発行年月:2013年6月
きっと、また会える。あの頃、団地は、未来と過去を繋ぐ道だったから。
三億円事件の時効が迫り、「8時だョ!全員集合」に笑い転げていたあの頃。ひとつの町のような巨大な団地は、未来への希望と帰らない過去の繋ぎ目だった。失われた誰かを強く思う時、そこでは見えないものがよみがえる。ノスタルジックで少し怖い、悲しくて不思議な七つの物語。ベストセラー『かたみ歌』に続く感涙ホラー。
(新潮社HPより)
東京の北部埼玉県境に出来た大型団地、虹ヶ本団地が舞台。
そこに住む人たちの少し不思議で切ないお話7つ。
でもちょっと温かい気持ちにもなれるのが朱川さんの特徴。
時代背景が自分の子ども時代と被るので、懐かしいものが沢山登場するのも楽しみ。
<遠くの友達>
小学3年生で虹ヶ本団地に引っ越してきた裕樹。
夏休みの引越しなので、友達もいない状態で寂しい思いをしていたが
不思議な動物を、目撃し、それから不思議と友達が出来る。
<秋に来た男>
突然、見ず知らずの男から自分の妻を返してほしいと言われ戸惑う。
男の妻は5年前に失踪し、やっと見つけたというが・・・。
<バタ-クリ-ムと三億円>
三億円強奪事件がもうすぐ時効を迎えるというニュ-スが頻繁に流れる。
事件の起きた日は、完全無欠の美少女だった従姉妹のマリアが亡くなった日。
自分とは正反対のマリアに妬ましさを感じていた自分だったけれど・・・
<レイラの研究>
中学生の良輔は探偵まがいの推理を日常的にしていた。
同級生の澄川玲子の密かに思いを寄せているのだが、学校では無愛想。
そしてある日、長い髪をバッサリ切ってきた。
なぜだろう?
違う場所で偶然、会った玲子に勇気を出して声を掛けると意外と明るく会話が弾みその二面性も謎。
<ゆうらり飛行機>
4歳の息子を亡くした杉下。
息子はインフルエンザで亡くなったが、そのことをつい攻めたことが元で妻は家を出て行き一人暮らし。
いつも模型飛行機を飛ばしている森下氏と言葉を交わすようになり・・・
<今は寂しい道>
激しい雷雨から逃れようと雨宿りをしていたら・・・雷と同時に見つけた不思議な動物。
怪我をしている様子なので家に連れ帰る。
すると夜、見知らぬ少女が現れ「友達のところに連れて行って・・・」と頼まれる。
<そら色のマリア>
マリアの恋人だった尚希は、マリアは何者かに殺されたと信じていた。
そして、犯人らしき男を突き止め、その男の住む団地に自分も住み密かに男を尾行していた。
ある日、川で溺れていた少年たちを見つける。
すると男が川に入り一人を抱きかかえ尚希が、川岸に引き上げるという連携で
子どもたちを救出することが出来た。
尾行していた男と面識の出来たところでマリア殺害の事実を問い詰める。
少しずつ、別々の話の登場人物たちがリンクしていくのが
ひとつの団地のなかの物語の楽しさ。
ちょっと哀しく切ない話ばかりですが、そんな中にも人の優しさも感じられ
子どもだった者が後に成長した姿で再登場したり、ちょっとした仕掛けが嬉しい。
登場した懐かしい物は8時だよ全員集合とか、ボクシ-のボ-ルペンでミニカ-の消しゴムを弾いて遊ぶとか、夏休みになるとやる「あなたの知らない世界」。
怖がりなので、弟が見たがると違う部屋に避難したっけ^^;
1960年代生まれのわたしには共感できる懐かしさがたまりません。
ちなみに朱川さんは1963年生まれなので、ほぼ同年ですね。
★★★★
発行年月:2013年6月
じぶんではない、だれかのために祈るということ――。
人型のはりぼてに神様にとられたくない物をめいめいが工作して入れるという奇祭の風習がある町に生まれ育ったシゲル。祭嫌いの彼が、誰かのために祈る――。不器用な私たちのまっすぐな祈りの物語。
(角川書店HPより)
2つのお話が収録。
一つ目の<サイガサマのウィッカ-マン>
町の特殊な信仰。
サイガサマ・・・願いを叶える代わりに体の一部を奪っていくと言われている神様?
