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読んだ本の感想あれこれ。
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ad38622c.jpeg発行年月:2011年11月


書店員さん大注目作家・中田永一最新作!

長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。合唱部顧問の松山先生は産休に入るため、中学時代の同級生で東京の音大に進んだ、元神童で自称ニートの美しすぎる臨時教員・柏木に、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。
 それまでは、女子合唱部員しかいなかったが、美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化する。夏のNコン(NHK全国学校音楽コンクール)県大会出場に向け、女子は、これまで通りの女子のみでのエントリーを強く望んだが、柏木先生は、男子との混声での出場を決めてしまう。
 一方で、柏木先生は、Nコンの課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課していた。提出は義務づけていなかったこともあり、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた----。


                                          (小学館HPより)

爽やかな青春小説でした!
中田永一さんって乙一のもうひとつのペンネ-ムだったかな?
こういう路線の方がわたしは断然、好きだな。

NHK全国学校音楽コンク-ル(Nコン)目指して練習する中学の合唱部のはなし。
五島列島という特異な場所設定もよかった。

合唱部顧問だった松山先生は産休に入るために、音楽教師の柏木先生が東京から赴任。
そして合唱部顧問になる。
美人の先生目当てに入部する男子たち。
そんななか、先生目当てではなく、ひょんなことから入部してしまう桑原サトル。
サトルは、いつもひとり、彼曰く、ぼっち街道を爆走中だったとか。

サトルが入部をキッカケにどんどん変わっていく様子がよかった。
ほかの部員たちのエピソ-ドもそれぞれ、成り行きが気になりつつ読んだ。
家族に重たいものを抱えて居る者あり、恋に悩む者あり。


合唱という共同作業のなかで生まれる人間関係。
いいなぁ~青春ってかんじ。

Nコンの課題曲「手紙」。
アンジャラアキが歌っていたから、歌詞もメロディも知っている。
その課題曲を理解しながら歌うために、15年後の自分に宛てて手紙を書く部員たち。
彼らの手紙もよかった。
本音のことばが綴られていた。
サトルの手紙にはちょっとウルウル。

最後、Nコン長崎県大会の場面にも再びウルウル。


大人でも彼らと同年代の子達でも楽しめる作品だと思う。

乙一さん、中田永一としての書もまたお願いします。



 

★★★★★
 

 
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510zhd9QGWL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年9月

某出版社とのお歳暮を巡る「闘争の記録」、大江健三郎先生とスパークするディスコミュニケーション、そして「人力発電」提案まで、世界がユラユラ反転し始める待望の最新エッセイ集。

                       (平凡社HPより)



最初から最後まで、笑える。
著者本人が日常で、あれこれ考えることが可笑しい。
中には、共感するのも結構あるけど・・・そんな風に普通思わないでしょ?みたいなのもあって読みながら、ツッコミを入れたくなる。

最初の「蕃爽麗茶」から面白かったなぁ~。
こんな商品名を出しながら、はっきり不味いと言っちゃってる勇気が凄いな、この人と先ずは驚いた!
そして更にお歳暮に贈られたそのお茶を「不味いから要らない」とハッキリ言っちゃうのも凄い。
ま、結構、気を遣いながら断っているのだけれど・・・・
相手側が謝りながら、承知するのに、その後も贈り続けるというのも妙で、その度にガックリする著者の様子が可笑しい。
蕃爽麗茶・・・飲んだことないけど、逆に飲んでみたくなった(笑)

最初からこんなに面白い話で、このまま面白さは持続するのか?と思って次を読むと・・・・
またまた笑える。
もう全部可笑しい!
どこから読んでも笑える。

そして、最後にある補足みたいな話では、写真を載せてくれていたり・・・

スヌ-ピ-好きなわたしとしては
「世界的に有名なビ-グル権のニセモノコレクション」が一番気になった。
文中には、写真がなかったので、
どんなの?見たいよぉ~!と思ったら・・・巻末の「補遺」に、そのニセモノコレクションの写真が載っていてひとり歓喜した!(笑)
ニセモノでも結構、可愛い♪
わたしもコレクションしたいくらいだ!



