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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年9月


小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末は――。

                 (岩波書店HPより)




いやはや、恐ろしいの一言に尽きる物語だった。


社会に適応した作品を書くように更生させる施設に入れられる作家たち。
主人公の小説家の気持ちが段々と絶望感に覆われていく様子が
読んでいて苦しい。


国家権力で、こんなことやるような我が国ではないと信じたい。

少し前から、SNSなどで個人を匿名で誹謗中傷することが問題になって
いるけど、作家の書くものは、そういうこととは違う。
表現の自由が奪われたら、小説を読む意味もなくなってしまう。


桐野さんが、なぜ、このような小説を書いたのか?

作家に圧力をかける何者かがいるとか???


後味は、最悪だけど、一気読みでした!


                     ★★★★
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発行年月:2019年3月


 一番近くにいるのに
誰よりも遠い。
海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。
8年後、その姿が目撃される。そして、無言電話。
夫は生きていたのか。

塩崎早樹は、相模湾を望む超高級分譲地「母衣山庭園住宅」の
瀟洒な邸宅で、歳の離れた資産家の夫と暮らす。前妻を突然の病気で、
前夫を海難事故で、互いに配偶者を亡くした者同士の再婚生活には、
悔恨と愛情が入り混じる。そんなある日、早樹の携帯が鳴った。
もう縁遠くなったはずの、前夫の母親からだった。
自分がやったことは
ブーメランのように自分に返ってくる。

                      (幻冬舎HPより)





不穏な雰囲気の表紙絵に反して、意外と明るいかんじで始まるので

いつそういう雰囲気になるのやら・・・と思いながら読み進める。


主人公の塩崎早樹は41歳で72歳の資産家と再婚して経済的には
不自由のない生活を送っているけれど、自由さが制限されることを
少し憂いてもいる。
ま、結婚したら資産家の嫁でなくても感じることでしょうが・・・・。


そんな早樹のもとに海で遭難した元夫の加野庸介の母・菊美から
「庸介らしき人物を見た」やら「無言電話があるけれどきっと庸介だ」と
いう電話。
それに加えて、実家でも庸介に似た人物と遭遇したという話。


夫の生死が気になり、自分なりに真相を探る早樹。
もし生きて居たら、どうするのかな?と気になり読み続ける。

けれど、庸介の交友関係から知らされる情報は、自分が全く知らなかった
過去のこと。


知りなくないと思いつつ、気になって追求しちゃう気持ちも分からないでは
ないけど、これは最後、結構、ショックを受ける事態が待っていそうだなと
予測がつく。


で、結果的に傷つく早樹。
とんでもない男だった庸介。
釣りを教えた幹太は気の毒だった。

でもかえって今の生活を大切に自分は生きて行こうと踏ん切りがついて
良かった!

とめどなく聞こえる囁きも、この先は聞こえず済むといい。


                            ★★★






発行年月:2018年6月


 東京湾岸のタワマンに娘の花奈と暮らす岩見有紗は、ママカースト内での複雑な人間関係に悩んでいた。夫との関係は修復に向かっているが、ぎくしゃくしている。
そんななか、同じマンションに住む高梨と急接近し、ママ友でW不倫中の美雨ママに相談をするうちに、有紗は高梨に強く惹かれていることに気づく――

                    (光文社HPより)



以前読んだ『ハピネス』の続編だそう。
うっすらした記憶しかなかったけれど、読んで行くうちに少しずつ思い出した!
相変わらず、どうしようもないママ友たちの話。

不倫関係になる者同士が、元々、知っている人同士って・・・苦笑

ま、でも他人の揉め事なので、楽しんで読みました^m^

ただ気になるのは、このママたちの幼い子ども達は、どうなるんだろ?
幼いながらにママの不審な行動とか、絶対に気づいていると思うし・・・
特にママが他の男との間に子どもを作り、そちらで新たな家庭を築くという
美雨ちゃんは、ちょっと可哀想。
父親と二人・・・・と思ったら、ママの妹が母親になる展開!
ま、美雨ちゃんが寂しくなくて良かったかな?


主人公(?)の岩見有紗も泥沼にはまっていきそうだけど、これまた
忘れた頃、続編あるのかな?


どうしようもないママたちの不倫話が軸だけど、桐野さんが書くと
面白い。


                          ★★★



発行年月:2018年2月


 こんなに叫んでも、
私たちの声は届かないの?

幸せな日常を断ち切られた女子高生たち。
ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。
かけがえのない魂を傷めながらも、
三人の少女はしなやかに酷薄な大人たちの世界を踏み越えていく。

最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を
物語に結実させた著者の新たな代表作

朝日新聞出版10周年記念作品

                  (朝日新聞出版HPより)




主人公・真由(17歳)。
高校入学目前に両親が夜逃げ。
弟とは別の親戚に預けられる。

叔父さんの家では、まともな生活が出来ないと家出。
一人東京の街を徘徊し、色々な人に出会う。
バイト先のラーメン店ではレイプされ逃げる。
その後、出会ったリオナ、ミト。

少女たちの境遇が似ていて、哀しい。
身勝手な大人ばかりがいた環境で生きて来た彼女たち。
生きるためにズル賢くなり、他人を傷つけることも仕方ないと割り切って
いる姿は、逞しいけれど、やはり哀しい。

彼女たち、どうなっていくんだろ?と気になって先を読んだけれど、
真由は、母親の姉の側で暮らせそうだから、少しホッとしたけれど
またすぐに飛び出すのかな?
リオナとミトも、その後、どうなるんだろ?


実際、こんな子たちが東京にはいるのかな?

なんとも衝撃的な内容だった。

桐野さん、街を歩きながら取材を実際したのかな?


                          ★★★★


発行年月:2004年2月

 失踪した作家が残した原稿。そこには、二十五年前の少女誘拐・監禁事件の、自分が被害者であったという驚くべき事実が記してあった。最近出所した犯人からの手紙によって、自ら封印してきたその日々の記憶が、奔流のように溢れ出したのだ。誰にも話さなかったその「真実」とは……。一作ごとに凄みを増す著者の最新長編。

                     (新潮社HPより)





10歳の時、誘拐され監禁状態で1年1か月、ケンジという男の元で過ごした

経験を持つ、景子。
現在は作家として名も知られているが、25年前の事件の被害者が自分だとしたうえで
ケンジと過ごした日々を「残虐記」とタイトルをつけた原稿にし、失踪。

景子の夫が、妻の無事を祈り捜査依頼し、この原稿の存在を明かす。


ああ、気味が悪い物語でした~。
ケンジと景子の1年間の暮らしぶりは、想像していたものより酷くはなかったけれど
その周りに居た大人たちの存在が後で鳥肌ものだった!

そして、最後にわかる景子の夫が・・・・えぇ~っ!という人物で
気味悪い人の中にその人も入っていたので、またまた鳥肌が・・・・。


被害者の景子も、被害に遭ったことは気の毒だと思うけれど
なんだか、よくわからない人。

一体どこに行ったのかも分からず仕舞いだし・・・・

謎が残る不可解で気味が悪い物語。

この本の装幀もすごい。

表題のインパクトをさらに盛り上げる気味悪さ。


兎に角、全部が全部、気味悪い・・・・・・でも、一気読みでした^^;
さすが桐野さん!!



                         ★★★
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