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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2012年5月


ある雨の日の夕方、ある同じ町を舞台に、誰かのたったひとことや、ほんの少しの思いやりが生むかもしれない光を描き出した連作短篇集。

 
                     (ポプラ社HPより)



虐待に纏わる5つのお話。

<サンタさんの来ない家>
ぼくは悪い子だからサンタさんが来ないという小学4年生男子・神田くん。
新米教師の岡野匡は、そんな神田くんの様子を注意深くみる。
「神田さんはいい子だよ」・・・・。
新任最初に受け持った1年生のクラスは学級崩壊させてしまったけれど、
岡野先生もいい先生だと思った!


<べっぴんさん>
毎日、娘を連れて公園に行く母親。
子どもを遊ばせながら、みな優しい母親を演じている。


<うそつき>
小学6年生のだいちゃんはうそつきだという息子。
そして、家に遊びに来るようになり、だいちゃんの言っていることは嘘ではないと気づく。
けれど、息子はあくまでもだいちゃんは嘘を言っていると信じている。
なぜなら、とうてい信じられないような哀しいことだから・・・。


<こんにちは、さようなら>
小学生の通学路に住んでいる老女。
子どもの可愛らしい様子を日々楽しみにしている。
特に気になるのは会うと必ず「こんにちは、さようなら」と挨拶してくれる男の子。
ある日、その子が家の鍵を無くして困っている様子を見かねて、自宅に招き

迎えに来た母親と話をするとその子は障害を持っているという。

男の子の良いところを褒め、一人で子どもを育てている母親に温かいことばを掛ける老女。
切ないけれど、ちょっと温かい気持ちになれる良いはなしだった。


<うばすて山>
40過ぎで独身のかよ。
子どもの頃は、母親かた冷たくされ傷ついた。
そんな母親が認知症のため、近いうちに施設入所すると、母親と一緒に住んでいた妹から聞き、
施設入所の準備中、2~3日、母親を預かることになる。
暫くぶりに会った母は自分のことを娘とは認識しない。
まるで子どもに戻ったような母親にはじめて「かよちゃん」と呼ばれる。

過去のことを忘れてしまった母親と向き合い、複雑な思いを抱くかよ。


虐待という重いテ-マで綴られる物語だけど、桜ヶ丘と同じ町に暮らす人たちの物語で、
最初に出てくる岡野先生が、4番目の障害を持った男の子の話にもちょこっと出てきたりする。
虐待の話だけれど、救いがないわけではない。
誰かがそこにちょこっと関わるだけで、抑えることが出来そう。

身の回りにそういう子は今のところ居ないけれど、こういう時代、気を配って周りの
子どもたちの様子をみることも必要なんだなぁ~なんて思った。


★★★


 
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61vvUZ7tKGL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年5月


廃墟でおこるステキな奇跡

人生に疲れたら、うら寂しい場所に行ってみよう。何かが背中を押してくれる。閉じこもりOL、家出少年、行きづまった事業主――彼ら彼女らの今を劇的に変化させる6つの物語。

「誰かいるのか」
返事はない。見間違いや気のせいではなかった。確かに誰かがいた。スプレーの落書きをした連中の仲間か。それとも、最近増えているという廃墟巡りを趣味にしている物好きか。
「いるんだろう?」
背後にも注意しながら、一歩二歩と近づく。鉄骨階段の陰に誰かがしゃがみ込んでいる。手すり越しに覗くと、お下げ髪がふたつ、見えた。その手許にきらりと光る棒がある。魔法の杖みたいだ、と思う。ディズニーアニメのティンカー・ベルがちょうどあんな棒を持っていたっけ……。――<表題作より>


                                   (講談社HPより)

6つの短編集。

「廃工場のティンカ-ベル」
廃工場に居た19歳の風俗嬢。
彼女はある揉め事に巻き込まれそれにより人を殺めてしまったと思い込んでいた。
たまたまそ仕事でそこを訪れた一級建築士の片平がその誤解を解いてあげる。