この著者の作品は、数冊しか読んでないけど、
芥川賞を受賞していたのは、知らなかった^^;
その受賞作品「猛スピ-ドで母は」が気になるので、近いうち読んでみよう!

表題からして気になる!


                                       ★★★★★


 
51VUyfvU8iL__SX230_.jpg    発行年月:2010年3月

   愛しい人を守るため、追いつめられていく私

   心から逃げたい

優しい夫と愛しい子供との日々に、突然襲いかかる父との再会。
忌まわしい過去を、おぞましい父の存在を、決して知られてはならない。
家族を捨て、憎しみを胸に、死と隣り合わせの父親と彷徨う生活が始まる。

どこへ行けばいいのか、いつまで逃げればいいのか……。
追いつめられた女の苦渋の選択も切ない、哀しみの長編サスペンス!


                                         (光文社HPより)


途中までは、サスペンス要素が大きく、主人公の澪が逃げるのをハラハラドキドキしながら読んでいた。
「逃げる」・・・・最初は、自分の記憶のなかにある嫌悪してきた父親・伊作から、そして、そんな父親がいることを夫や義母に隠すため、家族からも逃げる。
澪はどうなるんだろ??と思って読んでいたら・・・・父親と対面し、一緒に暮らすことになる。
最初は、殺すために会うことにしたけれど・・・いざそのタイミングになると実行できなかった。
父親は肺がんを患っていて、余命は1年未満と知る。

自分の記憶にある思い出したくないこと。
母親や祖母から聞かされた父親のこと。

父親と暮らしながらいろいろな場所を転々とし働き、伊作の病状を気にしながら生活を共にする。
そして、段々と真実が明らかになっていく。


一方、逃げている澪を心配して、必死に探す夫・昌彦。
昌彦の母も、まだ幼い娘の雪那も澪のことを心配している。


澪の記憶のなかの忌まわしいことは、誤解だった。
自分の母親が全ての元凶だったと知る。


ラストは、ハッピ-エンド。
あ~良かったとホッとする結末。

まだ澪の心の中の不安は、少し残っているけれど、温かい家族が見守ってくれているから、きっとこの後は大丈夫!と思えた。


この本を読み終えて、永井さんが2010年の9月に亡くなっていたことを知りました。
ショックです(/_;)。
まだお若いのに・・・・・。
次はどんな作品を書いてくださるのか、まだまだ楽しみにしていたかったのに・・・・。
ご冥福をお祈りします。



 

★★★

 

41fkEd2MonL__SX230_.jpg   発行年月:2011年6月


   届け、この思い。
   明日の日本のために-----
   1羽の伝書鳩が運んできた50年前のSOS
   時を越えて2人の男をつなぐ奇跡の行方は?
   ファンタジーノベル大賞受賞の気鋭が贈るハートフル・サスペンス!

未曾有(みぞう)の危機に、すべてを託された1羽の伝書鳩
高度経済成長真っ盛りの昭和36年、明和(めいわ)新聞の記者・坪井永史(つぼいえいじ)の元に日米安保に絡む特ダネが舞い込んだ。情報提供者は女子大生・山岸葉子(やまぎしようこ)。だが接触した直後に彼女は失踪してしまう。かつて戦地で死に別れた軍鳩(ぐんきゅう)・クロノスと瓜二(うりふた)つの伝書鳩を伴い、坪井は葉子の消息を追う。だが、訪れた米軍基地・川俣(かわまた)飛行場で正体不明の一党に拉致(らち)されてしまう。50年後の平成23年、アルバイトの溝口俊太(みぞぐちしゅんた)は明和新聞の屋上で1羽の鳩と出会う。鳩の足につけられた通信管には、日本の命運を握るメッセージが……。



                                           (祥伝社HPより)

すごく良かった!!物語に惹き込まれて読み続けました。
ファンタジ-の要素もあるけど、戦中、戦後の日本の重苦しい時代背景もあってか、すごく重厚なかんじのお話でした!

