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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年5月


『マチネの終わりに』『ある男』と、ヒットを連発する平野啓一郎の最新作。
 舞台は、「自由死」が合法化された近未来の日本。最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする。
 母の友人だった女性、かつて交際関係にあった老作家…。それらの人たちから語られる、まったく知らなかった母のもう一つの顔。
 さらには、母が自分に隠していた衝撃の事実を知る――。
 ミステリー的な手法を使いながらも、「死の自己決定」「貧困」「社会の分断」といった、現代人がこれから直面する課題を浮き彫りにし、愛と幸福の真実を問いかける平野文学の到達点。
 読書の醍醐味を味わわせてくれる本格派小説です。

                       (文藝春秋HPより)



夢中で最初から最後まで読んだ。


時代は現在より少し先、30年後くらいの話。

主人公の朔也は、事故死した母親が生前「自由死」を望んでいたことを拒否し
続けていた。
結局、自分が海外に出張中、母親は墜落してきたドローンに驚き、側溝に落ち
命を落としてしまう。
自分が自由死を受け入れていれば、母親は自分に看取られながら希望する
死を迎えることが出来たのに・・・・


朔也の後悔は理解できる。けれど、それは仕方ない。朔也が苦しむ姿は痛々しい。

そして母親のVFを300万円で作って貰う。
母親の過去の資料を製作者側に渡し、それらから母親の人格を生前と近い物に
作製してあるという。
VFが間違った言い回しなどをしたときは訂正してあげれば次回からは
それを学習した言い方に変えて段々と本来の母親に近づくのだと。


けれど、所詮、本当の母とは違う。
当たり前のことだけれど・・・。


朔也は、生前、母親が親しくしていた人に接触し、母親の本心を探ることの方に
力を入れる。


朔也は、優しいし、理性的で、良い人だと思う。
彼のことを好ましく思う人たちが周りには増えていく。
その人たちとの関わりの中で、少しずつ母親の本心を知りたいと
思っていた彼の心が変わっていく気がした。


本心なんて、わからないでいいじゃない。
案外、実際の母親が前に居てもうまく表現できないものじゃないかな?


SFの要素もあったけれど、そこには近い将来こんな世の中に実際なるのかも。
と思えるリアルさがあった。
格差社会とか、外国人労働者の話とかの問題も絡んでいて、
盛りだくさんのものが巧くまとまっていたと思う。


そして読みやすかった。
面白かった。



                          ★★★★★
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発行年月:2021年5月


頑張るあなたへのエール!
金の角。それは、未来を指し示す希望の光。突然、中学受験を決意した小6の俊介。その頑張りに周囲も変化していき──。いきなり文庫!
「サッカーをやめて、塾に通いたい」小6になる俊介は、突然、両親にそう打ち明ける。日本最難関と言われる中学を受験したいのだ、と。難聴の妹・美音の小学校入学を控え、家計も厳しい中、息子の夢を応援することを両親は決意。俊介の塾通いが始まる。だが、彼には誰にも言えない"秘密"があって……。人は挑むことで自分を変えることができる。未来を切り開こうと奮闘する人々を描く、感動の長編小説。

                      (集英社文庫HPより)



自らやる気になって決めた中学受験に挑む俊介の成長物語。


子どもの夢を応援しようと決めた両親の決断も立派だったなぁ~。

そして通った塾で出会った数学担当の加地先生と出会えたことも俊介にとって
とても良かった。



受験の結果は、現実的。
でも、塾で学んだことをその後の3年間で活かした高校受験の結果が
嬉しかった。



                       ★★★


発行年月:2021年1月


婚約したばかりの美咲が、彼の実家のある京都に移住した途端に浴びる数々の洗礼。また実家で豹変する彼に幻滅し、美咲は昔からの趣味であるTシャツ作りにのめり込む。徐々に美咲は京都の地で個人ブランドの独立・起業への道を歩き始める。自分らしい生き方を模索する一人の女性の物語。

                  (朝日新聞出版HPより)




