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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年6月

いつかのあなたが、きっと、この教室の中にいる。著者渾身の感動作!

★2020年 難関校入試問題で出題多数! いま学校の先生がいちばん読んでほしい物語★

みんなと、居たい。みんなは、痛い。
教室がすべてだったあの頃の、まぶしさとしんどさがよみがえる。
教室というちっぽけな王国の先に、本当の世界が待っている。

六年三組の調理実習中に起きた、洗剤混入事件。
犯人が誰も名乗りでない中、担任の幾田先生はクラス全員にある言葉を言い放ち、去っていった。
先生の残酷な言葉は、誰かが守ってくれる子どもの世界に終わりを連れてくる。
いじられ役、優等生、『問題児』、クラスの女王の親友。
教室での立ち位置がまったく違う4人は、苦悩と希望を抱えながら自分の居場所を必死に探し求めていて……。

もくじ

第一章 

みんなといたいみんな ……クラスのいじられ役・尾辻文也の物語
第二章 こんなものは、全部通り過ぎる ……中学受験を控えた優等生・川島杏美の物語
第三章 いつか、ドラゴン ……うまく言葉で気持ちを表現できず『問題児』とされている武市陽太の物語
第四章 泣かない子ども ……クラスの『女王』カナの親友・見村めぐ美の物語
エピローグ 

                (角川書店HPより)

小学6年生のあるクラスの子どもたちの物語。
章ごとに主人公が変わる。


このころのって、ホント、学校の人間関係が全てだったかも。
特に小学生の高学年~中学生くらい。

クラスのなかには、なんとなくリーダーっぽい子が男女それぞれにいて、
勉強も良く出来て運動が出来きて、明るく活発ならリーダーとして合格。

でも、そんな子は実際少なくて、勉強が出来なくても、何か秀でたものがあって
(可愛いとか、喋りが面白くて明るいとか)リーダーっぽい存在になる子も。


クラス替えは、結構、緊張したし、気の合う子と友達になれるかで
学校生活が決まるかんじだったな~。


それでも、昔は、携帯とかなかったから、下校すれば、皆、それぞれひとり。
今は、その点、lineとかあるから、大変かもね。


物語のなかで、子どもたちは、建前と本音で結構、悩んでいる。

最終章では、このなかの一人が小学校の教師になって教壇に立ち、皆に
最初の挨拶をしている場面。

教師になった子は、目立たなかったけど、色々、冷静に皆を見ていた子。

生徒たちを前に「わたしは皆さんを知りたいと思い続けます」という言葉。
いいなぁ~。
上っ面の言葉や見せかけの態度だけで、人を決めつけないって大事。

教師になろうとしている人には、読んで欲しい!



                       ★★★★★



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発行年月:2020年4月

誰かに食べさせたい。願いがかなって杉の木に転生した亜沙は、わりばしになって若者と出会う(「木になった亜沙」)。どんぐりも、ドッジボールも、なぜだか七未には当たらない。「ナナちゃんがんばれ、あたればおわる」と、みなは応援してくれるのだが(「的になった七未」)。夜の商店街で出会った男が連れていってくれたのは、お母さんの家だった。でも、どうやら「本当のお母さん」ではないようで…(「ある夜の思い出」)。『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞した気鋭の作家による、奇妙で不穏で純粋な三つの愛の物語。

                (文藝春秋HPより)



不思議なお話3つ。

<木になった亜沙>
自分の触れるものには、誰も食べてくれない。
どうすれば、食べてくれるのか?
その願いが木になることで叶うという話。

<的になった七未>
どんな物にも当たらない七未。
当てられることから逃げていては終わらないと気づき、当たりたいと
思うのに・・・
ついには自分で自分を殴り始め、病院に。


2つの話の主人公の数奇な生き様には切なさと哀しみがある。
本人が望んだことではないのに・・・


最後の話<ある夜の思い出>は、前の2つとはちょっと違う。
主人公の自堕落な生活ぶりには、嫌悪感を抱く。

ある夜、いつものように説教する父親から逃げて夜の街に出て
這いつくばったまま、食料をあさっていると、自分と同じような
行動をする男に会い、彼の家に誘われてついていく。

