日系2世の語学兵の苦悩を描く戦争長編。
日本人と同じ顔、同じ言葉を喋るがアメリカのために戦う二世の語学兵・ショ-ティの栄光なき孤独な戦い。アメリカ以上にアメリカ合衆国への忠誠を要求される日系人の苦悩を描く戦争長編。
(集英社HPより)
サイパン島での激戦。
アメリカは日本軍を追い詰めるが、玉砕を覚悟の日本兵や民間人は、なかなか降伏しない。
そんな日本人の心理をアメリカ人たちは理解できず、苛立つ。
日系二世のショ-ティは、語学兵として激戦地に就いている。
そして、そんな理解不能な日本人の心理を多少なりとも分かっているため、一人でも多くの日本人を
無傷のまま降伏させたいと奔走する。
戦争が始まる前、日本人の両親はアメリカに渡った。
ショ-ティはそんな日本語しか知らない両親の元、アメリカ人と関わっていくが、差別による理不尽な目に幾度も遭って来た。
戦争で日本を敵にしなければならないことは、両親には複雑な思いがあっただろう。
しかし、ここでアメリカのために仕事をすれば日本人でも認めて貰える。
そんな気持ちがあってか、両親はアメリカ兵として戦う息子を送り出す。
ああ、その気持ちを考えるだけで苦しくなる。
そして、語学兵として、ショ-ティは奔走。
アメリカ人では理解し難い日本人の心理を予測しながら、上官にもアドバイスを提言したり
自ら、危険を冒して日本兵と民間人が潜む場所に先頭をきって、降伏の説得に当たる。
自分の命を取られることより、生きて捕虜になることを恐れる日本人。
生きて捕虜になることは、恥であるという考えから、自分が捕虜になったことを祖国に知らされることを一番恐れる。
切羽詰まれば、自分の命をかけて敵に突進していくのが日本人だとアメリカ兵も恐れる。
日本人とショ-ティの関わる場面は、少し温かい気持ちの交流みたいなものも感じられ、一瞬、気持ちが和んだけれど
やはり、戦争は惨い。
命の危険にさらされるという恐怖のほかにも、いろいろな恐れがあって
こんな時代を生きなければならなかった人たちを本当に気の毒に思う。
日系のアメリカ人・ショ-ティみたいな人たちが実際に何人も居たんでしょうね。
その人たちのことは、今回の物語で初めて知り、その苦悩の様子も胸が痛くなった。
古処さんの書はいつもズ-ンと胸に残る物語だ。
★★★★★
寂れた温泉町・津雲へと続くかんかん橋。
菊おばあちゃんの嫁入り、出征、食堂『ののや』 の真子親子の別れ・・・。 多くを見送った今、町を容赦ない不況が襲う、それでも生き抜く女たちの、母なる強さと温かい涙の物語。
(角川書店HPより)
ある温泉街の人々を連作形式で綴ったお話6つ。
第一章 ののや
第二章 お母ちゃん
第三章 遠い人
第四章 雨が止んだら
第五章 土埃の向こう側
第六章 かんかん橋で
『ののや』は町の定食屋。
町の人々が集う場所。
その店の娘・真子は、町に古くからある写真展『フォトスタジオ KOKUMI』の菊おばあちゃんが大好き。
登下校の度に挨拶するが、おばちゃんはいつも「あんた誰だっけ?」と言う。
おばあちゃんは90歳を超えている。
かんかん橋を渡ってお嫁に来た。
そんな菊おばあちゃんの嫁入り当時の話を書いた第三章の<遠い人>は物悲しくて胸が痛くなるような
お話だった。
戦争の前後の時代の人々の苦悩が辛い話。
戦争はやっぱり悲劇しか生まなかったんだと思った。
戦地で亡くなった方も気の毒だけれど、残された人。
戦地からなんとか帰還出来た人、みんなそれぞれの辛い思いを抱えて、戦後を生きて来たんだな・・・。
ほかの話もそれぞれ苦悩を抱えながらも懸命に生きている人々を描いている。
懸命に生きていれば、必ず希望があるとも思わせてくれた。
町のなかにある小さな石造りの橋が、かんかん橋。
どんな時代にも変わらず、そこにあって、人々の記憶に残っていく物っていいな。
ののやの真子も幼い頃から、母親と離れてしまい、寂しい思いをしながら成長したけれど
優しい女の子になって、これからもきっと逞しく生きていくんだろうな。
★★★★