「廃線跡と眠る猫」
13年前に可愛がっていた半ノラの猫・フタバ。
フタバが好んでよく居た線路は今は廃線になっている。
そこに行方が分からなくなった日を命日に決めてお供えものをする美野里。
偶然にも職場でお人よしで有名な男性・野島からフタバのその後を聞く。

「廃校ラビリンス」
中学生の拓人は今は廃校になった校舎に忍び込み、警備員のヤマダに見つかる。
ヤマダは拓人の通っていた学校の卒業生だった。

「廃園に薔薇の花咲く」
今は廃園になった元遊園地。
そこに入る中学生の美緒と祥。
祥は家庭問題で悩んでいた。

「廃村の放課後」
以前住んでいた廃村となった村を訪れる。
妻となる人とその息子とともに・・・。

「廃道同窓会」
今は45歳の元山岳部だった3人は、仲間の遺灰を山頂から撒くため登山する。
元部長だった雅恵は術後のため、段取りだけを整えてくれた。
そして登山中、一人が怪我のためリタイア。
残る二人は共に家庭内に悩みを抱えていた。


それぞれの話のなかの人物たちは、何らかのことを思い悩んでいる状況。
そんな人たちが訪れた今は使われて居ない場所で、新しい気持ちを思い起こす話。
どの話も最後は、明るい気持ちで前を向いて頑張ろうというかんじなので
読後感が良かった!

猫好きとしては二番目の「廃線跡に眠る猫」がジ~ンときた。
姿を消したままの猫の最期が辛いものじゃなかったとわかって良かった。
職場でお人好しとしてしか見ていなかった野島の優しさが美野里にも伝わって
今後の、この二人の関係は・・・・?なんて想像もすると楽しかった。



★★★★


 
51bTzS8jO4L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年8月

忍び寄る殺意、
崩れ落ちる日常。

かつて暮らしていた街。
偶然、再会した同級生。
通り魔の被害者となった私。
私は何を見たのか、誰に見られていたのか……。

ヒット作『転落』の著者による、
「悪意」の連鎖が引き起こす長編サスペンス


                                       (光文社HPより)


主人公の芳沢夏帆・32歳は、住宅地図の調査員をアルバイトでしている。
ある日、調査している街で小学校時代の同級生と再会。
後日、家に行く約束をし、向かう途中で、通り魔に遭遇し怪我を負う。
そして、その同一人物らしい犯人による殺人事件が起き、夏帆は警察から
事情聴取を再三受けることに。

事件の真相も気になりつつ、夏帆の周りで起きる日常にある出来事にも興味を覚えた。
同級生たちが噂する街のなかの変わり者の存在。
街のなかの情報通の女性。
夏帆の家族や親戚関係。

32歳独身の女性の心理もよく表現されていて、夏帆の心の声のようなものも面白かった。


事件の真相は、明かされてみたら、なるほど、そういう事でしたか!?というような
想像では思いつかなかったものでした。

そして表題の意味がわかりました。

読み終えて、本の表紙を見ると、なんとも不気味な表紙写真でゾッとしちゃいました^^;



 

★★★

 

 
51Dwt9obQGL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年9月
 


物書きの「私」は、ひきこもりの弟、古道具屋の父とともに佐渡への旅に出る。目的は、祖父母の隣家に住む「おばちゃん」の骨を、郷里の墓に納骨すること。ところが、骨壷をユニクロの袋に入れて運ぶくらい儀礼にかまわぬ一族のこと、旅は最初から迷走気味で……。
表題作「佐渡の三人」に始まり、「戒名」「スリーナインで大往生」「旅人」と、一族の佐渡への「納骨」の旅を描く連作長編小説。


                                            (講談社HPより)



