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読んだ本の感想あれこれ。
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51jFbe4WaML__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年2月


唯腕村理事長となった東一は、村を立て直すために怪しげな男からカネを借りて新ビジネスを始める。しかし、村人の理解は得られず、東一の孤独は深まる一方だった。女に逃げ場を求める東一は、大学進学の費用提供を条件に高校生のマヤと愛人契約を結んでしまう。金銭でつながった二人だが、東一の心の渇きは一層激しくなり、思いがけない行為で関係を断ち切る。それから10年、横浜の野毛で暮らしていたマヤのもとに、父親代わりだった北田が危篤状態だという連絡が入る。帰郷したマヤは、農業ビジネスマンとして成功した東一と運命の再会をした。満たされぬ二つの魂に待ち受けるのは、破滅か、新天地か。週刊文春と別冊文藝春秋の連載が融合されて生まれた傑作小説、堂々の完結。


                                     (「BOOK」デ-タベ-スより)


長い物語でしたが、不思議とスラスラ読み進めることができた。
大して面白くもないけど・・・何故か「唯腕村」の行方が気になって・・・。

新理事長の座に就いた、高浪東一だが、リ-ダ-の素質はゼロに等しい。
けれど、自分がこの村をなんとかしていかねばならない!と言う心意気は感じられて
軽薄だけど、単純明快な性格は、ちょっと憎めない。

途中から入村した美少女・真矢をリ-ダ-という権利を使い、自分の都合に合わせて利用するのはどうか?と思ったが、真矢も負けずに強かであり、この二人の今後が、この物語の後も気になる。
続編が読めたら面白いだろうなぁ~。

「ポリティコン」とは?
ソクラテスの唱えた「政治的動物」という意味だとか。
わかるようなわからないような・・・・笑
物語の舞台になっている「唯腕村(イワン村)」のなかで、鼓舞奮闘する東一はイワンのバカ。
イワンのバカは、トルストイ?

物語自体は、凄く面白いわけではなかったけど、何となく惹かれる雰囲気はあった。


★★★
 
 
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51KZFxcygOL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年2月


大正時代、東北の寒村に芸術家たちが創ったユートピア「唯腕村」。1997年3月、村の後継者・東一はこの村で美少女マヤと出会った。父親は失踪、母親は中国で行方不明になったマヤは、母親の恋人だった北田という謎の人物の「娘」として、外国人妻とともにこの村に流れ着いたのだった。自らの王国「唯腕村」に囚われた男と、家族もなく国と国の狭間からこぼれ落ちた女は、愛し合い憎み合い、運命を交錯させる。過疎、高齢化、農業破綻、食品偽装、外国人妻、脱北者、国境…東アジアをこの十数年間に襲った波は、いやおうなく日本の片隅の村を呑み込んでいった。ユートピアはいつしかディストピアへ。今の日本のありのままの姿を、著者が5年の歳月をかけて猫き尽くした渾身の長編小説。


                               
( 「BOOK」デ-タべ-スより)


唯腕村(イワン村)のリ-ダ-的存在となった東一の逞しさには感心するけど、
なんだか危なっかしいかんじ。

村が設立当時は理想郷を謳っていたが、段々と村の活気が失われていく。
上巻では、まだまだこの物語の面白さがよくわからなかった。

けれど、読みやすく結構、早いペ-スでぺ-ジをめくっていた。

全体を通しての感想は下巻を読んでから・・・


★★★
2afbe009.jpg発行年月:2010年9月


愛は死んだ。
僕は生きる。

家族をもたず、信じることを知らない少年イオンの孤独な魂は
どこへ行くのか―。

                    (中央公論新社HPより)


主人公のイオンは、15歳。
生まれた時から一人。
親は居ない。
10歳で児童保護センタ-を脱走し、ストリ-トチルドレンとして生きる。

最初は公園内のホ-ムレスの大人たちの庇護の元で生活していた時期もあったが、頑なに一人で行動することに固執する。

そんなイオンを心配し、何かと手助けするNGOのメンバ-で「ストリ-トチルドレンを助ける会」のモガミ。
モガミに何度も助けられているとの思いはあっても、自分とは違う世界の者という意識からか、モガミの大切にしている家族のアルバムを平気で棄てたりする。
それでも、モガミはイオンの事を目にするたび、声を掛ける。
自分にとっての唯一の「優しいおとな」と認めているイオン。


けれど、イオンはどんどん過酷な生き方を選んでしまう。
地上の生活から地下へ。
モガミからも遠ざかっていく。

一体、どうなっちゃうの?と心配しながら読みました。

最後は、過酷な生活から、少し抜け出したので、ホッとした。

抜け出すまでの様子が良かった。

物語を通して、暗く重い空気が漂ってはいますが、なんだか最後は、清々しい。


この物語は新聞に掲載されていたものだそうで、いろんな年代の人が楽しめる物語というかんじ。
子どもにも読ませてみようかな?


★★★★                     

09ea72fc.jpg発行年月:2010年2月

戦争に翻弄された作家・林芙美子の秘められた時を桐野夏生が炙り出す衝撃長篇!

