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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年2月

東北の架空の国、リアス・エリア。漁業を手伝う少年カイのまわりで、原発誘致計画を巡り隠された巨大な陰謀が明らかになる。やがて国を大地震と津波が襲い、人々は復興に向けて新たに一歩を踏み出していく――。

                  (角川書店HPより)



初めて読む作家さん。
読み応え十分の長編小説。
頁数481で2段書きなので、読み終えるまでの時間がかかりましたが
読みやすくてスイスイ読めました。


架空の土地・リアス・エリアに暮らす少年・港屋戒(13歳)を中心に物語が進む。
カイは両親を亡くし、姉・理央と二人暮らしだったが、姉は行方不明。
舟で沖に出た後、行方が分からなくなってしまい、地元では亡くなったと思われている。
が・・・理央はアメリカに渡り、キタヒロ教授の助手としてその元で生物資源研究をしている。


リアスエリアは、漁業で成り立っていたが、今はそれも衰退しつつあり新たに原発誘致により財を増やそうとする動きが水面下で起きている。

リアスエリアからの脱出を試みるカイの冒険話としても面白かったが後半は、
3.11を連想させる大地震により核のゴミの処理問題やら近海の環境問題などを
どうするか?
現代の日本が抱える問題そのままを物語のなかに盛り込み、この物語内で
決着がつくのか?と興味深く読んだ。
そして・・・・ああ、そういう解決策ですかぁ~?
やや拍子抜けしましたが、ま、物語なので、仕方ないか?
この物語のように、うまい具合に何か画期的な方法が見つかると良いのだけれど
どうかなぁ~?


読み応えは結構あったけれど、内容はイマイチ納得し兼ねるかな?というかんじ。
ちょっと惜しいかな?


                           ★★★
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発行年月:2008年1月


 4人の過剰な女たち。あなたは誰に共感?
努力で「できちゃった略奪婚」した里美。その結果、離婚の憂き目にあった佐智子。そんな彼女を心配し、探偵活動を始める伯母ミツエ。その娘で不妊に悩む奈都子。女たちは対立しながら奇妙な友情を育む。第31回すばる文学賞受賞作。 

                    (集英社HPより)



面白かった!

すごく興味をそそる状況だった。


一組の夫婦の離婚。
夫は、不倫によって妊娠した女性・里美と離婚後結婚。
妻・佐智子は、ひとり暮らしを始める。

そして、そんな甥っ子の行動に怒りを覚えたミツエは、元妻・佐智子を見つけ
訪ねていく。

一方、新妻・里美は結婚式に伯父夫婦が出席しないかもと聞き、なんとか出席を
承諾させてほしいとミツエの娘・奈都子の元へ。


佐智子の趣味を偶然、目にしてしまったミツエは、あることを思いつき実行。
そこで奈都子と里美とも鉢合わせのラストのシーンはドキドキ。

この後、どうなったんだろ~?
読者それぞれが想像するしかない終わり方。

取っ組み合いの喧嘩?
嫌みの言い合い?
お互いの胸のうちを晒して友情が生まれる?


でもミツエが言うように、やっぱり元妻・佐智子が気の毒だよね~。
おまけに妙なクセがあるし・・・。
これから幸せつかんで欲しいけれど・・・。


                             ★★★




発行年月:2013年2月


 

『永遠の0(ゼロ)』の百田尚樹、大暴走!!
最新書き下ろしは、出版界を舞台にした掟破りのブラック・コメディ!

◆あらすじ◆
敏腕編集者・牛河原勘治の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。
自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブズのような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してやりたい主婦……。
牛河原が彼らに持ちかけるジョイント・プレス方式とは――。
現代人のふくれあがった自意識といびつな欲望を鋭く切り取った問題作。

「知っているか? 現代では、夢を見るには金がいるんだ」

                    (太田出版HPより)



面白かったぁ~!
出版業界の話も織り込まれていて、「へ~」 「なるほど~」などうなずきながら
読む箇所あり。


主人公の牛河原勘治(55歳)は、丸栄社の編集部長。
作家になることを夢見て送ってくる原稿の中から、これは!と思う人物に
コンタクトを取り、惜しくも賞は逃したけれど、このまま忘れられてしまうには
惜しい作品だと、著者の夢見る心をチクチク刺激し、出版社が後押しをするので
ぜひ、本にしませんか?と持ち掛ける。


中でも25歳の温井雄太郎(25歳)フリーターへの接触が面白かった。
将来は、ステーブ・ジョブズのようになると周りにも豪語している男。
その自信の根拠がわからない変な人。
しかし、牛河原にとっては、良いカモ。
温井の自尊心をくすぐるくすぐる・・・^m^

他にも周りのママ友のバカっぷりに嫌気がさしている主婦・大垣萌子は、自らを
賢いママとして「賢いママ、おばかなママ」という作品を応募してきた。


牛河原は、そんな人たちを騙して本人の夢(作家になれる)が現実のものになることを説く。

詐欺師の戦略が少しわかる。
面白いけれど、牛河原、悪い奴だな・・・と思いながらも、でもなぜか
憎めないと感じていたら・・・・あらあら、最後は「え?ホントは良い人?」
という展開になりました。