物書きの「私」は、ひょっとすると著者自身なのかな?
フィクションとノンフィクションの融合か?と思わせる物語でした。
物語は4つだが・・・話は繋がっている。

「私」は女性・道子。道子は京都に住んでいる?
ひきこもりで祖父母宅でその介護をしながら暮らしている弟と、離れて暮らしている父(二人は東京在住?)とともに親戚のおばさんの納骨のため3人で佐渡へ行くのが最初の話。
弟も父親も個性的。
会話のひとつづつが結構、笑えます。
そんな3人が骨壷を抱えて佐渡へ。
弟なのに敬語で話す弟。
みな離れて暮らしていて、納骨のために久しぶりの再会というシチュエ-ションらしい。

納骨しに行くのに何処か旅気分。
実際に寺に着き、僧侶に会っての場面も可笑しい。
納骨料と戒名料は別に用意しなければいけなかった!と気づきあたふた。
お金はなんとかあるが、むき出しのままのお金じゃダメでしょ?と慌てて・・・
いちいち、コント劇みたいな可笑しさ。

そして、佐渡への旅はその後も親族が亡くなる度に同じように続く。
2番目に佐渡に行くのは、祖父が99歳の大往生で亡くなったあと。
この祖父は東大卒で医者だったとか。
道子の父は祖父の三男で古道具屋経営だけど、長男・ヨツオは言語学の大学教授で次男・ムツオは医学部教授らしい。
エリ-ト一家なのである。
が、全くそういうかんじじゃないのが良い。


3回目の佐渡は、祖母の納骨のためだけど、
そこで最初の話で亡くなった親戚のおばさんのご主人のお骨も一緒に納めるとかで、一族の多くが佐渡に集合。
ここでも祖父母と実際に暮らしていた弟が仕切る。
これは使えるひきこもりだな・・・・笑
登場人物も続々出てきて、フルネ-ムじゃないので、覚え難いけど、それでも
こんな風に一族が集まる風景って愉快。
場面は納骨だから、明るい集まりじゃないんだけど、ある程度の年を生きての最期なら
そんなに暗い雰囲気じゃなくてもいいと思うし・・・・
いつか自分もこんな風に納骨されるのかな?と明るく思う主人公もいい。

しかし、佐渡=拉致被害者・曾我ひとみさんという認識が自分にもあるけど
こんなに度々、そのことを登場させた意図はナンだろ?
大した意味はないのか??


                                        ★★★





 
758bea72.jpeg発行年月:2012年8月


鳥人間コンテストに青春をかける若者たちの爽快エンタテインメント小説!


きっと世界で一番、私は飛びたいと思っている。
大ロングセラー『100回泣くこと』の著者が贈る、“空飛ぶ”青春部活小説。
「鳥人間コンテスト」アナウンサー・羽鳥慎一氏大絶賛! の爽快ストーリー。


                       (角川書店HPより)



毎年夏の琵琶湖で開催の「鳥人間コンテスト」。
それに挑戦する工業大学の学生の物語。

パイロットに選ばれたのは、二人。

一人は昨年の大会でも飛んでわずか15Mで墜落。
号泣しながら救出された様子がテレビ画面に写された坂場先輩。
そしてもう一人は、女子の鳥山ゆきな。
一浪のすえ、機械工学科に入学の1年生。

ゆきなの訓練に付き合うのは、一学年上でも同年の高橋圭。
二人は段々、良い関係に・・・・・。

鳥人間コンテストって、こんな風に準備してる人たちが出場していたんだぁ~。
工学部の学生で参加するチ-ムは結構、いるんだろうなぁ~。

仲間と一つの目標に向かって取り組むって楽しいだろうなぁ~。
いいなぁ~こんな学生生活。
青春ってかんじで・・・・(^^)

最後は大会の場面。
飛んでる間にまさかの告白!?
でもウマくかわしたゆきなちゃん♪

爽やかで楽しい物語でした。

暫くこの大会みてないけど、来年は見てみよう!


                                        ★★★



 
 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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