婚約者の実家を訪れたことから皮肉にも別の生き方を見つけた主人公・美咲。

京都の人って付き合うの難しそう。
著者は京都生まれなんだなぁ~。


美咲の元婚約者も決して悪い人じゃないと思う。
でも結婚となると本人以外に親族も関わってくるし、更に家業を継ぐとなると
面倒くさそう。
結婚前に実家の状況とかもっと聞いておくことが大事だよね~。


Tシャツに刺繍やアレンジを加えてっていうのはいいな。
表紙の女性が着ているTシャツは、実際、モデルになった女性が作成した
ものだろうか?
そんなに奇抜じゃなく、素敵なTシャツだな。

実際の Read  Therad  のHPに飛んでみたら、ほぼ完売の表示だった!
制作にも時間かかりそうだから、出品数も多くないし、出たらすぐ売れて
しまうんだろうな。


モノづくりをする女性のサクセスストーリー、楽しく読めた。


                         ★★★



発行年月:2018年9月


愛したはずの夫は、まったくの別人であった。
「マチネの終わりに」から2年。平野啓一郎の新たなる代表作!
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。
里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。
人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。
「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品

                   (文藝春秋HPより)



亡くなった谷口大祐は、誰だったのか?

谷口大祐の妻・里枝からの依頼で調査する城戸章良。
城戸は弁護士であり在日三世。祖父が韓国人。


谷口大祐を名乗っていた人物を探しながら、城戸のこの真相を探る間の
心境も興味深く読んだ。

自分の生まれながらの名前を捨てて、別の人として生きる。
そんな選択をする人って実際には、どのくらいいるのかな?
戸籍を交換するって、どんな風に?そんなことを仲介する人っているのかな?
色々な疑問が沸いてきた。



で、実際、谷口大佑を名乗っていたのは、原誠という人物。

原は、父親が殺人罪で死刑を執行されている。
暴力団員の息子・曽根埼義彦と戸籍を交換したあとで谷口大祐と戸籍を交換。

本当の谷口は曽根崎として生きていた。



谷口自身は、戸籍を捨てるほどの境遇じゃないようにも思うけれど
本人にしかわからない苦悩があったんだろう。
原が戸籍を交換したい気持ちは理解できるけれど・・・・。



実際の原と再婚した里枝が事実を長男の悠人(14歳)に告げるラストの場面は
こちらも緊張したけれど、悠人は優しいしっかりした子だな。
原とは血がつながっていない彼は、原の実子となる妹の花のことを
これからも、ちゃんと守ってくれそうで頼もしい。


重たい物語だったけれど、最後のこの場面で少し楽になった。


「マチネの終わりに」の映画は、見たけれど、原作も読んでみようかな?



                        ★★★★



発行年月:2006年1月


かつて唯一無二の友達だった、虹子と黒衣。40歳を迎え、行きづまりを感じ始めた彼女達は、もう一度、再会を試みるが!? 生への確かな肯定に満ちた星野智幸最高傑作。

                    (河出書房新社HPより)



フシギな話だった。
虹子と黒衣(クロエ)の出会いの場から、面白い。
二人が会話したのが小学5年生のとき。

以後、二人はいつも一緒にいるのだけれど、普通の女の子らしい感じじゃない。
放課後、多摩川でボールを蹴りあって遊ぶ。
特に会話はなく。
そんなことを中学。高校と続け、大学は別々のところに進むけれど
定期的に多摩川でボールを蹴りあう。

合宿という名の旅行も二人で毎年、行き、ある年に偶然、流れ着いた
離島で一人暮らしている、ユウジと知り合う。
ユウジとの子どもを妊娠したらしいクロエ。
しかし、その後20年間、その子はクロエの胎内に留まり続けている。


20年間、虹子とクロエは音信不通になるが、高校の同窓会の報せを
キッカケに再会。
お互いの近況を深くは語らす、別れる。



虹子は、結婚し、男の子(小学生)と夫がいるけれど、突如、家出している。
クロエは、民芸品店を経営し、未だ一人。


再会後、二人は、また頻繁に会う仲に戻るのかな?
クロエは、お腹のなかの胎児の存在に向き合い始め、まずは検査にいこうと
しているけれど、その後、どうなったんんだろ?
ユウジのその後も気になる。


気になることが山積みのまま終わってしまったけれど、この物語には
これでいいのかも。


フシギな話だったけれど、面白かった。



                        ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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