発行年月:2026年4月
手を重ねて観える未来が心を癒す時代小説
深川佐賀町の水茶屋「ささげや」の女将・お玉。彼女は、人の掌に触れると、その人の「人生の束の間が観える」という不思議な力を持っています。悩みを抱えた人々が「豆は煮えたか」という符牒を合図に彼女を訪れ、その不思議な力に導かれていきます。お玉自身も、悲しい事故で夫を失っています。お玉をはじめ、人知れず特別な力を持つ者たちが織りなす連作短編集です。
ささげやの女将お玉は、名物の豆餅を売る水茶屋を営んでいます。しかし、彼女にはもう一つの顔がありました。訪れる客の掌に触れることで、その人の未来を垣間見る力。それは本人が望んだものではなく、彼女自身も「あまり気の進む生業ではない」と感じています。
しかし、夫と営んでいたささげやの名物、豆餅をお玉はどうしても上手くつくることができません。女の腕で餅をついても目指すものはできず、小豆を煮ても火加減、塩加減、砂糖の加減までまるで見当違いで、恋しい味にならないのです。客の評判も下がるいっぽうで、どのみち来ない客を待つならと、気が進まないながらも求められると占いをしています。
あるとき、親の決めた縁談と想い人との間で悩む娘、おこうが店を訪れます(「豆は煮えたか」)。お玉の力は、ただ未来を告げるだけでなく、相談者が自らの足で幸せな道を選ぶための、ささやかな道標となっていきます。
本作の魅力は、お玉だけにとどまりません。物語が進むにつれて、それぞれ異なる不思議な力を持つ人物たちが登場し、彼らの運命が交錯していきます。不思議な力を通して描かれるのは、懸命に生きる人々の姿であり、彼らを支える温かな人の縁。登場人物たちが紡ぐ優しさに触れるたび、心がじんわりと温かくなる。読み終えた後、ささげやの豆餅が食べたくなるような、滋味深い一冊です。
(文藝春秋HPより)
水茶屋・ささげや・・・店の名物は豆餅
女将のお玉は、以前の味を出せない。
作っていた亭主の喜之助は亡くなってしまったから・・・
物語の後半で、喜之助は、堀に落ちた子どもを救うために自らの命を
落としてしまった。子どもは無事。
母親とお玉の元にその時のことを伝えにくる場面。
辛いけれど、真実がわかれば少し救われるものもあるかな?
お玉は人の少し先の未来が見える力を持っていて、水茶屋とは別稼業として
人から人へ伝わった符牒「豆は煮えたか」を言う人を奥の部屋に通す。
掌に触れることで見える未来の様子。
見たことから想像して、知りたがっていることを、その人の為になるような
言葉で伝える優しさがある。
最初の<豆は煮えたか>では二人の若い女性。
一人が、親の決めた縁談があるけれど、自分には相思相愛の相手が
いるのだという。
もう一人の娘は、付き添ってきたが、実はその相思相愛だという男に
好意を寄せている。
二人の掌をそれぞれ見て、そういうことを理解したお玉は
先の女性には、親が持ってきた縁談相手との未来は明るいと告げ
もう一人には、苦労した末に想っている人と結ばれると伝える。
他にも易者なのに、自分の将来は全くわからず弟子が教えてくれて
お玉の元を訪ねる。
種樹屋(植木屋)の男、女房を亡くし、後継ぎになるはずの息子は
呆れられ家を出て行ってしまい、この先どうしたらいいのやら・・・
お玉の元にケガをして匿われる新次郎が菓子職であるとわかり
ささげやの豆餅の味の再現に尽力したり、勘が働くおかつが
ささげやで働くようになったりで、店に賑わいが戻ってくる様子も
楽しかった。
後に新次郎とおかつが夫婦になり、小太郎が生まれる。
お玉を中心に人の縁がつながっていく。
お玉自身にもこうして、賑やかな場の中心で笑っている日々が
続く幸せがあってよかった。
今回のお話もたのしかった。
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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