想いを貫いた江戸の人々の生きざま。<ハヤカワ・ミステルワ-ルド>からの入魂の歴史小説。
江戸参府のオランダ使節団が、自分たちの宿「長崎屋」に泊まるのを、るんと美鶴は誇りにしていた。文政五年、二人は碧眼の若者、丈吉と出逢い、両国の血をひき彼と交流を深めてゆく。まもなく、病人のために秘薬を探していたるんは、薬の納入先を聞きつけた丈吉と回船問屋を訪れる。が、店に赴いた彼らが発見したのは男の死体だった。さらに、数年後シ-ボルトをめぐる大事件が起こり、姉妹はその渦中に。
(早川書房HPより)
少し前に、朝井まてかさんの「先生のお庭番」を読んでいたので、その同じ時代の話ということで
興味深く最初から最後まで読みました。
オランダからの商館長が代々、泊まる「長崎屋」という宿屋。
そこの姉妹・るんと美鶴。
器量よしの二人は世間でも評判。
そして、成長した二人の前に現れたのは、碧い眼の若者・丈吉と親しくなる。
丈吉は先のオランダ商館長・ヘンドリック・ドゥ-フと日本人の母(長崎の遊女だった)との子。
シ-ボルトにも日本人の女性との間に娘・イネがいるのを知っていますが、
この時代、そういう子どもは他にも居たんですね~。
丈吉は、その後、不幸な目に遭うのが切なかったなぁ~。
史実を交えての物語なので、教科書で見た名前が結構出てきます。
怪しい武士が間宮林蔵だったり・・・・。
シ-ボルトが来日し、やがて起きたシ-ボルト事件に、るんや美鶴の愛する人たちも巻き込まれていきます。
シ-ボルト事件でそれに関与した者の厳しい取調べがあったのは、「先生のお庭番」やほかのもので読んで知っていましたが、こうして物語のなかの人物の身近な人が苦しめられるのは、辛かった。
多くの人が犠牲になったシ-ボルト事件は暗い事件だけれど、たシ-ボルトは
日本で過ごした貴重な体験を大事に思い、自分を拘束することになった事件の密告者(間宮林蔵)の功績を称え世界に林蔵の名を広げたことは嬉しい。
密告者としての汚名がついた林蔵も格好よかった。
皆、それぞれ自分の信じる思いを貫いただけ。
シ-ボルトの娘・イネのその後のことがちょっと興味あるな・・・。
調べてみようかな?
どんどん、新刊を出される葉室さんですが、少し前の作品も良いです(^^)
★★★★
PR
廃墟でおこるステキな奇跡
人生に疲れたら、うら寂しい場所に行ってみよう。何かが背中を押してくれる。閉じこもりOL、家出少年、行きづまった事業主――彼ら彼女らの今を劇的に変化させる6つの物語。
「誰かいるのか」
返事はない。見間違いや気のせいではなかった。確かに誰かがいた。スプレーの落書きをした連中の仲間か。それとも、最近増えているという廃墟巡りを趣味にしている物好きか。
「いるんだろう?」
背後にも注意しながら、一歩二歩と近づく。鉄骨階段の陰に誰かがしゃがみ込んでいる。手すり越しに覗くと、お下げ髪がふたつ、見えた。その手許にきらりと光る棒がある。魔法の杖みたいだ、と思う。ディズニーアニメのティンカー・ベルがちょうどあんな棒を持っていたっけ……。――<表題作より>
(講談社HPより)
6つの短編集。
「廃工場のティンカ-ベル」
廃工場に居た19歳の風俗嬢。
彼女はある揉め事に巻き込まれそれにより人を殺めてしまったと思い込んでいた。
たまたまそ仕事でそこを訪れた一級建築士の片平がその誤解を解いてあげる。
「廃線跡と眠る猫」
13年前に可愛がっていた半ノラの猫・フタバ。
フタバが好んでよく居た線路は今は廃線になっている。
そこに行方が分からなくなった日を命日に決めてお供えものをする美野里。
偶然にも職場でお人よしで有名な男性・野島からフタバのその後を聞く。
「廃校ラビリンス」
中学生の拓人は今は廃校になった校舎に忍び込み、警備員のヤマダに見つかる。
ヤマダは拓人の通っていた学校の卒業生だった。
「廃園に薔薇の花咲く」
今は廃園になった元遊園地。
そこに入る中学生の美緒と祥。
祥は家庭問題で悩んでいた。
「廃村の放課後」
以前住んでいた廃村となった村を訪れる。
妻となる人とその息子とともに・・・。
「廃道同窓会」
今は45歳の元山岳部だった3人は、仲間の遺灰を山頂から撒くため登山する。
元部長だった雅恵は術後のため、段取りだけを整えてくれた。
そして登山中、一人が怪我のためリタイア。
残る二人は共に家庭内に悩みを抱えていた。
それぞれの話のなかの人物たちは、何らかのことを思い悩んでいる状況。
そんな人たちが訪れた今は使われて居ない場所で、新しい気持ちを思い起こす話。
どの話も最後は、明るい気持ちで前を向いて頑張ろうというかんじなので
読後感が良かった!