冬至のお祭りとして、人々は願いを叶えて貰った折に奪われて欲しくないからだの部位を
作り物でお供えする。
地元の中学生が大きな人形を作り、人々が作ったからだの一部を入れ
それを燃やす行事。
その祭りでお供えするからだの一部を作る申告物教室なるものを手伝うはめになった
男子高校生・シゲル。
バイトで公民館の清掃をしているのだけど、公民館が会場の申告物教室を
手伝うことになる。
内心では、気が進まない手伝いなのに、与えられた仕事はちゃんとこなす。
ちょっと気になる中学時代の元同級生の女子・セキヅカのことを優しく見守る
姿は凄く好感が持てた。
ひきこもりになった中学生の弟も、少し前に進むかな?
2つ目は<バイアブランカの地層と少女>
京都の大学生の十和田作朗は大学のガイドサ-クルに所属している。
実家から大学に通うことも可能だが、実家が活断層の真上にあることを気にして
以前から住みたいと思っていた嵐山に手ごろな物件を見つけたこともあり
塾の講師と実家からの月2万の仕送りで一人暮らしをしている。
ひょんなことからアルゼンチンに住むファナという少女と文通をすることになり
アルゼンチンはスペイン語だと知り、友人のエンド-の知り合いである
スペイン文化研究会のナカオさんを紹介して貰う。
作朗も1作目のシゲルと似てる。
真面目で人の気持ちを理解しようとしている。
アルゼンチン人の少女からのメ-ルを理解しようして、彼女のことを日々考えている。
2つのお話に共通するのは、自分の家族でも恋人でもない人だけど
その人が幸せであるように祈っているということ。
文章もユニ-クで飽きない。
読んでいると不思議な心地良さに浸れるかんじ。
過去の作品も、もっと読んでみたいな~と思わされた。
★★★★★
発行年月:2013年6月
色鮮やかに、切れ味鋭い小説世界
1人の男をめぐる妻と愛人の執念の争いから、読書クラブの高校生の日常ミステリー、ひと夏の少年の冒険まで、魅力的な6編の短編集。
(文藝春秋HPより)
6編の短編集。
<このたびはとんだことで>
妻と愛人が事故死した夫の骨の前で対峙する。
淡々としたなかにも相手に対抗する気持ちが見え隠れ
<青年のための推理クラブ>
読書クラブに集う青年たちの日常。
ちょっとした推理話の種明かしが面白い。
<モコ&猫>
大学入学後に知り合った男女。
付き合うでもなく、そばで見ているだけで満足という関係。
大学卒業後も何かと連絡を取り合っていたけれど、突如別れが来る。
こういう付き合いしてた学生時代の友達って結構多いかも。
<五月雨>
ホテルの正面玄関から入ってきた若い女性。
謎めいた雰囲気の女性の正体は・・・。
不思議な雰囲気の話でした。
結構、こういうの好き。
<冬の牡丹>
真冬のアパ-ト前に泥酔状態で倒れていた牡丹を救助した男。
2人は同じアパ-トの隣同士だった。
男はアパ-トの管理人で50過ぎ。
年代が違う男女の恋愛とはちょっ違った関係がいい。
<赤い犬花>
小学生男子の友情物語?
最初登場の小学生の性別が謎だったけれど、知り合ったばかりの二人が
ちょっとした冒険に出かけ、親友になっていくかんじがほんわか。
それぞれの置かれた環境はちょっと複雑だけれど、2人がこのまま
親交を深めながら成長してくれたらいいな~なんて思った。
6つの短編のなかでは、一番好き。
いろいろな年代の主人公たち。
どの話もたわいもない会話だったり、大きな出来事が起きるわけじゃないけれど
読んでその情景を思い浮かべながら楽しめた。
表紙のこの絵が良い!
会田誠の「あぜ道」
豊田市美術館蔵!?・・・・・見たことあったかな?
実物を鑑賞したい!!
★★★
発行年月:2013年7月
史上初の女性総理、わが妻・凛子、君を守る!
