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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年5月


ちっちゃい赤ん坊だった準子が嫁に行くんだぞ――男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。もはや見ないふりできない肥満解消のため家族でダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。短編の名手による、笑って泣ける7つの家族の物語。

                   (講談社HPより)



どれも面白い、色々な家族の物語。


特に良かったのは、
<しりとりの、り>と<家族写真>。

<しりとりのり>
折角、家族を乗せて遠出をしているのに、会話がないとお父さんが
「しりとりをしよう」と提案して、姉・弟がそれに仕方なく付き合い始めると
おかあさんも途中参加。
そして、17歳のお姉ちゃんの旦那さん?え?赤ちゃんまでいたの?
とどんどん、この家族構成が明かされていくのが面白かった。

しりとりも独特で笑えた・・・途中から言いたいことをしりとりで言い合っていたり・・
なんとも楽しい家族・・・^m^



<家族写真>
これがやはり一番、家族の物語としは、いいかな?

写真館を営む父親が倒れ、父の手伝いをしていた娘・葉月が兄と姉に連絡して
父が入院中の写真館をなんとか、運営していこうとする話。

父親と疎遠になっていた息子・春太も葉月の姉・夏乃も、協力して
最後は、家族写真。
ほのぼのした終わり方でした。


久しぶりに読んだ荻原さんの作品だけど、ササッと読めて楽しかった。



                     ★★★

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発行年月:2022年2月


「あのときのメンツ、今みんなこっちにいるみたいだぜ」「まさか、スイ子か? なんでまた?」スイ子こと、山際彗子が秦野市に帰ってきた。手作りで太陽系の果てを観測する天文台を建てるというのだ。28年ぶりの再会を果たした高校時代の同級生・種村久志は、かつての仲間たちと共に、彗子の計画に力を貸すことに。高校最後の夏、協力して巨大なタペストリーを制作した日々に思いを馳せるが、天文台作りをきっかけに、あの夏に起きたことの真実が明らかになっていく。それは決して、美しいだけの時間ではなかった。そして久志たちは、屈託多き「いま」を自らの手で変えることができるのか。行き詰まった人生の中で隠された幸せに気付かせてくれる、静かな感動の物語。

                   (角川書店HPより)



高校3年生の夏、文化祭の出し物として、空き缶でタベストリーを制作した
仲間が45歳になって、再び集い、天文台を造る。

秦野市に戻ってきた、山際彗子は、国立天文台の研究員として働いていたが
自身で天文台を造るために辞職。

それを高校時代の友人たちが知り、手伝う。
高校のとき、一緒にタペストリー(オオルリがモチーフ)を作成したのは主に6人。
彗子の他は・・・

種村久志・・・・実家の薬局を継いで、同じく薬剤師の妻と小学生の男子二人の
        父親   

勢田 修・・・東京の番組制作会社を辞め、弁護士を目指し、司法試験を控える
       バツイチ

伊東千佳・・・公立中学で理科を教える教師。夫は英語教師
       高校生の娘と中学生の息子の母親

梅田和也・・・実家に引きこもって3年

槙 恵介・・・高校時代は明るく運動も出来き、ハンサム
       けれど、高校卒業後に自殺


最初は、久しぶりの仲間が集まって、天文台を造るという前向きなストーリー
だったけれど、それぞれの高校卒業後のことが判ってくると、みんな色々
あったんだね~という感じ。

特に、彗子と亡くなった恵介のことは、仲間も知らなかったことらしく
驚いた。
一人で逝かせてしまったという後悔が皆の胸に重くのしかかる様子は
読んでいて辛かった。

引きこもった和也に少し、明るい変化があったとことは、良かった。


ラストは、完成した天文台でジャコビニ彗星を観測するという場面。
1972年10月・・・・
ああ、そんな彗星の話、あったような気がする。

松任谷由美のジャコビニ彗星の日 という歌は知らなかったなぁ~。


ロマンありの素敵な物語だった。
オオルリという鳥も綺麗な鳥だと初めて知った。



伊与原さんの作品は、いいな。


                    ★★★★


発行年月:2017年3月


「火の神様に、人の強さを思い知らせて下さい」
江戸随一と呼ばれた侍火消の、再生と再起の物語。
「ぼろ鳶」と蔑まれるがクセ者揃いの火消集団の、
一発逆転ストーリー!
かつて、江戸随一(ずいいち)と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾(まつながげんご)。別名、「火喰鳥(ひくいどり)」――。しかし、5年前の火事が原因で、今は妻の深雪(みゆき)と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄(でわしんじょう)藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶(とび)」と揶揄(やゆ)される火消たちを率(ひき)い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。

                      (祥伝社文庫HPより)



主人公の松永源吾(30歳)が格好いい。

火消には、いろんな役目があってひとつのチームになっているんだと知った。
風を読み、火がどちらの方へ移っていくか?
そして火を食い止めるため、どの建物を壊すか?

