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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2011年1月


 この子を「クヌート」と名づけよう――。白い毛皮を纏った三代の物語。

極北の地に生まれ、サーカスの花形から作家に転身し、自伝を書きつづける「わたし」。その娘で、女曲芸師と歴史に残る「死の接吻」を演じた「トスカ」。そして、ベルリン動物園のスターとなった孫の「クヌート」。人と動物の境を自在に行き来しつつ語られる、美しくたくましいホッキョクグマ三代の物語。多和田葉子の最高傑作!

                 (新潮社HPより)



ホッキョクグマの3代にわたる物語。
お話も3つの章に分けられている。

<祖母の近代論>
若い頃は、サーカスの花形だった、わたし。
昔のことを思い出しながら自伝を書く。
それが出版社から発表され、海外の人にも読まれる。
が・・・社会主義国のサーカスに対する動物愛護団体の非難に発展してしまう。


<死の接吻>
最初の話のわたしの娘・トスカの物語。
サーカスでほかのホッキョクグマと共演することになるトスカ。
調教師のウルズラとは、心が通い合い、夢のなかでそれぞれが言葉を話し
サーカスのある場面を練習する。
夢のなか以外では言葉を交わすわけではないが、本番のそのとき
お互いが同じ夢を見ていたんだと確信する。


<北極を想う日>
生まれたばかりのクヌートは、飼育員のマティアスの手から乳をもらい
成長していく。
クヌートにとって、マティアスは母親。
しかし成長し、いつもの遊びの最中に手が滑ってマティアスに怪我を負わせて
しまい、自立のときと判断され別の場所へ。
マティアスからはいろいろなことを教えて貰った。



クマが擬人化されているのがユニーク。
それぞれが、人間によって翻弄される様子は哀しい。

<死の接吻>でのサーカスの見せ場のシーンには感動しちゃった!
トスカとウルズラの信頼関係が美しい!

<北極を想う日>のクヌートとマティアスの関係も素敵でした!
成長したら一緒に居られない・・・仕方ないことかもしれないけれど
別れが辛かった。
自分が何故、母親から乳を貰えなかったのか?
クヌートの苦悩も切ない。


文章が美しくて、ちょっと海外文学みたいだなぁ~と感じた。
実際、著者は海外在住らしいと後で知ったけど。

他の作品もいろいろ読んでみたい。


                          ★★★★★
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発行年月:2014年3月


「とても疲れている」と感じているあなたに。

きっと気持ちが落ち着くわよ。
坐ってみてどう変わるか、自分で確かめるしかないでしょう───
「恋愛」「容姿」「家族」……尽きせぬ煩悩に効く物語

本当の自分が見つけられない30代無職女子、
悩みを捨てきれぬ40代女流作家の不思議な出会い。
「特に女性にとって恋愛はストレスなのよ。知っている? 女は男の二倍も恋愛でストレスを感じるのよ。うまくいっている時はいいけれど、およそあんなに疲れるものはないわね。そこに、仕事や家族の悩みが加わってごらんなさいな、老(ふ)けこむに決まっているわ」
「悩む。そうね、あなた方はどういうことを悩むと呼んでいるのかしら。多くの場合、恋の悩みは相手が自分の思い通りにならないことでしょう。相手が自分の望むことをしてくれない、相手が自分を好きになってくれない、だから苦しいのではないかしら」

                   (祥伝社HPより)




二人の女性が、坐禅を通じて過去の自分と向き合う話。


作家の羽鳥ようこは、3.11から1年後、ささやかな慰霊祭を東京の知人のお寺で開催する。
そこに参加していた松下りん子。
慰霊祭が終わった後も会場に残っていて、「助けてください」とよう子から離れず
仕方なく自宅に連れ帰る。
そして、居候生活スタート。

よう子の知り合いのアイリーンが来日し、座禅会を開くというので、そこに、りん子も連れて参加するよう子。
3日間の坐禅会。
アイリーンは日本人とアメリカ人のハーフ。
ニューヨーク在住。
坐禅の意味を説きながら、坐禅をするよう子とりん子の問いかけにアドバイスする。


二人とも過去に重苦しいものを抱えている。
それに坐禅をすることで、素直な気持ちで向き合い、これからの生き方を
前向きに考えて行く。
特に、りん子が自分から今後の生き方を決めた姿には「よかった!」と思った。


なるほど、坐禅とはこういうものなのかぁ~。
イヤイヤ、子どもの頃、体験したことはあるけれど、今やったら
何か心のなかで変わるものあるかな?
ちょっとだけ興味を覚えた。


                            ★★★



発行年月:2014年3月

放蕩の末、家族に見捨てられた祖父の背中に、孫娘は長い時間のただならぬ気配を感じていた。

人生最後の日々を過ごす老人とその孫娘の静かな同居生活を描く「寝相」。失業中の男、元女番長、なぜか地面を這うようになった小学生が織り成す異色の群像劇「わたしの小春日和」。奇妙な美しさを放つ庭を男女四人の視点で鮮明に描き出す「楽器」(新潮新人賞受賞作)。目を凝らし、耳を澄ませるための三つの物語。瞠目のデビュー作。

                      (新潮社HPより)