中村さんの話は、いつもいろいろな資料をたくさん調べたうえで物語を構築されたじゃないかな?と思わせる物語で、読み応え十分です。

今回は、時空を越えて現代に住む青年・俊太と50年前の世界で危機的状況に陥る永史が伝書鳩(名前はクロノス)を介して通じるとお話。

二人が交錯する前に、それぞれの話が交互に進行。

永史は戦地で激戦を体験していた。伝書鳩の世話をする係り・鳩兵だった。
ことさら可愛がっていた鳩をクロノスと名づけていたが激戦中に死んでしまった。
終戦後、永史は明和新聞社の記者として働くが、その新聞社の鳩舎でクロノスの生き写しか?と思うほどの鳩の雛を目にする。

俊太はもうすぐ30歳。
最初に勤めた会社で、心理的ストレスからうつ病になり自ら退社していた。
従兄弟・優介の勧めで彼が勤める明和新聞社のアルバイト員として働くことになる。
そしてある日、社の屋上で迷い鳩を見つける。
普通の鳩と思ったが、以前、使われていた鳩小屋のなかに入っていった。
レ-ス中の鳩が何か助けを求めているのか?


交互に語られた二人が一羽の伝書鳩・クロノスによって繋がる。
全く違う時代なのに、クロノスが時空を超えてそれぞれのメッセ-ジを繋ぐ。

戦時中の日本とアメリカの関係、日本国内の紛争、いろいろな過去の事象も交えた話もあって、ここではクロノスがもしかしたら起きていたかもしれない日本の危機を救うという大きな話にもなっている。
そして、ラストにはびっくりで嬉しい対面も!


図書館になかなか入らないので、リクエストして入れて貰った本。
うしろに予約者も少ないから、まだメジャ-じゃないのかなぁ?

以前、読んだ本もすごく良かったので、わたしのなかでは新刊が出たら必ず読みたい作家さんの一人です。!

                                      ★★★★★

 
412dXIndNIL__SL500_AA300_.jpeg発行年月:2010年12月


失恋ばかりの、私の体。ああ、でも、私は彼のことが、本当に、好きだった。

32歳。次は、凪の海みたいな恋愛をしたかった。なのに、彼と関係を結んでから、私は笑えなくなった。好きになるほど、苦しくなるのだ。すべての恋愛は狂気である、という。けれど本当にこの狂気を乗り越え、次の海へと漕ぎ出していけるのか----。行き場のない黒い感情と、その先に見えるほんの少しの希望を鮮烈に描いた会心作。

                                             (新潮社HPより)


なんて苦しい恋なんだろう。
32歳の夏目はアルバイトしながら絵を描いている。
そして、ある日、男友達・瀬田から「夏目が好きそうな絵・・・・」と個展に誘われ、そこでまず絵に魅せられる。
白い富士山の絵。
その絵を描いた間島という男に段々と惹かれてゆく夏目。
恋人がいるらしいと聞いているし、近づいたらいけない人だということを感じているのに、どんどん惹かれていく夏目。
とうとう自分から告白して恋人のような関係になるのに・・・・・。

夏目の理性が段々抑えられなくなっていく過程が、なんとも切なかった。

夏目だけでなく、間島も、また瀬田もそれぞれに苦境に立たされているかんじで、
もっと巧く自分を好きだという人と向き合えばいいのに・・・・なんて思ってしまった。
ま、それが出来ない人たちだから、こういう状況になっているんだろうけど・・・。

夏目が最後、願うように、皆の想いがどうか救われますように・・・とわたしも思った!


この作者の作品、あまり読んだ記憶ないけど、この物語を読んで、ほかの作品も読んでみようと思った!


この表題と表紙絵のセンスが◎。

★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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