猫好きとしては二番目の「廃線跡に眠る猫」がジ~ンときた。
姿を消したままの猫の最期が辛いものじゃなかったとわかって良かった。
職場でお人好しとしてしか見ていなかった野島の優しさが美野里にも伝わって
今後の、この二人の関係は・・・・?なんて想像もすると楽しかった。
★★★★
若き無名のボクサーたちが鍛え上げた肉体と拳で掴み取るのは、
何にも揺るがないタフさと一瞬の輝き。
男たちの成長ぶりを爽やかに描き出した時代を超えた青春小説の傑作!
角田ワールドは新たな見果てぬ地平へ!
強いから勝つんじゃない、勝つから強いんだ
(日本経済新聞社出版HPより)
500頁近い長編ですが、最初から最後まで一気に読ませてくれました。
さすが、角田さん!!拍手です!!
ま、正直なところ、試合シ-ンはちょっとだけ飛ばしましたが・・・^^;
最初に登場したのは、出版社勤務の25歳・那波田空也。
文芸志望なのに、異動の先は、隔月刊のボクシング雑誌編集部。
空也の担当する雑誌は「ザ・拳」。
そして訪れたボクシングジム。
練習風景などを見学させて貰って・・・・と軽い気持ちで出向いたけれど、自らもジムの練習生として
通いながら記事を書くことになる。
ジムのなかの花形選手・立花望(リング名:タイガ-立花)を主に取材対象にして、交流を深める。
同い年なので練習後は、話も弾み、楽しそう。
ほかのジム通いのメンバ-、中神や坂本も皆、好青年というかんじなので
読みながら、応援したくなる。
しかし、立花は、リング上では別人に変わる。
悪役ぶりを徹底して披露。
試合中は、相手を挑発する言動。
立花に対するヤジも多い。
本当の立花を知っているから、嫌いにならないで応援できるけど、普通なら嫌われるキャラを
あえて作って戦う。
そういうことってあるんだな・・・・・・。
ボクシングとかあまり知らないからわからなかったけど、そういう演出っぽいこともアリなんだと
知って頭に浮かんだのは,亀田興毅選手。
立花の試合中とリンクを降りた普段の生活で見せる姿のギャップが面白かった。
亀田興毅選手もなんだか同じような気がする。
物語のなかで、立花たちが試合をこなして、勝ったり負けたりしながらも成長していく様子が楽しかった。
空也との関係も取材する人、される人以上の信頼関係みたいなものが出来て行って
ずっと付き合っていける親友のような仲になっていったのも良かった。
新聞掲載小説なので、試合の描写は実に細かい。
なので、途中、先にも書いたけど飛ばし読みしてしまったけど、ボクシングがわかる人には
その辺も楽しめたと思う。
角田さん自身もジムに通って、空也みたいに実際にボクシング体験とかしたのかなぁ~?
物語の最後は、少し年月が経ち、空也や立花たちのその後の様子が書かれていた。
みんなそれぞれ前より立派になっていて嬉しかった♪
楽しい物語でした!
★★★★
裕福だった過去に執着する母と弟。
家族から逃れたはずの奈津子だが、突然、夫が不治の病にかかる。
だがそれは、奇跡のような幸運だった。
夫とめぐる失われた過去への旅を描く著者最高傑作。
(河出書房新社HPより)
芥川賞受賞作品「冥土めぐり」と「99の接吻」の二編を収めた本書。
どちらも何か薄ら寒いような家族の物語でした。
「冥土めぐり」は、結婚後、四肢あ不自由になった夫・太一と共に、かつて両親と弟と訪れた高級リゾ-トホテルへ向かい、その旅を通して振り返る昔の家族のこと。
そしてこれからのこと。
元スチュワ-デスの母親と元一流企業の社員だった父親の結婚は、華やかな生活が続くと思われたけれど、やがて父親の発病と死を迎え、夢のような生活が一転するが、自分でその状況を何とかしようとはせず、娘の奈津子に頼りきり。
弟も似たようなかんじ。
理不尽な目に遭いながらも奈津子は淡々としている。
そして同じく突然の病で理不尽な生活を送ることになった太一と暮らし
太一自身は自分の状況に理不尽さを感じる風でもなくその日、その日を生きていることに気づく。
電動車椅子に乗れるようになったことを喜び買い物にも楽しく出かける。
本の解説にある奇跡のような幸福?
