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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年3月


30余年を経て甦る「早すぎた名作」
現在を加筆し、堂々復刊
舞台は1989年、東京・中野。その一角だけ武蔵野の面影を残すような樹木の生い茂る洋館のアパート。
ここに暮らすのは6歳から66歳までの男女7人。
世代も境遇も異なるが、生まれた家や婚家などで家族に傷つき、偶然にここに集まってきた。
大家族のように暮らしながら、それでいて個の生活に踏み入らない節度に、住人は癒やされ、強くなっていく。樹々や草花、鳥や昆虫、そして手作りの料理の数々…。
日常をいとおしむような場面に彩られた小説は、今こそ輝きを放つ。
いろんな家族があるのよ。本当にいろんな、ね。
あなたは、まだ知らないけど…。
『血縁の家族に疲れ切って、「結縁」の家族を新しくつくりあげる人々を書いた『偶然の家族』。この小説には、年が離れたゲイの恋人同士も登場する。(中略)。親しい文芸関係の編集者から、言われた。「なぜ、敢えてゲイを書く必要があるのだ」。なぜと問われても、わたしが心惹かれるのは、書きたいのは、社会の枠組みから、ともするとはずれがちなひと、はずされる人々なのだ。』( 『「わたし」は「わたし」になっていく』=東京新聞= より)

                 (東京新聞HPより)





30年前に書かれたもの加筆して復刻なんだ~。

落合恵子さんの本は、あまり読んでこなかったので、この作品も知らなかった。
でも、復刻してくれたおかげで読めた。

理想的な人間関係。
7人の住人たちが、それぞれ、ちょっとした心の痛みを抱えている。

今は家族の在り方も30年前と少し変わってきている。
いろいろな家族の在り方があってもいいと思う。


30年後、現在の7人のことが最後に書かれていたし、冒頭は当時、唯一の子ども
だった志賀滋の手紙も。

小学生の滋の父親参観日に、大学生の宗太以外が出向く場面が
なんとも微笑ましかった。

これ、ドラマ化しても面白そうだな・・・なんて思った。



                       ★★★
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発行年月:2021年1月

認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、
それでも消せない“秘密の絆があったーー
八十六年の人生を遡(さかのぼ)る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実!
日本推理作家協会賞受賞作
『愚者の毒』を超える、魂の戦慄!
過去の断片が、まあさんを苦しめている。
それまで理性で押さえつけていたものが溢れ出してきているのだ。
彼女の心のつかえを取り除いてあげたいーー
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を“最後の旅”に連れ出すことにした。
それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。
大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の過酷を
生き延び、今日の平穏を得たのか。
彼女が隠しつづけてきた秘密とは?
旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、
老女たちの運命は急転するーー。

                   (祥伝社HPより)



都築益恵(まあさん)・・・86歳。夫(元教師)とは再婚同士。

持田アイ(アイちゃん)・・・80歳。夫は5年前に亡くなり一人暮らし。長男と
長女は、結婚し、別に住んでいる。

須田富士子(ふじちゃん)・・・77歳。生涯独身。博物館の学芸員として長く勤務。
数か月前に手術。



認知症のため、施設入所することになったという益恵の夫・三千夫から
頼まれて、アイと富士子は、益恵が今まで暮らしていた土地を巡る旅へと
益恵を連れていく。


最初は、3人の波乱に満ちた旅の物語?と思ったけれど、そうではないと
すぐにわかる。
益恵が満州から11歳で引き揚げてきたということを読んだから・・・・・。

そして物語は益恵の満州から引き揚げて来るまでの壮絶な話に。
もう胸が痛くなる。読み進めるのが辛い。でも読まなきゃ!と
飛ばしたくなるような残酷なことも沢山。
よく生きて日本に戻って来られた!
幼い女の子が目の前で家族を喪っても生き延びてこられたのは運も良かった
けれど、ハルビンの収容所で出会ったカヨちゃんと一緒だったからと
いうのが大きい。
認知症になって言葉も少なくなった益恵が度々、口にするカヨちゃん。
益恵の人生に大きく関わっていた人物なのに、音信不通になっていたのは
なぜか?
その真実がわかったときには、絶句。



でも旅の最後に再会が果たせてよかった!