女は、本当に罪深い----。今この一瞬、あなたと抱き合えれば、愛さえあれば、私は構わない。昭和十七年、南方への命懸けの渡航、束の間の逢瀬、張りつく嫌疑、そして修羅の夜。見たい、書きたい、この目に灼き付けておきたい! 波瀾の運命に逆らい、書くことに、愛することに必死で生きた一人の女を、渾身の筆で描く傑作小説。

                       (新潮社HPより)

最初から最後まで面白かった!
さすが、桐野さん!!

物語は、桐野さん流の創作で語る作家・林芙美子の知られざる過去。
芙美子の姪に当たる房江が、芙美子の死後、夫であった画家の手塚緑敏が保管していた芙美子の日記や記録物の数々を見つけ、資料館の資料として公開するべきか否かを緑敏の友でもあった黒川なる人物に預け意見を聞きたいという手紙から始まる。

作家・林芙美子の名前は知っていても、作品は読んだ事ないし、そこに繋がる人間関係に対する知識も皆無ですが・・・知識がなくても楽しめた。

芙美子の夫・緑敏と手紙を書いている房江の関係もビックリする物がありましたが、主人公の芙美子もまた、夫以外の男性をずっと愛し続けていた設定のこの物語。

時代は昭和17年~18年のこと。
昭和16年に日本が真珠湾攻撃で勝利し、ちょっと浮かれてる時代?
日本は、強い敵無し!という風潮のなか、芙美子は現実の日本の情勢を日本を出たところで見ていて何か恐ろしいものを感じている。
ジャ-ナリストの恋人・謙太郎も世界中を危ない思いをしながら駆け回り、日本の危機を感じている。

が・・・戦争というなかでは、自分の思った事を自由に書くことすら非国民扱いになってしまう。
そうなったら、物書きとして生きることすら出来なくなってしまう。

戦争中、作家は利用されていたという事実は、衝撃的でした。
戦争の本質を見ながら、書き記したものも都合の良い箇所だけの要約が行き交い人々はそれを信じる。
どんな気持ちだったんだろうか?


日本を離れ従軍活動で、ジャワに行き、そこでも恋人の謙太郎と危ない逢瀬を重ねる芙美子って人の力強さみたいなものに打たれました。
その時代の女性にしては、かなり破天荒で本当にパワフル!

ここに書かれたことの全てが事実では
ないと思いながらも、こんな人生を歩んだ芙美子という作家の書き残したものを是非とも読みたい!と強く思いました。


巻末にある参考文献の数は膨大!
林芙美子について書かれた書物も多いんですね!これまたビックリ!
それらも今度、手に取ってみたい!
            


いや~凄い小説でした!
時間を置いて、必ず、また読み返したい!

★★★★★
IN.jpg発行年月:2009年5月


小説家・鈴木タマキは、今は故人となった、緑川未来男が残した私小説と言われる「無垢人」に登場する緑川の愛人とされる○子の謎を追いながら自身の小説「淫」を書き上げようとしている。

小説「OUT」から10年。




「OUT」は、読みました。
確か、お弁当工場に勤める主婦の一人が犯した殺人を、みなで切り刻んで処分する話。
映画化もされたけど、映像でそれをみる勇気なく、未だに見ていませんが・・・・^^;
小説の内容は衝撃的でしたが、面白かった。


その関連本かと最初、思って手に取りましたが、全く別の物語でした。

「IN」は、人間の内面の葛藤というか、外からは予測できない事柄を書いている?
物語には小説家が複数出てきます。
過去の作品「無垢人」で、自分の私小説(といわれる)作品を残した緑川未来男。
緑川の妻で専業主婦から、童話作家として世に知られることになる千代子。
○子も作家・三浦弓実だと言う話も出てきて、その三浦弓実を師事していた村上貞子も作家。
ほかにも・・・兎に角作家ばかりが登場してくる。

作家の周りには、こうも作家ばかりが集まるものなのか?
途中、少々、混乱しながらも・・・・話が面白いので読み進めました。

緑川の私小説とされる「無垢人」の○子は誰?を元に取材を重ねるタマキも妻子ある編集者・阿部青司と別れたり、よりを戻したりを繰り返す。
自身も夫と子どもが居るのに・・・。

緑川の「無垢人」に実名で登場する人たちとその複雑な関係。
タマキの私生活のW不倫の顛末。

両方を交互に読ませる小説で、なかなか興味深かったけど、少し疲れたかな?^^;

登場する人たち、それぞれがインパクト大の人たちでした。

しかし、これを読んで思った!

小説家の家族(特に妻や夫)、恋人って大変だな~。

私小説なんて言われる物が出ると周囲はそれが事実なのか偽りなのか、知りたがり、そこに実名を出された小説家の家族や恋人にも興味の対象が及ぶですから・・・・。


文中のタマキの言葉
<真実は、真実ではないからです。真実と思えたものを書いた時点で、それはフィクションになります。それを知っている作家は、真実と思えるものを魅力的に、そして面白くします。そのためには、真実に間違われるフィクションが必要なのです>

これ、すごく印象深かった!

桐野さんの持論かな?


小説家が小説家を書くこの小説、なかなか深いものがありました!
面白かった!!

★★★★

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