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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年10月


 70歳の夏川秋代は、夫を亡くして公団住宅にひとり暮らし。ある日、「(長女の巴と)家族になろうとしている」と語る若い男が突然やって来た。戸惑う秋代をよそに家に上がり込む謎めいた男。彼は本当に娘の婚約者なのか、それとも新手の詐欺なのか――。 秋代には実は、長女だけでなく、二人の息子にも男の来訪について相談できない理由があった。アメリカで未婚のまま娘を産んだ長女、男らしさの抑圧に悩み在日韓国人のパートナーとうまくいかない長男、借金を重ねて妻子に出て行かれた次男……こじれた家族の関係は修復できるのか。 現代文学の最前線を走る作家が、家族のあり方や人々のつながり方を問う渾身の長編。

                  (中央公論新社HPより)



最初に登場したミサト(未彩人)と名乗り、妙に馴れ馴れしい態度で一人暮らしの
秋代のところに出入りする青年は何者なのか?
その真相を知りたくて、ずっと読んでいく。

早々に、ミサトの嘘がばれるけれど、ばれたことは大したことじゃないという
様子も気になる。


秋代には、2人の息子と、一人の娘がいて、ミサトが訪ねた最初の頃は
何らかの事情で、子どもたちとは絶縁状態。

そのわけが段々、わかってくる。



複雑な事情が入り組んでいて、そこに発生した感情がお互いをがんじがらめに
している。
全てが悪い方向に進んでしまう、この家族が
ミサトと夕海によって、集結することになり、お互いのわだかまりが解れた
かんじになる。


疲れたけど、結果オーライ。


感情を正しく相手に伝えるって大事だね。


これからまた何か問題が起きても、みんなで解決していけそうな
新しい絆みたいなものが生まれたかな?


お節介なお調子者・ミサトのおかげかな?




                        ★★★

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発行年月:2021年1月


1945年、父を戦争で亡くし、聡一は一家を支えるために大学をやめて、鉄道総局の研究所に入所する。そこには、戦争中に軍で戦闘機の設計や製作に関わり、多くの命を奪う結果を生んでしまったことを悔いる壮年の技術者たちがいた。
技術を、人を殺すために使いたくない。平和への想いを込め、不可能と言われながら、東京―大阪間を数時間で結ぶ高速鉄道の開発に取り組む彼らを手伝ううち、聡一もいつしか想いに共鳴し、没頭していく。
子どもたちを抱え未亡人となった母親、満州での辛い経験を胸に秘める同僚女性、様々な人が、過去を乗り越え、未来へ向かう様を描いた、希望の物語。

                 (ポプラ社HPより)



新幹線を作った人たちの物語。
1964年開業した東海道新幹線が、こんな人たちの努力で出来たことを知れて
良かった。


主人公の松岡聡一は19歳で鉄道技術研究所に入所。
大学を途中で辞めなくてはならない家庭の事情だったけれど、常に前向きな
姿勢は応援したくなる。

聡一は、最初、設計班に。
班長は元は戦闘機の設計をしていた木崎正道。
ぶっきらぼうな様子に最初は、ビビッていたけれど、木崎の新幹線作りに
思う気持ちに触れ、尊敬の気持ちを持って接する。

戦争に関わった元軍人ならではの思いがよくわかった。
安全な乗り物をつくりたい。
平和な乗り物をつくりたい。

木崎が聡一に語る言葉「一緒に美しい列車をつくろう!」もいい。


聡一が好意を寄せた堀川寧子との話も良い方向に向かってよかったが
満州からの引き上げ時の苦労話には、胸が痛んだ。
本当に戦争は惨い。
人間の醜い部分がむき出しになる。


今も大きな事故なく運行している新幹線、すごい技術が継承されて安全な
乗り物として世界に誇れるもののひとつ。


表題もいい。



                       ★★★★★



発行年月:2020年5月


傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった――。
2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。ある日和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか……
犬を愛するすべての人に捧げる感涙作!

                    (文藝春秋HPより)




一匹の犬・多聞。
迷い犬として東北の震災地を彷徨い
色々な人に出会いそれぞれの人たちと寄り添いながら生きていく。

<男と犬>
中垣和正は震災後、仕事をなくし先輩の口利きで始めたバイトは、犯罪がらみ。
わかっているけれど、認知症の母親、その世話に明け暮れる姉のため、
自分が稼ぐしかない。
多聞とはコンビニ前で出会い、以後、いつも連れて行動。


<泥棒と犬>
最初の話で出てきた男の死後、代わりに飼うことになったイラン人のミゲル。
震災後の街なかで盗みをはたらいている。
故郷の家族に楽をさせたくて。
が、組織の者に追われることになり「ショーグン」と名付けた多聞を
解放。


<夫婦と犬>
中山大貴は登山道でのトレーニング、多聞に遭遇。
クマに遇う危険を回避する手助けをしてもらい、そのまま家に連れて帰り
飼うことに。妻も賛成。
トレーニングにも一緒に行くがある日、大貴は山から滑落。
その場にいた多聞は、そのまま姿を消す。


