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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2012年7月

父親の秘密を見つけた女子高生の日記「トロフィー」、母の死を引きずる43歳独身男性の日記「道化師」、姉妹で同居している結婚を控えた姉の日記「サムシング・ブルー」、熟年夫婦の日常を記した夫の日記「夫婦」。まったく無関係な4人だが、本人たちも気づかぬところで、実は不思議な繋がりがあった……。 

                   (双葉社HPより)



日記形式で綴られる短編4つ。

「トロフィー」
弁護士の父。理想の男性像でもある。
が、ある日、見つけてしまった父親の秘密。
その後は父親に対しては嫌悪感だけ。そしてある行動に出る。


「道化師」
裕福な家の長男として生まれ、親の遺した不動産だけでも生活が出来る環境。
それでも自宅に事務所を構え、従兄弟もそこで手伝わせて仕事をしている。
ある日、知人の紹介で知り合った女性・瑞枝。
彼女に会ったときから好意を抱き結婚したいとまで思うけれど、
従兄弟も同じ気持ちであり、瑞枝も従兄弟に好意を寄せていると気づく。


「サムシング・ブルー」
密かに思いを寄せる男性は、既婚者。
思いは全く空回り・・・・と日記に綴るが実際は・・・。


「夫婦」
何かとうるさい妻から逃れたい、一人になれたらどれだけいいかと思っている男。
日記の中で妻は先に逝ったと仮定して、自分のその後の生活を空想で綴る。
しかし、そう考えていたのは夫だけではなかった!


4編とも面白かったぁ~。
日記は、人に見せるものではないから本音を書くものという先入観で読んでいたので
見事に騙されましたぁ~^^;

楽しかったのは、三番目の「サムシング・ブルー」。
この日記は読まれてると気づきながら、読まれるものとして逆のことを書いて
読んでいる読者まで騙すなんて、面白い。
最後の「夫婦」は、ちょっと怖い。
いや、かなり怖いよ。
完全犯罪だからね~。


登場人物たちがリンクしかけたところで終わってしまったのが残念。
本当は、もっとどんどん繋がっていったんでしょうね。

もう永井さんの新作が読めないと思ったら、本当に残念で仕方ないです。

ご冥福をお祈りします。


                       ★★★★







 
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発行年月:2013年7月


 いい子じゃないと、いけませんか――
『きみはいい子』と同じ町を舞台に、再び放つ感動作。
絶望の先にある希望を描きだす。


              (ポプラ社HPより)


『きみはいいこ』の延長戦上にあるような物語でした。
主人公の山本弥生は、赤ちゃんのときに親に捨てられた。
乳児院で2年。児童養護施設で高校卒業まで過ごし、その後は
看護学校の寮に学校卒業まで住み、現在は准看護師として勤務している。
勤務歴11年目のもうすぐ33歳。

弥生が親から捨てられたことは不幸だけれど、両親以外の人からは、沢山の
愛情を受けて成長して来たことが救いでした。

勤務する病院の藤堂師長も立派な上司。
しかし、その上の院長が最悪。
医療現場のリアルな描写が表されていたけれど、こんな院長は医師として
患者に向かう資格ゼロ!
腹が立って仕方なかった!
そんな院長に真っ向から対峙した藤堂師長は立派だと思った。
看護師として院長にこんな風に立ち向かうにはよほどの覚悟がないと
出来ないことだと思うけれど、患者さんの生死に関わることだから
当然といえば当然のことだけど・・・。


親に捨てられた子どもの心理がよくわかり切なくなる箇所も多かった。
そんな風に小さい頃から自分の気持ちを抑えて生きて来たのか?
と思ったら、本当に胸が痛くなった。
良い子でいないと捨てられるから、本当は良い子じゃないけど
良い子のフリをしていなきゃ・・・なんて。
生まれたときから両親がいて当たり前のように、わがまま言ったり
甘えたりを何も考えずにしている子どもは、彼女たちからしたら
凄く羨ましいことなんですね。
当たり前のように親の元で育った自分が、凄く恵まれていたんだと
今更ながら気づきました。

こういう書は、若い人にもぜひ、読んで欲しいな。


                        ★★★★★






発行51whIUnlIuL__SL500_AA300_.jpg年月:2012年8月


この迷宮事件に、強く惹かれるのはなぜか。


彼女が好きだから?それとも-------。


                      (新潮社HPより)





