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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年2月


たった一つのどら焼きが、海を越え、時代も越える。
少女の切実な願いが胸を打つ感動巨編!
製菓学校を卒業した樋口和子(わこ)は、浅草にある奥山堂の門を叩く。
祖父が亡くなる前に作ってくれた特別などら焼きを再現すべく、和菓子職人への第一歩を踏み出すために。
だが、待っていたのは男ばかりの職人世界の逆風、なかなか工房に立たせてもらえない年功序列の社会。
荒波の中でもひたむきに努力を続ける和子は、やがて一人前の職人になっていく。
一方、調べていくうちに、祖父が太平洋戦争に出征していたころ、ある船に乗っていたことを知る。
「お菓子の船」と呼ばれていたその船にこそ、どら焼きの秘密があるかもしれない。
当時の乗員に会って話を聞いていくうちに、和子は祖父の知らなかった一面を見つけていく。
ふんわりと溶ける皮、口の中でほどける餡子と、ひとつまみの“秘密”。
誰にでも、一生ものの忘れられない味がある。
「お菓子には不思議な力があるんだよ」

                    (講談社HPより)


幼いころに食べた祖父が作ったどらやきの味が忘れられず、いつか自分もと
和菓子職人になる。
祖父のどらやきを食べたとき、春と海の景色が見えた。
お菓子を食べて景色が見えることが驚きで、祖父に話すと凄く喜んでくれた。


和菓子職人になってからも苦労続き。
でも、懸命に努力して技術を身につけていく。

女性が居ない職場というなかで最初は、好奇な目で見られたり
いじわるをされたり・・・でも次第に他の職人に認められていく。

一方、祖父のことをもっと知りたいと、祖父を知る人を探し話を聞きにいく。
そんななかで、祖父が戦時中は食糧艦<間宮>のなかで菓子を作っていたと
言うことを知る。
当時の祖父を知る人の話を聞きに福島まで行き、戦地でのことを聞く。

菓子を作るための船なので戦闘に備えた装備はなく、最後は敵に撃たれて
沈没したという。
270名ほどの乗員のなか、助かったのは6名のみ。
祖父はそのなかの一人。

知らない史実だった。


和菓子職人として成長していく、女性とその祖父の話、
すごく読み応えあった。

初読みの作家さんだったけれど、読みやすいし、また他の作品も
是非、読んでみたい!




                     ★★★★★
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発行年月:2020年7月

ある朝、目を覚ますと腕に大きく「神様当番」という文字が! 突如目の前に現れた「神様」のお願いを叶えないと、その文字は消えないようで……?
 「お当番さん、わしを楽しませて」
 幸せになる順番を待つのに疲れたOL、理解不能な弟にうんざりしている小学生の女の子、SNSでつながった女子にリア充と思われたい男子高校生、学生の乱れた日本語に悩まされる外国人教師、部下が気に入らないワンマン社長。
 小さな不満をやり過ごしていた彼らに起こった、わがままな神様の奇跡は、むちゃぶりなお願いから始まって――。
 ムフフと笑ってほろりと泣けて、最後は前向きな気持ちになれる。
5つのあたたかい物語。

                   (宝島社HPより)



表題の「ただいま」は只今という意味だったんだな。
ただいまを、おかえりに繋がるものだと思っていたけれど・・・・(^^ゞ

5人の神様当番の話が順番に。
5人は、毎朝、同じバス停で顔を合わせるメンバー。
他人だけど、ちょっと繋がりがあるのも楽しい。

それぞれの元に突然、現れ、神さまからのお願い事を受ける。
それが叶えられるまで居るのだと。



<一番 水原咲良  OL(23歳)>
神様のお願い事は  「楽しませて」


<二番 松坂千帆 小学6年生>
神様のお願い事は  「最高の弟がほしい」


<三番 新島直樹  高校1年生>
神様の願い事は   「リア充させて」


<四番 リチャード・ブランソン  大学非常勤講師>
神様の願い事は   「美しい言葉でお話がしたい」


<五番 福永武志  零細企業社長>
神様のお願い事は   「えらくなりたい」



神様がチャーミングでいいなぁ~。
願い事を叶えてくれるまで居座るから・・・・と言いながら
結局、それは、それぞれの心の中にある思いを現実にしていく
ことに繋がって、皆が前より確実に幸せになっているのが素敵。

面白かった!!