木賞受賞作『切羽へ』をはじめ、大人の恋愛と一筋縄ではいかない関係を描いて独自の魅惑的な小説世界を展開する著者が、男と女の「愛ではないけれど、愛よりもかけがえのない関係」を描く長篇小説。
桐生駿と野田夏が初めて出会ったのは共に5歳のとき。夏の父に恋をした駿の母が、密会のため息子を連れて夏の家に通ったからだ。親同士の情事のあいだ、それとは知らず階下で待っていた幼いふたりは、やがて親たちの関係を知る。以来、別々の人生を歩み始めたふたりは、互いに「できれば思い出したくない相手」と感じながらも、なぜか人生の曲がり角ごとに出会ってしまう。まるで、互いの恋愛の証言者のように……。
それぞれおろかな恋愛を重ねながら、人生における愛のどうしようもなさを受け入れていく男女の関係を描く長篇小説。
(講談社HPより)
2人の男女の幼い時から、成人したあとまでを追った物語。
桐生駿と野田夏は幼馴染。
しかし、その出会い方はちょっと訳あり。
駿の母親と夏の父親は不倫関係にあった。
成長するにしたがって、それぞれが別の人間関係を築いていく。
駿は、父親が医者なので、それを目指すが、結局は医学部には入れず、会社員となり同じ会社に
恋人が出来、やがて結婚し、息子も出来る。
夏は、保母になり勤める保育園の園長を恋人にするが、結婚はせず、学生時代に付き合っていた
男と再び連絡を取り合うようになり、結婚し娘を産む。
成人するまで、互いに複数の異性と付き合い、別れる。
2人ともなんだか似た様な生き方。
親の生き方を真似ているようなかんじ。
誰かをずっと好きでいるってことが出来ない人たちばかりが出てくる、お話で
全く共感出来ないし、何の感動もない。
よくわからない人たちの生き方を描いたお話。
ま、読んでいる分には、退屈しなかったんだけど・・・・
やはり物語には、何らかの感動がほしいなぁ~。
★★★
好評を博した『珈琲屋の人々』続編。東京は下町の商店街にある『珈琲屋』。主人の行介はかつて、ある理由から人を殺していた……。心に傷を負った人間たちが、『珈琲屋』で語る様々なドラマを七編収録。情感溢れる筆致が冴える連作集。
(双葉社HPより)
続編を待っていました!!
商店街にある珈琲屋の店主・宗田行介は、過去に殺人を犯した前科持ち。
けれど、その殺人は、正義感ゆえ。
そして、その罪を服役を終えたあとも一人背負い、自らの罰を右手に与え続け、
その手は火傷で痛々しい。
寡黙だけど、珈琲屋を訪れる人々が困っていれば助ける、行介は格好良い。
そんな行介を昔から知る商店街の幼馴染・島木と冬子。
度々、珈琲屋に顔を出し、行介と会話する場面は、ちょっとほのぼの。
ほかのお客が持ち込むちょっとした厄介ごとを行介がアドバイスしたり実際に自ら危険を冒しながらも解決に
導いていく。
短編連作形式で、7つのお話が語られる。
表題の「ちょっぽけな恋」は、中学2年生の千明と同じく中学生の男子・芳樹の恋を応援する話。
母子家庭の千明と父子家庭の芳樹。
家族ぐるみのお付き合いに発展したら楽しそうだなぁ~(^^)
ちょっと重たい話が多いなかで、唯一ほっこりしたお話でした。
ずっと行介を想い続けた冬子の気持ちが、罪の重さから頑なにその気持ちを受け入れずにいた
行介の気持ちを変化させたラストの急展開は、なんだか嬉しかった。
この続きはあるのかなぁ~?
続きが気になったのは他にも
「大人の言い分」の勇樹は、包丁であのあと母親を刺したのか?
DV夫から逃れ息子と2人で暮らしたのに、苦しい生活にイライラすることが多くなり、息
子の勇樹に手を上げてしまう日々。
反省するのに、また同じように子どもを殴ったり蹴ったり
しかし、勇樹は泣かずに耐える「お母さんが好きだから・・・」と
可哀想過ぎて、泣けて来たけど、最後の勇樹の行動には驚いた!
どうなったの?あのあと!?
いつか2人が笑顔で暮らす話が読みたい!
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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