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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2017年6月

君臨する男。寵愛される女たち――。谷崎潤一郎が晩年に作り上げた理想の〈家族帝国〉で繰り広げられる妖しい四角関係の行く末とは? 桐野夏生が、日本文学史上最も危険で貪欲な文豪の「業」に焦点をあて、新たな小説へと昇華させる!

                    (中央公論新社HPより)




谷崎潤一郎の作品って実はあまり読んでいない。

細雪は、若い頃読んだけど、これ読んだらもう一度、読んでみたくなった!


物語は谷崎潤一郎の妻の妹・重子の語りで進む。
重子は谷崎の<細雪>の三女・雪子。
谷崎は、モデルは重子だと自ら認め、重子に対して「好きだ」とも言う。
それは妻の妹としてなのか、一人の女性としてなのか??

しかし、重子は義兄のことを生涯、慕い続ける。


谷崎って本当にこんな感じの人だったのかなぁ~?

巻末の謝辞の名前にドキッ!
渡辺千萬子さん、高萩たをりさん・・・・ええ?実際に親族に取材したって
ことかなぁ~?
正に、デンジャラズ!

でも、面白かった!


                       ★★★★
 
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発行年月:2017年3月

連合赤軍がひき起こした「あさま山荘」事件から四十年余。
その直前、山岳地帯で行なわれた「総括」と称する内部メンバー同士での批判により、12名がリンチで死亡した。
西田啓子は「総括」から逃げ出してきた一人だった。
親戚からはつまはじきにされ、両親は早くに亡くなり、いまはスポーツジムに通いながら、一人で細々と暮している。かろうじて妹の和子と、その娘・佳絵と交流はあるが、佳絵には過去を告げていない。
そんな中、元連合赤軍のメンバー・熊谷千代治から突然連絡がくる。時を同じくして、元連合赤軍最高幹部の永田洋子死刑囚が死亡したとニュースが流れる。
過去と決別したはずだった啓子だが、佳絵の結婚を機に逮捕されたことを告げ、関係がぎくしゃくし始める。さらには、結婚式をする予定のサイパンに、過去に起こした罪で逮捕される可能性があり、行けないことが発覚する。過去の恋人・久間伸郎や、連合赤軍について調べているライター・古市洋造から連絡があり、敬子は過去と直面せずにはいられなくなる。
いま明かされる「山岳ベース」で起こった出来事。「総括」とは何だったのか。集った女たちが夢見たものとは――。啓子は何を思い、何と戦っていたのか。
桐野夏生が挑む、「連合赤軍」の真実。

                        (文藝春秋HPより)




あさま山荘事件・・・・子どもの頃、ニュースで警察が山岳ベースを破壊している

映像を見た記憶がありますが、どうして起きた事件なのか?よく分かっていなかった。


桐野さんが取材して描いた、その事件に関わった女性・西田啓子を主人公に
事件の背景、幹部で女性の永田洋子死刑囚のことなどを知った。
いやはや、この永田って恐ろしい。

元々、山岳ベースは、山で子どもを産み、自分たちの手で優秀な兵士を育てることが
目的だったとか。当時、妊娠中の女性メンバーや看護師、保育士経験者が
選ばれて山に。
しかし、当初の計画とは違う、「総括」と呼ばれる集団リンチが行われ
それが一般的に世間に知られる。

物語の主人公・西田啓子は、そんな生活に嫌気がさし、もう一人の女性と脱走を図る。
事件後の裁判で自身も5年あまりの刑期を務めたが、出所後は一人静かに暮らす。
元小学校教師だったことから塾経営などをしていた。

静かに暮らしていた啓子の元にかつての同志から連絡が来る。
ライターの古市という男の取材を受ける気はないか?と。
最初は頑なに拒否していた啓子だけど、自分が知りたい情報も教えて貰い
連絡し合うように。



西田啓子の暮らしぶりは質素で慎ましい。
スポーツジムに通い、そこで起きる少々のイザコザや日常生活で感じる理不尽にも
波風立たせないようにやり過ごす様子が、なんだか切ない。


あさま山荘事件の詳細はさほど多くなかったけれど、リンチの様子はやはり
凄惨でゾッとするもの。


読みながら気が重くなることばかりだったけれど、最後、啓子に希望の光が
射す真実がわかりよかった。

読み応えあり、さすが桐野さん!と思った。

                          ★★★★
 



発行年月:2016年2月


 

震災のため原発四基がすべて爆発した! 
警戒区域で発見された少女「バラカ」。ありえたかもしれない世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。超大なスケールで描かれ
るノンストップ・ダーク・ロマン!


