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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年9月


平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。
取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集

                 (文藝春秋HPより)



どの話も心理的に追い詰められる主人公の気持ちに沿うとドキドキ感がすごい。
よくある日常のひとこまを、こんな風に嫌な話に出来るのが凄い。

読後感は全くよくないのに、なぜかまた読みたい。


<ただ、運がわるかっただけ>
56歳で末期がんで死を待つだけの十和子。
夫の心にとめたままの秘密を自分が墓場に持って行くからと
建具職人で、工務店に勤めて居たころの話を妻に聞かせる。


う~ん、これは仕方ないでしょ。
妻に話して気持ちが少し軽くなったのならそれでよし。



<埋め合わせ>
小学校の教師・千葉は、プールの水を半分、抜いてしまったことに気づき
自分の非がばれないためにはどうするか?とあれこれ考える。
そんなことを同僚に知られるが、そのミスを隠蔽することに力を貸すという。


水道代を弁償することになったとしても、ミスは早めに申し出るべき。
後々、ばれる方がよほど、面倒・・・・という教訓話?



<忘却>
家を処分して息子家族の近くのアパートに引っ越した夫婦。
隣の家の一人暮らしの男性が室内で死亡。
エアコンをかけないで就寝中の熱中症によるものだとか。

これも最初の話と同様、仕方ないことだと早く忘れたらいいと思う。



<お蔵入り>
映画製作中に役者のスキャンダルを知り、このまま知らないことにして
映画を公開してしまおうと考える人たち。


う~ん、心理としてはわからないこともないけど
嫌な世界を見てしまったな。




<ミモザ>
料理研究家としして成功し、メディアでも引っ張りだことなった女性の前に
突然、元カレ(相手に奥さんがいた時代)が現れ、金を貸してほしと。
以前と立場に逆転したことを内心、喜び、見栄もありお金を貸す。
すると、その後は自宅に急に現れ・・・


ああ、バカな女だな・・・・。
でも、この話が一番、他人事として読めば、面白かった。



                     ★★★★
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発行年月:2019年12月

あらゆる色が重なって、黒になるんだーー。

拉致した女性の体の一部を家族に送り付け楽しむ、醜悪な殺人者
突然、様子のおかしくなった高校生のひとり娘
全ては自らが過去に犯した罪の報いなのかーー!?


推理作家協会賞受賞作家が、人間の悪を描き切った驚愕のミステリー!

あまりに似すぎている、あの時に聞いた話とーー。

不動産会社を経営する財前彰太は妻の由布子、ひとり娘の美華と幸福に満ち足
りた生活を送っていた。だが、その暮らしに不穏が兆す。世間を騒がす女性拉致事件の
手口に覚えがあるのだ。被害者の衣類や髪、爪などを家族に送り付けて楽しむ殺人者。
それは十八年前、探偵事務所に勤めていた彰太が、娘の復讐をしたいという老人から
捜索依頼を受けた拉致監禁犯のやり口と瓜二つだった。
当時、妊娠中の由布子と結婚するため、金が必要だった彰太は、叔父の会社の
乗っ取りを画策。依頼人に伯父が犯人だと嘘の報告をしたのだーー。

あの時の真犯人が再び動き出したのか!?


日本推理作家協会賞受賞!『愚者の毒』の著者が放つ最新ミステリー!!

                        (祥伝社HPより)



恐ろしい話。

主人公の財前彰太は、伯父・文雄の財産を継いで今は取締社長。
妻(由布子)とお嬢様の通う高校2年の娘・美華と暮らしている。

伯父の後を継いだのは、彰太のある悪だくみが成功したから。
以前は、興信所勤務の彰太が、ある人物に恨みを抱きその復讐心に燃える依頼人の心理を
利用して、伯父を殺害するよう仕組んだ。

その罪悪感が彰太を苦しめる。


依頼人が憎んでいた人物は、今も世の中にのさばり、18年前、依頼人の娘にしたことを
再び、別の誰かに始めたか?と思わせる殺人事件が起きる。


登場人物たちが多いのだけど、話の流れの中で自然に入ってくるので混乱せず
後々、わかる事件の真相で、びっくりする。
なんとなく怪しくないか?と思っていた大黒様の息子・若院の裏の正体が明かされて
えぇ~!?

彰太の若い頃、少年鑑別所送りになったとあったけど、一緒に罪を犯した妹は?と
ずっと気になっていたのだけど、最後にえぇ~!?


ああ、凄い話。
人って、そんなに悪人って人じゃなくても、出会う人やその時の心理状態で、とんでもない
悪が表に出てしまう怖い生き物なんだと思った。


表紙の美しい絵も、今は見ると怖い。


よく考えられた話ではある。
物語としては面白かった!