3編からなる本。
どれもなかなか面白かった。

<寝相>
27歳のなつめは築39年の古い家に住んで3年半。
そこに母方の祖父を一緒に住まわせている。
祖父・竹春は85歳。若い頃は、やりたい放題で61歳の時に妻は出て行った。
竹春には、娘・弥生(なつめの母)と息子・原郎(なつめの叔父)がいるが、竹春のことを本気で面倒みたいとは思っていない。

なつめにとっての竹春は、憎めないおじいちゃんなんでしょうね~。
若い頃の竹春の生き様は、関係ないところで聞くには面白い。
最後、竹春の元を離れた柿絵も元気で生活している様子が知れて良かった。



<わたしの小春日和>
仕事を辞め、職探し中の行夫。
妻・伊知子は、出版社勤務。
ささいなことで口論となり、試験的別居に入る夫婦。
行夫が実家に滞在することにする。
同級生たちとの再会。そしてちょっと変わった子で有名だった安西加代子。

地元に戻った行夫に、同級生たちとの交流が復活し、行夫の生活もなんだか動き出す。
この後、試験的別居は解消されるのかな?
なんとなく丸く納まったラストは、ちょっと愉快。



<楽器>
ちょっとした目的のため、毎年5月に、とある街を訪ねることが恒例化した
男女4人。
今年も出かけ、その先で広い庭を持つ1件の家で宴会をしている様子を観察する。

よくわからないうちにどんどん、登場人物が出てくる。
話があちらこちらに飛びながらで、ちょっと混乱したけれど、なんだか楽しそうな
4人の様子が良かった。



感想が書きにくいけれど、なかなか面白かった。
最初の<寝相>が一番好きかな?

この本の表紙も可愛くて好き♪


                            ★★★



発行年月:2013年12月


 月光が射しこむベッドの上、流奈が思いを馳せるのは、「どうしても会わなければ」と願い続けた人々との4つの光景。──恋愛小説の名手が死への道程を妖しく鮮やかに描きだす。筆冴えわたる傑作長編。      

                     (集英社HPより)




4つの話に分かれていますが、これは長編小説ですね。

主人公は、病で死に向き合っている女性・満留瀬流奈。
既にこの世の者ではない者に向き合うお話。
ちょっと不思議な世界観。
それぞれの章の表題がユニーク。


<霧雨に紅色吐息>
ネットで予約した旅館に向かっている流奈。
同行するのは、金魚。
旅の目的は、かつて愛した美しい男性・三条澄人に会うため。
愛していたけれど憎んでもいた男。


<カダケスの青い小箱>
家族の期待を一身に受けた姉・志図だったが、画家と出会いすべてを投げ出し
スペインの地中海に面したカダケスに移住してしまった。
その地は、ダリの愛した街。
姉のことを想い、姉の思い出が残る街を巡る流奈。


<猫に雪茸まろびつ濡れて>
流奈の息子・千は、妻との子・星子が生まれて3年で離婚。
千は以来、娘に会わずに暮らしていた。
流奈は、千と星子を引き合わせようと二人で千の元へ訪ねていく。


<桜ふぶきいのちの宵闇>
流奈の娘・百。
幼く死んだ可哀想な娘。
そして子どもの頃、近所だった級友・タミ。
動作が鈍いタミの面倒を見るのはいつも流奈の役目だった。
そしてタミはある日、川に落ち、その2週間後に亡くなった。
二人の幼くて死んだ者の死は、自分の責任?仕方のない事故?
今もそのことを考えあれこれ悩む流奈。



死に直面した者は、既にあの世に行った者を近くに感じるものなのかな?
ちょっとホラー色あったりと不思議な幻想的な場面があったりでしたが
なかなか面白かった。

最後の話は、終盤、急に(予測出来ない展開で・・・)官能的になってビックリ^^;


                             ★★★





発行年月:2014年3月


 星新一の流れを受け継ぐ
新世代ショートショート作家の旗手、初の単行本!
田丸ワールド全開の、ちょっと不思議な20編。

                   (出版芸術社HPより)


ああ、面白かった!!
星新一の流れ・・・確かに受け継いでいました!!

20のお話、どれも良かったぁ~。
特に最初の<蜻蛉玉>は、切なくて美しい不思議なお話で、最初が凄く良かったので
この感動が次のお話以降はどうなるかなぁ~?と不安でしたが、
どれもこれもパーフェクト!!
凄いなぁ~。巧いなぁ~。
感心しきりでございましたぁ~(^^)


不思議ななかに、クスッと笑えたり、少しブラック効いていたり、メルヘンチック
だったりと、いろいろな雰囲気で楽しませてくれました。


表題の<夢巻>も良かった!
思い出を葉巻のようにピンクの煙を吐き出しながら、堪能するなんて
楽しそう。
でも思い出だから、ちょっぴり切なかったりもするのかな?
表紙の絵は、そんなイメージを表しているんでしょうね~。
この表紙の絵も素敵です!


これからもショート・ショート作家として、いろいろなお話を読ませて
欲しいです!!



プロフィールを見たら・・・・東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒!?

すっごい、頭いいんだぁ~。
なるほどなぁ~理系でも頭良い人は、こういうお話も書けちゃうんだぁ~。

プロフィール見て、またまた感服致しましたm(__)m

                            ★★★★★
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