<娼婦と犬>
山道を車で走っている最中、道に寝そべる多聞を見つけた須貝美羽は、大怪我を
して動けなくなっている多聞を救急動物病院に連れていく。
そのまま手術となったが命は取り留めた。
動物病院で、埋め込まれたマイクロチップから岩手県で飼われていた4歳の牡犬と
わかる。
「レオ」と名付けて飼うことに。
美羽が多聞に遇ったのは、付き合っていた男を殺害し埋めた帰り。
そして、娼婦として働いているラブホで男の頭を殴り、そのまま逃走。
「レオ」を解放。


<老人と犬>
家の前でなにかの気配を感じ、弥一は家のまえにいた多聞を見つける。
以前は猟銃会に所属していたが、今は会からも脱退して静かに過ごしている。
民家近くにクマが出没するから、仕留めてほしいと猟銃会から頼まれるが
断る。
別のものに頼んだらしいが、失敗したと。
余命短い病状だが、最後の力をクマ退治に使う決心をし、山に入るが
クマと間違われて命を落とす。
自分の命が尽きたら・・・と多聞のことを頼んでいた。



<少年と犬>
多聞は、九州に。
林の中から突然、飛び出てきた犬に遇う内村徹。
がりがりで衰弱している犬を動物病院へ。
飼い主は釜石市の出口春子さんというが、震災で亡くなっていると。
内村一家も震災で釜石から九州に移転してきた。
震災後全く喋らなくなった息子・光だったが、多聞が来てからは表情が明るくなり
喋るように。
不思議なことに多聞と光は、釜石で既に交流があった。
5年の年月をかけて光の元に来たということがわかる。




犬の能力って凄いなと思う。
こんな風に気持ちが通じ合った人間のことをずっと覚えているものなのか?


多聞と出会う人たちは、過酷な境遇におかれた人たちばかりだったけれど
多聞が寄り添ってくれた期間は幸せそうだった。


やっと会えた少年とずっと長く暮らしてほしかった。




                         ★★★★★







発行年月:2020年3月

幻は、幻が消えたときに、幻とわかる。――脳の中からの鮮やかな現場報告!
「時間という一本のロープにたくさんの写真がぶら下がっている。それをたぐり寄せて思い出をつかもうとしても、私にはそのロープがない」――たとえば〈記憶障害〉という医学用語にこのリアリティはありません。ケアの拠り所となるのは、体験した世界を正確に表現したこうした言葉ではないでしょうか。本書は、「レビー小体型認知症」と診断された女性が、幻視、幻臭、幻聴など五感の変調を抱えながら達成した圧倒的な当事者研究です。

                  (医学書院HPより)



レビー小体型認知症・・・・病名としては知っている。
けれど、認知症という部分だけの響きで、若くして発症して気の毒に・・・
くらいに思っていた。


少し、医学の知識がある(看護師なので)わたしでさえ、こうだから
まだまだ知られていないことがたくさんある病気でしょう。



少し変だなと感じたのが30歳過ぎたころで、病院を受診して最初は
「うつ病」の診断が下り、内服薬で症状が悪化と。
恐ろしい。
治したくて受診した先で悪化させてしまう薬が処方されるって・・・。


正しい診断が必ずにもされるとは限らないってこと。


でも、この本の出版によって、結構、多くの人が、わたしももしかしたら・・・と
思うのかもしれない。
自分の病気の経過をこんな風に書籍で世間に報せることで大きな功績を
残すことが出来ていると思う。


尊敬する。



実は、著者とは同じ中学で学んだ。
会話もしたことがあり、親しい友人から彼女のことを聞いていた。

いつも穏やかで冷静な人だったと記憶している。



彼女がおわりにで述べていた 「誰もが少しヘンなままで、苦しむことなく
そのままに生きられたらいいなぁと強く強く願っています。」に共感!


この本を教えてくれた友達に感謝。



                     ★★★★★


発行年月:2018年11月

これまでたくさんの悩める人が訪れたカフェのクリスマス。店内では、一人の時間に浸る店主・シャールの姿が。シナモン香るココアの湯気の中、彼女――御厨清澄が心の内をひっそりと語り出す。深夜のカフェを開いた理由と、その未来を――。~MENU~「さくらんぼティラミスのエール」〝ぼっち〟に怯える女子高生に「幻惑のキャロットケーキ」時代の最先端をひっぱるイケメン料理人へ「追憶のたまごスープ」トロフィーワイフの立場に固執する若奥様に「旅立ちのガレット・デ・ロワ」お店を訪ねてきた美青年。彼に、シャールが渡したプレゼント

                    (中央公論新社HPより)


これでおしまいなんだ~。
好きなシリーズだったんだけどなぁ~。


マラン・カフェは、昼はダンスファッションの専門店。
夜は夜食カフェ。
元々は昼のお店のお針子さんたちへの賄いだった食事を一般の人にも
提供するようになった。

店は路地裏の入り組んだ場所。
縁あってたどり着いた人が訪れる店。

そんなお店に偶然、現れるのは、ちょっとした心に重たいものを抱えた人たち。


みんなシャールさんの料理と言葉に元気を貰って、店を出て行く。

お料理も美味しそう。
この表紙の絵やお話ごとの最初の料理の絵も素敵。

またいつか、番外編的なお話が読みたい!


                    ★★★★
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