                  (集英社HPより)







震災前と震災後の話。

主人公はバラカ。
ドバイの市場で日本人の木下沙羅に買われる。
沙羅は当時、出版社勤務で大学時代の親友で
テレビ局勤務の田島優子が同行。

沙羅はバラカに光という名前を付けるが、
大学時代の知り合い川島と再会し

結婚、川島の子を妊娠し、バラカの存在が疎ましくなり
優子の元に預け
川島と共に仙台に引っ越す。

そして3.11。
沙羅は震災で津波の犠牲に。

バラカは優子の元にいたが、川島が奪う。


震災後、警戒地区のペット保護の為、
仲間と訪れた豊田吾郎は、犬たちと一緒に

居る幼い女の子を見つけ保護する。
女の子が「バラカ」と発するので薔薇香と名付け、
自ら保護者となると決める。



原発推進派と反対派の間にある亀裂。
そこに残されたまま、置き去りにされた人々の思い。

色々なことを改めて考えさせられた。


川島が兎に角、不気味で、10歳のバラカが再び、
川島につかまった時は
どうなる?とハラハラ。
しかし、同級生の男の子とその母親が味方してくれ

なんとか逃げることが出来たときは、ホッとした。

最後は、バラカが成人した後日談。
なんとか、普通の人の暮らしを送れているということかな?



暗くて重たい話だったけど、読み応えは十分だった!


                       ★★★★



発行年月:2016年8月


 これまでで一番愛おしい男を描いた――桐野夏生

自分はかなりのクラスに属する人間だ。
大手一流銀行の出身、出向先では常務の席も見えてきた。
実家には二百坪のお屋敷があり、十年来の愛人もいる。

そんな俺の人生の歪(ひず)みは、社長のセクハラ問題と、
あの女の出現から始まった――。


還暦、定年、老後――終わらない男”の姿を、
現代社会を活写し続ける著者が衝撃的に描き切る!


                  (講談社HPより)




還暦目前の薄井正明。

元銀行員で出向先の女性衣料製造小売り業の「OLIVE」が急成長し
そのまま役員として留まっている。
さらに上の地位にも昇りたいという野望も抱きつつ・・・・


まあ、よく居そうなかんじの男性像。
お金と地位にもある程度恵まれて、愛人との関係も保ちつつ
男だったら薄井みたいな暮らしぶりを羨ましく感じるんだろうなぁ~。

でも、妻が連れて来た夢で占う長峰栄子、そして会長の娘婿である社長のセクハラ問題
を穏便に済ませる仕事に関わっていくうち薄井はどんどん窮地に追い込まれていく。


なんともバカな男と冷静に読めて可笑しい。
男性が読めばまた違う感じ方かもしれないけどね~。


桐野さんが、愛おしい男性を描いたという意味もちょっとわかる。
自分の身内に居たら嫌だけど、確かに憎めないかんじ^m^

最初から最後まで面白かった♪

表紙の絵はちょっと嫌だけど・・・^^;


                         ★★★★★



発行年月:2015年6月


 この主人公は、私自身だ──。1972年、吉祥寺、ジャズ喫茶、学生運動、恋愛。

「抱かれる女から抱く女へ」と叫ばれ、あさま山荘事件が起き、不穏な風が吹く七〇年代。二十歳の女子大生・直子は、社会に傷つき反発しながらも、ウーマンリブや学生運動には違和感を覚えていた。必死に自分の居場所を求める彼女は、やがて初めての恋愛に狂おしくのめり込んでいく──。揺れ動く時代に切実に生きる女性の姿を描く、永遠の青春小説。

                 (新潮社HPより)





1972年の9月~12月までの四か月間、女子大生・直子の周りで起きたことが
綴られている物語。
桐野さん自身の体験などが混じっているのかな?


あの時代のことはニュースで聞いた記憶あり。
学生運動が盛んで、学生同士が暴動を起こしたり、日本赤軍なんていう物騒な集団が
海外でも銃乱射事件起こしていた時代。

そんな事件を起こしているのは大学生や政治意識の強い若者たち。

直子の二番目の兄もそんな運動に参加している一人で、哀しい最期を迎えることに
なる。

直子の周りの男友達たちはノンポリ派で、麻雀に明け暮れたり
ジャズ喫茶でぼんやり過ごすような若者たち。

あの時代の若者たちの暮らしぶりがよくわかる。

直子はその両方の生き方に少しずつ違和感を抱き、ライブハウスで出会った
ドラマーの健一郎と一緒に居たいと思う。
健一郎がすごく健全な物の考え方をする人に思えたんだろうな。


今までの桐野さんの作品とは雰囲気違っていたけれど
なかなか面白い小説でした!


                         ★★★★
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