この状況をそう呼べるのには、何か悟りのような崇高な考え方が出来る人じゃないだろうか?
う~ん、なかなか深いかも。
もう1編の「99の接吻」の方が、幾らか理解できた。
3人の姉と母親と女ばかり5人で暮らしている末っ子・奈奈子の視点で語られる話。
奈奈子は姉たちを同様に愛していて、その姉たちが惹かれる違う町から越してきた「S」という男に
敵対心を抱きながら、姉たちと「S」の成り行きを観察している。
この家族もちょっと変わってる。
女同士でお酒を飲みながら性的な話題で盛り上がる。
母親もアッケラカンと経験談を語る・・・・・う~キモチワルイ。
ずっと仲良く女同士で暮らしていくのかな?
二編のお話それぞれが、似たようなイヤ~なかんじ。
文章はなかなか読みやすく、嫌なかんじなのに、ほかの作品もちょっと読んでみたくなる
不思議なかんじの読後感。
★★★
二度と還らない友情のきらめき、そして痛み。
純粋さゆえに傷つけあう少女の関係を描く表題作と「水の花火」を収録する珠玉の小説集!
主人公の私=雪子は中学2年生。以前通っていた女子校に馴染めず、東京の中学校へ編入してきた。そのクラスで出会った本好きの少女・七緒に誘われて美術部に入り、予測のつかない彼女の言動に翻弄されながらも、きらめくような日々をともに過ごす。しかし次第に七緒がクラスから浮いていること、その言葉にウソが混じっているらしいことに気づき始める。美術教師の突然の死やカウンセラーとの関わりの中で、ふたりが共有した真実と嘘の間で揺れ動く私。やがてある事件を経てふたりは疎遠になっていく……。
(講談社HPより)
表題作のほかに高校生でデビュ-した直後に書いた作品「水の花火」が収録されていた。
二編とも学生時代の女の子同士の友情を描いている。
わたし自身、ここに出てくるようなわかり難い性格の子と仲良くした記憶がないので
ちょっと理解し難い箇所もあったけれど・・・・
表題作の「七緒のために」の七緒と雪子の関係には、お互いを傷つけてしまうことになっても
一緒に居たい、そんな切ないような友情を感じた。
前の学校で友達関係が上手くいかなかった雪子にとって
転校先で出会った七緒は、明るく無邪気なかんじで好感が持てたのは理解できる。
しかし、いろいろな話が段々「?」と思うことが多いと気づく。
だからと言って嫌いになるほどではない。
雪子は七緒のことをよくわかっているかんじ。
七緒は常に具体的なことを聞いてはいけない雰囲気を漂わせている。
大らかさと無頓着さを装いながら実際はこちらは気後れしてしまうほどの危うい
緊張感に満ちた気配をまとっていた。
う~ん、なるほど。。。。
この表現、凄いなぁ~!どんなかんじの子かよくわかる!!
ある事件をきっかけに二人の仲は決裂してしまうのだけど、
こんなに分かり合える同性だからこそ一緒にこれ以上居るのが苦しかったのかな?
二人の家庭環境や精神状態とかが違っていれば別の友情が続いたのかもしれない。
ここに出てくるスク-ルカウンセラ-の栗栖先生は、一見優しく相手を理解しているようで
全く二人のためになる言動を起こしていないように感じてもどかしかった。
ここに出てくる同年代の子が読んだらどんな感想を持つのだろう?
ちょっと長女にでも読ませてみたい(受験生なので無理だと叱られるからダメか?)。
もうひとつのお話「水の花火」のほうも親友と別れる話だけど、少し前向きなかんじ。
初期の作品らしい初々しさも感じられて、なかなか良かった。
★★★★
カレンダー
| 05 | 2026/06 | 07 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 4 | 5 | ||||
| 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
| 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
| 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
フリーエリア
最新記事
(06/06)
(06/03)
(06/02)
(05/31)
(05/29)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア
