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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年1月


 想像力と感応力が炸裂する超異色短編集 時代や場所に関わらず、
社会に時折現出 する抑圧と奴隷状態。
それは今ここで起きても不思議ではない。
七作を収録した超異色 短編集。

                      (文藝春秋HPより)




長編じゃなくて短編集でした。

七つの話、どれも嫌な話ですが、すらすら読めました。


<雀>
15歳のスズメ。母も祖母も舌を切られている。長老の妻になることを拒んだから。

恐ろしい。
スズメが暮らす家が「スズメのお宿」と呼ばれているなんて、ブラックジョークが
尚更ゾゾ~ッ。



<泥>
泥に囲まれた島に囚われている女子高校生たち。

よくわからない状況だけど、その中に自分が居たら・・・と想像してしまうと
堪らなく恐ろしい。



<神様男>
アイドルになる夢をやっと叶えた娘のイベントを見学に行く母親。

これはちょっと笑えた。
アイドルも大変だけど、その家族はもっと大変だかも。



<REAL>
ブラジルでNPO活動している友人を訪ねるアサミ。
彼女はもうすぐ20歳になる娘が自殺したことを友人に告白。
友人の活動先で知り合った少女に娘の面影をみる。

これは、ちょっと切ない話。
同じ年頃の娘を持つ母親として、アサミの気持ちが痛いほどわかって
泣けてきた。



<ただセックスがしたいだけ>
炭鉱労働のために村に入ったコウサ。
男たちがソワソワ、自分の住処を片づけたり、食べ物を調達している
様子を不思議に思っていたが、その理由は、女だった。

男って、そういう生き物?



<告白>
薩摩の商人ヤジローは、藩の役人を殺めてしまい日本から船に乗りこみ逃亡。
日本は鎖国中で着いた国で、日本人の老人から声を掛けられその男の家に

老人の告白話が怖い。
ヤジローはどうなったんだろう?


<山羊の目は空を青く映すか>
囚人として暮らすタンネ。
監視様たちに密告すれ国家に忠誠を誓っている証とされる。
父は一級囚人だと信じていたが・・・。

これって、何処かの国にありそうな話だなぁ~。
タンネの最期の気持ちは安らかだったのかな?


表紙の暗い絵が、本の内容に見事に合っていて、見入ってしまった。

次は長編を読みたい!


                         ★★★
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発行年月:2014年10月

どんな罪を犯したのか。本当の名前は何なのか。
整形を繰り返し隠れ暮らす母の秘密を知りたい。

顔を変え続ける母とアジアやヨーロッパの都市を転々とし、
四年前にイタリア・ナポリのスラムに住み着いた。
国籍もIDもなく、父親の名前も、自分のルーツも、わからない。
母と口論し外に飛び出すと、「MANGA CAFE」と書かれた
チラシを手にする男に呼び止められた。絶対に本当の名前を
教えてはいけないという母のOKITEを初めて破って、私は
「マイコ」と答えた。

私は何者?
私の居場所は、
どこかにあるの?

魂の疾走を描き切った、苛烈な現代サバイバル小説

                (BOOKデータベース/幻冬舎




舞子が七海に手紙で綴る自身のことが物語になっている。
舞子と七海の関係は、最後までよくわからなかったけれど、同じような立場に
置かれた者同士というかんじ。


舞子は母親とナポリのスラムに住み、貧乏暮らし。
母は度々、整形で顔を変え、舞子に本名を明かしてはいけないという。
母親の名前さえも知らされず、母の「もう一人の自分による窮屈な暮らしが嫌で
ある日、18歳で家出。

それから点々と住処を変えるのだけど、途中で知り合った
エリスとアナスタシアと暫く共に生活する。
二人は密入国してきたと言う。

二人とも家族がいない。
それぞれの国を脱出してきたと言う。

特にリベリア出身のエリスの体験談は凄まじい。
家族を次々、殺されて自分もいつ殺されるかという恐怖のなか、人を殺して
逃げて来た。
殺さなければ殺される。そんな恐怖のなか生きてきた。


国籍も違う3人の女性たち。
時に衝突しながらも、心の中では強い絆で結ばれていく。


舞子の母親の秘密が終盤明かされる。
実際にあった宗教家の事件も出て来たりする。

舞子から七海への手紙ばかりだったが、七海から舞子へ送った手紙も
終盤あって、いろいろ過酷な体験をしながら七海も生きて来たんだと知る。

ラストは、舞子も七海も新しい環境で、幸せそうでホッとした。


最初から最後まで一気に読みました!
感動とかいうのとは、ちょっと違うけれど、考えさせられる物語で
さすが桐野さんというかんじでした。


                         ★★★★★

 




発行年月:2013年9月


 もう二度と会うことはないでしょう。
46歳の誕生日。身勝手な夫や息子たちと決別し、主婦・朋美は1200キロの旅路へ――
「家族」という荒野を生きる孤独と希望を描き切った桐野文学の最高峰!
大反響の毎日新聞朝刊連載に、大幅な加筆修正を施して書籍化。

                   (毎日新聞社HPより)


ああ、面白かったぁ~!
専業主婦の森村朋美46歳。
夫・浩光と息子(健太・優太・)2人の家族4人の生活。
夫は家計の一切を取り仕切り、朋美は生活費20万を受け取るだけ。
通勤の足がわりは朋美の運転する車。
次男の優太はゲームばかりやっていて部屋から殆ど出てこない。

朋美は誕生日のディナーを某レストランに4人で予約するが、次男は行かないと。
3人で出かける事にしたのがけど、車の運転は当然、朋美という態度の夫。
腹が立ったが、車じゃないなら行かないと言う長男。
仕方なく朋美が運転手で向かう。
駐車場が長蛇の列。男二人は用事を済ませたら直接レストランに行くからと
サッサと車を降りてしまう。
やっとレストランに着き、食事になるが、その料理に文句を言う浩光。

何もかもがイヤになり、朋美は「先に帰る!」と店を出る。
が・・・そのまま車で家出しよう!と決断!


最初から、面白かった!
朋美の受ける家族からの屈辱に一緒に怒りながら、家出は当然でしょ?がんばれ~!と
いう気持ち。

旅をする朋美側の物語と残された家族側の物語が交互に語られ、朋美は
どうするのかなぁ~?悪いことに巻き込まれたりしないだろうか?と心配しつつ。
そして車を盗まれて・・・ああ、嫌な展開になっていくのかしら?と
恐々読んでいましたが・・・・救う神あり。
でも、この人たちとの間に何か起きるってこと?とまたまた恐々読み続け
ラストは、予想外の結末でしたぁ~。

心配するほどの大きな事態には至らず、ホッ。
もっと凄いことが起きると、半分期待しましたが、まあ、よかった・・のか?^^;

読ませる力はさすがの桐野さんでした!!


                         ★★★★


51EsoFnv0NL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年2月


結婚は打算から始まり、見栄の衣をまとった。

憧れのタワーマンションに暮らす若い母親。
おしゃれなママたちのグループに入るが、隠していることがいくつもあった。



                   (光文社HPより)



東京の高層マンションに住むママ友たち5人の交流を描いた物語。
子どもたちは、それぞれ幼稚園にもうすぐ入る年齢。
それぞれの母親のことをお互いが子どもの名前にママを付けて呼び合う。

主人公は岩見有沙。娘は3歳の花奈よって呼び名は<かなママ>。
夫は単身赴任でアメリカ在住。
離婚話が持ち上がっているが・・・・。

ママ友同士は、会えば和やか。
ママ友のリ-ダ-は、竹光裕美、子どもは、いぶきちゃん。呼び名は、いぶママ。
他には、美雨ママ、芽玖ママ、真恋ママ。

みんな一様に、子どものことは大事に育てている様子なのは安心。

有沙の過去が、中盤、わかり、夫との間に出ている離婚話の理由がわかる。

でも最後は、有沙夫婦は、修復出来そうでホッ。

他のママたちのなかには、もっと深刻な状況の人も現れたけど・・・・

都会のママたちって大変だなぁ~。
見栄も張りたくなったり・・・・
本音で付き合える友達が他に居ないと精神的にかなりキツイだろうな。

ま、他人事として読めたので、面白かったです。
同じような状況の人が読んだら、どんな感想を持つのか?ちょっと気になるけど・・・。


★★★


 
d7383f00.jpg   発行年月:2011年8月


嫉妬、妄想、昂奮。その愉楽に、医師は溺れた。暗い衝動をえぐる邪心小説!

妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー。連続レイプ犯。。水曜の夜ごと、川辺は暗い衝動に突き動かされる。救命救急医と浮気する妻に対する、嫉妬。邪悪な心が、無関心に付け込む時――。

                          (角川書店HPより)


嫌な話だったなぁ~。
医師が他人の家に忍び込み薬を静脈注射し強姦するなんて・・・。
気持ち悪くて吐き気がした。

でも、このバカ医者・川辺康之がどういう裁きを受けるのか、どんな天罰を桐野さんが与えてくれるのか、期待して読んだ。

被害者女性たちが、うまい具合に繋がっていき・・・・
川辺のクリニックで働く職員が医師が怪しいと気づく。

さてさて、どんな風に女性たちが川辺を懲らしめるのか!?
面白くなってきたぁ~と思ったけど・・・・・

こんな罰じゃまだ生ぬるいよぉ~桐野さん!
こんなバカ医者もっと痛めつけなきゃ!!

流行のツイッタ-で医師を追い込む過程は今時の方法で面白い!と思ったけど、これじゃまだまだ破滅という風でもない。

う~ん、ちょっと期待はずれだったな。
ぐいぐい読ませる力はさすがだったんだけど・・・


★★★
 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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