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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年2月

故郷仙台を激震と大津波が襲った。
東京の「私」はその時、テレビを見ながら携帯電話を握りしめていた――。
宮城県出身の気鋭作家・穂高明が、5年間迷い苦しみながら書き上げた魂の物語。

                  (中央公論新社HPより)



3.11の物語。
第1章から第7章まで、語り手が代わりながらですが、登場人物たちは
ひとつの家族。
それぞれの視点で語られる3.11。

第1章、第4章、第7章は、小説家として東京で暮らしている宮川悠子の語り。
その日、東京もかなりの揺れで、ニュースで故郷の映像を見て愕然とする。
すぐに両親、祖母、妹家族の安否を確認しようと携帯から連絡を試みるが
返信なく、不安なまま過ごす時間が、こちらにも伝わってきた。



第2章、第5章は、悠子の母親・都の語り。
家族は無事で、娘の夏子家族の家に居候させて貰う。
妹の由美子が津波の犠牲になったと知り、由美子の生前のことをあれこれ思い出す。


第3章、第6章は悠子の妹・夏子の語り。
親戚の葬儀を合同で行うという日に仕事で来られない姉に違和感を抱く。
姉から以前教えて貰った青と白の横断幕のことを思い出す。
それは浅葱幕と言い、土地によっては、100歳を越して亡くなった人の葬儀に
おめでたいという意味でそれを使う風習があると。



色々な人の視点で語られる3.11。
命が助かった人たちも、親戚や知り合いを誰かしら亡くし哀しんでいる。
これからの生活のことなど不安がいっぱい。
ニュースで復興の兆しなどと言われても、自分たちは何もあの日から変わっていない
という言葉が胸に刺さった。


今も尚、色々な苦労があるんだな。

宮城出身の著者だから書けた物語ですね。
辛い話ですが、読み応えありました。
他の作品も今後、読んでみたい。



                          ★★★★ 
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発行年月:2011年3月

記念の品を残そう。最後の小学校生活、わたしがここにいた証として。

1年間限定で山奥の学校に引っ越してきた少女と木の触れ合いを叙情豊かに綴る、坪田譲治文学賞作家の新作!

鮮やかな手つきに目を見張った。木片は、あっという間に女の子の形に変わり、それをわたしに差し出す。ありふれた形だけどすぐにわかった。ボブヘアにスカート。太めの脚に大きな足。「これ、あたしだ……」――<本文より>

                     (講談社HPより)




12歳の小学生立石美楽が主人公。
父親が山奥にある高校の英語教師として赴任したので東京から引っ越して来た美楽たち。
生徒たちは、日本全国から集まっていて、地元の生徒以外は寮に住む。
美楽たちは特別に学校内の敷地に暮らし、美楽はそこから地元の小学校へ。

最初は、東京と大違いの暮らしに不満だらけで、すぐにでも東京に帰りたいと
思う美楽。

でも、明野工房を知り、そこで木工工芸家の伝さんに出会い、木工にはまる美楽。

父親の教え子たちや、小学校の子たちとも徐々に人間関係を築いていくなかで
山の暮らしに馴染んでいく様子が楽しい。

特にクラスのお嬢様・優美や父親の教え子・山田との関係が今後も続きそうな予感。

東京で再開編なんて続編、出ないかな?


                        ★★★★



発行年月:2015年8月


第153回芥川賞受賞作

「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、
ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。

日々の筋トレ、転職活動。
肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!