20XX年、相馬凛子は42歳にして第111代総理大臣に選出された。夫である私・日和は鳥類研究家でありながらファースト・レディならぬファースト・ジェントルマンとして、妻を支えようと決意する。凛子は美貌、誠実で正義感にあふれ、率直な物言いも共感を呼んで支持率ばつぐん。だが税制、エネルギー、子育てなど、国民目線で女性にやさしい政策には、政財界の古くさいおじさん連中からやっかみの嵐。凛子が党首を務める直進党は議席を少数しか有せず、他党と連立を組んでいたのだが、政界のライバルたちはその隙をつき、思わぬ裏切りを画策し、こともあろうに日和へもその触手を伸ばしてきた。大荒れにして権謀術数うずまく国会で、凛子の理想は実現するのか? 山本周五郎賞作家が贈る政界エンターテインメント&夫婦愛の物語。
(実業之日本社HPより)
一気読みの面白さでした!!
設定からしてユニ-ク。
史上初の最年少であり女性の総理大臣誕生!
東大法学卒の才女で美貌も備えた人物。
実際、こんな女性総理大臣が誕生したら素敵だろうなぁ~。
その夫・日和は38歳の鳥類学者。
実家の母親は政財界にも顔が効くソウマグロ-バルの筆頭株主。
夫婦揃って、華麗な家族と華麗な経歴の持ち主。
けれど庶民の味方というのがちょっとうそ臭いんだけど、ま、物語なので
良しとしましょう^^;
何もかもうまく行きすぎな感じは否めないけれど、読んでいて痛快な気持ちになりました。
こんな風にリ-ダ-シップを取れる人が総理大臣になって欲しい。
選挙で当選するために考えられた建前の施政方針じゃなく、
本音で日本をどう変えて行きたいか?を語る姿を国民は求めているんだよね。
ラストは、え?と思ったけれど、ま、物語だから・・・^^;
でも実際に女性で総理大臣になるとしたら、その変のことは
少し、コントロ-ルしてほしいな。
物語としては、凄く面白かった!
ドラマ化とかしたら面白いかも。
★★★★
発行年月:2013年6月
仕方ないものだな。男というものは。
吉原で火事があった。
青柳屋の遊女・梅が枝は逃げ遅れて火傷を負ったという。
同心・玉島千蔭は梅が枝を気遣うが、すぐに見舞いに行こうとはしない。
千蔭は梅が枝の客ではないし、深い仲でもないから。
行ってどうこうできるわけでもないから。
やがて、梅が枝の身請けの話が進んでいるという噂が、千蔭の耳に入る─。
吉原。芝居町。華やかな舞台の陰には、行き場のない想いがわだかまる。
(光文社HPより)
シリ-ズ物とは知らずに読んだので、事件解決に奔走する同心・玉島千蔭とその
下で働く八十吉に最初は、馴染めず・・・話を追うたびにだんだんと千蔭の人柄に魅力を感じていきました。
4つの連作集。
<むじな菊>
長屋の差配人として人望も厚かった銀治が何者かに殺された。
疑わしい男がすぐに現れたが、犯人は・・・
<だんまり>
夜中にひとりで歩いている男の髷を切る変わった事件が連続して起きる。
犯人の目的は何なのか?
<土蛍>
吉原の火事でやけどを負った梅が枝。
その梅が枝に身請け話が持ち上がる。
千蔭は気にしつつも冷めた態度。
<はずれくじ>
ツキに見放されたような男・直吉。
そんな男が冨くじを買えば当たるとお金まで用立てて貰い、くじを買うように言わる。
が・・・後日、直吉は土左衛門となって発見される。
事件の真相解明の段階はまあまあ面白いけれど、その真相がわかると
何ともやり切れない気持ちにさせられた。
特に最後の<はずれくじ>は、あまりにも不憫な直吉・・・(:_;)
最後の話くらい、少し明るいものであってほしかったのになぁ~。
千蔭と梅が枝は、態度ではお互い淡泊なかんじだけれど本心は相思相愛なのかな?
近藤さんは、時代物も書かれて、本当になんでも書ける人なんだな・・・。
★★★
| 05 | 2026/06 | 07 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
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| 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