                    ★★★★★



発行年月:2022年11月


2023年本屋大賞ノミネート!!
似ているようでまったく違う、
新しい一日を懸命に生きるあなたへ。
最後に仕掛けられた驚きの事実と
読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、
『木曜日にはココアを』『お探し物は図書室まで』
『赤と青とエスキース』の青山美智子、最高傑作。
長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家。
つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。
月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの思いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。

                   (ポプラ社HPより)


なんだか、うまくいかないなぁ~と悩んでいる人たちが、ちょっとした
キッカケで気持ちが吹っ切れて良い方向に進みだすお話が
集まっていたので、読んでいて、楽しかった。


5つのお話は別の話だけれど、主人公たちが、共通して聞いている
ポッドキャストの「ツキない話」。
先に登場した人が、他の話で出て来て、良い方向に導く手助けを
することになる。

こんな風に知らないうちに誰かを助けて、その人がまた知らない誰かの助けに
なって・・・と繋がっていくって素敵なことだな。


最後の章で、そのタケトリ・オキナの正体も明かされる。
想像とちょっと違っていたけれど・・・・うんうん、なるほど・・・。


「ツキない話」の内容も、面白かった。


この著者の話、もっと読んでみよう。



                   ★★★★★



                  



発行年月:2021年8月


うまくて、泣ける。
子ども食堂を取り巻くひとたちの生きづらさと希望を描く、老若男女群像劇。
午後5時開店、午後8時閉店。
亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。
スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。
お客さんは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、
娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。
みんないろいろあるけれど、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず。
やさしくって、おいしくって、心にしみる。
子どもも大人もお年寄りも、みんなまとめていらっしゃい。

                  (講談社HPより)


子ども食堂を始めた波子さんが素敵。
事故死したご主人が亡くなる前に気にかけていた公園で夕方ひとりで
パンを食べている少年の話が、心に残っていて始めた。

良いことをやっていると思わないこと・・・なかなか深い言葉。

そこに来る子どもたち、その親、一人で食べに来た大人。
そこで働く人たち。

みんなが救われる場になっていく。

最後のお話には、ご主人が気にかけていた少年・ケイシンくんが
登場~!!
もう泣けた・・・(;O;)
ちゃんと成長した姿、ご主人にも見せてあげたかった!


実際のこども食堂は、こんなにうまくいくことばかりではないだろうけれど
こういう場所がもっと増えたらいいなと思う。
近くにあったら是非、お手伝いに行きたい。


この著者、男の人なんだ~と読んだ後で気づいた(^^ゞ

他にはどんなのを書いてるのかな?
他の書も読んでみたい。


素敵なお話でした。



                  ★★★★

              



発行年月:2022年8月


1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。『火のないところに煙は』『汚れた手をそこで拭かない』の著者による、慟哭の長篇ミステリー。

                    (中央公論新社HPより)




凄い考えさせられた内容。

重たくもあるけれど、最後は、少し希望も見えたのかな?


最初、登場人物たちが次々、出て来て、それらが繋がっていく。

橋本波留は小学6年生。父子家庭。
父親に当たりやを強制的にやらされ、その示談金で生活。
波留のケガがある程度、回復したところで引っ越し、再び同じことを
繰り返してきた。
父親は波留を置いて数日、外出することも多く、その間、波留は
食べものを確保することに苦労。

そんな波留の親友・桜介は、波留のことを常に心配している。


殺人事件の被疑者・阿久津 弦は、精神薄弱児だった。
母親が頼りにしていた塾の教師(殺害された戸川勝弘)のすすめもあり、
阿久津は強制的に旧優生保護法により避妊手術を受けさせられていた。


殺害された塾教師の戸川は、ダウン症や落ち着きのない子などに真摯に向き合い
その子ども一人一人にあった学習法で学ばせていた。
保護者たちには頼りにされていた教師。



物語のなかで阿久津と波留が偶然、出会い
空腹の波留に食べ物を与え、波留の頼みを聞き、父親が反対したため
参加できなかった修学旅行先の日光まで車で連れていく。
自分が被疑者になっていることより波留の望みを叶えようとする姿が
哀しい。

警察が阿久津が運転する車を包囲したときは、ドキドキが止まらなかった。
もしかして最悪のことが起きる?なんて想像もしてしまったけれど
それは外れてホッとした。


阿久津は事件の1か月ほど前に、離婚した元妻から再婚&妊娠の
報告を受けていた。


阿久津は本当に、戸川を殺害したんだろか?

例えそうだとしても戸川への憎しみはもしかしたら
なかったのではないか?


戸川が自分が母親にすすめたせいで、阿久津が手術を受けてこどもを
もてなくしたことに後悔があり懺悔の言葉を述べ、罰することを
望んだとしたら??
なんて、想像もした。
その辺りの真相は、謎だけれど、最後まで、いろいろと考えさせられた。

やはり旧優性保護法は、間違った法律だったと思う。
阿久津と波留の別れのまえの会話は泣けた。

阿久津は、いいお父さんにも十分、なれたと思う。


読み終えたあとも、余韻が残る作品。



                   ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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