発行年月:2015年7月
戦後70年、命の重さを問う渾身の人間賛歌
ブラック企業に追い詰められ多額の借金を背負った達希(27歳)は発作的に飛び降り自殺を図り、15年前に死んだ祖父の霊に助けられる。祖父は生前心残りの「人探し」を一緒にすることを条件に隠し財産で借金の肩代わりを提案。そこから祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。
そこで出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶。将校でも戦闘機乗りでもない大多数を占めた一般兵士の彼らの戦死とは、飢えや伝染病で命を落とす悲惨なものだった。
やがて一行は赤道の街に到着。そこには、この旅に祖父が託した本当の目的が隠されていた。今まで決して口にすることのなかった、「知られざる謀略事件」とは・・・・。そして、そこに隠された,祖父の過去にまつわる真実とは・・・・・。
(小学館HPより)
ブラック企業で理不尽な目に遭う八重樫達希。
上司から命令的に言われた売上の水増し報告が問題に。
消費者金融から借金して自腹で補填したのに・・・
自身の生活は困窮に、精神的にも追い詰められて投身自殺を図る。
ああ、悲惨な話だな・・・と思ったら・・・・15年前の病死した祖父・勉が現れ
死ななかった。
助けた代わりに人探しをしてほしいと頼まれ、一緒にその人が居るであろう
ボルネオ島に。
そこでNPO活動をしている高校生・城垣澤雪音と知り合う。
雪音の父親は政治家で不登校になった雪音に言われてここに来たという。
そして死んだ人が見え、あの世とこの世を繋いでしまう力があるという。
祖父の探し人は石野紀代子。
そして祖父・勉の戦争体験の話に移る。
紀代子は、島で農作業に従事していたとき知り合った夫婦の娘。
ボルネオ島のポンテアナ事件のことはこの小説で知りました。
そんな惨い事件があったとは。
祖父のずっと抱えて来た苦悩がわかってなんとも言えない気持ちになった。
戦争はやはり惨い。
惨いことしか起こらない。
勉と共に旅をして、達希自身の考え方も変わって行く。
自分を陥れた企業と闘うことに決めた姿は以前とは別人のよう。
達希の両親も素晴らしい。
なんとか、この先の人生を素晴らしいものにしていって欲しいなぁ~。
読み応えあって凄く良かった!
他の作品も是非、読みたい!
★★★★
発行年月:2016年7月
あの子がいない――。山口妙子の娘、琴美が行方不明になった。パートが長引いて幼稚園のお迎えが遅れ、友達のお母さんが一緒に連れ帰ってくれたのだが……。公園で遊んでいて琴美だけが忽然といなくなってしまった。目撃情報はなく、警察の捜査も行き詰まり――山口家は琴美を捜し続け、行方につながる糸を一本ずつたぐりよせる。そしてついにたどりついた真相とは。家族の形を問う衝撃のサスペンス。
(双葉社HPより)
決まった時間にお迎えに行けなかった母親。
子どもが一緒に遊びたがったからと一緒に連れ帰って公園で遊ばせて
いるうちに子ども達を見失った母親。
あの時こうしていたら。。。。と後悔ばかりの日々。
辛いでしょうね。
それぞれ。
捜索しても全く手がかりなしで随分年数が経って・・・
場面がいきなり違うところに飛んだので、この人たちがどう行方不明の
女の子と関わってくるんだろう?と思いながら読んだ。
そして・・・
ああ、この父親も辛かっただろうな。
でも幾ら亡くなった娘に似ていたからと連れ帰ったら犯罪。
でもラスト、行方不明だった女の子が実の親たちの前に現れて
ここから新たな家族の物語が始まるんだな~と思えてホッととした。
★★★
発行年月:2011年7月
自分を中学一年生だと思い込む祖母。父と別居中の母。
入学早々失敗した私。
三人の人生のつまずきに、祖母のある言葉が絡み合い、
切なく悲しい過去がよみがえる??。
感動長編ミステリー。
(幻冬舎HPより)
ほしおさん、前回読んだ「活版印刷三日月堂」が凄く好きなかんじだったので
こちらの過去作品も読んでみました。
やはり、いいですね。
文章がすらすら読めます。
主人公は中学受験を経て、祖母の母校でもあるミッション系の
望桜学園に進学した都築夏草。
入学後、なんとなく周りの雰囲気に馴染めず、あることを機に陰湿な
いじめに遭ってしまう。
入学前には、3.11があったり、両親が別居中とか、問題があれこれ絡んできます。
けれど・・・どれも自然の流れのなかのことで、唯一、自分を理解してくれる
友だち戸倉千波の存在もあって絶望感からは脱出する。
そして、大きな出来事・・・・祖母が倒れて入院。意識不明からは脱するけれど
記憶が混乱して自分を中学1年生と思いこむ。
そんな祖母を温かく見守る夏草と母の木の実。
3人の関係が素敵でした。
祖母がどうして中学1年生の記憶を強く残しているのか?
その疑問から夏草は祖母の過去を調べていき、初めて知った祖母の過去。
この辺りの謎解きには、切ないものがありました。
祖母・夕子さんの手紙は長かったけど、じ~んとしました。
そして、夕子さんは息を引き取りますが、その前に一時意識が戻り
学圓時代の相馬先生と面会出来て、本当に良かった。
別居中の夏草の両親もお互いの良きところを再び見つめ直す機会ができ、
明るい未来が見えそうな結末が物語を気持ちよく読み終えることに繋がった。
いいですね、ほしおさん!
他の未読作品もどんどん読みたいと思います。
★★★★★
発行年月:2016年6月
川越の街の片隅に佇む印刷所・三日月堂。店主が亡くなり、長らく空き家になっていた三日月堂だが、店主の孫娘・弓子が川越に帰ってきたことで営業を再開する。
三日月堂が営むのは昔ながらの活版印刷。活字を拾い、依頼に応じて一枚一枚手作業で言葉を印刷する。そんな三日月堂には色んな悩みを抱えたお客が訪れ、活字と言葉の温かみによって心が解きほぐされていくのだが、弓子もどうやら事情を抱えているようで――。
(ポプラ文庫HPより)
短編連作でしたが、ひとつのお話と言ってもいいかも。
とても素敵な心温まる物語でした!!
<世界は森>
大学進学が決まり、北海道に行ってしまう息子・森太郎に贈る物に悩むハル。
自分が子どもの頃、両親に貰って宝物にしていた三日月堂のレターセットを
息子にも贈ろうと決める。
<八月のコースター>
伯父の経営していた珈琲店<桐一葉>を受け継いでいる岡野。
何か自分の店らしさを出すものを、お客さんに提供できないか?と考え
ショップカードを作ったら?とハルの提案に乗る。
自分が以前、好きだだった俳句の句入りコースターも一緒に作ろうと決める。
<星たちの栞>
高校の国語教師の真帆。
文芸部の顧問でもあり、学校祭で何をするのがいいか考えている。
珈琲店<桐一葉>に久しぶりに入店し、俳句入りコースターに感動。
印刷所・三日月堂を案内してもらい、店主の弓子の提案もあり
活版ワークショップを開くことに。
<ひとつだけの活字>
結婚を控えている雪乃。
曾祖父が活字屋を営んでいたと祖母から聞き、活字セットを祖母から受け継いで持っている。
結婚式の招待状を活字セットで作りたいと考えている。
大学時代のゼミの先輩から印刷所・三日月堂を教えて貰い訪ねる。
人と人が繋がっていく様子も楽しかったし、活版印刷についても色々知ることが
出来た。
弓子の過去のことも分かった。
弓子にも幸せな未来があるといいな。
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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