弁護士事務所に勤務する34歳の新見。
偶然バ-で出会った女性と深い関係になる。



彼女は、迷宮入りしていた一家殺人事件の生き残りの女性だった。

彼女に惹かれるように家を訪ね、最後は事件の真相を彼女の口から聞くことになる。事件の真相は果たして本当だろうか?新見自身も言うとおりちょっと不可解な部分もあるけれど、その告白のような語りの部分は面白かった。でも別の言い方をすればそこしか面白くなかったかも・・・・^^;
                                                ★★★
 
41CX3S3KH1L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2002年7月(文庫)
    単行本は1999年7月発行


少年は永遠の命に閉じ込められた

少年は12歳にして「永遠の命」に閉じ込められた!?僕はなぜ大人にならないのだろう。心も躰も成長を止め、純粋な子供のまま生きていくことは果たして幸せなのだろうか。出生の秘密を自ら探る呼人が辿り着いた驚くべき真実とは。感動のラスト、権力者の理想が引き起こす現代の恐怖をリアルに描いた傑作長編。


                                      (講談社HPより)


最初は、みんな12歳。
厚介、潤そして3人のマドンナ的存在の小春。
4人には夏休み最後に秘密の思い出が出来た。

そして・・・皆は成長していく。
呼人も高校進学、大学進学と進むけれど、体は12歳(身長145cm)のまま。
学校の先生になるため大学は教育学部に進み、教員免許も取得するけれど、教師として採用してくれる学校がなく、通信教育の添削指導員として働く。

大人になったほかのメンバ-は
厚介は、自衛隊員になるが、民間人が北朝鮮で人質になったのを救うため向かい、そこで地雷にやられて片足を失う。

潤は、高校卒業後、アメリカに留学し、アメリカの銀行で為替ディ-ラ-として働くが不正取引で逮捕される。

小春は、両親の離婚で父親について行くが、父の再婚を機に独り暮らしを始め、美容師見習いになるが、それだけでは生活できず、夜の仕事も始め、そこで知り合った男性と結婚。

みんな過酷な人生を生きる。
呼人は、それぞれと連絡を取り合い、近況を知りながら、彼らの苦悩に理解を示し、励まし続ける。

そして、終盤、呼人がなぜ12歳で成長が止まってしまっているかについても真相がわかる。



ラストは、ちょっとホッとする終わり方だったので良かった!

これは単行本で1999年に発行された本だけれど、10年以上前にこの話を書いたとしたら
北朝鮮っていう国は昔から何も変わっていない恐ろしい国なんだということがわかる。
ほかにも、ちょっと未来を予測してた?というような箇所があり、驚かされた。

なかなか面白かったなぁ~。


★★★★

73f4a281.jpeg       発行年月:2013年1月
 
    手に汗にぎる迫真の裁判員ミステリー 新米裁判官の久保珠美は放火、DV事件の裁判を担当する。判決の責任はどこまで負うべきか。悩み議論する裁判員たちをリアルに描く。

 






3つの裁判員裁判を扱った短編集。

「孤独な放火魔」
アルツハイマ-の妻を自宅で介護する男性が放火事件の被告。
男性は罪を認めるが、そこには放火した家の持ち主である男との取引のようなものがあった。


「DVのゆくえ」
夫からDVを受けていた女性が、暴力を振るう夫に抵抗してアイロンで撲殺。
彼女の行為は正当防衛か?過剰防衛か?


「二人の母」
夫と不倫相手の子を不倫相手が健康を害したことで一時預かること承知し育てていた妻。
やがて子どもは不倫相手の元に返されるが、虐待されていると気づいた妻は、不倫相手の女性を絞殺。


事件に関わる裁判員たちの審議の模様が詳しく描かれる。
自分がこのなかの一人だったら・・・・とつい考えながら読んでしまった。
しかし、最初に頭で考えた被告人に対する気持ちが、裁判が進むにつれ揺れ動く。
小説のなかの裁判員たちも同様。

裁判ってこんな風に進行していくんだなぁ~とわかる本書。
でもやはり、一人のひとを裁くって難しい。

出来れば、やりたくないという気持ちが強くなってしまった^^;


                                ★★★


 

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