旅に同行したアイと富士子のそれぞれのことも書かれていた。
年を重ねると色々、起きる。
楽しいことばかりじゃない。


「あとは死ぬだけじゃないの」の一言は、この年まで懸命に生きたからこその
言葉だよなぁ~。

最後は、なんだか、清々しい気持ちだった。



                           ★★★★★



発行年月:2020年12月


あなたのしあわせ、って何ですか?
ある理由で家を出た小説家が、葉山の古民家に一時避難。生活を満喫するも、そこで出会ったのは――「海の家」
早期退職の勧告に応じず、追い出し部屋に追いやられた男性が、新たに始めたこととは――「ファイトクラブ」
人気プロ野球選手と付き合うフリー女性アナウンサー。恋愛相談に訪れた先でのアドバイスとは――「占い師」
五歳の息子には、新型コロナウイルスが感知できる?パパがとった究極の対応策とは――「コロナと潜水服」
ずっと欲しかった古いイタリア車を手に入れ乗り出すと、不思議なことが次々に起こって――「パンダに乗って」
やはり、奥田英朗はファンタジック

                     (光文社HPより)



5つの話、どれもちょっと不思議な出来事が起きて
最後はみなが優しい気持ちになれる話だった。


表題作「コロナと潜水服」は、そのまんま。
このコロナ禍の時代、5歳の息子が発揮したのは、コロナを感知する能力。
父親はそれを感じ、息子の様子から自分は感染していると
家族や他人に感染させないために潜水服を着て2週間過ごす話。

なんで潜水服?というと、合羽などの防護に使えそうなものは、完売して
しまっていて、苦肉の策で購入したのが潜水服というわけ。

最後のオチも一層、ハッピーな気分にさせてくれる。
こんな時代でも、日々の暮らしのなかで小さな幸せを見つける暮らしを
続けていけたらいいなと思えた。



一番好きなのは、最後の「パンダに乗って」
パンダって、イタリア車のフィアット・パンダのことだったんだ!
フィアットは好きな車!

初代の車はどんなのだっけ?と検索したら、角ばった車だった。

中古車って、前に乗っていた人がいるんだもんね。
前の持ち主も良い人が次に乗ってくれて嬉しいんじゃないかな?



こういう短編集、いいな。


                       ★★★★★



発行年月:2020年10月


1988年夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら…。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の逡巡や決意を、瑞々しく描く青春小説の傑作。

                 (双葉社HPより)


6話からなる連作集。

高校内で飼われることになった、コータローは、約10年、学校内の様子を見てきた。
一番最初に、コータローを飼うことに関わった塩見優花と
コータローの名前の元になった早見光司郎。


二人のお互いに好意を持ちながら別々の進路へと卒業後、別れてしまう様子に
寂しさを感じた。

が・・・それは、後の章でも、それぞれのその後の様子がわかる仕掛けなのは
嬉しかった!


高校生たちが、卒業後、成長して再び集う最終章のラストは最高!



それぞれコーシローに関わる生徒たちの話も、「ああ、青春だね~♪」という
感じで、とても良かった!


時々、コーシロー目線の語りが入るのも楽しかった。
捨てられたのは、可愛そうだったけれど、その後の暮らしが幸せで良かった!




                    ★★★★


発行年月:2020年10月


暗い淵のなかに身を沈めて仰ぎ見る、透き通った光。「生きているって、すごいことなんだねぇ」歌う鳥たち。草木の香り、庭に降りそそぐ陽射し。虹のように現れる、ささやかな七色の喜び。ちっぽけな私にも、未来、はあるのだ。読み終えると、あたたかな空気が流れます。本屋大賞第2位『ライオンのおやつ』に続く、待望の長編小説

                 (新潮社HPより)




最初は、幸せそうな母と娘の日常だったのに・・・
段々、母親の行動に奇妙なかんじを受けて・・・・

10歳の誕生日に写真館に行って写真を撮った事実がのちに、主人公のとわに
とって色々な意味を持つ。


目の見えない10歳の子どもを置き去りにしたのは、なぜなんだろう?
それまで、優しく接していただけに疑問。
経済的に余裕がなくなると心も歪んでしまうのかな?


しかし、それから保護される15年間、一人でよく耐えた!
生き延びて良かった!


母親の帰りを待つのをやめて、家から外に出て本当に良かった!

その後、出会った人たちは、良い人ばかりだったのもホッとした。
これ以上、辛い目に遇って欲しくなかったから。


30歳になって、10歳の時に訪れた写真館で、当時の話を聞けたのもよかった。
自分を捨てた母親だけど、愛情もあったと知ることが出来たのは救い。


視覚障碍者の日常も知れた。
今は、色々、便利になっているんだな。



                      ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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