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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年7月

『漢方小説』から10年。新たな舞台は病院のカフェ。人々にそっと寄り添う空間で、醸し出される温かさが通奏低音ように流れる傑作。
総合病院のロビーにあるカフェ。「ここのコーヒーはカラダにいい」と繰り返す男や白衣のコートを着る医師は常連客だ。土日だけこの店でアルバイトをする主婦の亮子は、鳴かず飛ばずだけれど小説も書いている。自然酵母のパン職人の夫との間には子どもができない。子どもは望むけれど、がむしゃらに治療する気にはなれない。不妊は病気なんだろうか。実家の親の面倒で他人の世話をし続ける朝子は、介護人生に疲れ切っている。ついに夫の孝昭も難病に見舞われた。不満も満足も口にしないでわだかまりをかかえた中年夫婦。
「院内カフェ」に集う、人生の困難が否応なくおしよせる、ふた組の中年夫婦のこころと身体と病をえがく長編小説。

                  (朝日新聞出版HPより)



最初は短編連作?と思わせる。
病院内ロビー横に併設されているカフェに集まる人たちの話を順に描いていく。


カフェ定員の相田亮子は週末だけバイトしている主婦。
作家でもあり、夫はパン職人。

亮子と共にバイトで働く村上くんも飄々としていていい感じ。

カフェの客は、病院に入院中だったり通院中だったり、ドクターだったり・・・。

病院に入院が決まった藤森孝昭と妻の朝子、夫婦の関係が最初はギクシャクしていて
どうなるの?と思っていたら、最後は仲良くカフェに来店する関係になって
ホッとした。
良い夫婦だな~。


亮子と夫の関係も素敵だった。
お互いの気持ちをちゃんと伝えることって大事だね。
難しいことだけど。。。


クリスマスプレゼントとして1万円で皆に奢ったのは誰だったんだろ?

菅谷医師(カフェではデジゲント)見かけと違って優しい人だったから
彼かな?
一風変わった青年・ウルメにカフェを教えたのも菅谷医師だったし・・・。


病気を抱えた人たちが、ホッと出来るカフェっていいな。


                        ★★★
 
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発行年月:2005年1月


 
薬も、癒しも効かない、あなたに贈る処方箋。
みのり31歳、独身。元カレが結婚すると知ったその日から、原因不明の体調不良になった。行き着いた先は漢方診療所。悪戦苦闘する女性をそこはかとないユーモアで描く、あなたのための処方箋。第28回すばる文学賞受賞作。      

                    (集英社HPより)




表題の通り、漢方のお話満載。

主人公・みのりが医療機関を転々としながら、自分の症状をどれも「異常なし」と
片づけられてしまうことに絶望感を抱き、最後に随分、前に受診した漢方医の
ことを思い出し、その漢方診療所を訪ねることで症状が少しずつ
好転していくお話。

昔、受診したときの老医師は居なかったけれど、若い医師の診察を一度受け
信頼しようと思えたのは幸運だったなぁ~。

医者を信頼出来ないと、治療効果もうまく出ないってことはありそう。

みのりは、物書きの仕事をしているから、これって著者の実体験?
と思ってしまったけれど、実際どうなんだろ?
凄く詳しく漢方の話、東洋医学の物の考え方とか書かれていて
勉強にもなりました。


話のテンポも語り口調もよくて、読みやすい。
他の作品もまた読んでみたい。


                       ★★★★★



発行年月:2002年1月


第126回芥川賞受賞作!


家族の求心力が失われている時代に、勇気を与えてくれる

重要な作品である---村上龍


拾い上げるとそれは写真だった。母と一緒に知らない男が写っている。
母は前を向いたまま左手を伸ばし、慎の手から写真を取り上げた。
そしてアクセルを深く踏み込んだ。追い越し車線に移り前方の軽自動車を
抜き去ると「私、結婚するかもしれないから」といった。
驚いた慎はなぜか母の顔ではなく、背後の追い抜かれた車をみてしまった。
やや遅れて慎のした返事は「すごいね」だったが、いってみて
変な感じがした。(本文より )


              ( 本の帯文より/文藝春秋発行)




表題先の前に同時収録の「サイドカーに犬」があり、こちらは映画化されたのを

既にみているので、映像が頭に浮かんできました。

両親が喧嘩して、母親が出て行ってしまった。
小学4年の薫と弟は、やがて、父の知り合いの女性・ヨーコと出会い
夏のひと時を一緒に過ごす。
薫も弟も、成り行き任せなかんじがいい。
ヨーコと薫の関わり方もいい。

最後はあっ気なく別れが来るけど、それも仕方ないことと淡々と受け入れる薫。
寂しさはあるんだろうけど、ヨーコという女性に出会った思い出は
この先、何か影響するだろうな~。