                 (文藝春秋HPより)




健斗は、新卒で5年間勤めた会社を辞め、就活中。
独学で資格試験にも挑みながら前向きに頑張る青年。

自宅には母とその父親である祖父(87歳)が居て、母と健斗は祖父の介護をしながらの
日常。
ディサービスやショートステイを利用し、家庭内では杖があれば自力歩行が可能な
祖父の入浴時の介助は健斗がすることが多い。

祖父の口癖は「早う死にたか」

そんな望みを叶えてあげたいと思う健斗。
良い孫だなぁ~。
祖父の気持ちを理解してあげている。


祖父が倒れて入院した際、見舞いに行き、感じたことは、同感。
チューブだらけで延命を施されているだけの生なら、自分なら要らないな。
そういう意思をちゃんと老いたら家族に伝えておくことが必要かもね。


物語は淡々と深刻にならず今の社会問題なども踏まえて描かれていた。
楽しい話じゃなかったけれど、ただ暗いだけじゃない家族の在り方を
考えさせられたりと、なかなか読みごたえがあった。

文章もとてもわかりやすい。

他の作品も読んでみたくなった。

同時に芥川賞受賞の「火花」より、こちらが断然、好き。


                          ★★★★



発行年月:2016年2月


 仙台にある「本当寺」というお寺の墓地には、振袖姿のかわいい幽霊がでます。名前は「お鈴」。そう、お鈴さんは江戸時代の呉服屋の娘さん。とある事情で平成の世になっても、いまだに成仏できずにいるんです……。

                    (角川書店HPより)




お鈴さんは、幽霊でした。
呉服屋末広屋の娘で17歳で亡くなっている。
力弥という男が好きだったのに、彼はおナミさんと駆け落ちしてしまった。
お鈴は、そんな二人の末裔を探しているという。

村田カエデ(27歳)は、信用金庫勤務で母と二人暮らし。
カエデが2歳の時に両親は離婚し、父親とは全く会っていない。
が・・・そんな父親が亡くなり、娘あての手紙があると病院で父を看取った
看護師がカエデの元にそれを送ってきた。
そのなかに八木山の本当寺にお参りに来てほしいと。

そして、そのお寺に行った際、出会ったのがまるで舞妓さん姿のお鈴さんと
そのそばにいた呉服屋の番頭だった重兵衛さん。

カエデには二人の姿が見えたけれど、他の者には見えない。

以来、カエデの前に突如現れる。
力弥とおナミを探して欲しいと頼まれて・・・・

で、現在の世で夫婦の佐藤奈美とその夫・力弥に出会う。
二人はお鈴の探している者たち?復讐するの?と思いきや
二人の危機を救う。
なんとも心優しい幽霊です(^^)

他にも困っている人の手助けをして、おせっかいというより
困っている人を見過ごせない性格なんでしょう。

カエデの父親の事も詳しくわかり、母親にナイショにしていた手紙の
ことも実は全部、知っていたとは。

表紙の絵の通り、可愛い幽霊とそれに助けられる人たちの楽しいお話でした♪

ところで、お鈴さんは成仏したのかな?


                       ★★★




発行年月:2015年3月

ときは一八五四年、徳川家定十三代将軍の時代。14歳の今井一期は、江戸城大奥に潜入し、座敷童子を連れてくるよう命じられる。仲良しの御次“茜”、伊賀者同心の”唐次”、枕絵の妖怪“サダさん“、人が死ぬと泣く妖怪”泣きジジさま”、妙にイチゴになつく犬・猫・狆たちなど、個性ゆたかな面々に囲まれて、イチゴは大奥と江戸の街を駆けまわる。はたして座敷童子の正体とは?

                  (講談社HPより)




表紙本からして、ちょっと怖い?と思ったら、意外と陽気な感じでした。
妖怪やら幽霊やらは出てくるし、不可解な事件めいたこともあるんだけど
主人公・イチゴが可愛らしくて、物語の雰囲気をほっこりムードに包んで
くれている。

肝心の座敷童子の正体は意外でしたが、まあ言われればそうか?

ドロドロに人間関係の大奥の話は、よく読むけれど、このお話は
ちょっと違った大奥の雰囲気を楽しめて面白かった。

家康と妙ちきりんの話がおとぎ話ぽくて良かったな~。


14歳のイチゴがこの先、どう成長して行くのか気になるなぁ~
続編あれば読みたいけど。


                       ★★★★

 
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