                      ★★★★★



発行年月:2018年9月

お告げの意味に
気づいたとき
ふわっ
あたたかくなる

なんでもない
言葉をきっかけに、
思い悩む人たちの
世界がガラッと変わる――。


読書メーター
読みたい本ランキング
月間(集計期間:7月9日〜8月8日)
第1位

猫のお告げが導く
7つのやさしい物語。


失恋のショックから立ち直れないミハルは、ふと立ち寄った神社で、お尻に星のマークがついた猫――ミクジから「ニシムキ」と書かれたタラヨウの葉っぱを授かる。宮司さんから「その“お告げ”を大事にした方が良いですよ」と言われたミハルは、「西向き」のマンションを買った少し苦手なおばの家を訪れるが……。中学生の娘と仲良くなりたい父親。なりたいものが分からない就活生。家族をないがしろにしたと後悔する頑固おやじ。転校先でクラスに馴染めない男の子。20年来の夢を諦めるべきか迷う主婦。自分のしたいことに臆病になった占い師。なんでもない言葉をきっかけに、思い悩む人たちの世界がガラッと変わっていく――。猫のお告げが導く7つの温かい物語です。

 
                     (宝島社HPより)


初読みの作家さん。
表題に惹かれて読んでみたら・・・すごくいい!
神社にふらっと現れる猫が、悩める人にふさわしい一言が書かれたタラヨウの葉っぱを
プレゼント。


7つのお話にそれぞれ、今の自分について悩む主人公。
神社に導かれるように出向いて、そこで猫からのお告げ。

たった一言
<ニシムキ>
<チケット>
<ポイント>
<タネマキ>
<マンナカ>
<スペース>
<タマタマ>


たった一言なので、その後、その言葉に出会うたびに敏感に反応してしまう
主人公たち。
自分でそのお告げの意味を見つけていく過程もいい。

最後の宮司さんの話、<ここだけの話>でそれぞれの悩める主人公たちのその後のことが
話される。みんな有意義な生き方している。
宮司さんの人柄もいい。
こんな神社が身近なところにあったら、通いたい!


                       ★★★★



発行年月:2020年5月

夏休み。
琴美の家に、子供たちの謎を解決してくれる青年がやってきた。
祥子は想い人から、思いもよらぬ相談を持ちかけられる。
沙也香は、それとは知らず、大人たちの「不都合な真実」を掘り起こす。
それぞれの謎を追いかけた、それぞれの夏休み。
悪意が自分に向けられるとは、想像もしていなかった。
意外なつながり、意外な真相。鮮やかに紡がれた長編ミステリ!

                     (光文社HPより)


<願いごとツユクサ>
<おまじないコスモス>
<占いクレマチス>
<花をつなぐ>

それぞれの章は、繋がった話。
最初の話と次の話を読むと、違う人物が出てくるので混乱(^^ゞ
おまけに時系列も、ちょっとしたトリックで混乱。


でもそれがないと、ドキドキハラハラ感が半減してしまうので
この方法は巧いなぁ~と思った。


川の近くで見つかった女の子の遺体。
この事件が物語のキモなんだけど、犯人として捕まった人物は既に亡くなっている。
が、その人は、最後まで無実を訴えていた。


冤罪って辛いな。


登場人物の相関図が欲しくなり、自分なりにメモしながら。
ちょっと混乱してきたけど、なるほど。


悲劇が再び起きてしまったのか?と思ったけど、最後にそうではなかったことが
わかってホッとした。


章ごとの草花を使った、おまじないは、子どもの頃、似たようなこと
やってたなぁ~と懐かしかった。


                    ★★★


発行年月:2020年4月


クリスマスの夜。
燃え盛る民家。
取り残された少女。
灼熱の地獄に飛び込んだ、一人の男。
炎の中から助け出された少女は、そのまま男に連れ去られた――。

新潮ミステリー大賞作家が描く、ある双子の男女にまつわる二十余年の物語。
さみしさが、ぬくもりが、心に触れる傑作青春ミステリ。

クリスマスの夜。百キロ以上のスピードで暴走する車を、二台のパトカーが猛追していた。
時は二時間ほど前に遡る。その男は、偶然、火事の現場に遭遇する。家の外で助けを求める母親。二階の窓からは、泣き叫ぶ娘の姿が見える。男はこの状況に運命を感じていた。男が取った行動は、誰も予想しないものだった。燃え盛る家の中へと飛び込んでいったのだ。それから五分足らずで、男は家から出てきた。胸には十歳の少女をしっかりと抱きかかえている。周囲から、歓喜の声がこぼれる。しかし、男が次にとった行動に周囲は唖然とした。
男は少女を母親に手渡さず、車に乗せてそのまま逃走したのだ

                   (集英社HPより)




エピローグからは、何やら重たい物語が始まりそうな予感。

でも、違った!
いきなり小学生の男女の双子・勇帆と帆名の物語。
姉弟喧嘩があったり、親友たちとの出来事が綴られ、
え?ふつうの青春小説?と思いながら読んでいく。

中学~高校と成長し、それぞれの人間関係とか語られる。
双子の両親の離婚騒動もあったり、読んでいて飽きない。

けれど、最初の話は、これからどうつながっていくの?
と疑問が頭の片隅に常にあるかんじ。


全てのことが繋がるのは、終盤。


なるほど・・・。

結果、最初のエピローグは、嫌な結末にならずに良かった。

なかなか、面白かった。

でも、この表題はなんで?
そこだけがわからない。



                     ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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