しかし、売れてる作家さんって、こうして考えると凄いなぁ~。


                          ★★★★







発行年月:2009年7月(単行本は2006年8月)


「生きて、必ず生きて帰る。妻のそばへ、娘の元へ」
涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくる――。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。

「俺は絶対に特攻に志願しない。妻に生きて帰ると約束したからだ」
「真珠湾に参加するとわかっていたら、結婚はしませんでした」
「零戦はかつて無敵の戦士でしたが、今や――老兵です」
「私には妻がいます。妻のために死にたくないのです」
「私は帝国海軍の恥さらしですね」

                   (講談社文庫HPより)
  
 



映画を先に少し前に観ているので、読みながら映画の映像が目に浮かんでくるようでした。
そして、また感動しました。
映画は、原作に忠実につくった作品だったんだなぁ~。

物語の主人公は、宮部久蔵。
大正8年生まれで昭和20年南西諸島沖で戦死(26歳)。


そんな宮部久蔵のことを孫の佐伯慶子と弟・健太郎が調べる。
慶子と健太郎には、祖父が健在しているが、宮部久蔵は、二人にとっては、もう一人の祖父。

健在する祖父と亡くなった祖父・宮部久蔵の関係もわかってくる。


映画では、あまり焦点が当たらなかった慶子の苦悩。
自分の仕事(フリーライター)と結婚についてのこと。
祖父のことを調べていくうちに、自分が今後、どう生きるべきかを考える。
映画では、健太郎の将来に対する姿勢の方を主に描いていたので、姉の人生も
前に踏み出した過程がよく理解できた。


そして、やはり考えさせられた戦争のこと。
世論って恐ろしい。
大事なひとつしかない命さえ、犠牲にすることが国のためと考えられ、生きて帰りたいと
いう言葉が言えない時代。
そんな時代のなかで、久蔵が「生きたい」と思い、部下たちにも「生きろ」と説くのは
なかなかできることではない。
そして、最期は・・・・これは何度読んでも泣ける(/_;)

戦争なんて、本当に愚かなことだとつくづく感じる。

これがデビュー作というのにも驚く。

最後の解説が児玉清さんというのも、ビックリでした!
児玉さんの言葉にもジ~ンと来るものがありました。


                           ★★★★★




発行年月:2014年1月

家庭に恵まれなかった里里は、シングルマザーとなって娘と暮らす。
過去に囚われる晴美は、女性の自立を援助する団体の代表を務める。
母親から棄てられた朋子は、かたくなに家族を否定しながら生きる。
戦地から戻った夫とすれ違う加寿は、大切なものを信じて家を出る。

すべては彼女が必死に生きてくれたおかげなのだ。
あたしもまた、誰かにつながるような生き方をしたい。

女がひとり、必死に生きてきたその証
その家に遺されていたのは、日々の暮らしが記された家計簿。
そこには「男と駆け落ちして心中した女」の秘密が隠されていた。
「母親ウエスタン」で注目の作家が放つ、世代を超えた女たちの物語

                    (光文社HPより)


主人公・瀧本里里(32歳)の元にある日、家計簿が送られてくる。
昭和17年から昭和24年までの家計簿のなかには、日々の出来事と共に
書いた人の思いが綴られていた。

その家計簿の持ち主は、五十鈴加寿。
母から聞いていた、その人は、祖父・善吉の妻であった女性。
つまり里里にとっては祖母に当たる人。
しかし、祖母は、母がまだ幼いときにほかの男の人と心中したと聞かされていた人。


里里の両親は中学生の時に離婚し、母親・朋子と二人暮らしをしてきた。
しかし、里里は、昔から朋子のことがよくわからない。
父は母と別れたあと、他の人と再婚し、子どもも出来たが、里里が大学生の時に
亡くなった。


祖母の家計簿を手にし、中に書かれている日記のようなものを読む里里。
母親から聞かされていたイメージとは少し違うことに気付く。
そして、祖母のことを知るNPO活動をしている女性・三浦晴美と知り合い
加寿がどんな人だったのか、だんだんとわかってくる。

母は祖母を誤解していた。
その真実を伝える終盤は、複雑な心境になりました。
真実をもっと早く何らかの方法で知っていたら、もしかしたら朋子の生き方も
変わっていたかもしれない。
なんて考えたら切なくなった。
それでも知らずにいるよりは、良いことだと思うけれど・・・・

なんとなくギクシャクしていた、里里との関係も少しずつ和やかなものに
なるといいなぁ~。


そういえば、わたしの母も生命保険会社が毎年くれた家計簿の上段に
日記のようなメモ書きをいたなあ~。
ちょっと前の家庭の主婦は、みんな同じようなことしていたのかも。
彼女の家計簿=彼女の生きざま。



読み応えあり面白かった!


                       ★★★★★
 
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