた老人と暮らす曾孫の無名の話。
無名の母は、彼を産んだ3日後に息をひきとり、父親はそのショックからか
逃げだすように姿を消し行方知れず。


無名は優秀な子ども。
彼の能力を国際医学研究が分析し世界中の人々に役立てるため献灯使となることを
受け入れる。

彼のその後が気になるのだけど・・・その後の短編にその答えはあったのか???


その他の話
<韋駄天どこまでも>
<不死の鳥>
<彼岸>
<動物たちのバベル>



平成の時代がとっくに終わった時代の日本が描かれている。
それを読んでも不安になる。

著者は、ベルリン在住だとか。
なるほど・・・。
他所から見た今の日本の現状を憂い警告を示したものなのか?


                        ★★★



発行年月:2015年1月

霧深いなか、道案内の剛力たちに守られながら、ニザマの地方官僚の姫君ユシャッバとその近衛兵の一行が尾根を渡っていた。陰謀渦巻く当地で追われた一行は、山を下った先にある港町を目指していた。
剛力集団の中には、鳥飼のエゴンがいた。顔に大きな傷を持つエゴンは言葉をうまく使えないが、鳥たちとは、障害なく意思疎通がとれているようだ。そんな彼の様子を興味深く見ていたのは、他ならぬユシャッバだった――。

                   (講談社HPより)



前作の「図書館の魔女 上下」の続編。
同じ世界ですが、主人公は違う。

前作は<一の谷>の図書館の魔女・マツリカとユキヒトの物語だったけれど
今回、ユキヒトは名前がチラッと出てくるのみ。
マツリカは終盤に登場しました!


今回も分厚い本。658頁。
仕事休みの今日、家事の合間に、昼前から読み始め、なんとか夕方に読了。
すごい達成感・・・笑
正直、ちょっと途中、斜め読みしました^^;


言葉は上手く話せないけれど、烏のハァウと意思疎通を図り、情報取集により
仲間の危機を救う・エゴンが主役かな?
エゴンたち剛力の仲間に加え
焼き討ちされた村で意識のなかった少年・黒(ハク)を助け
途中で出会ったニザマの姫君・ユシャッバを安全なところに連れていく。
その行きついた先でマツリカ登場!

マツリカと剛力たちのやり取りが愉快でした^m^
マツリカのクールなかんじ、いいわ~♪


この世界観はやはり素晴らしい!
続編読みたいな。
もう少し、コンパクトにしてほしいけど・・・^^;


                         ★★★★★

 



発行年月:2004年3月

富士山のふもとに集め続けたゴミの 要塞に住む妖怪のような老女の話「ジャミラ」他、

霊峰富士にまつわる、せつなくも美しい 小説集!

                (文藝春秋HPより)




富士山が出てくる4つの短編。

どの話も良かった!


<青い峠>
コンビニでチーフとして働く岡野(29歳)。
元は医学生だった。大学の友人・飯田と正式信者に
なるために富士山麓の研鑚所にいた時の思い出。
研鑚所で飯田は、亡くなった・・・富士山が好きだった。


バイトのこずえが岡野の支えになってくれそうでホッとする。
これって、オウムの話だよね?
こんな風に能力ある人が潰されちゃう宗教って恐ろしいと改めて感じた。



<樹海>
小学校から受験で入学し、中学卒業で、それぞれ違う進路を選んだ3人の少年。
卒業旅行として、樹海で野宿。

無鉄砲だけれど、何かを学んだようす。
首を吊り損ねた男に遭遇の場面はドキッ!



<ジャミラ>
ゴミに囲まれて富士の麓の街で暮らす老女・木村マツ。
市役所環境課のボクは、木村マツにジャミラと名付ける。
説得に応じ、ゴミ撤去となる。

なんだか、ジャミラが哀しい。
少しでも楽しく人の関わりを感じながらこれからは暮らして欲しいな。



<ひかりの子>
水子供養の観音菩薩にお参りに行った、看護師の美奈子。
自身が関わる堕胎手術で生きられなかった子どもたちの魂が
安らかであるように、祈る。
そこで出会った流産で子どもを亡くした女性・梶川むつ子と
女性ばかりで富士登山するツアーに参加する。

参加女性たちのそれぞれの話が強烈。
なかでも子宮がん末期で最後の頑張りに富士山に登る決心をした小林順子が
印象的。
彼女を支えながら美奈子も登る。

病院勤務で産科に居た時堕胎手術で生きられなかった子どもを、
わたしも見たことあるので美奈子の怒りは共感できた!



どの話も重たいものを抱えた人たちが富士山に救われる。
そういう力がやっぱり、あるんでしょうね。



                      ★★★★★



発行年月:2009年4月


 別れたはずなのに続く、
 男女の不思議な関係を描いた
 傑作五篇を収録!


7年前に別れた恋人が、ある日突然、あぐりの部屋を訪ねてきた・・・

(「お茶が熱くてのめません」)。
終わった恋の苦さを描いた表題作ほか、
別れたあとにも続く男女の不思議な関係と、
それぞれが抱く微妙な感情を巧みに描いた珠玉の5篇。
巻末に著者インタビューを収録

                      (ポプラ文庫HPより)



<お茶が熱くてのめません>
7年ぶりに会った元恋人。
ドラマの脚本として、自分が妻と子と別れ父親から継いだ会社を倒産させた話を
買ってくれないか?と言う


<もと夫婦>
元妻から、困ったことが起きるたびに呼び出される。
ドロボーが入った、財布を忘れ食事代が払えないなどなど・・・

<下町>
別れた夫と度々会う。
また一緒に暮らさないか?と


<よかった、会えて>
40男が28歳の女性から結婚を言い渡され、結婚式当日。
だが・・・花嫁が来ない。

<夢のように>
ドケチの昔の男(ホテル代を立替えさせる男)から連絡あり。
他の女と結婚するからと別れた男。



他人事だから面白く読んだ。
こんなこと身内のものが同じ状況になったら、
<下町>に出てきた母親みたいに、ヤキモキするだろうなぁ~。

巻末のあとがきにかえて<ユーモアはあらゆるものに勝る>は、面白かった!
著者のユーモア好きです♪


                          ★★★
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