元力士の寅次郎、天文学者の星十郎たちが、ぼろ鳶組の一員になっていく過程から
楽しかった。

男たちも個性があって魅力的だけど、源吾の妻・深雪がいい!
男たちに負けていないキャラクターで源吾と夫婦になる経緯は、素敵。

これはシリーズなのかな?
また図書館本で読んでみようかな。



                    ★★★



発行年月:2016年9月


圧倒的な評価を集めた、第36回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作!!
二〇二〇年、人工知能と恋愛ができる人気アプリに携わる有能な研究者の工藤は、優秀さゆえに予想できてしまう自らの限界に虚しさを覚えていた。そんな折、死者を人工知能化するプロジェクトに参加する。試作品のモデルに選ばれたのは、カルト的な人気を持つ美貌のゲームクリエイター、水科晴。彼女は六年前、自作した“ゾンビを撃ち殺す”オンラインゲームとドローンを連携させて渋谷を混乱に陥れ、最後には自らを標的にして自殺を遂げていた。
晴について調べるうち、彼女の人格に共鳴し、次第に惹かれていく工藤。やがて彼女に“雨”と呼ばれる恋人がいたことを突き止めるが、何者からか「調査を止めなければ殺す」という脅迫を受ける。晴の遺した未発表のゲームの中に彼女へと迫るヒントを見つけ、人工知能は完成に近づいていくが――。

                  (角川書店HPより)



少し前に読んだ恩田さんのエッセイで、この作品を推していたので興味を覚えて
読んでみた。

最初は衝撃的!少女・水科晴が自ら作ったゲームで自死するというシーンから始まる。

そして、人工知能研究者の工藤は水科晴の人工知能を作ることを目的に彼女の
ことをあれこれ調べる。
晴の高校時代の同級生たちの話などから、個性的な性格だとわかる。
感情を殆ど出さず、人とコミュニケーションをとることが苦手なかんじ。
でも、そんな晴と特に親しくなり共同生活をした人物・間宮紀子(雨)。

2人の会話から、普通の親友とは違う空気を感じて、それが、なんだろ?と
思いながら読んだら・・・なるほど・・・。


工藤はどんどん晴に惹かれていくけれど、もし生きている晴がいても叶わぬ恋に
なったということか?


物語は、SFっぽく、ちょっと好みのものではなかったけれど、まあまあ
楽しめた。

横溝正史ミステリ大賞受賞作ということで、巻末に色々な人の選評が
載っている。
恩田さんはやはり良い評価を与えているな・・・。

表題は、応募時は「虹になるのを待て」だったそう。
やはり「虹を待つ彼女」の方がいい。


                     ★★★



発行年月:2022年1月


それは、血のつながりより深い愛
真面目な女子高生、美優は予期しない妊娠をしてしまう。堕胎するには遅すぎると、福祉の手によって奥多摩にあるゲストハウス「グリーンゲイブルズ」に預けられる。そこには、明良と華南子という兄妹が、深刻な事情を抱えた子どもたちの里親となって、高齢の母、類子と暮らしていた。貧困、未婚、虐待、難しい背景をもつ里子たちを慈しんで育てる彼らにも、運命に翻弄され絶望を乗り超えた苦しい過去があった。
話題作『展望塔のラプンツェル』に続く、家族の在り方に迫る物語。

                   (光文社HPより)




望まない妊娠をしてしまった17歳の美優。

父親を激怒させ、家から出て途方に暮れてビルの屋上から飛び降りようとした
瞬間、声を掛けられ、それが運命の出会いに。


冒頭の話で、美優の父親に怒りが沸いた。
その言いなりになっている母親にも・・・。
そして相手の高校生男子にも!
こういう時、女の子は一人で何もかも抱えなきゃならないなんて。


でも、飛び降りる前に間に合ってよかった!
家族ではないのに、親身になって美優の立場を思いやり、手助けする千紗に
出会えて本当に良かった。
千紗の紹介で里親として子どもを預かっているグリーンゲイブルズという
兄と妹、その母親が運営している家に身を寄せることに。


グリーンゲイブルズの経営は主に兄・井川明良と妹の西村華南子
2人の手助けの母親・西村類子。

この3人には、ちょっと複雑な事情もあるのだけど、良い家族。

千紗が住むまえからいる
中2の久登、小2の未来(ミク)、4歳の太一。
ミクは、親が誰かわからないので華南子の養女となっている。


千紗も明良も子どもの頃は辛い境遇にあった。
それでも助けてくれた大人たちが居たからちゃんと前を向いて自立することが
出来ている。


世の中、こういう子どもたちがどのくらいいるんだろう。
一人ぼっちで苦しい状況に声をあげることもなく必死に耐えて生きている子ども
たちのことを想像すると本当に心が痛む。


助けてほしいと声をあげることが出来る場所の存在をこういう子たちに
知らせるにはどうしたらいいのか?
色々、考えさせられた。


美優がラストで、自宅に帰れたのは良かった。
やはり自分の家で本当の家族が見守ってくれるのなら安心。
生まれる子どもにも幸せな未来が待っていると信じたい。



表紙の木彫りの造形が素敵。



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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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