なんだこりゃ?と思っていたら、どうやら、彼は猫で、雌猫として
彼の家に入った様子。
そこの人間の家族が、「ジャックがお嫁さんを連れてきた」と
喜んでいる。
が・・・彼女は、一度家に戻る。
二度とジャックの元に戻れなかったが・・・

結局、自堕落な生活をしていた最後の主人公だけ、普通に結婚して
子供もいる幸せな生活を送っている。


なんだか不条理なかんじ。

でも面白かった。
不思議な物語を書く作家さんだ。
しかし、嫌いじゃない。


                  ★★★


発行年月:2020年1月


「分かり合えない母と娘」
壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。
ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。
美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。
一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。

                (文藝春秋HPより)


岩手県盛岡市にある祖父の工房を高校生の美緒が訪ねて
そこで糸を紡ぐことを学んでいく。

美緒は両親と3人暮らし。
母は都内私立中の英語教師。
父は電気メーカーの研究所勤務。

美緒は、母親の真紀と何かにつけて衝突し、衝動的に家を出て
父方の祖父のいる、盛岡市へ。


ホームスパンって初めて知った。
手で糸を紡いだものは、軽くて暖かいという。

父の従姉にあたる裕子が、ホームスパンに興味を持った美緒の
指導者としてあたる。
裕子の息子・太一(教育学部の大学生)も工房を手伝い、美緒の良い
話し相手となる。

美緒が祖父の元に来たのは大正解!
引きこもり学校にも行けなくなった美緒が明るく前向きに
なっていく姿が読んでいて嬉しい。

美緒の両親のぎくしゃくした関係の行く末も気になったが
こちらも丸く収まりホッ。


離れて暮らすことになっても家族であることは変わらない。


美緒のおじいちゃん、鉱治郎さんが素敵だった!

岩手県、一度行ってみたいな~。

                  ★★★★


発行年月:2019年9月

多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。
居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか――。


                             (光文社HPより)




重たい話。
児童相談所の松本悠一とこども支援センター職員の前園志穂。
二人が関わる多くの問題が、本当にひどいもの。

大人たちによって苦境のなかで生活している子どもたちの姿が痛々しく、
そんな親たちに腹が立って仕方ない。


そんな話と並行して進む、不妊治療中の夫婦の話。
こどもが欲しくても授からない立場で、子どもを虐待している親を見て
自分が代わりに親になりたいと思う、妻の気持ちも痛々しい。



兎に角、つらい話ばかりだけど、その後の展開が気になり、頁をめくる手は止まらない。



で、最後は、安堵。

最後まで読んで良かった!



いつか自分を助けてくれるひとが現れるという気持ちが生きる糧になっていたって
いうのが響く。
街の展望台にいるラプンツェルの存在が、一人の少年の希望だった。


物語の終盤は、過酷ななかで生きていたこどもたちの、その後のことがわかるのがいい。



不妊治療をしていた夫婦も二人で穏やかに暮らしたんだな~。


初読みの作家さんかも。
ほかの作品も読んでみようと思う。



                                ★★★★


発行年月:2019年10月

人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語

                  (ポプラ社HPより)



33歳で末期がん、余命わずかの宣告をされた海野雫が主人公。

辛い治療も経験しての決断は、瀬戸内の島にあるホスピスで最期の日を
迎えること。
しっかりしてる!
両親は幼い時に不慮の事故で亡くなり、母親の双子の弟に16歳まで育てられた。
叔父さんのことを本当のお父さんとして接してきたけれど
結婚したい人の存在によって、雫は一人暮らしを選択。

病気のことは叔父さんには伝えずいたけれど、本当はもう一度、会いたいという
気持ちはあるだろうなぁ~と思いながら読んでいた。


なので、最後に娘と面会に来てくれた時は、なんだか凄く嬉しかった!

ホスピスで先に亡くなっていく人たちを見ながら、自然に死を受け入れていく。


ライオンの家の意味もわかった。
なるほど、そういう意味だったのか!

雫がリクエストした、おやつは、ミルクレープだった。
やはり叔父さんとの思い出の詰まったおやつ。

終盤は、なんだか涙腺が崩壊(/_;)

でも、哀しいというよりは、安堵感。
穏やかな気持ちのまま最期を迎えることが出来て本当に良かったなぁ~と。


死後の雫を思い出す人たちの話もよかったなぁ~。

こういうの読むと毎日を丁寧に生きようと思う。


                   ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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