表題作の方は、母子家庭の小学5年生の慎が主人公。
子ども目線なので読みやすく、芥川賞受賞作っぽさがない。

こちらの少年の方が結構、シンドイ状況かなぁ~。
兄弟いないし、いつも家で一人留守番。
祖母も事故で亡くしちゃうし・・・
イジメにまであうようになって・・・・

でも、なんだか優しいし物事も考えすぎないのも強く生きて行くには
必要なことかもなぁ~なんて思った。


表紙の絵、何処かでみたな~と思ったら、佐野洋子さんの絵でした!
内容とちょっと雰囲気違うけど、インパクトあって面白い絵だな。


                       ★★★



発行年月:2007年4月


 独身女、家を建てる
30代半ばの独身女性はある日、重大な決意をする。それは、家を建てること――。仕事よりも、恋よりも、結婚よりも、家……それは正しい女の生き方ですか?
今一番注目の女性作家・中島たい子新作小説。

「家、欲しいな」
わずかであっても空間に囲まれている、独立した建物。その個体を専有して暮らす私。イメージしたとたん頭の中の霧が晴れていくような感じがした。ちょっと待って、私、今なんて言った?思考を切るようにイスから立ち上がり、キッチンにもどった。紙袋の中から蟹缶を出して、食料品棚にしまい、アボカドも野菜かごに入れる。でも、さきほどの爽快感はまだ残っている。

別れて1ヵ月以上たった彼から突然届いた「宅急便」。はたして中身は……?傑作短編「彼の宅急便」同時収録。

                   (講談社HPより)




名前は知っていたけど、初めて読んだかも・・・。

<建てて、いい?>
30代半ばの独身女性。
結婚したいと思っていたけれど、はたと自分の居場所が欲しいんだと気づき
家を建てることを決意する。

家を建てるのに、相談したのが建築会社の男性・福島。
彼とは、おばの勧めで見合いをしていた。
顔を合わせた瞬間、お互い、本気で見合いしたいわけではないことに気づき
その後は、家造りのよき相談相手としての付き合い方。

もしかして、それでも二人は良い関係に発展するとか?と少し期待しましたが・・・
その期待は外れ。
ま、それも良かったかな?

家を建てるって楽しいだろうなぁ~。
建てると決めたその瞬間から、ワクワク感が始まるんだなぁ~。
実際の家、どんなかんじなんだろ?、間取りが見たい!


<彼の宅急便>
同時収録のこちらの短編も良かった!
むしろ、話としては、こちらの方が好き。

別れて1か月少し経ってから、宅急便で送られてきたもの。

なんで、この二人は別れちゃったんだろな。



初読みの作家さんだったけど、読みやすく、登場人物たちが魅力的で
面白かった。
ほかの小説も読んでみたいと思った。


                        ★★★★



発行年月:2015年6月


 戦時中、高知から家族と満洲にやってきた珠子。そこで彼女は、朝鮮人の美子と横浜から来た茉莉に出会う。三人は立場を越えた友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、珠子は中国戦争孤児になり、美子は日本で差別を受け、茉莉は空襲で家族を失い、三人は別々の人生を歩むことになった。あの戦争は、誰のためのものだったのだろうか。

                     (講談社HPより)



ホント、戦争なんて馬鹿げていて無意味で、得るものが何一つないことだと

感じる。

満州開拓団として、日本から中国に渡った珠子。

朝鮮から父親の仕事の関係で満州に来た美子。

横浜在住で父の貿易の仕事で中国に一緒に来た茉莉。

中国で、日本人と朝鮮人の少女たちは、仲良くなる。

その後、茉莉は、日本に帰るが空襲で孤児になり裕福だった暮らしは一変。
美子も中国を離れる。朝鮮に帰る者も多い中、美子の父親は日本に渡ることを選ぶ。
朝鮮人ということで差別を受けながら暮らすことに。

珠子は茉莉と美子が居なくなり寂しい思いをするが、一緒に満州に来た、
年上の八重子家族と共に満州に留まっていた。


が・・・やがて、日本が敗戦。無条件降伏すると事態が深刻化。
満州で暮らしていた日本人は、敗者ということで中国人から暴力を振るわれ
共産党員たちから逃れるために家を離れることになる。
その後、過酷な旅が始まり、珠子は、母親とはぐれて、中国残留孤児となる。


三人三様に苦労続き。
それでも必ず、助けてくれる人が現れたのが救いでした。

国同士が戦争をすると、そこに暮らす人たちは、違う民族ということだけで
今まで築いてきた信頼関係が一挙に崩れてしまう恐ろしさを切々と描いています。

日本人だった珠子は、日本語をすっかり喋れなくなってしまう。
生きるために中国人に成りきるしかなかったから。

珠子は、日本で自分を覚えていた人たちに会えて再び、日本に帰ることが
出来たけれど、再び日本人として生きるのには苦労した。


長篇なのに一気読みでした!

戦争体験者ではない著者(1974年生まれ)がいろいろと文献を調べて
描かれたであろう物語。
戦争を体験した人から直接、話を聞く機会はそうそう無くなった時代だからこそ
多くの人に読んで欲しいなと思える。

                        ★★★★★
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